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特集「失敗しないSCSIハードディスク選び'90」(月刊ASCII 1990年6月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集「失敗しないSCSIハードディスク選び'90」
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当時HDDを導入して、ソフトをインストールするまでには結構手間がかかり、相応のスキルも必要だった
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図をスクラップする。
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コラム記事をスクラップする。
シッピングという用語が懐かしい。
Q:ハードディスクの電源をいきなり切ったら上司に怒られました.どうしてでしょう.
A:ハードディスクのヘッドは,回転すあるディスクによって起こる空気の流れでディスクからわずかに浮いています。こそのため、急に電源を切るとディスクの回転が止まり、ヘッドがディスク面にぶつかってしまいます。これがもとになってディスク面に傷が付くと,その位置にあったデータを読み出すことができなくなります。
 このような事故を避けるため,ハードディスクではデータの書き込みに使わない場所が決められていて,電源を切る前にヘッドをその位置に動かしておくことになっています.これを「シッピング」や「リトラクト」などといいます。
 ハードディスクの電源を切る前には,シッピング用のプログラムを起動する,STOPキーを押すなどしてください。ただし電源が切れると自動的にシッピングするハードディスクも一部ありますが,念のためにシッピングの操作は行なったほうがよいでしょう.


SCSI/SASIとは何のことか
 そもそも,SCSIやSASIとはどのような規格なのか,その素性を明らかにしよう.
 SASI,Shugart Associates System Interfaceの略で,アメリカのShugart社が同社のハードディスク用のインターフェイスとして開発したものだ.国内のマシンで使用しているのは,PC-9801シリーズのPC-9801-27インターフェイスボード,X68000,MSXなどである.
 一方のSCSIはSmall Computer System Interfaceの略で,ANSI(米国規格協会)がSASIを基にして規格化したもので,小型コンピュータでの周辺機器のアクセス方法を定めている.ハードディスクのインターフェイスとして有名だが,それ以外にもCD-ROM,光磁気ディスク,プリンタスキャナなどの入出力装置全般に共通して使えるような汎用インターフフェイスとしての規格だ。国内マシンではPC-9801シリーズのPC-9801-55インターフェイスのほか,FMRシリーズ,日立B16シリーズや,X68000の新機種などでSCSIが採用されている.

職場のPC-9801VM4で初めてSASIのHDDを使って、家ではPC-9801VX2でもSASIだった。SCSIを使ったのはPC-486GR3だった。SCSIが役に立ったと思ったのはMOを繋げたことだった。HDDを同時に複数台繋げて使うことはなかった。

懐かしい用語が出てきたのでスクラップする。SCSIドライブのロータリースイッチだ。
 ハードディスクのドライブには1台目用増設用の区別はなく,代わりに0~1の「SCSI ID」をドライブ識別用の番号として,ディスク本体にあるロータリースイッチなどで設定できるようになっている。複数のドライブを接続する場合は,このID番号が重複しないように設定しなければならない.
小さいマイナスの精密ドライバーで設定したように思う。自宅ではMOのとき使った。職場では複数台のHDD,MO,CD-ROMを繋ぎ注意して設定した。
パーティション管理を比較する
 55ボードや27ボードでは,1台のハードディスクをあたかも数台のドライブであるかのように分割して使用することができる。ディスクを分割して管理することを「パーティションに分ける」という.各パーティションにはMS-DOSなどのシステムを置いて,そのシステムからパソコンを起動することができる。また,データのみを置くパーティションも作成できる.
 27ボードでは1ドライブ当たりのパーティションの数が最大8個であったのに対して,55ボードでは16個と多くなっている。いずれの場合も,MS-DOSから同時にアクセスできるパーティションは4つまでだ。また,各パーティションの大きさも,27ボードが40Mbytesまでだったのに対し,55ボードでは128Mbytesまでに拡大された.これらの変更は,最大600Mbytesという大容量のハードディスクに対応するためには欠かせないものだ。

PC-9801VM4ではやらなかったが、SCSIを使ってHDDの容量が大きくなったら分割パーティションは必ずやっていた。
ファイル管理を比較する
 55ボードでは分割できるパーティションの数が増えたことは,前項で延べた通りだが,各パーティションをMS-DOSで使用する場合,パーティションの大きさによって,ファイル管理の効率が変わってくる.
 MS-DOSではパーティション内の全領域をクラスタ」という単位に区切って、個々のファイルへ割り当てている.このクラスタには一連の番号がついていて,「FAT(ファット:File Allocation Table)」という表のようなもので管理している.クラスタにつける番号のことを「FATエントリ」と呼ぶが,これのbit数の多少によって,管理できるクラスタの総数が決まってくる.
 27,55ボードの40Mbytes以下のハードディスクではFATエントリが12bitであったのに対し,55ボードで使用できる40Mbytesを超えるハードディスクでは,FATエントリのbit数が16になる.これにより,管理できるクラスタの総数が4096個から65536個に増える。同じ容量のパーティションなら,分割されるクラスタの数と各クラスタのサイズは反比例する.
 ディスク中ではどんなに小さいファイルでも,最低限クラスタのサイズだけ領域を消費する.このため,小さいファイルが多くあるようなディスクの使い方をしている場合,不用意にクラスタサイズが大きいと,ディスクの利用効率が悪くなる(図3)。
 この効果が特に大きいのは,40Mbytes付近のハードディスクである.27ボードでは原則として16bitFATは使えないので,40Mbytesを1つのパーティションとして確保すると,クラスタのサイズは16Kbytesになってしまう。同じ40Mbytesでも55ボードの場合は16bitFATとなり,クラスタサイズも2Kbytesと激減する.40Mbytesのハードディスクを使う限りでは、55ボードのほうが有利であるわけだ。


ASCII1990(06)c08HDD図3_W520.jpg



表2 パーティションサイズとFATエントリのbit数,クラスタサイズの関係
27ボードの場合
パーティションサイズ
(Mbytes)
FAT
(bit)
クラスタサイズ
(Kbytes)
1~5 12 2
6~15 12 4
16~30 12 8
31~40 12 16

55ボードの場合
パーティションサイズ
(Mbytes)
FAT
(bit)
クラスタサイズ
(Kbytes)
1~5 12 2
6~9 12 4
10~64 16 2
65~128 16 4

パーティションサイズには気を遣った。今とは違って保存するファイルは皆手作業して作ったものだからファイルサイズは小さいものばかりだった。保存できるファイル数を多くするよう気を遣った。

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当時は図1ほどではないが複数のVersionのOSを入れてブート時に選んでいた。

拡張フォーマットとは何か
 ハードディスクのフォーマット方法には,標準フォーマットと拡張フォーマットがあるが,今後話を進めていく大容量SCSIハードディスクでは拡張フォーマットしか利用できない.以下フォーマットといえば,拡張フォーマットのことを指す.
 拡張フォーマットの特徴は,1つのハードディスクを,見かけ上複数のドライプに分割できることと,それぞれの区画(パーティションという)を別のOSに管理させることが可能になっていることだ。SCSI型HDDを利用する場合,MS-DOSVer.3.1以上,MS OS/2 Ver.1.0以上,N88-BASIC Ver.6.1以上,PC-UX Rel.3.0A以上が、この区画に載るようになっている(図1).逆に言うと,これらのOSは、共通の物理的条件のもとで動作するように設計されている。このためのいわば共通の土俵を作る作業を「物理フォーマットする」という.

物理フォーマットする
 MS-DOS(Ver.3.3以上)をフロッピーから起動し,format/hコマンドでハードディスクのフォーマットコマンドを呼び出す.いくつかメニューが現われるが,このうち「装置の初期化」が,物理フォーマットの指定に当たる.
 ここで我々は「物理セクタ長は256bytesにしますか,512bytesにしますか」という質問に突き当たる。結論から言うと,この長さによって今後の動作に支障をきたすという可能性は,まずない.当編集部で実験した限りでは動作速度の差は表われなかったし,ディレクトリ上に作成可能なファイル数も同じである。
 256bytesセクタを利用する主な理由には,N88-BASICを利用する場合が挙げられる.MS-DOSもMSOS/2も,物理セクタは256/512のどちらでも構わないのだが,N88-BASICは256bytesにしか対応していない.
 一方,512bytesにした場合の利点は,1台のHDDを最大16個に分割できることである(256bytesにした場合には8個までとなる)。ただ,MS-DOSが同時に利用できる区画は4つまでだ。5つ以上に分割した場合,4つを超える部分については一時的に休眠状態にセットすることになり,特別な用途を想定しない限り,5つ以上の分割をすることはあまり意味がないだろう.
 結局たいして気にするほどのことでもない.そもそもHDDによっては256または512どちらかでしか利用できないものもある(もちろんこのような製品はマニュアルにその旨明記されている).

論理フォーマット=領域確保を行なう
 物理フォーマットがすんで,下準備が終了したら、次はいよいよDOSの導入である.これは,「領域確保」のメニューで行なう。確保する容量と,先頭シリンダ番号を聞かれるが,先頭シリンダ番号は自動的に空きエリアの先頭が選ばれるので、普通は直接数値を入力する必要はない。システムの転送については,少なくとも最初のエリアには転送しておかないとハードディスクから起動できなくなるから,「転送する」を選択する.  むしろ問題なのは,ディスクを分割するかどうかするとしたらどのように分割するか,ということである.この点については次項で触れることにして,まずは手順を解説することにする.
 領域の確保が終了したら,HDDは利用可能になっている(一度リセットしないと有効にならないが)。フォーマットメニューを終了する前に,「マップ」メニューで状態を見て(画面1),きちんと確保しまた領域が存在するか,状態がアクティブになっているか,ドライブからの起動が可能になっているかを確かめる.

不良セクタを登録する
 HDDは,製造上の問題で、どうしても磁性体のコーティングにムラが生じてしまうことがあるという。この場合,読み書きに問題の生じるセクタ(不良セクタ,スキップセクタなどという)が発生することになる.これを放置していては危険なので,このセクタを使用不可能として登録したり,こっそり別の余っている部分(多くのHDDでは,不良セクタのための「代替領域」が用意されている)に割り当てたりすることができる。代替領域がないHDDでも、不良セクタとして登録しておけば、以後そこをDOSがアクセスしないようになる.
 MS-DOS Ver.3.3にはHDUTLという付属ソフトがあり,不良セクタの検索/代替作業を行なってくれる(画面2)不良セクタは通常,最初から存在しているものなので、フォーマットが完了したらソフトなどを組み込む前に,不良セクタ処理はぜひ行なっておきたい。HDDメーカーが専用のプログラムを提供していることもある.
 また,HDDは容量が大きいだけに,無節操にファイルを詰め込んでいると,後で自分でもいやになるほどぐちゃぐちゃになってしまう。最初からビジョンを持ってディレクトリを作るようにしたい.


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使えるようにするまで手間がかかった。

ハードディスクの分割の勧め
 MS-DOS Ver.3.3Bでは,最大128Mbytesまでの領域を1ドライブとして認識することができる。1つのドライブに何でも入っているのは確かに便利だが,いくつかの理由から,HDDは複数のドライブに適当に分割して利用することをお勧めしたい.
小さなファイルは小さな区画へ
 HDDがクラスタという単位で管理されていることは前章で述べた。従来のSASI型HDDの場合,31Mbytes以上のドライブでクラスタサイズが16Kbytesにもなりかなりの無駄が生じることは類書でも指摘している.
 今回扱うSCSI型HDDでは,64Mbytesまでは2Kbytes,128Mbytesまでが4Kbytesなので、事態はSASIの場合ほど深刻ではない.とはいえ2Kbytes以下の小さいファイルがたくさんできることが分かっているような場合では,HDDサイズを64Mbytes以下にしたほうがいいのは明らかだ.

システムパーティションの考え方
 HDD起動用に小さい領域(1~3Mbytes程度)を用意しておき,そこにはシステム関係のファイルだけを転送する,というHDD管理法がある。ワープロだの表計算だの文書ファイルだのは,別に大きな区画を用意してそちらに格納するのである(図4)。
 このメリットは,システムのバージョンアップに容易に対応できることである.たとえば,先日エプソンからMS-DOS Ver.4.01が発表されたが,現在MS-DOS Ver.3.3が入っているHDDのシステムを入れ替えようとする場合,普通はいったんディスク内容を保存して,システムをフォーマットし直す必要がある(sysコマンドが利用できない)。ところが,システムパーティションを採用している場合では、システムの区画だけを解放し、新しいDOSに領域を与えればすむ.他の,システムと関係のないファイルに手をつけずにすむわけだ.

プログラムとデータは分けて,バックアップ用ドライブを作る
 ワープロと同じディレクトリに文書を入れる人はいないだろうが,同じドライブに入れている人は少なくないだろう.一般にアプリケーション本体はマスターディスクが手元にあるわけだから、もしクラッシュしても再度インストールすればすむ.しかし,自分が書いた文章,描いたグラフィック,作った音楽データ,BBSのダウンロードデータなどは,失われると泣くに泣けない。こうしたものは,別のドライブに分けて管理するのが賢明だ.主な利点として,プログラム用ドライブのFATが壊れても,データドライブのファイルには影響がないことや、HDDをバックアップする際にデータドライブだけを保存すればいいので時間と手間が省けることが挙げられる.

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自分で作ったデータを失ったときのショックは大きい。しかし、ネットからダウンロードしたデータならまたダウンすれば良いので手間はかかるが許容範囲だ。

後で泣かないための定期保守
 HDDというのは、クラッシュを経験するまで自分だけは大丈夫と思っているものだ。二度と還らないデータを悔やんで泣く前に,日常の定期保守をきちんと行ないたい.
 バックアップする本当になくなったら困るファイルやプログラムは,フロッピーなどにバックアップをとるべきである.HDDの内容をFDDに落とすためのツールも存在するが,HDD容量が100Mbytesといった大きさになってくると,必要なものだけバックアップするという方針で臨むのが現実的だ。
 まず、上述したように,バックアップが必要なドライブとそうでないドライブを分けてしまうという方法がある.こうすれば,バックアップが必要なドライブ容量は比較的小さくてすむから、1ドライブをフルバックアップするソフトも実用的に使える.
 フルバックアップ用には,オーシャノグラフィII(マイクロデータ)が有名だ。こちらはフロッピー1枚のバックアップ時間が30秒程度と高速であることのほか,デイリーバックアップといって,最後のバックアップ以後に更新されたファイルだけをバックアップする機能もある。
 ただ,フロッピーに何が保存されているのか分からないのはやはり不安である.心理的に安心できるのは,オーソドックスだが圧縮ツールを使ってディレクトリごとにファイルにして保存する方法だ。単純にコピーするよりもフロッピーの枚数が少なくてすむし、新しく作られたファイルだけを追加することも可能だ。圧縮率で定評のあるものとしては,LHarc(Yoshi氏によるフリーウェア)やpkzip(pkware社のシェアウェア)がある.
 このほかMS-DOS SOFTWARE TOOLSには,コピーコマンドを大幅に拡張した「ud」というツールがある。ディレクトリ構造を保存したままファイルを書き出し,フロッピーがいっぱいになれば入れ替え指示が出る。新しく作られたか,更新されたファイルだけをコピーする機能もある.

予防策を講じる
 HDDの事故の中でも「システム管理領域」の事故は深刻である.HDDの場合、ファイルがどういう形でディスク内に格納されているか,といった内容は,「ディレクトリ領域」と「FAT」に集中管理されているので,ここが壊れるとちょうどファイルがみんななくなってしまったような状態になるのである.
 Norton Utilities(ソフトウェアジャパン)には,frというコマンドがあり,FATとディレクトリ領域をディスクの空き領域にコピーすることができる.したがって,autoexec.bat内にこの作業を記述しておけば,frコマンド実行時までのHDD内容が,かなりの確度で復帰できることになる.数十秒でできる作業にしては大きな安心が得られる(図5).
 手塩にかけて育てた辞書が壊れるのも困ったものだ。辞書は頻繁にアクセスされるだけに,事故も比較的起こりやすい。幸いたいていのFPでは,辞書のメンテナンスツールを持っているから,それを利使用してユーザー単語をファイル化しておこうユーザー単語ファイルによる単語入力ができないものでは,辞書そのものを圧縮して保存しておきたい。

それでも運悪く壊れてしまったとき
 HDDのクラッシュといってもさまざまな程度がある.
 まず,ソフトウェアの暴走やバグなどで,FATに軽微な矛盾が生じる場合がある.起こりやすいエラーとしては,ファイルの途中が途切れてしまったり,その残りの部分が孤立してしまうというものだ.これはchkdskコマンドでもエラーが報告される.
 この復旧は,chkdskコマンドで一応の解決ができることがある.chkdsk/fとすると,ファイルを異常のある部分までで打ち切って正常なファイルにし,同時に,孤立してしまった部分をファイルにしてくれる(図6).
 ディスクの一部が物理的に壊れてしまった場合はもう少し厄介だ。これはchkdskコマンドでは検出できないので,たまたまその領域をプログラムがアクセスして,システムが「読めない」などのエラーを返すのを見て、物理的な障害が発生したな、と推測するしかない。読めないファイルが特定できたら,recoverコマンドが利用できる。「recoverファイル名」と入力すると,そのファイル中の読めないクラスタに「破損クラスタ」マークがなされ,その前後をつないでくれる.破損クラスタは再生できないが,それはあきらめるしかない.
 FATが大きく壊れてしまうような事故は,そうそうあることではないが,起こった場合のダメージは大きい。前述の「fr」でFAT/ディレクトリ領域が保存されていれば,とりあえずそれを利用することでかなりの復旧は見込める(それでもセーブ時以降の変更分については保証されない)。
 重症の場合では,ディスクエディット機能のあるソフトウェア(エコロジー2,ファイルマスター2,nuなど)で中を見て回ることになる.そこから必要なものを拾い集めるのは、根気のいる作業ではあるが不可能ではない.グラフィックデータや音楽データのように目で見て分からないものはかなり絶望的だが,テキストファイルなら何とかなることも多い。また,MS-DOS SOFTWARE TOOLSのnomoreを使えば、ディスクの未使用になっている領域をすべてファイルにすることができるので、最悪の場合は,そのファイルをエディタで読み込んでデータを探すという手段もある。


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PC-9801VM4のとき既にHDDのエラーを何回も経験した。当時のHDDは良くエラーを起こした。バックアップは常日頃行っていた。
その後雑誌等でハードディスクが飛んで原稿がなくなり泣いてしまったというライターの記事を読むと気の毒には全く思わず、そのライターをただバカにした。なぜ、大多数の人間はコンピュータを信用するのだろうかと思った。「コンピュータで出した答えです」と言われたらまず疑う。アルゴリズムは正しいのか、プログラムにバグがなかったのか、入力データは正確か。それらの担保がないものは信用できない。



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ハード、その他(月刊ASCII 1990年6月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSからハード,その他の記事をスクラップする。

セガ,カラー液晶搭載のゲーム機を開発
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SEGA GAMEGEAR

ランドコンピュータ,大容量HDDカートリッジを発売
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120Mbytesカードリッジが24万8000円

ニューテックがPC-9800R用のSCSI内蔵HDDを発売
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114.2Mbytesが19万6000円

インテルジャパンがMCAバス用インターフェイスLSIを発表
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シャープが32bit並列処理用LSIを発売
ASCII1990(06)b13シャープ32bit並列処理用LSI_W520.jpg

日立が多階調カラーLCDコントローラを出荷開始
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世界初の4096色表示を可能にしたLCDコントローラHD66850

マービン・ミンスキー博士が「第6回日本国際賞」を受賞
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人工知能の父だそうだ。

