SSブログ

フレームメモリ,ターミネータ,(C)と(M)(月刊ASCII 1992年7月号11) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「今月のキーワード」をスクラップする。
フレームメモリ
 コンピュータグラフィックス(CG)が多彩に使われている「ターミネーター2」などを見て,映画と同じレベルまでいかなくても、普段使っているパーソナルコンピュータでフルカラーのCGを描きたくならないだろうか?パソコンでフルカラーのCG(画像)を扱うとき必要なものに,「フレームメモリ」がある(写真1).

ASCII1992(07)b22フレームメモリ写真1_W388.jpg
■カラー表示のしくみ
 まず,色の混合の原理を思い出してほしい.絵の具などの「減色混合(シアン/マゼンタ/イエローで黒になる混色)」とは異なり,ブラウン管のカラー表示などで使われる光の混合「加色混合」の場合は,光の3原色である赤/緑/青(Red/Green/Blue:RGB)を同じ比率で混合すると白色になる.
 画面に絵を描くとき,コンピュータの内部では次のような処理が行なわれている.まず,キーボードやマウスによって入力された信号をCPUが解釈し、CPUは,ユーザーの命令に応じてVRAM制御部に信号を送る.さらに,VRAM制御部は,画面表示用のメモリである「VRAM」に前出のRGBの発色信号を書き込み,ディスプレイ回路がこの信号を読み取って表示を行なうのだ。
 PC-9801シリーズには,文字表示用のVRAMが16Kbytes,グラフィックス表示用のVRAMが標準で256Kbytes搭載されている.PC-9801シリーズには解像度640×400ドットのグラフィック画面が2画面あり,総表示ドット数は,640×400×2=51万2000ドットになる.すなわち,グラフィックス表示の場合は、1ドットを表現するために4bitの情報を使えることになる(256Kbytes÷51万2000ドット=4bit/ドット).
 画面の1ドットに対して4bitなので,RGBそれぞれの色情報のオン/オフで3bit,さらに,その色の濃淡(intensity)1bitの情報が書き込め,21×21×21×21=16色の表示ができることになる(表1)さらに,VRAM容量を増やすと,RGBそれぞれを何段階にも分けることができ,画面1ドットを,RGB各3bit(8階調)で表現すると23×23×23=512色.同8bit(256階調)では,28×28×28=約1670万色もの表示が可能だ。この1670万色の画面は,RGBの各プレーンごとに8bitあるので,24bitカラー画面(8bit×3プレーン=24)またはフルカラー画面と呼ばれている.

■拡張メモリの一種
 そこで,PC-9801シリーズの場合,16色よりも多くの色を表現したい場合には,発色数に応じたVRAMを搭載した拡張メモリを使うことになる.拡張メモリとしてはEMSやプロテクトメモリが有名だが,表示用のメモリは,画面(フレーム)単位で情報を扱うため「フレームメモリ」と呼ばれる.
 フレームメモリと一般的な拡張メモリの違いは,制御方法だけでなく,PC-9801シリーズへの装着方法も異なる.拡張メモリはコンピュータ本体に差し込むだけでメモリ容量を増やすことになるのだが,フレームメモリは、本来のVRAM16色表示を生かしたまま表示用メモリを拡張する.すなわち,16色のディスプレイ信号と,1670万色の信号をミックスして出力するため,コンピュータ本体のディスプレイコネクタから出ている信号を,いったん,フレームメモリに入れ,ミキシングした後にフレームメモリからディスプレイに出力するわけだ。
 一方,IBM社のPC/ATなどでは,VRAMが,テキスト用/グラフィックス用のように分かれてはいないが,画面表示を行なう回路が専用のボードにまとめられている(ビデオアダプタとも呼ばれる).この部分をそっくり交換して,多色表示や高解像度表示を行なうことになる(写真2).


