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JPEG(月刊ASCII 1991年10月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSの「今月のキーワード」をスクラップする。

当時のパソコン環境では画像1枚を処理するのも大変だった。

JPEG(ジェイペグ)
 画像・文字・音声を自由に扱うマルチメディアの到来が待ち遠しいが,パーソナルコンピュータではなかなか実現されそうもない.画像にしても、音声にしても,人間が満足できるレベルのものは,文字に比べて莫大な情報量を含んでいるからだ。情報量がありすぎては,データを手軽に扱うことができないし,通信などでの交換もたいへんである。
 音声に関して特に人間の会話などは,電話の場合でも分かるとおり情報量を減らしても意味が失われるということは少ない。しかし、画像では,情報量を減らすと品質も劣化し,重要な部分がボケてしまったり,カケてしまったりすることもある。
 画像の場合,品質を落とすことなく情報量だけを減らす(圧縮する)ことはできないのだろうか?この問題を解決するために,1986年にISOとCCITTが共同で委員会を組織した.それが「JPEG(Joint Photographic Experts Groupe)」である.そして,この組織が策定し,この夏にも正式な国際標準となる“静止画像の品質をほとんど落とさないで,データ量だけを減らす画像圧縮の方式”を「JPEG方式の圧縮」と呼ぶ.

ハフマン符号化によるJPEG圧縮
 JPEG方式の圧縮には、大きく分けて2つの方法がある.
 ひとつは、画像の品質をまったく劣化させないで圧縮する方法で,これは,画像の冗長性をなくす処理である。パソコン通信の際によく用いられるPKarcやLHarc,LHAの基本部分と同じ「ハフマン符号化」によって,同じデータの繰り返し部分を1つにまとめてしまうやり方だ。たとえば“1114222255"という10個の数字の配列を,"13412452"のように8個の数字に置き換える.
 10個から8個というように80%に圧縮されたこの例の場合,最初の1は数字,次の3は前の数字が3回繰り返されている,次の4は数字,その次の1は繰り返し回数と,データとその繰り返し回数を定義していくのである.この方式を画像に応用すると,複雑な自然画像は70~80%に,単純なCG画像などでは20~50%に,画像の品質を劣化させないで圧縮できる(画面1).

色間引きとDCTによる圧縮
 もうひとつの方式は,人間の目が持つ,「画像の明るさ(輝度)の変化には敏感だが,色の変化には鈍感」という特質を利用する。具体的には,ある画像の小領域からデータを取るときに,輝度データ4点分に対し,色データを1~2点分にする,というものだ。これだけでは圧縮率が上がらないので,色が間引きされたデータに対して,「DCT(Discrete Cosaine Transformation)」と呼ばれる変換を行なう.
 DCT変換は,画像を横方向の細かさと縦方向の細かさに分解するものだ.DCT変換で得られる細かさの値は,ある画像の細かな模様(変化)では0に近くなり,大きな模様(変化)では大きな値になる.
 JPEG方式では,この[0に近い変化]を,最終的に[0]に置き換えてしまう.自然画像では細かな模様が多いため,DCT処理されて得られたデータには0に近い値が多く含まれることになる.これらを0にしてしまうことで画像の細かな変化はならされてしまうが、大きな変化は残る。画像の品質は低下するのだが,その画像の持つ意味までは失われないというわけだ.また,あらかじめ圧縮後のサイズを指定し,そこまで落すこともできる.さらに,DCT変換されて0が多く並ぶようになった画像データをハフマン符号化で圧縮する。これらの一連の処理によって、画像の品質をほとんど変化させることなく画像データを高圧縮するのである.
 これを使えば,複雑な自然画像でも,人間の目では見分けが付かない程度の変化で,オリジナルの10%(1/10)程度にまで画像のファイルサイズを低減できる(画面2,3).

難点は時間がかかること
 ここまで見てきたように,画像データのサイズを小さくするためには,いく通りもの処理を行なわなければならない.JPEG方式の画像圧縮には,かなりの時間がかかってしまい,動画には使えない。
 そこで,これらの処理に必要な命令をチップ化しようとする動きもある.米C-Cube社は,JPEG方式専用のチップ「CL550」を昨年発売し,MacintoshシリーズやNeXT向けには,このチップを採用したカラー圧縮ボードなども複数のメーカーから発表されている.また,動画に関しても,JPEGを拡張した「MPEG(Motion Picture Experts Groupe)」も組織され,現在,基準を定めようと開発段階に入っている.
 1/10の圧縮でも,人間の目ではオリジナル画像と判別できないJPEG.これからのマルチメディア時代,ネットワーク時代に欠かせないものとして注目される.
(池田)


ASCII1991(10)b22JPEG写真1-3_W383.jpg
ASCIIのこういう記事が好きだった。

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