NIFTY-Serveが会員数10万人を突破
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私はPC-VANとNIFTYに入っていた。PC-VANは以前からの知人とのつながりの場で、NIFTYはネットでの新たな人とのつながりの場だった。

米ロータス,米ノベルを合併し米国最大級のメーカーに
ASCII1990(06)b10ロータスがノベルを合併_W504.jpg
NetWareの会社だった。

テクノロジージャパン'90が開催
ASCII1990(06)b12テクノロジージャパン90開催_W520.jpg

日新電機のVMEバス対応ファジー推論ボード
ASCII1990(06)b12日新電機ファジー推論ボード_W345.jpg

ワコムの液タブ
ASCII1990(06)b12ワコム液タブ_W322.jpg
このころは640×400だった。

オゾン層を破壊しないダイキンの代替フロン
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左から HCFC-123, HFC-134a, HCFC-141b

ガラス磁気ディスク
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2000年頃だったと思うがIBMのノートパソコンを廃棄するとき分解してHDDを取り出したらガラスプラッタだった。パリンと割ってしまった。

コミュニケーションTOKYO'90が開催
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デジタル公衆電話機
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出先でパソコン通信するためにこれを探して歩き回った。

ISDN(デジタル通信)の次はFDDI(光通信)だそうだ。
ASCII1990(06)b16デジタルの次は光_W354.jpg

衛星放送中継車
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富士通のHabitat
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Habitatはセカンドライフやメタバースの前身だったと思う。そう考えると36年もたったくせにザッカーバーグのメタバースのチープなことといったらない。お前らは36年前の発想をこの程度にしか発展させることができないのか。

ソニーの静止画伝送システム
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カード型ポケットベル
ASCII1990(06)b16カード型ポケベル_W348.jpg
ポケットベルにはお世話になった。これで自由に出歩けるようになった。


自動車電話・携帯電話
ASCII1990(06)b16自動車電話携帯電話_W351.jpg
携帯電話の前に自動車電話があった。車内電話ならバッテリのことを考えなくても良かった。

静止画テレビ電話
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これが後の携帯電話に進化する。

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パソコン、ソフト(月刊ASCII 1990年6月号2) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSをスクラップする。
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ASTリサーチジャパンが,1台でPC-9800シリーズとPC/ATのソフトが動くデュアル互換機を発表
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ASCII1990(06)b04ASTが98とIBM両互換機.jpg
日本市場に食い込むべく発表されたマシン。日本市場がゲートウエイとかCompacとかに侵食されるには年月が必要だった。

セイコーエプソンが普及型32bitマシンを発表
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98互換機メーカーのエプソンは386SX(16MHz)のマシンを出した。FDDモデルのPC-386VR-STDが34万8000円

富士通がFMRシリーズに新機種追加
ASCII1990(06)b07富士通FMR-50FV_520.jpg
独自路線の富士通は386(20MHz)のマシンを出した。FDDモデルのFMR-50FVが46万円。

日本NCRがAX仕様ラップトップ発売
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AX仕様のラップトップPC-AXLは80286(12MHz)のWindows Ver.2.1搭載FDD1台、20MbyterHDDを標準装備で42万8000円。

米Commodore社がAmigaの最上位機種を発表
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Amiga3000で68030(16/25MHz)

アップルコンピュータジャパン,Macintoshなど値下げ
ASCII1990(06)b06Mac値下げ_W502.jpg

日本電気が多機能電話を装備した複合コンピュータを発売
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デジタル交換機用の専用端末って言われても何のことか分からない。

東芝,40MbytesHDD内蔵のJ-3100を発売
ASCII1990(06)b06東芝40MHDD内蔵J-3100_W504.jpg
J-3100GT041Aで80286(12MHz)価格は59万8000円

キヤノン,NeXT Computerショールームを開設
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NeXTどのくらい売れたのだろうか。

アンテナハウスがWindows上でATOKを利用できるソフトを発売
ASCII1990(06)b15アンテナハウスWinでATOKを_W520.jpg
できて当たり前ではなかったのでこうしたソフトが登場した。

ロータス,Lotus1-2-3のOS/2対応版を発売
ASCII1990(06)b08ロータス123をOS2対応_W500.jpg
OS/2でこうしたソフトを動かしているところを見る機会がなかった。

ソフトウェアジャパン,DOS機能拡張システムを発売
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DOS-Extender/VXで価格は98万円

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パソコン広告(月刊ASCII 1990年6月号1) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

もう一度読み返し、スクラップする。
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この号の裏表紙は前号の使いまわし。

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前号の使いまわし。

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PC-98DO。98と88を合体させたマシン。88のゲームソフトも98のゲームソフトも動かしたいという人には良い機械だったろう。

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PC電子手帳ET。前号の使いまわし。

ASCII1990(06)a03PanacomMOS2_W520.jpg
左頁はPanacomM。
右頁はOS/2というかパーソナルシステム/55

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Dynabookは前号の使いまわし。

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左頁はMacで前号の使いまわし。
右頁はCASIOのスーパー電子手帳。DK-5000。

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X68000は前号の使いまわし。

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X68000の周辺機器

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東芝のラップトップEWS SPARC LT AS1000/L10
CPUは13.2MIPSだそうだ。
80486DX(25MHz)で20MPIS(Intel社が開発したマイクロプロセッサーの技術的スペックの歴史的変遷(簡略版)から引用)だそうだから、そんなに速くもない。

ASCII1990(06)a09TOWNS_W520.jpg
TOWNSは前号の使いまわし。

ASCII1990(06)a10TOWNS_W520.jpg
TOWNSは前号の使いまわし。

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TOWNSは前号の使いまわし。

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左頁はFMR。

ASCII1990(06)a13エプソン_W520.jpg
右頁はエプソンの広告。

ASCII1990(06)a14PC-286NOTEFPC-386VR_W520.jpg
左頁はPC-286NOTE F
右頁はPC-386VR

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キヤノンのバブルジェットプリンタは前号の使いまわし。

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キヤノンのAXiは前号の使いまわし。

ASCII1990(06)a17LASERSHOT_W520.jpg
LASER SHOTは前号の使いまわし。

ASCII1990(06)a18MacPageMaker_W520.jpg
Apple と Cannon によるMacの広告。右頁はAldus PageMakereだった。

ASCII1990(06)a19NAVI_W520.jpg
キヤノンのNAVIは前号の使いまわし。
これ今のスマホだ。

ASCII1990(06)a20NeXT_W520.jpg
NeXTの広告は毎月おしゃれだ。ジョブズの機械はおしゃれな広告が似合う。

ASCII1990(06)a21NEWS_W520.jpg
右頁はSONYのNEWS。

ASCII1990(06)a22NEWS_W520.jpg
SONYのNEWS。LaptopとRISC。

ASCII1990(06)a23NEWS_W520.jpg
左頁はSONYのNEWS。

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SONYのQuater L。買うたれ。

ASCII1990(06)a25TH40n_W520.jpg
テクノジャパンの可搬型HDD。TH40n。ノートパソコンが出てからすぐこういうHDDが登場した。

ASCII1990(06)a26緑電子_W520.jpg
緑電子のHDD。右頁下のPOKEDYはカバンに入れて持ち歩けるを売りにしていたようだ。

ASCII1990(06)a27MTOP_W520.jpg
左頁はMac互換のポータブルM'TOP。Appleのマザーボードを使うという荒業で作ったラップトップ。

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ASCII1990(06)a28スクウェア求人年休133日_W520.jpg
合併してスクウェアエニックスになる前のスクウェアの求人広告。
年間休日は、なんと133日(有給別)
というのが時代を感じる。「なんと」だった。

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ASCII1990(06)a30一太郎_W520.jpg
一太郎。

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花子。

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ジャストシステムの通信ソフト。かたろう。

ASCII1990(06)a34ノストラダムス_W520.jpg
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マイクロデータの製品群の広告。
オーシャノグラフィ、ノストラダムス、瞬間AXE。

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エクセルの広告。Windowsが売れなければダメだった。

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ツクモ電機の広告が見開き4ページあった。パソコンショップでASCIIのカラーページに広告を掲載しているのはツクモだけだった

裏表紙裏は
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FUJI FILMのFDで6月号も前号の使いまわし。

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恐ろしいFD交換、郵便でNETゲーム(月刊ASCII 1990年5月号9) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号のTBN「なんでも相談室」で怖い記事があった。私は経験しなかったが、経験した人は恐ろしかっただろう。
御用心…ディスク交換の危険な罠
Q:MS-DOSを使用中,プロテクトシールを貼ったフロッピーディスクにファイルをコピーしようとすると,“書込み禁止です”というメッセージが出てキー入力を求められます。
 ここで,フロッピーを書き込み禁止でない他のフロッピーに入れ換えて,“R”を押すとファイルがコピーされますが,その後にディレクトリを見ると以前あったはずのファイルが消え,コピーしたはずのないファイルが表われてしまいます。どうやらFATやディレクトリが最初に書き込もうとしたディスクのものと入れ替わってしまったようです.これはMS-DOSのバグなのでしょうか.

A:ご質問を読んで,こんな恐ろしいことがあっていいはずがないと思いつつも,実際に試してみたところ本当に再現されてしまいました(図1).使用したシステムはPC-98XL,日本電気製のMS-DOSVer.3.3B(PS98-018-HMW)です.PC-9801以外でも、J-3100などのIBM-PC系マシンでまったく同じことが起こりました.村中さんのご指摘の通り,ディレクトリとFATが丸ごと入れ替わってしまったようです。このような誤操作は,実際の作業時に行なってしまう可能性が十分にあるので、非常に危険です。原因を解明して対策を練る必要があります。

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 まず,このディスクの内容をもっと詳しく調べてみましょう.図2はプロテクトシールが貼ってあるディスク(甲とします),図3は最初の書き込みに失敗した後に挿入するプロテクトシールを貼っていないディスク(乙とします)のFATエリア(セクタ1)とルートディレクトリ(セクタ5)のダンプリストです。図のように,操作を加える前の2つのディスクではFAT,ディレクトリともまったく違っています。

ASCII1990(05)h03TBNディスク交換図2_W520.jpg
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 問題の操作を行なった後の,ディスク乙のFATとディレクトリを図4に示します。FAT,ディレクトリとも,書き込みを行なう前のディスク乙とはまったく変わってしまっています。新たにコピーされたファイルのディレクトリとFATは図4中の(a)ですが,それ以外の部分はディスク甲と同じになっていることに注意してください.

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 このディスク乙の各ファイルを読み出してみるとディスク乙にもともとあったファイルの断片が出てくるので,データの部分までは入れ替わっていないようです.ディスク乙をchkdskコマンドなどで調べても特に異常は見付かりません.ただし,ディスク甲にサブディレクトリがある場合にはサブディレクトリの内容はまったくでたらめになり,chkdskでエラーが見付かりました(図5)これは,MS-DOSではサブディレクトリの情報も通常のファイルと同じ領域に保存するので,ディスク乙にもともとあった普通のファイルデータをディレクトリのデータと誤認してしまうためです。

ASCII1990(05)h03TBNディスク交換図5_W422.jpg
 この危険な現象は,どのようなメカニズムで発生するのでしょうか.
 MS-DOSでは,ディスク中のデータファイルの配置状況をFATとディレクトリの2つの領域で管理しています(詳しい管理の様子は,本誌1990年1月号440ページの「なんでも相談室」やMS-DOSの解説書を参照してください)。新たにファイルを作成したり前からあるファイルを更新するときには,FATから空きデータ領域を探してデータを書き込むとともに,それに合わせてFATとディレクトリ領域も書き換えます。
 このとき,プログラムがデータを書き込むたびにディスク上のFATやディレクトリを書き換えていたのでは,ディスクアクセスなどの時間がかかり、処理速度が著しく低下してしまいます。このため多くのマシンのMS-DOSでは,ファイル書き込みをするときにFATとディレクトリデータをメモリ上のバッファに読み込み、このバッファ上のFATとディレクトリを更新しながら処理を進めます.そして,すべての処理を終えてファイルをクローズするときなどに,バッファ上のFATとディレクトリをディスクに書き戻します.このような処理のことを一般に“buffering(バッファリング)”と呼びます。
 さて,FATとディレクトリがバッファ上に読み込まれているときにエラーなどで処理を中断してディスクを交換し,処理を続行・終了させると,交換する前のディスクのFATとディレクトリが交換されたディスクに書き込まれてしまいます。どうやらMS-DOSは,書き込み禁止ディスクであることを検知する以前に,FATとディレクトリをバッファに読み込んでしまい,ディスクが交換されたことをチェックせずに別のディスクに書き戻してしまうようです。問題の現象は,このような仕組みで起こっているのです。
 実は、この場合に限らず,ディスクキャッシュ,仮想記憶,マルチタスクOSでのファイルアクセスなど,バッファリングに類する処理には必ずこれと同じような危険が伴います.したがって,バッファの更新と書き戻しは,バッファデータとディスクなどのデータの新旧や同一性を常にチェックして、不当な書き込みがなされないように注意しなければなりません.
 PC-9801をはじめ多くのパソコンはフロッピーディスクの入れ換えをハードウェアで検知することができるので,本来ならこのような危険を回避することは十分可能なはずです。ところがMS-DOSのディスクI/Oなどの致命的エラーを処理するルーチン(注1)が何らかの理由でディスク交換のチェックを怠っているために,不当な書き込みが行なわれてしまうようです。これをMS-DOSのバグであるとは一概には言えないかもしれません.ですが大切なデータを破壊してしまう危険性が非常に大きいので,ぜひとも改善してほしい点です.
 このようにMS-DOSのエラー処理自体に問題があるようなので,エラー処理ルーチンを自分で作り直す以外には根本的な解決策はないようです.エラー処理ルーチンはソフトウェア割り込み(INT 24H)で起動する常駐プログラムを作ればよいでしょう.腕に自信のある人は挑戦してみてください.
 結局自衛策としては,ファイルの書き込み(ファイル名の変更なども含めて)を行なっている最中には,絶対ディスクの入れ換えをしない,ディスクの間違いなどでエラーメッセージが出てもすぐにディスクを入れ換えて処理を続行したりせず,一度処理を中止して(エラーメッセージが出てキー入力を求められたら“A”を押す)コマンドラインなどに戻ってから改めてディスクを入れ換えてやり直す,などの点を常に注意するのがよいでしょう.
 なお,MS-DOSのコマンド以外にアプリケーション上でファイルの書き込みをする場合でも同じような問題が発生することが多いので,注意してください.
(竹田)

注1:“書込み禁止です”というメッセージを出して,処理の中止・続行無視などの選択をするルーチン,ソフトウェア割り込みINT 24Hで起動される。通常はcommand.comの内部に用意されている.
ちょっと戸惑ったがPC-9801は起動したディスクがA:ドライブになる仕様だった。この図ではC:がFDDでA:ドライブがHDDだと思われる。だからHDDの*.iniをカレントディレクトリのFDDのC:にコピーしようとしていた。C:はHDDと思っているから図を見てもピンとこなかった。


34年前コンピュータゲームのRPGを郵便でやっていたと言っても今の人たちには嘘だと言われ信用してもらえないだろう。
遊演体 ネットゲーム'90 蓬莱学園の冒険
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郵便によるロールプレイングゲーム
 マンガのほうをごらんいただけば分かる通り,ネットゲームとは郵便を使った新手のロールプレイングゲームです.テーブルトークのロールプレイングゲームであればゲームマスターなる進行役を相手にプレイヤーたちが「ああしたい、こうしたい」と叫ぶところを,すべて郵便を介して行なってしまうのです.
 舞台は絶海の孤島にある謎の高校蓬莱学園.ここは,ほとんど島全体が学園という感じの不思議な島であります.この史上最大最強にして世界一危険な学校(マニュアルより).プレイヤーたちは,果たしていかなる謎を追いかけることになるのでしょうか.
 入会申し込みをすませると,まず送られてきますのが生徒手帳この巨大なメールプレイの中で,我々プレイヤーは,ある架空の学園の生徒になってしまおうというのですから,こうした手帳も必要なのかもしれません。所属するクラブや委員会は,そのままプレイヤ一の能力として主催者に登録されるとのこと.ゆめゆめいい加減に選んではなりません。
 シナリオは始まったばかりなのですが,これまでにおおむね次のような事件が起こっております。

(1)応石なる石がプレイヤーにばらまかれたこと
(2)意味不明の不思議な手紙の断片が発見されたこと
(3)始業式で武装グループによる破壊活動が起こり生徒会長が脱出したこと
(4)白昼堂々校庭の真ん中で殺人事件が起きたこと
(5)島にある大林で怪獣が目撃されたこと
(6)海に海賊が出没したこと……
 こうした事件の起こる中,積極的なプレイヤーはだんだんに大きな謎に迫っていくことができるのだそうです.
 たとえば,蓬莱タイムズ3月号には「無名剣盗難」に関するニュースが載っています。巻末の行動リストを参照すると…….
01:静養して体力の回復をはかる
02:遭遇モードをいまとは反対にかえる
03:住所公開モードをいまとは反対にかえる
   :
06:生徒会選挙立候補の届出をする
07:学園の自然・地理を弁天図書館で調べる
   :
16:下旬のラジオ番組「論破アルーム」に参加する
17:中旬の新空港反対デモに参加する
18:謎の「無名剣」の行方を追う
   :
ここで今月の行動に18を選べば,無名剣の盗難に関するアクションの結果が送られてくるというわけですね.行動結果は一つではなく,同じ行動を選択しても結果は同じとは限りません。
 アクションにはあらかじめ主催者側が用意している定番行動のほかに,内容を自分で記入できるフリーアクションがあります。定番行動に比べると成功率は下がりますが,ゲームマスターによる自分だけのリアクションが期待できるとなれば,醍醐味はむしろこちらにあるでしょう。

参加者同士の情報交換システム
 こうして、あたかも巨大なゲームブックを解くかのようにゲームは進みます。
さまざまな情報が全国の数千人もの参加者達にばらまかれるということは、カンのいい読者諸君にはもうお気付きの通り.参加者間の情報交換が大事なのです.
 そのために用意されているのが、住所公開制度とプライベートイベントとりわけ住所公開モードを「公開」にしておくとスゴイ.月々のリプライシートには,ゲームの中で知り合った友人(他プレイヤー)の名前がプリントアウトされるのですが,なんとびっくりモードを「公開」にしてあるプレイヤーは,本当の住所,氏名も打ち出されてしまいます.つまり、そうやって手紙なり,電話なりを使って参加者同士連絡を取り合ってくれということです.あたかも巨大な文通組織に組み込まれたようなものですが、返事を書く義務はないので,そのあたりは安心とのこと.参加者はまた、プライベートイベントと称して,自分達で集まって情報交換をすることもできます(月々のプライベートイベントは蓬莱タイムズにも紹介される).また,情報交換にパソコン通信を使い始めたグループもいて,PC-VANなどにボードもできています.
 ゲームは4月から始まりました.現在も転入を受け付け中ですが,そろそろ締め切りも近いとか.蓬莱学園への転入希望者は,遊演体に電話をして問い合わせてみてください。
(近藤功司)


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なんとも気の長いゲームだこと。記事をスクラップしていても信じられない。