ASCII1992(07)b22フレームメモリ写真2_W520.jpg
■身近になったフルカラー

 従来,フレームメモリの価格は高く,気軽に買えるものではなかったが,最近では,PC-9801シリーズ用として手頃な価格のフレームメモリも発売されるようになった(表2).自然画像を高率圧縮するJPEGフォーマットの普及により,フルカラー画像が容易に扱えるようになってもいる.機会があったら,フルカラーグラフィックスの素晴らしさを確かめてほしい.

ASCII1992(07)b22表1-2_W363.jpg
フレームメモリを導入しているところは業務用だったと思う。素人で趣味で導入している人にお目にかかったことはなかった。

TBNをスクラップする。
どうしてターミネータが必要?
Q SCSIのターミネータがよく分かりません。たとえば,SCSIデバイスには,ターミネータが必要だといいますが,コンピュータの内蔵型SCSIハードディスクのSCSIインターフェイスのコネクタには、ターミネータを付けなくていいのでしょうか?また、知人から,「場合によってはターミネータを外したほうがいいこともある」という話を聞いたのですが,これはどういうことでしょうか。
A 最近ではSCSI端子を備えたパーソナルコンピュータは珍しくなくなりました(写真1).ですが,いろいろと分からないことの多いのがSCSIです。よくトラブルの種になっているともいわれています.それでは質問のターミネータがなぜ必要なのか,その理由の説明から始めましょう.
ターミネータは信号の「出口」
 ターミネータの役割を簡単にいうと,ケーブル(SCSIバス)の信号を整えるための部品です。多少電気回路の心得がある方なら、ターミネータとはインピーダンスのマッチングをとるための終端抵抗であるといえば納得していただけるでしょう(写真2,3).
 もう少し分かりやすく説明すると,パーソナルコンピュータが送り出した信号は,バスの先頭からディジーチェーンで接続された最後のSCSIデバイスまで送られます(図1).ここで,バスの最後に到着した信号はどうすればいいのかを考えてみてください。もし,バスの末端に信号の出口がなければ,信号はそこにい続けるわけにもいきませんから,末端に達した信号は,今来た道を戻っていくのです!
 しかし,バスにはどんどん新しい信号が送り出されてきますから,進んでいく信号と,帰ってくる信号がバス上で衝突します.こうなると,信号の波形が乱れ,ちょうどパソコン通信でいう「文字化け」のように,SCSIコマンドなどのデータが,別のデータに化けてしまいます。これでは,正常なコントロールもできませんし,正しいデータのやりとりも不可能になってしまいます。
 そこで,末端に到達した信号の「出口」を作ってやれば,こうした不都合が解消できます.つまり,ターミネータはSCSIバスに流れる信号の「出口」なのです。
ターミネータはバスの両端に
 もちろん,信号はパーソナルコンピュータから周辺デバイスに送り出されるだけではなく、バスの先頭(パーソナルコンピュータ側)に向かって進む信号もありますから,パーソナルコンピュータ側にもターミネータは必要です.つまり,SCSIバスには先頭と末尾に必ず1つずつ、合計2つのターミネータが必要です.ただし,バスの先頭はパーソナルコンピュータ内部のインターフェイス回路に決まっています.ですから,あらかじめインターフェイス回路内部にターミネータが組み込まれているので,ユーザーが先頭のターミネータで悩む必要はありません。
 しかし,バスの両側にターミネータが必要だということは、あくまでも原則です。そして,原則には例外があります。
 たとえば,ご質問にあるように,SCSIディスクが内蔵されている場合,コネクタにターミネータを接続しないのが普通です.しかし,バスの先端と終端にターミネータを入れなければならないという原則からいけば,SCSIコネクタにはターミネータが必要になるはずです.