ZMODEMTでらくらく転送
Q:最近,アスキーネットなどでサポートするようになったというファイル転送プロトコルのZMODEMは,「効率が良い」とか「高機能だ」とか聞いています。どのような機能を持つものなのでしょうか?
A:ZMODEMは,米国Omen Technology社のChunk Foresbergという人物が考案した,最新のファイル転送プロトコルのひとつです.現在,パソコン通信で主流となっているファイル転送プロトコルのXMODEMやYMODEMと比較して,転送効率の良さや取り扱いやすさが高く評価されています.メジャーなパソコン通信ネットでは,米国のGEnie,国内ではアスキーネットがダウンロード用のプロトコルとして採用しています.
 さてそのZMODEMですが,基本的な仕様は1ブロック長が1024bytes,CRC-32によるエラー検出を行なうというものです。基本的な仕様は他のファイル転送プロトコルにも似たようなものがあります。ZMODEMがそれらに比べてどのような点で優れているのか,その主な特徴をX/YMODEMと比較しながら紹介しましょう.
 まずは,最も気になる転送効率(モデムの転送速度に対する,ヘッダやエラーチェックなどを除いた実際に転送されたデータ量の割合)です.編集部において2台のコンピュータをクロスケーブルで接続して実験してみたことろ,95%以上という高効率を記録しました.95%の効率というと,2400bpsの通信速度で1秒間に約230文字転送されることになります.これは,通常のXMODEM(ブロック長128bytes,Checksum)で約30%,XMODEM-1k(ブロック長1024bytes,CRC)で約70%程度の効率であることを考えると,非常に高い効率だといえます。同等の効率を実現できるプロトコルとしてはYMODEM-gがありますが,YMODEM-gでは転送中のエラー検出,パケット再転送による訂正ができません.その点ZMODEMは,エラー検出・訂正もしっかりとサポートしています。この高い転送効率は,ZMODEMは転送中にエラーが発生しない限りACK/NAK(パケットを受信した合図)を送信側に返送しないことなどから実現されています。
 扱いやすさの点に注目すると,次のような特徴があります。ひとつは、送信側がZMODEMによる転送を開始すると,自動的に受信状態になるオートダウンロード機能をサポートすることです.これは,ホストにファイルの転送を指示した後,通信ソフトにダウンロードを指示する手間を省くことができるというもので,一般のパソコン通信を考えるととても便利な機能です。もうひとつは,複数ファイルのバッチ転送が可能なこと,これは,YMODEMで実現されているバッチ転送と同様の機能です。送信側がファイル名やファイルの長さなど各種の情報も伝えるため,ダウンロード時のファイル名を指定する必要もありません.
 このほかにもZMODEMには,転送中に何らかのエラーで転送を中断してしまったファイルを,転送できなかった残りの部分だけを再転送して完全なものとするレジューム機能や、受信側がZMODEMをサポートしていない場合にYMODEMに自動的に切り替わる機能など実に多彩な機能が盛り込まれています。ZMODEMは,今後パソコン通信で主流となるファイル転送プロトコルの有力候補のひとつであることは間違いないでしょう.ZMODEMに関する詳しいドキュメントは,Omen Technology社がリリースしているものがアスキーネットPCSなどにアップロードされています。
(樋田)

XMODEMしか覚えていないし、使った記憶もない。多分私が使っていた通信ソフトが対応していなかったのだろう。

















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DynaBook(月刊ASCII 1990年5月号8) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号の長期ロードテストにDynaBookがあった。読み返すと同感だと思う記事だった。
第4回:やっぱりSSがいい! と言えるか? 競合機種登場その後.
 J-3100SSがパーソナルコンピュータ市場に巻き起こした喧噪も収まりつつある。SS登場は昨年の6月,内蔵モデムや充電機など周辺も充実しHDD内蔵の新機種も発売され,ようやく1つのターンが終了したというところか?日本電気やセイコーエプソンもノート型コンピュータの市場に参入し、次々に競合機種を投入している.それらと比べて…どちらが優れているかと言うわけでもないのだが,J-3100SS特有のスペックについて,もう少し突っ込んでレポートしてみる。
地下鉄で便利
バックライトとレジューム

 競合機種のPC-9801NやPC-286Fと,ノート型コンピュータの優位性で比較した場合、レジューム機能のあるなしは,何と言っても大きい。どのような場所でも使えるよう,容易に持ち運べるサイズと重量になっている。我々編集者のように,ちょっとした空き時間でも原稿を書かねばならぬとか,切迫した生活をしている都会人にとって「レジューム機能」は欠かせない.
 たとえば,通勤通学の列車内であれば,目的地が近付くまで時間いっぱいに使える.レジュームONになっていれば,駅に着いて,ドアが開くのと同時に電源を切り,フタを閉じてバッグに押し込むだけでいい.あとは,ホームのベンチでも,会社学校に着いてからでも,ゆっくりとデータセーブを行なえばよいわけだ。方,PC-9801N/286Fの場合,ことは容易ではなく,目的駅の1つ前からセーブ作業を開始しなければならない。3.5インチフロッピーディスクにデータを転送し、実行中のアプリケーションを終了させ,その後に電源を切る。SSは,時間差にして3~5分有利になる.実際,地下鉄の中で当原稿執筆に使用しているが,このレジュームの便利さに感心するばかりで.今さら他の競合機種を使う気になれない(ノート型コンピュータのレジューム機能について、詳しくは今号P.388のなんでも相談室を参照してほしい)。
 地下鉄内で「あってよかった」と思える装備がもう1つある。液晶表示画面のバックライトだ.EL(エレクトロ・ルミネッセンス)という電圧発光素子の薄いパネルを使ったバックライトは,明るさも適当で,目に気持ちがいい.これが従来のような反射型の液晶であったらどうであろうか.ラップトップ型では,Macintosh Portableが高性能のTFT型反射液晶を採用し,ノート型でもPC-286FがFTN型反射液晶を使っている.当たり前だが,これらは暗闇ではまったく役に立たない。完全な暗闇でなくとも、夕方の野外や薄暗くムードのある(?)喫茶店,地下鉄列車内でも、表示が見にくく使用に耐えない。SSのテストで,喫茶店でモーニングを食べながら原稿を書いているが,他機種の担当者と比べて優雅な気持ちを味わっている.

まさにこれだ。想像してみると良い。スマホにレジューム機能がないとどうだろう。電源をいちいち入れたり切ったりしなければならないとすると使い物になるだろうか。またバックライトがないパソコンを電車の中や喫茶店で使えるだろうか。今皆が当たり前のように喫茶店で仕事をしているが34年前それが既にできていたのだ。


バックライト交換は1万4000円
 しかし,バックライトにも寿命が短いという欠点がある。マニュアルにも約2000時間が交換の目安と記載されている.評価中のSSも目に見えて表示が暗くなってきたし、編集部で使用中のもう1台のSSは,さらに暗い。写真には,新品のSS,約600時間使用した評価対象マシン,編集部で酷使しているSSを3台並べてバックライトの明るさを比較してみた.右のSSが一番暗くなっているのが分かるだろう.このマシンの使用時間は1000時間以上であると思えるが,評価対象でないため正確ではない。これで新品のほぼ半分ほどの明るさである.秋葉原などのコンピュータショップの店頭用に陳列されているSSでは,バックライトの明るさ調節を,一番絞り込んだ状態と等しいぐらい暗い。ちなみに,東芝にバックライト交換について問い合わせたところ,バックライトは消耗品のため無料補償はきかず料金は1万4000円とのこと。これは一体化している前面の液晶表示部も一緒に交換するためだという.液晶表示部自体の寿命は約2~5万時間と言われているだけに,もったいない話だ。
このバックライトはその後東芝の修理ができる事務所に持ち込むと無料で交換してくれた。私も知人と一緒に交換してもらった。ありがたいことだった。
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ノイズ対策が今ひとつの内蔵モデム
 前々回,近況報告でも触れたように,SS用の内蔵モデムを入手した。すでに2カ月が経過して,さまざまな場所からのパソコン通信を楽しんでいるが,ひとつ気が付いたことがある.自宅など,モジュラジャックのあるところで通信する分には,キャリアや自動ダイヤルのモニタ音が少々やかましいぐらいで,さほど問題はないのだが,公衆電話(テレホンカードが使える緑電話)で音響カプラを通じて通信するときに,ハム音が発生するのである.
 SSの使用状況を考えると,取材・出張先などから公衆電話を介して情報交換を行なうのもしごく自然なことである.しかし,公衆電話のそばにSSを持っていくと猛烈なハム音が発生し,通信どころではなくなる.カプラと電話の受話器を遠避けても同様なので,問題はSS本体かモデム,もしくは公衆電話本体にあると思われる.バックライト駆動トランスからの高周波もれが公衆電話に影響しているのか?公衆電話側の発振を,SS本体かモデムが拾ってしまうのか?原因は明らかではないが,モデム内蔵のSSを公衆電話機から約1.5mほど離すとノイズが消えるいずれにしてもSSとモデムのシールドが完全でないことを示している.マニュアルには,電波障害防止のVCCI基準に適合しているが,テレビ・ラジオの近くで使うと電波障害が起こることがあると記載されている.しかし,電話機に関しては記載がない.
 SS本体を,公衆電話の上に載せると場所的にはちょうどいいのだが,ハム音発生のためこれもできない。電話ボックスを使うときなど,カプラと受話器を中に残したまま、通信者はSSを抱えて外に出なくてはならない(写真2,3).何とも格好の悪い姿だ。普及台数からいっても,今さら公衆電話の仕様変更も要求できないだろう,今後のSSではノイズ対策の改善を希望する.

私は内蔵モデムは買わなかった。本体の電源を長持ちさせるため外付けの乾電池で動くモデムを買った。音響カプラは持っておらず、モジュラージャック付きの公衆電話機を探して通信していた。だからハム音の障害は経験しなかった。
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パソコン通信を活用
IBMマシン互換機能

 レジューム機能と並んで,DynaBookシリーズを他のノート型コンピュータから特徴付けているのは,IBMマシンのアプリケーションが使えるということだ。内蔵モデムを装備したことでパソコン通信も容易になり,PDSなどネットに上げられたIBM仕様のアプリケーションを利用する機会も広がる.SSには,日本語MS-DOSが標準添付しているが,IBM用アプリケーション使用のためには,オプションの英語MS-DOSを購入しなければならない.
 しかし,パソコン通信ユーザーにはお馴染みの「JSHOT.COM」がある.これは,日経MIXのhaasan氏が作成したJ-3100シリーズ用の日本語/英語モード切り替えプログラムで,日本語MS-DOS上からIBMマシン用のアプリケーションを動かすものだ(詳細はP.401のトラブル・シューティングを参照)。ただし,英語MS-DOSと完全な互換性はないので、ごくまれに動作しないアプリケーションもある。定価3万円もする英語MS-DOSを購入するよりはるかに手軽でパフォーマンスも高いJSHOT.COMは完全なPDSのため,転載および運用はまったく自由で,各パソコン通信ネットにある.SSでは,JSHOTを用いて主に,SimCity,Populous,Welltrisなど海外ゲームソフトを動かしてみたが,何ら問題はなく,楽しく遊ぶことができた.
 パソコン通信からダウンロードしたPDSソフトはほかにもある.アスキーネットPCSのPOOLには,IBMマシン用も含め、多くのソフトウェアがあるが,J-3100SS用ということで特に記しておきたいのは,complex氏の手による「SW.EXE」だ.これは,SSの日本語MS-DOSに含まれるSETUPJ.COMと同等の機能を持つもので,SETUPJでは,メニュー方式の設定画面で各仕様を指定していたのを,コマンド入力でできるようにしたものだ。SWをBATファイルなどに組み込んでおけば,使いたいアプリケーションに合わせた設定が、自動的にできる(図1).また,プリンタポートの再設定などもワンタッチでできるので,SSのパワーユーザーには欠かせない。こちらもPDSのため自由に使える。このようにパソコン通信は、SSの使用環境改善に,なくてはならないものだ。今後のレポートにも登場させたいと思う.

IBMマシンのアプリケーションは使わなかったので無用の機能だった。
DOSとマニュアルの改訂点は
ちゃんとサポートしてほしい

 さて,IBMマシン用のアプリケーションに関してもう1つ書きたいことがある.昨年購入した評価用のSSと,今年2月に発売された白色モデルのSSとで、標準添付の日本語MS-DOSが異なっていることも報告したい。編集部で写真撮影用に東芝から借りた,白色モデルのSSにも当然ながら日本語MS-DOSが添付していたが,このMS-DOSの数ファイルが従来のものと異なっていた.
 バージョン自体はどちらもVer.3.10と変わっていないのだが,表1に示したように12個のファイルで,プログラムサイズ,タイムスタンプが変わっている.ほとんどはバグフィックスによるマイナーチェンジだと考えられるが,DOSの本体に施された変更は見のがせない.TBIOS.SYSがそれで,SYSコマンドでシステム転送をする場合のため,さすがにサイズは従来のものと同じだが,機能に差がある。新しい日本語MS-DOSVer.3.10では,英語MS-DOSの表示モードをサポートしている(ただし,後述の理由のためメーカーの動作保証はない)。前出のJSHOT.COMと同様のことができるわけだ。モード切り替えも簡単で,「MODEA」で英語,「MODEJ」で日本語の各表示モードになる(写真4)。しかし,この機能については,同梱されてきた新しいマニュアルにも表記がない。いわば隠しコマンドである.
 新MS-DOSと、この隠しコマンドを使ってJSHOTのときと同様,3種類のIBMマシン用ゲームソフトを動かしてみたが、正常に遊ぶことができた.なぜ隠してあるのか理解に苦しむ.英語MS-DOSが売れなくなっては困るということなのか?それに,これだけの大きな改善を行なっておきながら,バージョン番号に変更がないというのも納得できない.
 また,マニュアルも改訂されている.末尾の「こんなときは」のページが大幅に増え、2色刷りのページも付いて,ほとんど別の本との印象を受ける。初代マニュアルで,説明不足であった点も解消されているようだ。
 日本語MS-DOSにしても,マニュアルにしても、従来のユーザーへのサポートはどうなるのだろう.今のところ東芝からの連絡はなく,以前に送ってきた「ラップトッパーズ・クラブ・カード」は一体何のためだと疑問になる.初期ロットのMS-DOSにはSETUPJ.COMにハードRAMを破壊するという致命的なバグがあるとの情報もある。メーカーの積極的なユーザーサポートを強く望む.
(池田)

マニュアルは読んだのだろうが読んだという記憶がない。パソコンのマニュアルは読むに堪えないものだったはずだ。読むよりまず使う。雑誌とかに結構有用な記事があったはずだ。なければ人に聞く。聞く人が居なければしょうがないのでマニュアルで探す。


TBNの「なんでも相談室」に関連記事があった。
レジュームって何?
Q:J-3100SSやパーソナルワープロなどにある「レジューム」機能とは,何をするものなのでしょうか.
A:レジューム機能とは,パソコンやパーソナルワープロなどで作業を中断したときの状態を保存しておき,再び同じ状態から作業を再開できるようにする機能のことです.ポータブルタイプのパソコンやワープロでは,移動やバッテリの交換など電源を切る必要が生じることがよくあります。再び使用するときには,DOSやアプリケーションを再起動し,文書などのデータを読み込ませなければ作業を再開できません.レジューム機能があれば,この手間を省くことができるわけです。
 では,レジューム機能はどのような仕組みなのか,簡単に説明してみましょう.
 コンピュータの動作は,RAMやROMなどの内部メモリやディスク装置などの外部メモリに蓄えられたデータを,同じくメモリ中にあるプログラムの指示に従って加工し,再びメモリに蓄えるという処理が基本になっています。コンピュータは電源の供給がなくなると動作を停止するばかりか,ROMやディスク装置以外では,記憶されているデータや,CPUや各種コントローラのレジスタ内容なども失われてしまいます。レジューム機能を実現するためには,失われる情報を何らかの形で保存しなければなりません.
 レジュームを実現する最も単純な方法としては,“電源”スイッチを切ってもCPUのプログラムの実行を停止させるだけで,電源の供給はそのまま続けることでシステム全体の状態を保存し続ける方法があります.プログラムの実行を停止すると消費電力も若干少なくなるので,ポケットコンピュータ程度のシステムならこの方法でも十分実用になりそうです。けれどもディスク装置などを備えメインメモリの容量も大きいラップトップコンピユータ程度の大きさになると,動作中の消費電力との差はほとんどなくなります。ですから、現実的な方法とは言えません.
 より現実的には,メインメモリには記憶の保持に必要とする電力が極めて小さいSRAMを使用し,周辺装置のコントローラやCPUのレジスタ内容は電源を切った時点でバックアップ用のSRAMに保存する方法があります。メインメモリとバックアップ用のSRAMには記憶の保持に最低限必要な電力を供給し続け,それ以外の部分はすべて停止します。再び電源を入れたときには,バックアップ用SRAMに保存してあった情報を基にCPUと周辺機器コントローラのレジスタをセットし直して処理を再開します。
 この場合,電源スイッチは電源を直接切断するのではなく,上記のバックアップ操作を行なう割り込みプログラムを起動するために使われます.したがって,システムが暴走状態にあるときは正常なレジュームができなくなるばかりか,電源を切ることすらできなくなります。このようなシステムでは,強制的にCPUをリセットするためのスイッチが必要でしょう.
 J-3100シリーズのうちSL,SSなどはレジューム機能を持っていて,プログラムの動作中に電源を切っても,正常にレジュームします.ただし,ディスクの読み書きの途中などタイミングが重要な処理を行なっているときには,失敗することも多いようです。
 J-3100のレジュームの処理方法を東芝に問い合わせたのですが,社外秘ということで教えていただけませんでした.編集部で独自に解析した結果では,バックアップ用のRAM領域に各装置の状態を保存する方法を使っているようです.もっとも,メインRAMすべてをSRAMにすることは,コストの問題で実現されていないようです(SRAMはDRAMの2倍くらいの価格になる).J-3100のレジューム機能はかなり強力で,プログラムが暴走していてもレジュームが働き,電源を入れ直しても暴走状態が再現されてしまいました.プログラムの開発中などは,レジューム機能をオフにしておいたほうがよいでしょう.
 さて少し毛色は違いますが,アプリケーションプログラムにもレジューム機能を持っているものを見かけます。これはハード的なレジュームとは違い,プログラムで処理中のデータファイルの名前や表示している位置,カーソル位置などを“レジュームファイル”としてディスク上に保存しています.アプリケーションを起動するときには,レジュームフアイルの内容に従って自動的にデータファイルを読み込むなどの処理を行ないます.
 レジューム機能を備えたアプリケーションの代表的なものに,Excelがあります.Excelでは起動時に“resume.xls”というファイルを指定すると,そのファイルの内容に基づいてワークシートなどを開き,画面上に配置します.またプログラミング言語になりますが,Smalltalk/Vも終了時に画面情報やその時点で定義されているすべての変数や関数を“image”ファイルとして保存する一種のレジューム機能を持っています。
 パーソナルワープロの専用機でもレジューム機能を持っているものもありますが,ソフト的にレジューム機能を実現しているものも多いようです.専用機ならば使用条件やアプリケーションを限定できるので,レジューム処理で保存する情報を少なくする(けちる?)ことができます.  ただし保存する情報を少なくするためか,機種によっては,レジューム後のカーソル位置や表示位置が変わってくるものがあります。
(竹田)

このように当時はレジューム機能が珍しかったのでこうして雑誌の記事で解説することがあった。

「クロードチアリのmonsieur tout le monde」でDynaBookについて書かれていた。
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 お元気ですか,皆さん?<^_->現在,大阪から東京へ向かう飛行機の中です!
 先月,DynaBookや98NOTEのことを少し書きましたが,自分で試してみたくなって,さっそく2台とも手に入れてしまいました<^_^>

このころ機内で使えたのか。私の体験では手荷物検査で電源を入れるよう指示された。しかし機内で使ったことはない。ファーストクラスなら使えたのかもしれない。

旅先にはノート型マシンで決まり!
 今まで旅先には,J-3100GXとU.S.Roboticsの9600bpsモデムを持ち歩いていたのですが,ラップトップとはいえ荷物になって…….最近では2,3日の旅行ならコンピュータは持って行かないことにしていました<^_^>.しかし,それだと困ることもあります。PC-VANの僕のSIGの書き込みはすごいものですから,2日もアクセスしないと,旅行から帰った後が大変なことになるのです.
 また,J-3100GXはバッテリ駆動ではありませんから,飛行機や電車の中で使うというようなことはできません。
 僕のSIGのメンバー達がDynaBookの話をしだしたので,このマシンに興味を持つようになりました。と同時に,PC-9800ユーザーの1人として,98NOTEも試してみたいマシンでした.
 今回旅行に持って来たマシンはDynaBookです.DynaBookにした理由はいくつかあります.1つは,98NOTE用の内蔵モデムがまだ僕の手元に届いてないということ.DynaBook用の内蔵モデムは,HayesATコマンド準拠で,その上に2400bpsMNPクラス5付きという,言うことないものです<^_^>
 もう1つの理由が,ATOK7の辞書がROMに入っているということ.辞書がROMにあれば,少ないRAMディスクをめいっぱい使うことができます.エディタとしてMIFESを,通信ソフトとしてCOM-ANDをRAMディスク上に搭載しまして,今回は快適な旅になりそうです<^_^>
 飛行機の中からPC-VANへのアクセスはまだやったことがないのですが,そのうちやってみることにしましょう<^_^>.

DynaBookは売れるべくして売れたマシン
 今度,DynaBookのためにアイ・オー・データ機器のRAMカードを買おうと思っています。容量が2Mbytesのもので、なんと7万円だそうです(大きな声では言えないのですが,東芝の純正品の半額ということになりますね〈^_->).これでDynaBookは,2.8kgの豪華なコンピュータになると思います.
 J-SHOTというユーティリティソフトとDIFファイルを使えば,アメリカ製のソフトウェア上で漢字を使うこともできます。DynaBookについて,何か質問がありますか?もしあるようでしたら,僕のSIGまできてみてください.DynaBook派の皆さんが,喜んで答を見付けてくれると思いますよ<^_^>
 とにかくDynaBookは,売れるべくして売れたコンピュータですね.小さいし.軽いし、値段も安い!3拍子揃ったマシンだと言えるでしょう。今までJ-3100シリーズやIBM PCの世界に触れてい た方には,手放しでお勧めできるマシンです。

どちらのノート型マシンが「いいのでしょうか?
 それでは,「ノート型パソコンだったらDynaBookで決まりですね?」と尋ねられたら,すぐに「はい」と答えられるでしょうか?やはり、「ちょっと待ってください。そうとばかりも言えません」と答えることになるでしょう.
 なぜでしょうか?DynaBookは, IBMのマシンに慣れている人にとっては申し分のないマシンでしょうが,日頃PC-9800を使っている人にとってはどうでしょうか.98NOTEのほうがいいかもしれません。
 はい!お待たせしました。次は98NOTEについての感想です。まず気に入らない点からいきたいと思います<^_^>.
 98NOTE用の内蔵モデムのことですが、残念ながらHayesATコマンド準拠ではなく,CCITT V.25bis準拠なんだそうです。今どきV.25bisだなんて,困ったものです。僕のように通信をよくやる人間にとっては,これはちょっとつらいですね。
 そしてROMには,ATOK.DICの代わリにN88-BASICが搭載されています。これでこそ,デスクトップマシンと100%コンパチだと言えるのでしょう<^^>
 98NOTEでは,毎日デスクトップマシン上で使っているソフトや,SIMとDIFファイルを使ったIBM PC用のソフトが完全にOKです!手元にあるソフトをチェックしてみましたが,すべて動作しました。
 PC-9800とまったくコンパチなラップトップマシンなわけですから,当たり前といえば当たり前なのですけれど、やはりこれはすばらしい!こんな小さいマシンが、デスクトップマシンと同じ能力があるなんて,まるで夢のようです.現在PC-9800を使っている方なら,絶対に飛び付くマシンではないかと思いますよ.スクリーンは非常に見やすいです.
 DynaBookもそうですが,バックライトの威力は相当なものです。98NOTEも売れるでしょうね。

ここは全然違う。PC-9801VX2を持っていたが、98NOTEには全然惹かれなかった。何が面白くて98を外でも使わなければならないのか。レジューム機能もないノートパソコンは使えない。面白くないのはN88-BASICのROMだ。いつまでDisk Basicを持ち続けるんだと思った。そんなにあんたらはBasicが好きなのか。好きなんだろうな。他の言語とかに移植する楽しみをしらないのだろうな。プログラミングが好きじゃないんだろうな。Basicばかりで飽きなかったのだろうな。

MS-DOSの世界に舞い戻って
 結局正直に言うと,DynaBookがよいのか,98NOTEがよいのか,僕には選択ができません。僕は,J-3100シリーズも好きですし,PC-9800シリーズの環境も大好きだからです.
 ただし,基本的にこれだけは言えると思います。モデムがV.25bisでも我慢できるのなら,そしてPC-9800シリーズのユーザーであるのなら,98NOTEをお勧めします。J-3100シリーズのユーザーや,アメリカのIBM用のソフトが好きだという方ならば,DynaBookのほうがいいと思う,ということです。
 ところで,PC-VANの僕のSIGには,DynaBookについての会議室がありますが,今月からは,98NOTEについての会議室も作りたいと思っています。お楽しみに<^_->.
 最近,MacintoshIIにかなり魅せられてしまっていて,もうクロード・チアリはMS-DOSの世界には戻ってこないのではないかと心配してくださった方、ご安心ください。ノート型パソコンの力でMS-DOSの世界に引き戻されてきました<^_^>.
 おや、もう飛行機が着陸するようです.原稿を書いていると時間のたつのが速いですね<^_->それでは,この続きは後程.

これからは原稿がじゃんじゃん書けます!?
 東京での用事をすませて,これから大阪へ帰るところです。ゆうべは、遅くまで打ち合わせがありましたが,打ち合わせに出かける前にホテルの部屋からPC-VANにほんのちょっとアクセスすることができました。こんな芸当ができるのもノート型マシンのおかげです.
 やはりDynaBookは快適ですね。今のところ800KbytesのRAMディスクとROM(ATOK.DIC)しかありませんが,これだけでも実用上は十分ですね。いや、本当に便利な世の中になりました。98NOTEの話に少しだけ戻りますが、おそらく近いうちにHavesATコマンド準拠の内蔵モデムが出るだろうと思いますよ。出ないはずがない<^_->98NOTE用の内蔵モデムを買おうと思っている方,もうちょっと様子を見ていてくださいく^_^>
 さて、そろそろ飛行機が離陸するとのことなので,しばらく休憩することにします。

 この2日間,DynaBookを持ち歩いての感想ですが,これからはノート型マシンは手放せない!と思いました.これさえあれば,いつでもどこでも原稿を書くことができます。これからはじゃんじゃん書きたいと思います.締め切りに間に合わないということはなくなるはずですから,アスキー編集部の方もこれで安心ということですね<^_^>
 では,Au revoir et au moisprochain!

いやいや98NOTEは98が好きな信者ならそれがいいということだ。結局98は魅力的なゲームソフトが沢山あるから人気だったのだと思う。ユーザが多いのは正義だった。私は98は周りの皆が使っているから仲間に入りたくて買った機械でいいとは思わなかった。意地になって機種依存のプログラムを書いていた。人には98は遅いからマシン語ルーチンを入れなければならないんだよね。特にEGCをバンバン使わなければいけないし、I/Oポートを叩くタイミングもシビアだしといって速度命のプログラム(640×400ドットで動くアニメーション)を書いていた。





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WORKSTATION(月刊ASCII 1990年5月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

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ワークステーションは死語でいまさらスクラップしてもどうなのかという思いがあるが、過去を知る、歴史を知るということの意義はあると思いスクラップする。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉がある。果たしてこの歴史としてのワークステーションから何を学べるかというと、賢者ならざる私には何も無いかもしれないが、何かを学べるというのならそれは賢者であるかもしれないという根拠の一つになり得るかもしれない。
最初と最後の部分をスクラップする。
 コンピュータの世界では,いつも新しいジャンルについての話題がある.その中でも,ここ数年最も注目を集めているのがワークステーションだ。
 '89年のワークステーションの全世界における売り上げは61億ドル,これに対して、パソコンの売り上げは420億ドルと言われている.市場規模では,パソコンの7分の1だが,売り上げの伸び率では,パソコンの約20%に対して実に2倍の約40%という急成長を遂げている.今後5年間に関しても,コンピュータ業界全体が17%前後であるのに対し,ワークステーションは30%程度の成長が見込まれている.また,日本においては,これから本格的に市場が立ち上がろうとしていると言える。参考のために世界のワークステーション市場のメーカー別シェアと国内のメーカー別出荷台数をグラフにした(グラフ1,2).
 そんなワークステーションだが,本体サイズなど,一見したところパソコンとあまり変わらない.また,システム全体の価格が100万円ちょっとの低価格なワークステーションも登場し始めている。今回は,これら身近になりつつあるワークステーションの現状を見ていくことにする
(編集部)


まとめ部分をスクラップする。
 低価格化,高性能化によって,やがては,ワークステーションがパソコンに取って代わり,個人の机の上に置かれることになるのだろうか.パーソナルワークステーションの世界はもうそこまできている.
(小林)

パーソナルワークステーションはいつ普通になったのだろうか。モニタの解像度は2000年はデスクトップでは1280×768ドット位か、でもまだだったと思う。2010年は液晶ディスプレイに変わって1920×1080ドットが普通にあったとおもう。ノートパソコンは画像解像度という点で劣っていたのでワークステーションとは言い難いと思う。
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UNIXもすったもんだしていた。人の作りしものは皆こうなるという例だ。
どうなるUNIX
 図Aのように,UNIXには大きく分けてAT&T版のシステムVとバークレイ版の4.xBSDがある.しかし,それを基に各メーカーが独自の機能を付け加えてリリースしているため,同じUNIXとはいえ.コマンドが違っていたり,システムコールが有ったり無かったりする.また,ヘッダファイルの位置や必要なライブラリの名前が違っていたりすることもある.アプリケーションを移植する際には,これらの違いをいちいち直さなければならず効率が悪い.
 そこで,各社のUNIXを統一する動きが'87年に生まれたが,Sun,AT&Tを中心とするUNIXインターナショナル(UI)とIBM,HPなどを中心とするオープン・ソフトウェア・ファンデーション(OSF)という2つの陣営に分かれてしまった.
 同様に,グラフィックユーザーインターフェイス(GUI)に関しても,OSFはmotifをUIはOPEN LOOKを採用するといった,ユーザーにとっては好ましいとは言えない状況となっている。ただ,Sunの互換機メーカーとして有名なSolbourne Computerが、一つのアプリケーションを2つのGUIで動作させることができるインターフェイスを開発したため,アプリケーションの開発という意味では問題はなくなったと言える.しかし,ユーザー側の操作性の違いといった問題は何も解決されていないのが現状だ。

どうなったかというとUNIXはホビーユースになった。こうしてブログ記事を作っているマシンはDualMonitorのWindowsマシンにVirtualBoxを入れて右側のモニタでUbuntuを動かしている。趣味でUNIXを使えるようになって嬉しい。
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ワークステーションを使っている図なのだが今では普通にパソコンを使っている風景に見える。

RISCだCISCだという語られ方はいつ無くなったのだろうか。
RISCチップ
 ワークステーションは,CISCチップである68000系のCPUを使っているものが多く,その中でも68030が主流となっていある.最近ではそれに加えて,RISCチップを採用したマシンも増えてきている.RISC,Reduced Instruction Set Computer(縮小命令セットコンピュータ)の頭文字を取ったものである.一般に,シンプルな命令だけからなる命令セットで、すべての命令をクロックという高速な処理を行なうように設計されているものをRISCと呼んでいる.
 そのため,RISCチップはCPUの構造が簡単で,最新の素子技術を利用して,アーキテクチャを変更することなく、速度を向上させることができる.また,チップの構造が簡単なため価格が比較的安くできることも利点だ.
 RISCチップとしては,SunのSPARC,MIPSのR3100,R2000,Motoloraの88000,AMDの29000などが有名だ。
 それぞれの陣営は,SPARCインターナショナル,シンセサイズソフトウェアソリューション,88オープンコンソーシアムといった,RISCチップやソフトウェアをサポートする団体を作り,RISCチップの普及を図っている.ワークステーションの世界で,どのチップが生き残るのか興味のあるところだ.

どうなったのか記憶にない。スクラップを続けると何かを思い出せるだろうか。
Sun Microsystemsというメーカーはワークステーションを作っているということであこがれがあった。
Sunの戦略
 僅差とはいえ,'89年の世界のワークステーション市場でトップを守ったSunは,UIの創設会社としてもワークステーションの今後を握っていると言える.そして,その戦略は気になるところだ。
 Sunは,SPARCインターナショナルの設置により,SPARCとSunOSの普及を図っている.現在,東芝,大同などがSunOS,SunViewなどのライセンスを受けている.そのほか,Solbourne Computer,AT&T,UNISYSなどもSPARCの採用を行なったり,採用を表明しており、ワークステーションメーカーの中では大きな勢力となっているSunは,SPARCシステムが増えることで,アプリケーションが増え,SPARCシステムがもっと増え,市場が広がることを望んでいる.Sun自体のシェアが低くなっても、市場が広がって売り上げ自体は大きく伸びるという予想を立てているからだ.
 このように,SunはSPARCグループを作リ,ハードウェアの実質的な標準化を目指している.OSについても,UIのUNIXの実質的な主導権を握っている.CPUとUI/UNIXという基本的なアーキテクチャを握ることで,ワークステーション全体に対する主導権を握ろうとしている.IBMがオープンアーキテクチャのPCによリパソコンの標準を確立したように,SunもまたSPARCとUI/UNIXによりワークステーションの標準を目指している.

SUNは残念ながら消えてしまった。
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SPARCstation1
CPU:SPARC IU(20MHZ)
FPU:SPARC FPU(20MHZ)
メインメモリ:8Mbytes(最大16Mbytes)
MIPS値:12.5MIPS
FDD:オプション
HDD:104Mbytes~
I/Oポート:RS-432×2,Ethernet,SCSI,デジタルオーディオ入出力
OS:SunOS 4.0.3
システム価格:186万5000円

IBMは大型かパソコンかでとワークステーションはなんか違うような気がする。
本格参入を開始したIBM
 IBMには,RTPCと呼ばれるCPUにRISCチップを使ったワークステーションがあったものの、市場での評価は決して高くなかった.そこで,'90年2月15日に世界同時発表したPOWERステーションによリ本格的にワークステーション分野へ参入を始めた.
 機種は,エントリーモデルのモデル320からサーバーのモデル720まである.CPUには独自のRISCチップを採用している.IBMでは,第2世代のRISCと呼んでいるRISCチップで,クロックで複数の命令をこなすというものだ。ベンチマークは高速で,モデル320でも27.5MIPSを実現している.通常,このクラスのワークステーションが4~10MIPS程度であるのと比べて,2~7倍以上の速度が出ている.ただ,実際のアプリケーションが,どのくらいの速度で動作するのか気になるところだ.
 OSは,IBM独自のUNIXであるAIXを採用している.AIXは,OSF/UNIXに準拠したもので,ユーザーインターフェイスとしてmotifとXWindowを基にした日本語AIXwindows/6000か,NeXTで採用された NextStepを基にしたAIXNextStep/6000のどちらかを選択することができる.
 発売開始は,第3四半期である.その後発売されるアプリケーションがどちらのユーザーインターフェイスを採用するか気になるところだ.


ASCII1990(05)f05IBM_W231.jpg


ASCII1990(05)f06モデル340_W286.jpg
モデル340
CPU:68030(16.6MHZ)
FPU:68030(16.6MHZ)
メインメモリ:4Mbytes(最大16Mbytes)
MIPS値:4MIPS
FDD:2Mbytes×2
HDD:200Mbytes~
I/Oポート:RS-232,SCSI,HP-IB,HP-HIL
OS:HP-UX
システム価格:156万2000円


ASCII1990(05)f07DN2500_W280.jpg
DN2500
CPU:68030(20MHZ)
FPU:68030(20MHZ)
メインメモリ:4Mbytes(最大16Mbytes)
MIPS値:4MIPS
FDD:1.2Mbytes×1
HDD:200Mbytes~
I/Oポート:RS-232,SCSI
OS:DOMAIN/OS
システム価格:138万7000円


ASCII1990(05)f08DECstation2100_W291.jpg
DECstation2100
CPU:R2000(12.5MHZ)
FPU:R2010(12.5MHZ)
メインメモリ:8Mbytes(最大24Mbytes)
MIPS値:10.4MIPS
FDD:-
HDD:-
I/Oポート:SCSI,Ethernet
OS:ULTRIX-32
システム価格:98万8000円


ASCII1990(05)f08LUNADT20_W285.jpg
LUNA DT20
CPU:68030(20MHZ)
FPU:68881(20MHZ)
メインメモリ:4Mbytes(最大12Mbytes)
MIPS値:4MIPS
FDD:1.44Mbytes×1
HDD:70Mbytes~
I/O:RS-232×2,SCSI,FDD,セントロニクス
OS:UniOS-U/B/Σ
システム価格:130万円

ASCII1990(05)f08popNEWSPWS-1550_W268.jpg
popNEWSPWS-1550
CPU:68030(25MHZ)
FPU:68881(25MHZ)
メインメモリ::4Mbytes(最大16Mbytes)
MIPS値:3.9MIPS
FDD:1.44Mbytes×1
HDD:91Mbytes~
I/Oポート:RS-232CX2,SCSI,Ethernet,パラレル,拡張FDD
OS:POP-OS
システム価格:140万円

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RAMとEMSその2(月刊ASCII 1990年5月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集の「RAMとEMSはまかせろ!!」をスクラップする。
コラム記事
もっと知りたいあなたのための
RAMボードの歴史と展開
T.Tanaka

● I・Oバンク
 初代PC-9801が発売された当初は,本体にメモリが128Kbytesしか搭載されていなかった.システムが使用できるメモリサイズは640Kbytesであるから,この残りの512Kbytesを埋めるための増設ボードが用意された.日本電気純正のものもあったが,サードパーティからも数多く出された.それでも、当時はメモリが高かったので640Kbytesの領域が全部埋められることはめったになかったようだ.
 しかし,メモリの集積度の向上と価格の低下は大変なもので,すぐに1枚のボードに数Mbytesものメモリを積める(かつ,現実的な価格で販売できる)ようになった。もちろん、640Kbytesを超える部分は直接アクセスすることはできない.そこで,いろいろな方法が考えられたのである.
 最初に出てきたのが「バンク切り替え方式」,その中でも特に有名なのが「I・Oバンク方式」である。この方式は,メモリボード上のメモリ空間をいくつかのバンクに分け,そのうちの一つをメモリ空間上に投射しよう,というものである.I・Oバンク方式以外にもいくつかの独自なバンク切り替え方式が存在していたが,最終的にはI・Oバンク方式に統一され,この方式は増設メモリにおける絶大なシェアを誇った。多くの会社が同一のハードウェア構成をとったので,異社のボードで何ら問題なく混用することができる.
 I・Oバンク方式では,ボード上のメモリ全体を128Kbytesの単位に分ける。そして、このうちの1ページを本体メモリ空間の80000H~9FFFFHに投射する.この切り替えのために,PC-9801の「隠しあきI/O空間」であったECHをポートとして使用する.1byteのサイズのポートでページを管理するので,全体で256ページ,32Mbytesまでのメモリを管理することができる.
 このような方式のため,システム空間で80000H~9FFFFHに当たる領域は,本体内にメモリが搭載されていてはいけない。本体実装メモリが384Kbytes以下であったVM以前では,問題はなかったのだが,VX以降は640Kbytesフル実装になった.しかし,日本電気もI・Oバンクメモリのシェアは無視できなかったのだろう.本体上位128Kbytesのメモリをディップスイッチ(3-6)で切り放し,増設メモリボードが使えるようになっている。
 I・Oバンクは,通常RAMディスクと,キャッシュメモリなどとして使用される.つまり,あくまで切り替え可能な「一時記憶領域」として使用するのである.マッピングのハードウェアが簡単なため,RAMディスクのアクセスなどは比較的高速である.ただ,単一の管理プログラムが存在しなかったため,アプリケーション側がハードウェアの現状を把握することができず,複数のプログラムがI・Oバンクメモリを共有する,といった使い方はほとんどなされなかった。昨年春,アイ・オー・データ機器はBMSという共通規格を提唱したが,対応するアプリケーションは,同社の製品を除けばまだごく少数のようだ。
 I・Oバンクの特徴的な使用法として,切替領域のサイズが大きいことから,ここに日本語入力FPなどの大きなドライバを組み込み、必要に応じて本体メモリのバンクを切り替え,主メモリを有効活用しようというものがある。この場合には,ハードウェアの統一的な管理が必要になるので,BMSなどの管理プログラムが使用される.このようにFPを「バンクに入れる」ことはメモリサイズの点からは有利なのだが,バンク切り替えが頻繁に起きるため一般に画面表示スピードが低下し,また本体メモリを割り込み許可状態で切り替えたままにしているということから,システムに本質的な不安定さが生じるという問題もあるようだ.