 ところが,せいぜい10cmそこそこの長さのケーブルであれば,終端のターミネータを接続しなくても,信号の乱れはそれほど大きくなりません。インターフェイス回路は,多少の信号の乱れは吸収できるように設計されているので,この程度なら問題がないというわけです.当然,コネクタにターミネータを付けても悪影響はありません.
SCSIバスの怪
 ユニットIDを正しく設定して,きちんと最後のデバイスにターミネータを付ければ,少なくとも理屈の上では,問題なくSCSIデバイスが動作するはずです.しかし,正しく設定しているはずなのに,なぜかSCSIデバイスが正常に動かないというトラブルに悩まされる人は少なくないようです.
 SCSIデバイスに関するトラブルとしては,メーカーごとにSCSIのインプリメントが微妙に違っているため,ハードウェア的には正しく接続されているのに動作しないというケースがあります。たとえば,PC-9801のSCSIインターフェイスには,MacintoshやIBMPCで使われている一般的なSCSIデバイスが接続できません.
 PC-9801のSCSIがどうしてこのように特殊な仕様になっているのか,理由は不明ですが,SCSIの難しさを考えるとなんとなく設計者の気持ちが分からなくもありません。なにしろ,汎用の規格ですから,世の中にはずいぶんいろいろなSCSIデバイスがあります.ところがこれらのSCSIデバイスに接続した場合,メーカーが意図していなかったようなトラブルが続出する可能性があるのです.ユーザーにとっては,どんな機器でも接続できるのは大きなメリットですが,メーカーの担当者にしてみれば,わけの分からない機器を接続しようとしてトラブルが発生した.といった苦情の嵐で詰め腹を切らされてはたまらないでしょう.筆者の勝手な推測ですが,それならいっそ,自社が保証するデバイス以外にはつながらないようにしてしまえと設計者が考えたとしても,不思議ではありません。
理想と現実
 さて,とにかくハードに要求される性能が厳しくなると,必ずしも理屈どおりには動かないというケースも出てきます。ちょっとした電気的な特性の違いで問題が発生することも考えられます.
 また,たかがケーブルといっても、前に書いたようにケーブルが短ければ乱れが少ないということは,ケーブルが長ければ信号の乱れも大きくなるということです.原理的には,ケーブルが長くてもきちんとターミネーションされていれば,信号は乱れないはずなのですが,現実のケーブルは決して理想のケーブルではありません。また,途中にいくつかのSCSIデバイスが接続されていると,それぞれのコネクタ部分で信号の乱れが生じます。もちろん、理想のコネクタなら乱れは発生しないはずなのですが.
 こうした現実的な要因が微妙にからまりあうと,理屈が通らないケースが出てきます.たとえば,デバイスの接続の順番を替えたり,ケーブルを交換すると,トラブルが解消することがあります。筆者もご質問にあるように,ターミネータを外したらエラーが発生しなくなったというケースもあるという話を聞いたことがあります。
 とにかく,SCSIにさまざまなメーカーのデバイスを何台も接続すると,理屈では割り切れない,不可解なトラブルが発生する可能性があります。
 不幸にして不可解なトラブルが発生した場合は,理屈にとらわれず,いろいろと試行錯誤してみることをお勧めします。
 また,このようなSCSIデバイスのトラブルを未然に防止するコツは,デバイスの接続には,できるだけ上等なケーブルを使い,配線は極力短くすることでしょう。特に,ケーブルは安物を避け,多少高価でも太くてしっかりした高級なケーブルがいいようです。
(安田 幸弘)