ASCII1990(05)c05I・Oバンクメモリ_W512.jpg
記事にあるとおりRAMディスクと,キャッシュメモリに使っていた。FEP(ATOK)を入れるような用途には使わなかった。
● プロテクトメモリ
 次に,VX以降CPUが80286になってから,「プロテクトメモリボード」というのも一般的に市販されるようになった(実はこれ以前に,XA対応のプロテクトNECバンクボードというのがあるのだが,ここでは割愛する).
 8086/V30がアクセス可能なメモリ空間は1Mbytesしかないのに対して,80286は16Mbytesのメモリ空間をアクセス可能なアドレス線を持っている.したがって,下位1Mbytesを超える領域に16Mbytesまでどんどんメモリを増設することができるのである。特に,OS/2などの80286専用OSでは,プロテクトメモリをフルに使用するので、ますます必要性が高まってくるわけである。OS/2などを使用する場合はプロテクトメモリをそのまま使用できるのだが,問題はごく普通に使用されるMS-DOSの場合である.MS-DOSは80286のリアルモードで動作し,この場合は8086と同様に下位1Mbytesのメモリ空間しかアクセスできない.そのため,MS-DOSでプロテクトメモリを使用する場合には,特別な細工(1度プロテクトモードに移ってからデータを転送し、その後にCPUリセットをかけてリアルモードに戻る)が必要である.
 プロテクトメモリも,それが本質的に使用される状況(OS/2など)でなければ,単にRAMディスク領域またはキャッシュディスクなどの領域として使用されるだけである.この目的で使用することを前提とすると,前述のようにアクセスオーバーヘッドが大変に大きいので,I・Oバンク方式に比べて速度的に不利になる.また,高速のボーレートで通信しているときには,文字落ちなどの問題が生じると思われる.
 加えて,リセットをかけたときに,プロテクトメモリはメモリチェック時に消去されてしまうため,RAMディスクとして使用した場合には,内容が毎回なくなってしまう.以上の点を考え合わせると,単にRAMディスクなどとして使用するならI・Oバンクメモリのほうが「使いやすい」ということになる.プロテクトメモリを選択する場合は,これを将来にでも「プロテクトメモリとして」使用する可能性がある場合に限ったほうがよいだろう.
 なお,80386を搭載したマシンや高速の80286を使ったマシンでは,拡張スロットにメモリボードを差し込んでいたのではバスサイクルに付いていけなくなってしまう.このため,内部にメモリボモード増設専用のバスが設けられるようになった.プロテクトメモリとしてのみ使用するのなら、このバスを使用したほうがスロットを消費せず,かつ高速になるので圧倒的に有利である.


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プロテクトメモリはPC-9801VXのときは買わなかった。職場のPC-9801RAには入れたかもしれないが忘れた。

● EMSメモリ
 最近になってEMSボードというのがリリースされた。EMSはもともとIBM PC上でLotus/Intel/Microsoftが共同で仕様を定めたもので,LIM-EMSとも言われる.現在では,EMS4.xというものが主流である。
 EMSは,通常64Kbytesのウィンドウ空間を用意し,それを16Kbytesずつ4つに分割する.増設メモリ自身も16Kbytes単位で分割され,任意のウィンドウに任意のメモリ空間を投射できるようになっている.
 つまり,I・Oバンクのようなバンク切替方式と基本的には同等で,一つのページを小さくし,ウィンドウの数を増やしたものといえる.しかし,I・Oバンクと基本的に違うのは,EMSはハードウェアアクセスの部分をEMSドライバが完全に管理している(逆に言うと,アプリケーションがI・Oなどを操作して直接RAMを切り替えることができない)ということである。つまり,ソフトウェアは実際にどのような形でEMSが実現されているのかを気にすることなく,EMSの規格にのっとってアクセスをすれば,まったく問題なくEMSが使用できるのである.その意味で,ソフトウェアには,ボードのメーカーに依存しないという一般性があるほか,MS-DOSマシン間での一般性もある。たとえばIBM PC用のソフトウェアをPC-9801用に移植する場合,EMS関連部分は基本的にノータッチでいいことになるからだ。
 ただしこのため,EMSドライバはEMSのハードウェアと混然一体となってくるため,基本的にはボードメーカーの供給するドライバを使用する必要があり,他のボードメーカーのEMSボードの利用は基本的に不可能である.EMSのドライバは,メーカーの「腕」によって大きく品質が変わってくる.このため,良いソフトウェアが提供されているメーカーの製品を選ぶ,ということは大切なことである.
 EMSは,他の2形式と違ってプログラムが積極的にアクセスをする形式である.アクセスの自由度もバンクメモリに比べて高く,EMS上で動作する日本語入力FPなども出てきている.その意味で,ソフトウェアとの相性は良いといえるだろう.ただし,EMSを使用しないプログラムにとっては,まったく「無用の長物」なので,RAMディスクなどとして使う以外に意味はなくなってしまう.
 EMSも,何Mbytesも存在していると,そのすべてをソフトウェアが使用するということはまずなくなってくる。この場合は,残りの部分をRAMディスクやキャッシュディスクとして使用するという,変わりばえのしないパターンとなる.この場合,RAMディスクの速度などはソフトウェアによって大きく変わってくるので、選択の余地は存在する.


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EMSを一番長期間使った。なんといったってアプリケーションが使えるメモリが多くなったので表計算ソフトで仕事をするとき重宝した。
● 多機能ボード
 以上、3種のボードはそれぞれ単目的であったのだが,最近はディップスイッチなどでモードを切り替え,バンク/EMS/プロテクトメモリに任意の量のメモリの割り当てをすることができるようなものが出てきている。このようなボードを使用すれば,最初の選択に迷うことはない(後で,割り当てをどうするか,という悩みは出てくるが……).
● 80386マシンの特例
 CPUに80386を使用するマシンでは,特殊なドライバソフトによって,プロテクトメモリを疑似的にEMSやIOバンク方式のメモリとして利用することができるようになっている.バンク切り替え作業は,80386CPUのページング機能を用いて行なうため、エミュレーションとはいってもデデータの転送を行なう必要はなく,ほぼEMSボード程度のオーバーヘッドですむ。内部バスの増設メモリを使用すれば,データの読み書き速度は,拡張ボード上のそれと比べても非常に有利になってくる.
 このため,386CPUを使用するマシンであれば、内部増設のメモリボードとこれらソフトウェアドライバを併用するのが最高のパフォーマンスとなる.

このように8086互換を引きずるとろくなことにはならないというのがパソコンの歴史だった。何が悲しくてこんなに苦労しなければならなかったのか。インテルは自社の利益を確保するためユーザに不利益を与えてきた。

ロータス(株)開発部長 柳谷 良介氏のインタビュー記事をスクラップする。
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――EMSといえばまずLotus1-2-3という連想をしてしまうのですが,実際どのような効果があるのか、メーカーさんの見解としてお聞きしたいのですが.
柳谷――EMSメモリが何Mbytesあるとワークシートがどれだけ広がります,といった類のデータは公表しておりません。といいますか,中に入るデータによって変わってきますので,一概には申し上げられないのです.
――Rel.2.2Jでは,EMSに全部データを持たせるというオプションがあると聞いていますが.
柳谷――Rel.2.1Jまででは,EMSがあると,無条件にEMSにデータを置くようにしていました。正確には,短い整数とフォーマット情報だけはメインメモリに置くようになっていたのです。今回それについて,「内部メモリだけ/内部メモリ+EMS/EMSだけ」という形でデータの置き方を指定することができるようにしました(写真A).真ん中の折衷案が,従来までの方式ということになります.速度的には内部メモリだけを使うものが最も速く,EMSを使うほど遅くなります.
――EMSを使っても、ワークシートが無限に広がるわけではない、という話も聞きますが.
柳谷――折衷案では,短い整数以外の,データをEMSに置くものについては,そのポインタをメインメモリに置いているわけなんです(図A)ですから,それがいっぱいになると,いくらEMSメモリが余っていてもワークシートはそれ以上広げられないということになりますね。全部EMSという設定にすれば,理論的には制限はないのですが,動作速度やディスク容量などとの兼ね合いもありまして、一応5Mbytes程度までということになっています.
――話は変わりますが,米国のMS-DOS版のLotus1-2-3Rel.3では,DOS Extenderを採用して,プロテクトメモリをデータエリアに使えると?
柳谷――その件についてはノーコメントということにしてください。ただはっきりしていますのは、日本で出すLotus1-2-3Rel.3 0S/2対応版だけで,現状ではMS-DOS版を出す予定はありません。
――PC-9801用には,DOS-16M(Rational Systems社のDOS Extender.PC-9801版はライフボートが扱う)も発表されましたが?
柳谷――今回のRel.2.2Jでは、私達は5機種(PC-9801,PS/55,FMR,B16,J-3100)同時バージョンアップを実現しました.ビジネスマーケットでは,IBM端末としてのPS/55や富士通の端末のFMRが基本なのです.
 アメリカにはIBM PCしかありませんから,たとえばDOS Extenderを使うという選択肢もあり得るわけですが,日本ではそうじゃない.DOS Extenderが(上の5機種の)共通のプラットフォームとして利用できるのかとなると,現状ではまだ懐疑的にならざるを得ません。そもそもPC-9801自体,ハードディスクはAドライブになるし(IBM PCはじめ他のほとんどのマシンはCドライブ),ENDキーやALTキーはない,など,いろいろと困っているわけです。ですからPC-9801用にDOS Extenderが出た,じゃあそれを使おうなんていう理屈はないわけですよ。
――ありがとうございました.


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DOS ExtenderはTEXのとき使っただけだった。一般ユーザには広まらなかった。DOS時代の表計算ソフトはロータス 1-2-3一択だったがWindows95になってExcelに駆逐された。なんといってもWindowsにExcelとWordがバンドルされたメーカー製パソコンが売れまくったから仕方がない。



マイクロソフト(株)
第一研究開発部 アプリケーション企画課主任 新川泰介氏と
マーケティング部企画課 佐藤俊之氏
へのインタビュー記事をスクラップする。
MS-Windows Ver.2.11とEMS
 MS-Windowsも,早くからEMS対応が謳われていた製品だ。Windowsのような,OS的存在がEMSに対応することが,どのような環境の変化をもたらすのかを,マイクロソフトに尋ねてみた.
――MS-WindowsでEMSメモリがたくさんある,というのは、具体的にどういうメリットを提供するものなのですか.
佐藤――Windowsでは,システムそのものがEMSを想定した形のメモリ管理機構を備えています。たとえば複数のアプリケーションを走らせるときにWindowsのメインメモリが足りない場合,プログラムコードをハードディスクに置き、必要になったときに取り出して走らせます.ところがEMSメモリがあれば,EMS上にすべてのプログラムコードを展開して必要なときにはEMSのバンクスイッチングだけで走らせることができます.それだけハードディスクのアクセスが減りますから,動作は快適になりますし,たくさんのアプリケーション用のウィンドウを開いて切り替えて使うような場合でもスムーズに動くようになるわけです(図B).
――Windowsでは,「XMS」をサポートしているというお話しについて、もう少し詳しく(XMSについてはP260を参照)。
佐藤――Windowsでは,XMS規格で定められた「HMA」の領域に,Windowsカーネルの一部を転送しています.カーネル部分は常にメモリ上にありますから,このエリアを64Kbytes減らせるというのは,その上で動くアプリケーションにとっては非常に大きなメリットとなりますXMSとEMSがともに利用できる環境が,Windowsにとっては理想と言えます。
――Windows上でアプリケーションを動かすときのコツのようなものはありませんか.
佐藤――メインメモリに自由な空間があればあるほど,各アプリケーションソフトはワークエリアや本体を外に出さずにすむわけです。ですから,できるだけ多くのメインメモリを確保できるに越したことはありません。たとえば,いらないデバイスドライバは登録しないとか、解除できる常駐ソフトはいったん外す,あるいはFPはEMS対応のものを使う,といったことです.
――Excelを使う上でのチェックポイントもお聞かせください。
新川――Excelも基本的にはWindows上のアプリケーションですから、今まで言ってきたようなことはだいたい当てはまります.ただ,Excelの場合,入り切れない機能については「オーバレイモジュール」として必要な際に読み込むようにしています。これはスワッピングではなくて,重ねられたほうは本当に破棄されてしまうというものですから,その点についてはEMSを載せても効果はないですね.ただ,そんなに大きなモジュールではありませんから,アクセスランプが一瞬光るだけ,というくらいですがそれでも嫌だという方は,RAMディスクを使う手もあるかと思います.
――Excelでもやはり,ワークシートの拡大効果はあるのでしょうか.
新川――─当然あります。中のデータの種類にもよりますが,だいたい3Mbytesくらいまでは、EMSメモリを利用して拡大できます。こういう限界が生じるのは、Excelの一番基本となるワークエリアがメインメモリ上にありまして,そこがいっぱいになると,いくらEMSがあっても参照できなくなってしまうからなのです.ただ,ビジネスの実用を考えても3Mbytesは十分な大きさだと思います。
――そうですね.ありがとうございました。


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ASCII1990(05)c20図1XMS_W520.jpg
Windows Ver.2.11は使ったことがなかった。というか全く使う気にはならなかった。DOSと比べ作業環境が悪くなったと思っていた。Windowsは3.1になってやっと使ってみようかという気になった。

特別レポート
EMSのむこうにあるもの
 EMSは,8086マシンでも利用できるものだが,80286,80386マシンの普及とともに,これらのCPUのメモリ管理機能を生かしたメモリ拡張方法も意識されるようになってきた.
XMSとはなにか
 XMSについては,MS-Windowsや,最近ではVJE-βVer.2.5がサポートしていることもあって,聞いたことがある方も多いのではないだろうか.XMSはeXtended Memory Specification,MS-DOS上から1Mbytesを超える空間をアクセス方法を統一するための規格である.
 XMSが取り扱う空間は、大きく2つに分類できる(図1)。ただ、実際にはMS-WindowsもVJE-βも,使っているのはHMA部分だけである。さらに,MS-DOSのプログラムである以上,EMB空間については,データを転送して格納する(あるいはその逆)ことしかできない.EMSのように,その領域にプログラムを載せて実行したり,ハードウェアで切り替えてマッピングしたり,といったことは考えられていない(80386マシンならエミュレートも可能だろうが,XMSフルサポートの仮想EMSドライバというのは存在しないようだ)。
 結局,利用価値の高いのはHMAだけということになるのだが,残念なことに,この空間は,80286CPUのバグを利用して無理やりMS-DOSの空間を64Kbytesほど広げただけのものなので,EMSのようにみんなで分けて使うというわけにはいかないMS-Windowsを使うのならVJEはEMSオンリーに,ということになる.ただ,WindowsにおけるHMAの効果は見逃すわけにはいかないのも事実である.

● VCPIDPMI
 最近話題を集めているのが,80386の仮想86モードを利用した各種ドライバや、プロテクトモードでソフトウェアを実行させるDOS Extenderである。ご存じのように,国内でも仮想86モードを利用したEMSエミュレータやI・Oバンクエミュレータなどは複数存在する.
 EMS領域の取り合いは,EMSマネージャが調停してくれるからいいが,英語版Lotus1-2-3 Rel.3のように,アプリケーションがDOS Extender上で動くような例が出てくると、「誰がプロテクトモードを利用するか」,という問題が生じてくる.
 たとえばすでに仮想86モードを利用したEMSドライバをインストールしている場合,仮想86モードを用いる他のソフトウェアは動作させることができない.具体的な例では,たとえばMemory-PRO386を導入している環境では,MS-Windows/386を動作させることはできない(「すでにハイメモリが使われています」というメッセージが出て拒絶されてしまう)。
 80386の仮想86モードやプロテクトモードを利用したソフトが複数出現してきたため,これらの間で統一的にメモリを管理しようとする動きが出てきた.VCPI(Virtual Control Program Interface)がそれである。現在,英語版Lotus1-2-3 Rel.3(MS-DOS版)や,Ratioual/SystemsのDOS-16M,CompaqのCEMM,QuarterDeckのQEMMなどがこれをサポートしている.この場合,たとえばQEMMによって,仮想EMSやUMB(Upper Memory Block,1Mbytes以内の領域に仮想的にRAMを割り当てる機能)を利用しながら,LotusのRel.3を起動する,といったことが可能になる.日本でも,メルコのMELWARE Ver.4.5はVCPIサポートを謳っている.
 VCPIで中心的な役割を果たすのは,仮想86モードを利用したEMSエミュレータである.プロテクトモードに移行したり,プロテクトメモリを利用するようなソフトは,まずVCPIファンクションが利用可能かどうか調べ,可能であればそれを利用してメモリを取得する.こうすることで,複数のアプリケーションが衝突なしにプロテクトメモリを共有できるようになるわけである.

 しかしこの仕様では,MS-Windows/386のような独自のメモリ管理を行なうプログラムとの共存は不可能である.Windows/386など,将来登場すると思われる多くのマルチタスクプログラム間でのメモリ配分という問題を解決するため,現在DPMIという規格が最終調整段階に入っていると伝えられる。この5月にもVer.0.9の仕様が発表される見通しだ。仕様的にはVCPIを含む形で問題を解決する方向であるというが,現時点では内容はまったく不明であるため,たとえばVCPIをサポートしているソフトがこの上で動くかどうかといった問題はまだ未知数である。ただ,80386時代の先駆けとして,DPMIがどのような形に仕上がるかは,ソフトハウスならずとも目が離せない。
(取材協力/マイクロソフト,メルコ)

すったもんだして何がなんだか分からない状態だった。記事にたびたび登場する80386の仮想86モードは良かった。これ以降インテルのCPUを呪うことはなくなった。Windows3.1のときは祈りながら恐る恐る仮想86モード(DOS窓)を使ったが、Windows98のDOS窓は出色の出来だった。信じられない位安定してDOS窓をいくつも開き作業ができた。

コラム記事をスクラップする。
もっと知りたいあなたのための
EMS,そのビジョンと問題点
T.Tanaka

 EMSは,別項のようにもともとIBM PCのために開発されたシステムで,PC-9801でもこれを流用するようになっている.
 現在日本では,メモリの入手価格などの点からRAMボードメーカーは大手数社に限られているが,アメリカ・台湾などでは実に多くのIBM PC使用のハードウェアが販売されていて,多くがベンダー独自の仕様を持っている.このため,ハードウェア的な仕様にはこだわらず,間にソフトウェアドライバを噛ませることによって見かけ上同じものとして扱う,という方式が一般的になってきたわけである.なお,EMSはハードウェアを含めたシステム全体の総称であり,ソフトウェアドライバの部分だけを呼ぶときにはEMM(Expanded Memory Manager)と言う.
 EMSは,INT 67Hの割り込みを経由してアクセスするEMSの存在はINT 67Hのエントリアドレスから算出した部分に特定の文字列(実は,EMSのデバイスヘッダ)が存在することを確認してから使用する.機能コードは,DOS呼び出しと同様にAXレジスタに設定する.その後に,INT 67Hで呼び出すわけである.処理のステータスは、やはりAXレジスタに返される.
 EMSの特徴的な概念は,メモリをちょうどファイルのようなイメージで使用しているということである.DOSの高い番号のファイルアクセス機能は,ファイルをハンドルという抽象化された識別子で取り扱う。ファイルをオープン・クローズ読み書き・シークなどをする場合には,ファイルハンドルを引数にとる.
 EMSも,メモリの割り当てなどのファンクションを実行すると,メモリハンドルとでも言うべき値が返される。以後のメモリのアクセスは,すべてこのハンドルを使用して行なう.

 ごく一般的なEMSの使用法の概念について触れてみよう。まず,最初にEMSの存在とアクセスの確認を行なう.それから,ページフレームのベースアドレスを取得する.さらに,使用可能なメモリ容量を確認し,それが十分な場合はメモリの割り当て機能を呼び出す.このときに,メモリハンドルが返される.次に,EMSメモリの特定の領域を,特定のページフレームにマップする(ファイルで言えば,SEEK処理)以後,そのページフレームを通して見られる領域は,通常のメモリアクセスとまったく同様に行なうことができる.最後に,ウィンドウを解放し,取得したメモリ領域も解放する。このときも,ハンドルを引数にとることで,割り当てられたどのメモリを解放するのかを示す.
 このように,ファイルとEMSはかなり似ていあるのだが,(1)ファイルに比べて明らかに高速である,(2)読み書きに関しての制限がまったくない,(3)少なくとも,ウィンドウサイズの分だけの主メモリの拡張となる,(4)データ領域としてだけでなく,プログラム実行領域としても使用可能である,などの利点がある.
 なお,EMSは常駐プログラムで使用されることも考えてある。この場合のために,現在EMSメモリ上のどのページが割り当てられているかを記憶する機能があり,自分が勝手にページ割り当てを操作した後,元の状態に戻せるようになっている.
 基本的にEMMは再入が許されないため,通常EMMの処理中は割り込み禁止状態になっている.また,プログラムする側から言えば,「スタックはEMSの中に置かない」「ハード割り込みのエントリは,EMSの中に置かない」というのが原則になっている.
 現在のEMSの主流は4.Xだが,それ以前に3.2というバージョンも使われていた.3.2は4.Xにくらべて大変に仕様が小さいのでEMMのサイズが小さくてすむという利点があるが,4.Xの機能を利用しているプログラムは当然走らなくなる.逆3.2を対象としたプログラムは,特にハードウェアの制限がなければ4.XのEMMで走らせることは可能である.
 EMS3.2の一番大きな制限は,ページフレームが連続した64Kbytesの領域に限られているということである.つまり,ページフレームの数は4枚しか取ることができない.4.Xではページフレームの数とマップは任意に取れるが,3.2との互換性のために64Kbytesの連続した領域は確保しておくのが普通である.
 4.Xでは,ページフレームの数などが増えたりしたことから,ページフレームと物理アドレスの対比状態を取得することや,ページのマップ状態を一括して保存したり復元したりすること,そのほかにメモリ領域との直接転送やメモリ領域間のジャンプ/コールなどが可能で,EMSの上でプログラムを走らせることについての配慮がある.また,かなり基本的なことだが一度割り当てられたメモリ領域のサイズを変更することも可能である.
 さらにEMS4.Xではメモリハンドルに名前を付けられるので,ちょうどファイル名でファイルをプログラム間で共有する(データ転送に使用する)ように,メモリハンドル名でプログラム間のデータのやり取りをすることも可能である.常駐型のプリンタスプーラがプリンタに送るデータを,別の非常駐プログラムがメモリハンドル経由で送る,というようなこともできるわけである。

 最後に,EMSの仕様自体の問題について見てみよう.
 まず,ハードウェア的な面について,98とEMSの関係で一番問題になるのはページフレームのア ドレスである.これについては,FM音源利用時の問題点のところで触れることにする.
 ソフトウェア的な面で一番大きな問題なのは,基となっているEMSの仕様書自体が曖昧である部分が多いことである.仕様書にインプリメントの例でもあればよかったのだが,具体的なプログラムなどがないため,解釈の仕方によってまったく異なった動作をするEMMが出来上がってしまうことがある.
 実際,国産のEMSボードに付属しているEMMでも,初期の頃は動作にいろいろと不安定なものがあった。分かりにくいので有名なMAP&CALLやMAP&JUMPでは,そもそもまともに動作をしないものすらあり,さらに引数の解釈が異なっているものがいくつもあった。現在,これらがどのような方向に収束しているのか分からないが,結局プログラマ側としては,安全のためにこれらの「機能の高い」ファンクションは使用せず,簡単なファンクションを組み合わせて機能を実現することを余儀なくされているわけである.
 さらに,EMSがハードウェアを徹底的に抽象化したため,非常に過剰な仕様になっている部分がある.たとえば,ページフレームとマップされているページの対応状態を記憶させる,という機能がある.大変便利に見えるこの機能だが,どのような形で記憶するか,というのは、EMMに任されてしまっているのだ。したがって,記憶させたり,それを再度割り当てたりすることはできるのだが,記憶された内容をプログラムが参照することができない。実際には,ページフレームのアドレスとそこにマップされていたページのナンバーを記憶させているだけの場合が多いようだが,それは仕様ではないので,どのEMMでもそうだという保証がない。つまり,一般には参照できないのである.
 したがって,あるページフレームにボード上のどのページが現在マップされているか,ということを知ることは(一般的には)できない。これは,EMS上でプログラムを実行しているときや,再入時に非常に問題となる.結局,事実上無駄なページ切り替えを余儀なくされるのである.

全く困ったものだ。私はロータス1-2-3でEMSがらみのバグを経験した。そのときのメモをローカルBBSにアップして愚痴ったはずだ。そのうちファイルを探してみるつもりだ。

以下製品の写真をスクラップする。
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編集室からの内容もRAMだった。
もっとメモリを!
▲コンピュータのプログラムはメモリの上で動くデータも,メモリ上にあると高速に処理できる.そんなことは,アスキーの読者であれば百も承知だと思う。今月号では,そのメモリについて特集を組んだ.特集のテーマは,できるだけタイムリーで,多くの人に読んでもらえるものをと配慮して決定しているのだが,本誌でメモリについて特集したのは,'86年9月号以来である.
▲コンピュータのパワーを決める基本は,CPUの処理能力と,メモリの容量だと言い切ってしまってもいいだろう.CPUのパワーが上がれば,それを生かすプログラムが登場することになる.そして,そのプログラムは,大きなメモリ空間を必要とすることが多い。実際,8ビットのマシンが主流だったころ,主メモリの容量は高々64Kバイト程度であったが,現在主流となっているMS-DOSマシンでは,640Kバイト以上の主メモリを搭載しているのが普通だ。
▲昨年以来,MS-DOS上でも,より大きなメモリを利用する環境が整ってきつつある。そのキーワードがEMSだ.MS-Windowsはもちろん,一般のアプリケーションでも,これを有効に利用するものが増えてきたのは,本文中でも触れた通りだ.一太郎Ver.4が登場したときに,「EMSがないと利用できない機能があるなんて,過剰仕様じゃないか」という声をよく聞いたが,大きなメモリを利用できる環境が整うこと自体は、結果的に,ユーザーの利益となるだろう.
▲パソコンのCPUは,16ビットから32ビットへと移行しつつある。その能力を十分に生かせるソフトウェア環境さえ整えば,おそらく主メモリ数Mバイト搭載のマシンが普通となるだろう.それまでの間,自分のニーズに合わせて,適切にメモリを増設することになるのではないか.メモリの価格が下がり,入手しやすくなったのも幸いしている.
▲ところで,春は異動の季節。6月号より,本誌も新スタッフィングで取り組む予定です.新展開にご期待ください.   (土田米一)

「EMSがないと利用できない機能があるなんて,過剰仕様じゃないか」こんなバカげた発言をするパソコンユーザは何だろうかと思う。パソコンを使わずワープロを使っていろよと思う。当時売っているパソコンは不満だらけで拡張しないと使い物にならないものだった。拡張しなくても済むのはゲーム機とワープロだけだった。パソコンを買って足りないメモリを追加し、足りない外部記憶装置を追加し、足りないプリンタを買う。ああそうだったモニタを忘れていた。とにかくパソコン本体ではなにもできない装置だった。したいことがあるたび拡張するのが常だった。過剰仕様なんてとんでもない。貧弱なパソコン本体には常に苛立っていた。
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RAMとEMSその1(月刊ASCII 1990年5月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集は「RAMとEMSはまかせろ!!」だった。
8086という16bitを名乗るのもおこがましい8bitの毛の生えた、16bitから毛を抜いたようなCPUだったためユーザは苦労させられた。
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EMSって何なのさ

 RAMボードメーカーが一太郎の発売元ジャストシステムに何がしかのものを払って,Ver.4がEMSを必要とするようにしたという話はない。もともと,EMSは,アメリカの人気統合ソフトLotus1-2-3によって広がってきたものという.EMSという規格そのものもLotus1-2-3の発売元LotusとIntelが共同で作ったものなのだ.
 つまり,日米のベストセラーソフト(Lotus1-2-3と一太郎)が,ぜひ欲しいというのだから大変なものである.
 そんなわけで,MS-DOSのシステム環境をリードしていくべきであるMicrosoftが,Lotusさんがそう言うならというので,これに加わってEMSの現在の規格(LIM4.0)が決められた.そして,多くのアプリケーションがこのEMSに対応し始めたのだ。
 日本でも,これに対応しようという動きは見え始めていた。もちろん,Lotus1-2-3の日本版では,すでに対応されている.そして,日本独特のプログラムである日本語入力フロントプロセッサなどで,対応が急がれていたのだ。
 さて,EMSそのものの説明もしないまま,話を進めてしまった.EMSとは一体何なのか?

私が説明するならば「EMSとは8086が名ばかりの腐れCPUだからそれをカバーするためにEMSというメモリを使う規格を作った」だ。さらに漢字表示が使い物になるようにTEXT-VRAMをあみだし、グラフィック表示が使い物になるようにGDCを作った。そんなことが許されるのなら8bit機でもできるわ。実際作られたわ。何を偉そうにEMSだ。8086よ恥を知れ。

640Kbytesの壁を破りたい

 イチニッパー,イックニ,ニゴロ,ザンパースー,ゴイチニといえば,たいていの場合,主メモリの容量を指す.主メモリとは,パソコン本体の中にあるプログラムを実行するための場所のようなものだ。それぞれ,128,192,256,384,512Kbytesを指すことになる.
 PC-9801シリーズでは,初期型が標準で128Kbytes,Mで256Kbytes,VMで384Kbytes,VM21以降のマシンでは,640Kbytesとなっている.640Kbytesにはイチニッパー,ニゴロ……といった色気のある呼び方はない。この場合「フル実装」といって、いわばマンタンの状態である.640枚とじることのできるバインダーに640枚とじて用意してある状態を想像していただきたい.
 ところが,PC-9801RAは,さらに1Mbytesプラスした1.6Mbytesの主メモリを搭載して登場した.640Kbytesでフル実装なのに,1Mbytes足してどういう意味があるのか?
 実は,640Kbytesがマンタンの状態であるというのは,PC-9801シリーズのMS-DOSがアクセスし得るメモリの上限ということなのだ。何だかややこしいが,ほとんどのアプリケーションがMS-DOSの上で動いていることを考えると,これが上限という表現はあやしいものではないらしい。では,RAは,なぜ1.6Mbytesのメモリを搭載して登場したのか?発表資料によれば,新しいOS環境にも対応するため云々とあったようだ。

MS-DOSについてはやっつけ仕事で作ったOSなので仕方がない。8bit機のCP/Mで動くソフトの互換性があったそうだ。つまり、8bitの8080から16bitの8086(IBM PCは8088)に簡単に再コンパイル、アセンブルができたそうだ。CP/M86よりMS-DOSの方がCP/Mに対して互換性高かったそうだ。

メモリは計画的に強化したい

 新しいOS環境とは何か?それはMS-DOSの次期OSといわれるMS-WindowsやOS/2のことであるらしい。これらのOSでは,640Kbytes以上のメモリをアクセスし得るばかりか,1.6Mbytesでもちゃんと使うには足りないというくらいなのだ。
 ところが,MS-WindowsやOS/2を一般的なユーザーが普通に使い出すのには,今しばらく時間がかかると思われる.その一方で,MS-DOS上のアプリケーションは、先の一太郎Ver.4に限らず,しだいに大きなメモリを要求するようになってきたのだ。一太郎についていえば,最初のVer.1が256Kbytes,Ver.2.0が384Kbytes(図形を使う場合は512Kbytes),Ver.3.0が640Kbytesを必要とした.それが,Ver.4ですべての機能を利用するには,640Kbytesでは足りなくなってしまったのだ。
 MS-DOSは640Kbytesの約束なのにそりゃないでしょう,と言いたいところだが,壁があれば破ってみたいというのか,そのための1つの方法がEMSなのである.それじゃメモリを強化しましょうということになったとしても,その方法やRAMボードの種類にはさまざまなものが出てきているのだ。今回の特集は,その辺をスッキリさせて,どのようなユーザーにはどのようなアプローチが最も効率的で,将来的にも問題がないかを探ってみたい.
(遠藤)

だからすべては8086が悪い。
ケース1 RAMディスク
 HDDを導入したら,ワープロもすぐ起動するし,変換も速くなってめでたしめでたし─これは買ってしばらくの間の話だ。
 最近の大型のアプリケーションでは,640Kbytesのメモリ空間に入り切れない機能をHDD上に置き、必要なときに読み込んで使うという方式をとる(一太郎Ver.4やP1.EXEなど)。こうなると,さしものHDDも速いとは感じられなくなる。まして扱うデータ(文書)が大きくなってくると,データもHDD上に置く必要が生じる。これがまたレスポンスを悪化させる(図1).
 もう1つ気になるのが,辞書へのアクセスだ。FDDよりははるかに速いとはいえ,アクセスそのものがなくなるわけではない。HDDのアクセスが終わって文字が確定するまでは,次にタイプした文字は画面に現われない。結果として,確定を待つ形になり,タイプ速度が落ちる.そもそも、こんなに頻繁にこま切れなアクセスを繰り返していて,ヘッドの寿命が減ることはないのだろうか.1変換ごとに思考を途切らせるのもよいことではない。
 「RAMディスク」がそれを解決する.RAMディスクというのは,RAMをちょうどFDDと同じ感覚で扱えるようにする機能である。だから,RAMディスク上に辞書を転送すれば,以後変換に際してHDDが回ることはない。反応速度が一瞬になるので,多少速くタイプしても画面が付いてくる.アクセスランプがつかないのも精神衛生上よろしい。もちろん,ワープロそのものも転送できれば,起動も処理も見違えるようになる。特に機能の一部をHDD上に置くようなものでは,その効果は閃光のように鮮やかだ.
 それくらい我慢できる,現にしている,とおっしゃる気持ちは分かる.しかし,環境の良さというのは,実際にそれに触れるまでは、本で読んでも,話に聞いても,あまりぴんとこないものだ。HDDユーザーの方なら,昔FDDでワープロを使っていたときのことを考えてみると,何となく見当が付くのではないか。
 RAMディスクは超高速のFDDと見ることができるから,MS-DOSのコマンドをある程度使いこなしている方には,さまざまな応用が考えられるだろう.コンパイラなどでは,ワークファイルを作るドライブを指定できるが,このドライブをRAMに割り当てると,コンパイル時間が画期的に向上する.もっと速くしたければ,ソースもオブジェクトもRAMディスク上に置くといい。ただこの場合,作業終了後に結果をHDDに戻すことを忘れないようにしたい。


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RAMディスクは8bit機のX1で既に使っていた。CP/Mで利用していたがMacro80でのアセンブル、リンクが快適だった。ゲームのゼビウスでも利用できた。最初ロード時間が長くRAMディスクを置いているとダメなのかなと思ったが、データをRAMディスクに読み込み、ステージをクリアすると次のステージに瞬時に移り、速さにびっくりした。
RAMディスクは16bit機に特有のものではなく8bit機のころから利用されていた。なにを今更の記事だ。

ケース2 EMSメモリ
 多くの表計算ソフトは,データをオンメモリで管理している。再計算などのためにデータを非常に頻繁にアクセスするので,ディスクとのスワップアウトなどをしていては実用的な動作速度が得にくいということのようだ。そのため,メモリがいっぱいになると,それ以上ワークシートを広げることができない。たとえば,Lotus1-2-3では,130×130程度の表を作るとメモリがいっぱいになってしまう(セル1つに半角文字10文字を入れた場合).
 しかし「EMSメモリ」があれば話は別だ.EMSは,ソフトが扱えるメモリ空間を拡張するもの(詳しくはコラムを参照)。従来のメモリに加えて,最大32Mbytesまでの空間を確保できるのである.たとえば1Mbytes増設すると,Lotus1-2-3ではセル数が4万以上も増える.
 現在ではほとんどの表計算ソフトがEMSに対応する形になってきている.前述のLotus1-2-3をはじめ,Multiplan,アシストカルク,Success,そしてWindows上で動くExcelもそうだ。ワークシートサイズに悩む方は,躊躇することなくEMS導入に踏み切るべきだろう(図2)。
 EMSは別に表計算ソフトのためのものではない。後に詳しく触れるが,一太郎Ver.4も,EMSメモリの効用が非常に大きい.EMSがないと一部の機能が使えないし,使えるにしても,HDDのアクセスが頻繁に起き,操作性がかなり悪くなる.日本語入力FPのEMS対応も進んできた.メインメモリを100Kbytes以上圧迫するFPがEMS上に展開してくれれば,メモリに余裕ができる。たいていのソフトは,メインメモリに余裕があるほうが,快適に動作する(図3).