ASCII1992(07)g01ターミネータ写真1-3_W348.jpg
ASCII1992(07)g02ターミネータ図1_W520.jpg

得体の知れない記号が付いている?
Q CPUの表面には型番などのほかに(C)や(M)という記号(マーク)が付いていますが,一体何を表わしているのですか. A 最近,新聞などによく「知的所有権」ということばが使われています.知的所有権(英語ではIntellectual Property,知的財産権とも翻訳されます)を簡単に説明すれば,人間が考え出したアイデアや技術を保護し、そのアイデアを他者が無断で利用できないようにする権利のことです.
 知的所有権は,大きく工業所有権と著作権の2つに分類できます。工業所有権は主に企業活動などにかかわる発明や名称に与えられ,さらに特許権(Patent),実用新案,商標(Trademark),意匠(Design)やサービスマークなどに分けられます。一方の著作権(Copyright)は,主に美術,音楽,文学などの創造物に与えられる権利です.欧米における知的所有権という概念の歴史は古いもので,1世紀以上も前の1882年に締結された「工業所有権の保護に関するパリ条約」と1886年締結の「文学的および美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」は、現在のさまざまな国際間の知的所有権保護条約の基本となっています.日本も1899年に,両条約に加入しました.
 しかし,それから現在までの約1世紀の間には,バイオテクノロジーによる植物の新品種やCDのレンタルビジネスといった,今までの概念ではカバーできない新しい知的所有権の形態が現われてきました。コンピュータプログラムやデータベースも,このような新しい形態の知的所有権と考えることができます。
新しい知的所有権の保護
 先に述べた2つの国際条約を基に,1967年には「世界知的所有権機関(WIPO)」という団体が設立されました。この組織は、知的所有権の保護増進という目的から,「コンピュータソフトウェアの保護に関する国内法のためのモデル条項」(1977年),「集積回路に関する知的財産条約」(1989年)などの作成に取り組んできました。
 このような世界的流れの中で,各国でもそれぞれ国内法を制定,改正して新しい知的所有権の保護を考えるようになってきています.ここでは日本とアメリカの動きを見てみましょう。
 まず,アメリカでは1980年,日本では1985年および1986年に行なわれた著作権法の改正から,コンピュータプログラムやデータベースなどを含む広義のコンピュータソフトウェアが,著作物の一種と規定されるようになりました。このようにソフトウェアという知的所有権の扱いは,長期間(日本は50年)の保護を受ける著作権の中に含まれるという考え方が世界の主流です.
 一方,半導体集積回路の高集積化にともない,回路配置(パターン形状)の巧拙が集積回路の性能を左右するようになってきました(写真4).このような中,アメリカでは1984年に「半導体チップ保護法」が制定され,回路配置利用に関する権利(10年間)を保護できるようになりました。このときアメリカは,外国人の回路配置保護に相互主義(相手国でアメリカ人の権利に保護を与えなければ,アメリカで相手国人の権利を保護しない)を規定したため,日本も1985年に「半導体集積回路の回路配置に関する法律」を制定しました.要するに集積回路配置は,著作権と別の特殊な権利として扱うようになってきたわけです。
(C)と(M)
 さて,マイクロプロセッサが持つ知的所有権は,実際には今まで述べてきたような点から保護されています。つまり,マイクロプロセッサを動作させる内部プログラム(ソフトウェア)に関して著作権が,マイクロプロセッサの回路パターンに関して回路配置利用権が与えられるのです.
 2つのマーク(写真5,6)の意味についてはもうお分かりのことと思います.(C)はCopyrightの略で,(M)はMaskworkの略になります.を規定しているのは,1952年に締結された「万国著作権条約」です.アメリカと中南米の国々は,ベルヌ条約に加盟せず独自の条約を結んでいました(アメリカは1989年にベルヌ条約に加盟).万国著作権条約は,を記した著作物がすべての加盟国で著作権の保護を受けることを規定しているので,例えば1989年以前に日本の書籍をアメリカへ輸出して著作権保護を受けるためには(C)を記載する必要がありました。
 (M)のほうも理由は同様です.アメリカのチップ保護法の規定では,(M)を記すことが回路配置利用権が保護されている証拠となります。前述の相互主義から日本製チップもアメリカで保護を受けることができますから,輸出するときには(M)を付けてその事実を示しておく必要があるわけです。ただし,(M)による保護は当然アメリカ国内だけに限られており,世界のほとんどの国で通用するとは少し違います.
(野島)


ASCII1992(07)g03(c)と(M)_W353.jpg





nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。