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 そのとおり。EMSがない環境で仕事はできなかった。

ケース3 プリンタスプーラとキャッシュ
 どちらかというと地味なのがこの2つの機能だ。プリンタスプーラというのは,プリンタへ渡すデータをためてしまい、パソコン本体が次の仕事に移れるようにするためのもの(図4)。長いドキュメントを印字するような場合,プリンタの印字を待っていると,パソコンがいつまでも使えなくて困るが,スプーラを導入するとこれを解決できる.一方キャッシュディスクというのは,FDDやHDDを読み書きするたびに,そのデータをこっそりRAM上にコピーしておく,という機能だ(図5).そのため,1度アクセスされた領域に関しては,2度目からはFDDやHDDを読まずにRAMに保存したデータが使われる.辞書などは,使っているうちにどんどんアクセスしなくなるし,容量が大きいキャッシュでは,ワープロを2度目に起動するときにはHDDが回らないことすらある.RAMディスクと違って,事前にRAM上にデータを転送しなくてすむのも,ずぼらなユーザーにはありがたい。

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ASCII1990(05)c04図5キャッシュ_W377.jpg
プリンタスプーラは使わなかった。なぜなら、PC-9801を使い始めてすぐにプリンタバッファ(パソコン切り替え機能付き)を買っていたから。また、キャッシュメモリとしても使わなかった。理由はメモリが少ないからキャッシュになんてもったいなく使えなかった。

● I・Oバンクメモリ
 EMS以前の標準的なRAMボードの仕様(図6)RAMディスクなどの機能は利用できるが,EMSメモリにはならない(無理やりEMSとして使うためのエミュレータも存在するが,速度面で実用的でない)。
 I・Oバンク方式は,どのメーカーのものでも同じハードウェア構成なので,各 社のボードを混在させて使うことができる.


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 始めはバンク切り替えでRAMディスクにすることが主だった。作業データをテンポラリファイルとしてバンク切り替えメモリに置いたりして使っていた。

● EMSメモリ
 EMSメモリとして利用するためのハードウェアを備えている製品(図7).EMSハードウェア対応,などといった表記もなされる.ただし,これをEMSメモリとして使うには,そのメーカーが供給する「EMSマネージャ」が必要となる.EMSメモリは各社ごとにハードウェアが異なるため、基本的に他社のEMSマネージャではEMSメモリとして利用できない。したがって,EMSメモリを増設する場合は,最初のEMSメモリと同じ会社のものを購入する必要がある.

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EMSメモリは重宝したというか必須だった。

● プロテクトメモリ
 80286以上のCPUを搭載するマシンについて,1Mbytesを超える空間に増設するためのメモリ(図8)MS-DOSで使うためには,特別なソフトウェアが必要。RAMディスクやディスクキャッシュなどのドライバが,ボードに付属したり,市販されたりしている。このメモリも各社ハードウェアは共通なので,混用できる.MS-DOSVer.3.3以降では,このメモリをRAMディスクとして利用する「RAMDISK.SYS」などが付属する.

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もちろん使ってたが印象がない。多分EMSメモリに見せかけて使っていたと思う。動作が怪しくエラーを起こした記憶がある。

● 混合方式メモリ
 上記の設定をボード上のディップスイッチなどで変更できるようにしたもの。これにもさまざまな種類があり,たとえばディップの切り替えによってA方式にもB方式にもなる,といったもののほか,1枚のボードのうちOKbytesをEMSメモリとして,残りをIOバンクメモリとして,といった分割ができるものや,EMSメモリであり同時にプロテクトメモリである,といった増設方式が可能なものもある(こうしたものは,プロテクト+EMS,などと表記される).
● 内蔵メモリとSIMMメモリ
 最近のマシンでは,上記のプロテクトメモリを本体のボード上に増設できるようになっている.これらが,PC-○○用内部増設メモリ,として販売されている製品だ。基本機能はプロテクトメモリと同じだが,ボード上にあるために,拡張スロットに差すタイプに比べて高速で,場所も取らず,当然スロットも消費しないというメリットがある.
 これらのメモリはみんなSIMMと呼ばれる小さなボード上に載っていて,簡単に取り外しができる.SIMMそのものは,一部機種では互換性がある場合もあるが,SIMMを乗せるボードそのものにほとんど互換性がないのは残念である。









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PC-9801T,DynaBook,AX,M-TOP(月刊ASCII 1990年5月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

PRODUCTS SHOWCASEをスクラップする。
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PC-9801Tはちょっと変わったフォルムの機械だった。日電も工夫していたのだろうが、こういったちょっと変わった機械は売れてなかったと思う。ユーザが保守的で98に固定したイメージを持っていたので売れなかったと思う。だいたいユーザは98を指名買いしていたので変わった機械を買いたい人間は98を選ばない。
 私は日電の保守的な新機種投入を批判していたが、投入しても売れなければ革新的なマシンを出したくないだろう。我々ユーザが日電をこんな会社にしたのが悪いと思う。
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 PC-9801シリーズの最新ラップトップマシン「PC-9801T」が発売となった。日本電気としては,拡張スロットを持つ初めてのマシンであり,最も速いラップトップの最上位機種である.

業界初の20MHz386SXを搭載

 CPUは,クロック周波数20MHzの386SXと,8MHzのV30を搭載している。20MHzの386SXは先月号のEXPRESSでも紹介したように,Intelが1月末に発表したものである。Tの発表が2月27日なので,1ヵ月のうちに発売された世界初の20MHz版386SXマシンである。
 メインメモリは,FDDモデルの「PC-9801TmodelW2」で640Kbytes,40MbytesのHDDを内蔵した「同W5」で1.6Mbytesを搭載している。そして,本体に内蔵できるメモリの最大容量もちょうど1Mbytes異なる。つまり,W5の1Mbytes分のメモリは,メモリ専用スロットに装着されているのではなく,メインメモリ上に実装されている。
 オプションによるメモリの拡張方法は,従来のラップトップマシンよりも強力で,デスクトップマシンに近いものである。
 まず,内蔵のメモリ専用スロットに,「PC-9801T-01」というメモリボードを挿入する。これには2Mbytesのメモリが搭載されている上,SIMM用のスロットが3つ付いている。ここに,PC-9801-61(2Mbytes)またはPC-9801-54L(1Mbytes)を装着することによって,最大8Mbytesの増設ができ,拡張スロットを使わずに,8.6Mbytes(W5では9.6Mbytes)を内蔵できる。PC-9801LSのメモリ専用スロットは3Mbytes,デスクトップマシンのESでさえ,専用スロットでは3Mbytesまでしか増設できないことを考えると,2倍の威力だ。
 HDDは,インターフェイスボードとHDDを重ねた箱型である.W2にはオプションで,W5では標準で内蔵しており,平均シーク時間28misの40MbytesHDDである(PC-9801T-35).現在のところ,この1種類のみで,20Mbytesや100Mbytesといったドライブはない.
 このHDDは従来のいわゆるSASIインターフェイスで,ドライブの背面にコネクタが付いており,拡張用のHDDを接続することができる.また,ディップスイッチにより,20+20Mbytesと分割しての利用もできる.取り付けは,背面のフタを開けて,スッポリと差し込めばいい.取り外し用のノブも付いているが,エプソンのようにプラスチックのカバーはないので,「持ち運ぶ」という雰囲気ではない.


ホワイトに新スタイル

 本体のデザインもまったく新しいもので,どの98シリーズのラップトップとも類似してはおらず、当然かもしれないが,同じ拡張スロット内蔵のラップトップ型マシンであるエプソンのPC-386LSに似ている.色も,日本電気のラップトップでは初めて白を採用した.
 容積は従来の98用ラップトップ中最大であったPC-9801LSの1.5倍ある。幅は25mm,奥行きは80mm,高さは17mm増しで,床面積だけでも約1.3倍ある.PC-386LSと比べると,幅と高さはほとんど同じだが,奥行きは40mm大きくなっている。重さは,W2で9kg,W5で10.4kgある.PC-386LSよりそれぞれ200gと900g重い.オフィス内か,1つのビル内での移動はできるが,持って歩くものではない.
 フタを開けると,キーボードが現われるのはこれまでと同じだが,さらに,キーボードを取り外すことができる。これも新しいスタイルの1つだ。キーボードの両サイドにボタンがあり,これを押しながら手前に引けば,本体から外れる.本体とキーボードはデスクトップマシンと同じカールコードで接続されている.キーボードにはフタがあり,その中にコードが収納されている.本体から20cm以上離したい場合には,ここからカール部を出してやればいい。また,切り離した場合,キーボードを傾けられるように,下面に蝶番の足が付いている.この足を立てて,キーボードを傾けたほうがキーを打ちやすい。本体の近くでキーボードを打つ場合でも,本体から外して足を立てたほうがいい。
 このキーボード部にはテンキーはない.キーボード右手のコネクタに別売のテンキーボードを接続する。また,本体のコネクタ部は,デスクトップマシンと同じ形状なので,このキーボードを外してしまって,デスクトップ用のフルキーボードを接続することができる.アスキーなどのサードパーティが発売している98シリーズ用のキーボードも利用可能だ。


ちょっと速いディスプレイに新フォントを採用

 ディスプレイ部は白黒液晶で,蛍光灯によるバックライトが付属している.液晶の付いているフタ全体が大きいので,液晶自体も大きいと感じたが,測ってみると225×145mmで,LVやLXなどと同じだ.コントラストとブライトネスの調整ボリュームは,従来の本体左側から,液晶パネルの右に移動している.位置は,98NOTEと同様だが,回転式ではなく、スライド式のボリュームになっている.
 98NOTEでは,液晶画面でかつサイズが小さいということもあり,漢字(2バイト文字)のフォントが従来の98シリーズとは異なる.細かいドットでも見やすいようにと,斜めの線が強調に(太く)なったのだが,これが,今回のTシリーズにも受け継がれている.日頃,デスクトップマシンを使っている人には違和感のあるフォントだ。98NOTEならまだ諦めもついたが,この液晶サイズでは,フォントの「バランスの悪さ」をストレートに感じてしまう.
 液晶の階調表示機能は8階調で,従来と同様に,8色モードでは色コードに対応,16色モードではRGBの組み合わせによって変化する。液晶の反転機能は,従来ディップスイッチを利用していたが,Tでは独立したジャンパスイッチになった.これは扱いにくく,改悪と言っていいだろう.指で抜き差しするのが大変で,先の細い器具が必要となる.アプリケーションによって変更するものとしたら,ディップスイッチよりも操作しやすいようなスイッチにすべきである.
 ちなみに,もう1つのジャンパスイッチはマニュアルに説明がないが,2階調表示のスイッチのようだ。
 ディップスイッチや,ジャンパ,それにボリュームは,FDD下のフタの中にある。フタの横には,電源とHDDのアクセスランプ,リセットスイッチがある。このリセットスイッチも,誤動作を防ぐために奥に入っており,かつ,重く,ストロークも長い。指で押そうと思うと,指の腹ではだめで,爪で奥に押し込む必要がある.
 ディスプレイの下に並んだFDDは薄型で,駆動音はほとんど感じない。アクセス時のモーター音だけで,カチャカチャとヘッドの動く音はない。ドライブの挿入口にはフタが付いており,イジェクトボタンは丸みを帯びて,エプソンのLSシリーズとよく似ている.とにかく,FDDは前面配置になったので,マシンの横に,FDを抜き差しするスペースを確保する必要はなくなった.
 スイッチ類のあるフタの左側も,簡単に外れるフタになっている.ここは,演算コプロセッサ387SXや,メモリ専用ボードの挿入口になっている.


プリンタI/Fにも標準コネクタを採用

 本体の背面には,電源ケーブル,増設FDD,プリンタ,RS-232C,アナログRGBの各コネクタがある。従来のラップトップマシンでは,プリンタコネクタがハーフピッチの小型コネクタであったが,すべてデスクトップマシンと同じになった。
 逆に,電源コネクタは,LSなどではデスクトップと同様のものだったが,エプソンと同様に小型のものに変更となっている.拡張スロットはコネクタ類の上にあり,デスクトップマシンと同じボードが利用できる.エプソンのLSシリーズとは異なり,左右に2つでなく,上下に2つ付いている。これによって,スロット2段分を占めるボードや,2枚を短いケーブルで接続するものが利用しやすい。
 基本的にESの拡張スロットで利用できるボードは使えることになっている.ただし,デジタルRGB出力を必要とするボード(日本電気のビデオプロセッサボードなど)は利用不可となっている。実際に使いたいボードが利用可能かどうかは,カタログや各ボードメーカーのユーザーサポートにチェックするほうがいいだろう.


速度は上々コストパフォーマンスは?

機械語ベンチマークの結果は20MHz80386を搭載しているRAと同様か,10%ほど遅い結果となった。9801LSやPC-386LSなどの16MHz386SXマシンと比べると,23%ほど高速となっている。液晶の反応速度は,LVやLXより多少速くなっているらしいが,方式は同じなので,CRTやプラズマと比べるとまだまだ遅い.MS-Windowsやグラフィックソフトなど,マウスを多用するアプリケーションの利用では,マウスカーソルを見失うことがある。また,CPU速度が向上した分,ディレクトリ表示や,ワープロ,エディタのスクロールが速くなるが,液晶の反応はあまり変わらないので,かえって見にくいということも起こる.
価格は,FDDモデルのW2が54万8000円,HDD内蔵のW5が75万8000円だ。差の21万円は,40MbytesのHDDとメモリ1Mbytes分である.オプションのHDDは17万円だから,1Mbytesのメモリ分は4万円となる.ただし,最大メモリ容量は異なるので、なるべく多くのメモリを使いたいという人はW5を選ぶことになる.PC-386LSは,FDDモデルが53万8000円,40MbytesのHDDモデルは76万3000円だ.Tとの機能差は,FDDモデルでは約1.25倍のCPU速度で,ちょうど1万円高い.HDDモデルでは加えて1Mbytesのメモリ分だけTのほうが優る上5000円安い.
さらに,PC-386LSとTの大きな違いは,本体内にメモリ専用スロットを持つか否かである.PC-386LSには専用スロットがなく,拡張スロットを使ってメモリを増設しなければならないが,Tでは内部で8Mbytes増設可能だ。メモリを増設して利用したい場合,大きな差となる.エプソンのLSシリーズは,当初,LAN用ボードや特定アプリケーションを内蔵して,企業向けや小規模商店への導入用として発売されたが,一般のホビーユーザーにも,省スペース型マシンとして受け入れられた。Tも液晶ディスプレイ付きで,使わないときは簡単に机上から片付けられるという利点から,ESやEXと比べた上で選択される製品となるかもしれない。

この当時パソコンは机上ではなく専用のパソコンラックに置き、天板にはプリンタを置いていた。パソコンが増えればパソコンラックを置くスペースすらなくなり、事務机の上に置かねばならなくなった。パソコンが邪魔かと言えばそうではなく、おいて欲しいという希望者が多かった。本体、モニタ、キーボード、外付けHDDを運び電源ケーブルをタップにつなぎと結構面倒だった。その点PC-9801Tは便利だと思うが、高すぎる。トランスポータブルという言葉があったがPC-9801Tはまさにそんなマシンだった。しかしそれでは事業所用で一般ユーザには売れなかったはずだ。

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 東芝の「DynaBook」に新製品が2機種登場した。従来機種J-3100SS001(以下SSと略)のHDD搭載モデルである「J-3100SS02E(以下SS02Eと略)」と,CPUにi80C286を採用した「J-3100GS021(以下GSと略)」だ.また,従来モデルのSSに白色ボディの「J-3100SSW01」が加わった.

J-3100SS02EHDD内蔵の軽量マシン

 小型/軽量のノート型マシンとして評価の高いSSだが,ハードRAMの容量が少ないため,HDDへの対応が望まれていた。SSのHDD内蔵モデルであるSS02Eは2.5インチの20MbytesHDDを内蔵し,外付けの3.5インチFDDが付いてくる.
 基本的なスペック,外観はほぼ従来モデルと変わらない。ただし,標準搭載のRAMは1Mbytesと,1.5Mbytes搭載のSSより少なくなった。
 SSとの外観的な相違は,右側面のFD挿入口がなくなり,代わりに外付けFDD用のコネクタが付いている程度だ.キーボード上部のインジケータ列にはHDDアクセスランプが付いている.
 重量は2.8kgとSSに比べて100g重い.持ち比べてみると若干重く感じるものの,携帯にそれほど不便はない。内蔵HDDは電源を切るとヘッドパーキングする.
 外部FDDユニットは,105(W)×164(D)×23(H)mmと,システム手帳程度のサイズで厚みもないので,本体と一緒に鞄に入れてもかさばらない.電源はケーブルを通して本体から供給する.FDDユニットはケーブルをコネクタに接続し,本体の右側面に置くのだが,ケーブルの長さが8cm程度しかないので右側以外には置けない。戸外では,場所によってはFDDの配置に困ることもあるだろう.


20MbytesHDD環境が携帯可能に

 HDDは平均シークタイム25msと20MbytesHDDとしては平均的なスピードだが,動作音は非常に静かでアクセスランプがなければ気が付かないほどだ。静かな教室などでも問題にならないだろう.通常はFDDがA,Bドライブ,HDDがCドライブ,以降ハードRAM,RAMディスクとなる.FDDを接続していない場合もドライブ名は同じだ.
 標準搭載のメモリは1Mbytesで,SSと共通の拡張RAMカードにより最大3Mbytesまで拡張可能だ。搭載したメモリからメインメモリの640Kbytesを引いたサイズがハードRAMもしくはEMSメモリとして使用できる。標準メモリでは384Kbytesが使用可能だ。ハードRAMはSETUPJというユーティリティで設定する.
 ハードRAMとはHDDのようにアクセスできるメモリで,システムで管理される。使用する前にフォーマットする必要はあるが,リセットしても内容は消えない。
 RAMディスクはMS-DOSによって管理され,config.sysでramdisk.sysをデバイス登録して設定する。リセットすれば内容は消えるが,フォーマットの必要はない.
 ハードRAMはハードディスクのようにパーティションに分けることができないので,メモリを増設した場合は一部をRAMディスクとして使用するなどの工夫をして使い分けるとよいだろう.
 HDISKというユーティリティを使用すれば,内蔵HDDを最大4つのパーティションに区切ることができる。起動パーティションを設定できるので,別売の英語版MS-DOSと使い分けることも可能だ。MS-DOSの切り替えにはCHGSYSという,他のパーティションをアクティブにして再起動するコマンドが用意されている.
 SSと同じく,SETUPJのメニューでシステム情報を設定できる。設定項目には、ハードRAMサイズ,レジューム機能のON/OFF,画面反転の有無などがある.また、新たに内蔵HDDの自動停止時間の指定が追加された.これは一定時間HDDへのアクセスがないとHDDの回転を停止する機能で,ONにすれば5分から指定できる。一定時間キー操作がないとELバックライトを消灯する自動表示停止に加え,バッテリパック使用時に消費電力を抑えるのに役立つ。HDDの回転が停止している際は,アクセスに若干のタイムラグがあるものの便利な機能だ.
 これらのシステム設定のうち,HDD自動停止や画面反転,レジュームなどの機能は,セットアップウィンドウを画面に呼び出すことで使用中に変更可能だ。
 使用してみると,普段使っているアプリケーションやユーティリティをHDDに入れておき,そのまま持ち歩けるのは非常に便利だ。従来のSSのようにハードRAMの残量を気にしながら最低限のツールを選ぶ必要はない.デスクトップ機では20MbytesHDDは少々不足だが,持ち歩いて使用するセカンドマシンとしては十分だ。また、新しくアプリケーションをインストールしたり,文書などのデータを他のマシンに移す際はFDDを接続する.普段はFDDをしまっておき,持ち歩く際はHDDだけで使用すればよい.
 バッテリパックの使用時間を調べてみた(図2).充電完了した状態から電池切れアラームが鳴るまでと,シャットダウンするまでの平均時間を,HDDの自動停止をONにした場合とOFFにした場合について計測した。バックライトの輝度は最大にしている.参考にSSでのテスト結果(FDDアクセスなし)も掲載する.
 SS02EではHDD自動停止を設定していると130分余りで電源が切れる.カタログにある120分より10分ほど長いが,安全値のレベルだろう.SSと比べると約2割ほど短くなっている。
 HDDの自動停止を切っていると,バッテリパックの持続時間は20分程度短くなる。HDD自動停止を設定しておくほうが、長く使うのには有効だろう.
 次にELバックライトの輝度を最小にして試してみた.この状態では文字は見にくいが,何とか利用できる。結果は電源が切れるまで約180分利用できた。ELの消費電力が大きいことが分かる。


J-3100GS DynaBookシリーズの最上位機種

 GSはDynaBookシリーズの最上位機種だ。CPUはi80C286(12MHz)を使用し,3.5インチFDD1台と20Mbytesの2.5インチHDDを内蔵する重装備のノート型マシンとなっている。
 標準搭載のメモリはSS02Eと同じく1Mbytesで,メインメモリ640Kbytesを除く384Kbytesをプロテクトメモリ,EMS,ハードRAMとして使用できる.SS同様に電源を切ってもメモリ内容をそのまま保持するレジューム機能を持つ。
 本体のサイズはSSやSS02Eと比べると奥行きで26mm,高さで6mm大きい.HDD内蔵で,SS同様にモデムカードも内蔵できることを考えるとコンパクトにまとまっている.
 重量は3.6kgと,SSに比べると900g重くなっている。本体側面は右側にFDDが1台あるのみで,パワースイッチや電源コネクタなどは背面にある.
 底面には手前にキャリングハンドルが,後端の左右には本体をチルトさせるための足が付いている.本体が若干厚めなので,多少チルトさせたほうがキーボードを打ちやすいが,足の部分が少々貧弱で強度的な不安が残る.
 上面後部の中央に装着されているバッテリパックはSSと共通だ。従来のSSやSS02Eでは,バッテリが充電されていない場合や外している場合は電源を入れることができなかったが,GSではACアダプタを接続すればバッテリパックなしでも使用できる.
 本体底面にあるスロットには,2Mbytesのメモリボードを2つ取り付けることにより,搭載メモリを最大5Mbytesまで増設できる.搭載したメモリはハードRAM,プロテクトメモリ,EMSメモリの3つの使用方法がある。プロテクトメモリは絶対アドレスが1Mbytes以上にあるメモリ空間で,i80C286のプロテクトモードでアクセスされる.アプリケーションから使用するほかに,RAMディスクとして使用できる。SSとの違いはRAMディスクをプロテクトメモリ上に作成する場合,EMSドライバを設定する必要がない点だ。ハードRAMやEMSメモリはSSと同様にSETUPJユーティリティやconfig.sys内で設定できる.
 拡張メモリボードはGS専用で,SS用増設RAMカードとの互換性はない.1個で13万円と,SS用の2Mbytesカードの14万円より若干安価になっている.
 SSと同じく,日本語入力FPとしてATOK7が付いている.SSでは辞書がROMにあったが,GSでは辞書ディスクとして添付されている.
 ハードRAMやRAMディスク上に辞書を置けば日本語変換が高速になるが,標準搭載のメモリでは320Kbytesなので,ATOK7の辞書は入り切らない.日本語変換の速度は,ROM辞書とハードRAMを使用するSSよりも若干遅い。
 液晶ディスプレイはFLサイドライト方式で,側面にある冷陰極管を光源とする。SSのELバックライト方式よりも輝度が高くコントラストを強めに設定できるので、蛍光灯などの光が映りこむ場合でも見やすい。
 付属のMS-DOSVer.3.10は,HDD関連のコマンドなどはSS02Eとほぼ同一だ.SETUPJ,またはセットアップウィンドウでレジューム機能のON/OFFやハードRAMの指定,HDDの自動停止を設定できる.
 SS02EではHDDは5分から,バックライトは3分から自動停止を設定できるが,GSはHDDが3分,バックライトは1分から設定可能になっている.


高機能ノート型マシンのパフォーマンス

 3.6kgという重量は持ち歩くには少々重いが,PC-9801LXなどのHDD内蔵型ラップトップマシンに比べると軽く,膝の上で使用してもさほど苦にならない.
 とはいえ運搬時はSSのように小脇に抱えるのは難しく,キャリングハンドルを持つことになる。これは底面の前端部分に収納されている小さなT字型のハンドルだ。GSの重さならば小型のキャリングハンドルでも強度は十分かもしれないが,実際に持つと安定感に欠け、長い間持つにはつらいものがある.
 使用してみると,SSのいまひとつ遅い操作性と比べると高速で,キビキビと動く感じだ。GSはSSと同じく漢字VRAMを持たないので,スクロールや文字出力の速度は同クラスのデスクトップ機よりは遅いものの、処理速度の向上により機敏な操作にも十分付いてくる.
 ベンチマークテストの結果では,SSに比べてスクロールが約2倍,文字出力が約1.8倍高速になっている(図1).
 SS用の一太郎dashをHDDにインストールして使用してみた。スクロールは高速で,SSでのもどかしい感じはない。ためしに一太郎dashで400行のスクロールにかかる時間を計測してみたがSSより約1.6倍高速化している.
 しかし,編集のメニューから処理を選択する場合など,SSでの使用よりも若干時間がかかる場合もあった。これは一太郎dashが処理の選択時や実行時にファイルを読み込むため,ハードRAMよりアクセスの遅いHDDでの使用では,かえって遅くなるためだ。SSのハードRAMでの使用を前提とした専用アプリケーションでは,頻繁にアクセスするファイルをハードRAMに置くなどの工夫をするとよいだろう.
 バッテリパックでの使用時間も,HDD自動停止を設定すれば約140分使用できる。カタログにある約90分よりは長いが,HDD自動停止を設定していない場合は90分弱しか使用できない(図2)FLの輝度を最低にすると持続時間は若干伸びるものの、持ち歩いて使用するには少々苦しい。輝度が最小でもSSのELと比べて明るいので,バッテリでの使用時は輝度を抑えて使用するほうがよいだろう.


 両機種を使ってみて、若干の不満があるとすれば従来のSSのものより大きなACアダプタが挙げられる.SS用のものが110(W)×67(D)×39(H)mmだったのに対し,SS02E,GSともに145(W)×55(D)×43(H)mmと,体積比にして約2割大きく,ケーブル込みで500gだったのが600gと2割重い.
 消費電力の増加からACアダプタが大きくならざるを得なかったのだろうが,できればSSのものよりもさらに小さくしてほしかった.
 また,SS02Eの32万8000円,GSの49万8000円という価格は,同クラスのラップトップ機であるPC-286LE(50万3000円)やPC-9801LX4(58万8000円)と比べると安価なのだが,SSの発売当初に話題となったほど「安い」という実感はしない。「HDD内蔵」と「80C286とHDD内蔵」という,今回付加された価値と,この価格をどうはかりに掛けるかになる.
 これらの機種と同時に発表されたJ-3100GLには,漢字VRAMが追加された.詳しい資料が到着していないので今回は触れないが,J-3100シリーズでもスーパインポーズや表示の高速化などが期待できるものと思われる.
 ちなみに,SS02EとGSには,海外向け仕様のT1000XEとT1200XEがある.これらにはSSの海外向け仕様のT1000SEと同じくMS-DOSがROMに搭載されている.T-1000XEでは外付けFDDユニットがオプションになっており,ファイル転送プログラムのLap-LinkをROMで搭載している.
 日本でも,SS02EのFDDなしでMAXLINK付きとか,SSと同じFDのみの286マシンなど,これからもラインナップを増やしてほしいところだ。
(行正)

「従来のSSやSS02Eでは,バッテリが充電されていない場合や外している場合は電源を入れることができなかったが,GSではACアダプタを接続すればバッテリパックなしでも使用できる」これはSS(初代のDynaBook)でも欲しかった機能だった。私はDynaBookはセカンドマシンとしての用途だったからHDDは必要なかった。そんな大きなアプリケーションを使いたいとは思わなかった。たまにしか使わないアプリはFDに納めていた。
 初代DynaBookはバランスの取れた名機だと思う。価格、重量ともに後継機種より優れていると思う。メモリはあった方が嬉しいが価格に難があった。また、HDDはセカンドマシンとして使う以上必要は無かった。何回か書いたが、レジューム機能が気に入って買った機械だった。
 文章入力ならワープロは必要なかった。テキスト処理、計算はjgawkで十分だった。
 MAXLINKは良かった。VzとMAXLINKにjgawk、これらがあるので十分使えた。通信ソフトは何を使っていたのか思い出せない

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三洋電機から低価格のAXマシン「MBC-18SJH(以下18SJHと略)」が発売された.MS-DOS,MS-WindowsなどをあらかじめHDDにインストールしていて,MS-Windowsには独自のグラフィックユーザーインターフェイスであるWavyDesktopが付く.AXは現在,企業向けに多く販売されているが,18SJHはシステムのセットアップを不要にしたことなど,この枠を広げる新しい試みがなされている.
インストール済みでセットアップ不要

 CPUには,クロック周波数16MHzの80386を採用している.メモリは,1Mbytes搭載しており,メインメモリに640Kbytesを割り当てた残りの384Kbytesは拡張メモリとなる(表1).
 モデルは,3.5インチFDD1ドライブと40MbytesのHDDを搭載した1種類だけだ。このHDDは,6Mbytesと34Mbytesにパーティションが切られている.6Mbytesのほうには,出荷時にMS-DOSVer.3.2,MS-WindowsVer.2.1,日本語入力FPのVJE-βVer.2.11といったシステムがインストールされる.384Kbytesの拡張メモリをMS-Windows用のXMSで利用する環境設定で出荷されるため、電源を入れるだけで,自動的にMS-Windowsが起動し,WavyDesktopまで立ち上がる.
 HDDにパーティションが切られているのは,6Mbytesのほうはシステム専用として使い,ユーザーが誤ってファイルを消したりしないための配慮だ.
 本体は縦置きが基本で,正面の面積は小さいが,奥行きがある(写真1)。正面には,電源スイッチ,FDDが1ドライブとキーボードロック用のキー,マウスコネクタが付いている.MS-Windowsが付属していることもあり,マウスが標準で装備されているのは評価できる点だ。キーは,右側に1/4回転でロック,さらに1/8回転でリセットとなっている。このリセットは,キーボードによるリセット(CTRL+ALT+DELのできないようなソフトでも動作するのが便利だ。ただ,ロックをするとき,回しすぎるとリセットしてしまいそうで恐い。ロックとリセットは反対側にしてほしい.
 拡張スロットは5つあり,1つはJEGAボード,そして,もう1つはCPUボードに使われている(写真2).そのため,ユーザーが増設できるのは3つだが,そのうちの1つは8bitバスである。
 また,AX規格自体の問題でもあるが,FDDが1.2Mbytesのディスクを読み書きできないので,98シリーズとのデータ交換には,720Kbytesのディスクを使うことになる.5530Zはオプションとはいえ,1.2Mbytesの読み込みができるFDDを用意している.J-3100もSGXとGLでは1.2と1.44Mbytesの読み書きができる(その他の機種では逆に1.44Mbytesの読み書きはできないが,1.2Mbytesの読み書きが可能だ)。
 グラフィックに関しても,IBMPS/2は,VGAが標準となっている.3.5インチディスクのソフトもVGA対応のものが増えてきている.AXにもVGAに対応したマシンを出してほしいところだ。

(中略)

HDDが付いてRA21とほぼ同価格

 マシン自体の速度は,グラフ1のベンチマークテストの結果でも分かるように,クロック周波数16MHzの80386マシンの平均的なものである.旧RAとの比較でも,addがほんの少し遅く,mul,nopでは勝っていた。ただ,表示のscrlとstroutの遅さは気になるところだ.
 価格は,49万5000円とRA51に比べ約17万円安い。その上,18SJHにはMS-DOS,Windows,VJE-β,マウスが付属している.RA51にこれらを加えた価格は71万円ほどになり,その差は約21万円だ3.5インチFDDが1ドライブであり,クロック周波数が16MHzであることを差し引いても,お買い得なマシンということが分かる。また、同じAXマシンのQuarterLは,40MbytesHDD付きで49万8000円と3000円高い。しかも,こちらはSCSIインターフェイスが付属してはいるものの,マウスが付属せず,その上,CPUは80386SXである.18SJHのコストパフォーマンスの高さが分かる.
 有名ソフトの多くは,すでにAXに対応しているため,使いたいアプリケーションがその中にあれば不便はない.その上,海外の優秀なソフトもいち早く使えるわけだ。特に,グラフィックソフトやゲームでは日本にはないような優秀なソフトが多いので,そんなソフトを使ってみたいという人には最適なマシンだ。

(小林)
この当時Windowsのプリインストールマシンは珍しい。流石、企業向け。
マウスが付属も当時は珍しかった。
PC-9801とのフロッピーディスクの互換性に注意が必要だったのを思い出した。2DDが共通通貨のようなものだった。
 対応ソフトが多いといったってPC-9801には豊富なゲームソフトがあるのでそれらが動かないのでは一般ユーザには受けなかった。企業にどれだけ売れるのかが勝負だったので「特に,グラフィックソフトやゲームでは日本にはないような優秀なソフトが多いので,そんなソフトを使ってみたいという人には最適なマシンだ。」は見当違いだ。

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 昨年9月,Apple Computer社はMacのラップトップモデルMac Portableをようやく発表した。可搬型のMacを望む声は以前より市場に根強くあり,待望の発表だった.
 Apple社純正のラップトップは,このPortableが最初だが,それ以前に可搬型のMacがなかったかというとそうではない.以前から,米Colby社などがMacのマザーボードを利用した互換ポータブルマシンを販売していた.しかし,数はそんなに出回っていたわけではない.
 なぜMacの互換マシンは,IBMPCの互換マシンのようにたくさん販売されていないのだろうか?その答はMacのROMにある.MacのROM中には,マシンの中核となるシステムソフトウェア部が含まれており,これなくしてはMac環境を構築することはできない。かといって,これと同等のものを独自で開発するのは極めて困難だ.MacのROMをコピして自社製のマシンに搭載するなどということをすれば、市販ソフトウェアを無断でコピーして販売するというのと同一の違法行為となる.
 この問題を回避するために考え出されたのが,Apple社の純正マザーボードを利用して,互換マシンを作ってしまおうというものだ。これならば,ROMに関してはまったく問題がないといえる。


Plus,SE,SE/300マザーボードを利用したラップトップ

 今回紹介する台湾DTC Technology社が開発した「M-TOP」も,上記のApple社マザーボード利用型のラップトップだ。マザーボードを中心に,電源部,液晶駆動部,ドライブなどの構成部品をラップトップの本体に組み込んでいる(写真1).ボディ本体は,IBMPC互換のラップトップのものを流用しているようだ。サイズは,315(W)×420(D)×105(H)mm,重量はHDDを搭載して6.5kgApple社のマザーボードを利用している関係上,筐体サイズをこれ以上極端に小型化するということは望めそうにもない。
 マザーボードは,ユーザーの要求に応じて,Plus(68000,クロック周波数8MHz),SE(同),SE/30(68030,同16MHz)の中から選択できる.ユニークなのは、筐体・液晶・電源・FDDのみでマザーボードなしの製品「M-TOPKIT」があることだ。これに,Mac512,Plus,SE,SE/30のマザーボードを取り付ければ,ラップトップとして機能する。すでにPlusやSEを持っているユーザーが,マザーボードをこのKITに入れ替えて持ち運ぶなどということも可能というわけだ。
 外部記憶装置としては,容量800Kbytesの3.5インチFDDを1台搭載している.SEとSE/30のマザーボードを使用したモデルには,容量40Mbytesの3.5インチHDDを標準で内蔵している.Plusモデルには,HDDあり/なしの2モデルが用意されている.
 表示デバイスには,バックライト付きのモノクロ2層STN液晶ディスプレイを採用している。バックライトを採用したことで,視認性は非常に良い(写真2,3).MacPortableよりも見やすいくらいだ.しかし,応答速度の面では格段に劣ってしまう.マウスを勢いよく動かしたりすると、カーソルを見失ってしまうといったこともあった。アクションゲームなどの実行には支障をきたすかもしれないが,通常のアプリケーションを使用する分には問題はないだろう.
 解像度640×400ドットのユニットを使用してはいるが,512×384ドットの部分しか使用していない。これはPlusなどと同じ画面サイズだ。液晶ディスプレイ部は,簡単に取り外すことが可能になっている.
 メインメモリは,標準で2Mbytes実装されており,Plus,SE仕様のものが最大4Mbytesまで,SE/30仕様のものが最大8Mbytesまで増設可能だ.Mac Portableは,現状では最大で2Mbytesまでしか実装できない.漢字Talk6.0上で大型アプリケーションを動かすとか,MultiFinderを使って複数のアプリケーションを実行させる,などという用途の場合はM-TOPのほうがよいかもしれない。増設するメモリは通常のSIMMでよく,DRAMの価格が急落した昨今では安価にグレードアップができるだろう.
 本体後部には,ADB,マウス,外部FDD,SCSI,プリンタ,モデム,オーディオの各ポートが出力されている.これら以外に,ビデオポートも用意されていて,オプションで発売予定の外部CRTディスプレイを接続することもできる(写真4)
 マウスが標準装備されているが,ラップトップという使用環境を考えると必ずしもマウスが使いやすいとは限らないだろう.トラックボールなどの他のポインティングデバイスの採用も考えてほしい。電源はACのみ。バッテリ駆動モデルがぜひ欲しいところだ。
 今回は,Plusのマザーボードを使った40MbytesHDD内蔵モデル「M-TOP2MH」を使用したのだが,ソフトウェアや周辺機器の互換性にはまったく問題はなかった。純正のマザーボードを使っているわけだから当たり前のことではあるが.ちなみに,システムソフトウェアは標準添付されていないから,日本語環境を使いたい場合にはアップルコンピュータジャパンが販売している漢字Talk6.0アップグレードキットを購入する必要があり,英語環境を使いたい場合には大手ネットワークに登録されているSystem6.0.4をダウンロードする必要がある.
 今後,2400bps内蔵モデム,外部モノクロCRTディスプレイ,外付けFDD,バッテリ電源アタッチメントなどがオプションで順次供給される予定となっている.価格であるが,M-TOP2Mが58万円,同2MHが68万円,同SE030Hが116万円,同KITが38万円となっている.同SEHは今のところ価格未定だ。シリーズ中のエントリーモデルである2Mは,同様の構成のMacPlusに比べて20万円強の割高となる.最上位機種のSE030Hは,Mac Portableと同等の価格だ。
 純正のマザーボードを使っているとは言っても,Apple社から直接サポートを受けられるわけではない.リスクを考えた上で,この価格を高いととるか安いととるかは,ユーザー次第といったところだろうか.
(永瀬)

本家のマザーボードを利用するのは分かったがどうやって入手したのだろうか。Appleがマザーボードだけを売ったのだろうか。
この当時、台湾はこのマシンのように世界(まあ米国だが)を相手にした商売をしていた。ガラパゴス化した日本とは違っていた。このことがその後の成長に繋がっていたのだろう。日本も日電以外は日本の一般ユーザ向け市場はあきらめて台湾のように力を世界向けに注げば良かったのだろうが、そうするとまたダンピングだと叩かれたような気がする。
際物マシンで博物館用のコレクションとしてはありかもしれないが、まあ全然一般ユーザ向けではない。やろうと思えばこういうこともできますよという例としてのマシンだったのだろう。

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