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PC-9801T,DynaBook,AX,M-TOP(月刊ASCII 1990年5月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

PRODUCTS SHOWCASEをスクラップする。
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PC-9801Tはちょっと変わったフォルムの機械だった。日電も工夫していたのだろうが、こういったちょっと変わった機械は売れてなかったと思う。ユーザが保守的で98に固定したイメージを持っていたので売れなかったと思う。だいたいユーザは98を指名買いしていたので変わった機械を買いたい人間は98を選ばない。
 私は日電の保守的な新機種投入を批判していたが、投入しても売れなければ革新的なマシンを出したくないだろう。我々ユーザが日電をこんな会社にしたのが悪いと思う。
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 PC-9801シリーズの最新ラップトップマシン「PC-9801T」が発売となった。日本電気としては,拡張スロットを持つ初めてのマシンであり,最も速いラップトップの最上位機種である.

業界初の20MHz386SXを搭載

 CPUは,クロック周波数20MHzの386SXと,8MHzのV30を搭載している。20MHzの386SXは先月号のEXPRESSでも紹介したように,Intelが1月末に発表したものである。Tの発表が2月27日なので,1ヵ月のうちに発売された世界初の20MHz版386SXマシンである。
 メインメモリは,FDDモデルの「PC-9801TmodelW2」で640Kbytes,40MbytesのHDDを内蔵した「同W5」で1.6Mbytesを搭載している。そして,本体に内蔵できるメモリの最大容量もちょうど1Mbytes異なる。つまり,W5の1Mbytes分のメモリは,メモリ専用スロットに装着されているのではなく,メインメモリ上に実装されている。
 オプションによるメモリの拡張方法は,従来のラップトップマシンよりも強力で,デスクトップマシンに近いものである。
 まず,内蔵のメモリ専用スロットに,「PC-9801T-01」というメモリボードを挿入する。これには2Mbytesのメモリが搭載されている上,SIMM用のスロットが3つ付いている。ここに,PC-9801-61(2Mbytes)またはPC-9801-54L(1Mbytes)を装着することによって,最大8Mbytesの増設ができ,拡張スロットを使わずに,8.6Mbytes(W5では9.6Mbytes)を内蔵できる。PC-9801LSのメモリ専用スロットは3Mbytes,デスクトップマシンのESでさえ,専用スロットでは3Mbytesまでしか増設できないことを考えると,2倍の威力だ。
 HDDは,インターフェイスボードとHDDを重ねた箱型である.W2にはオプションで,W5では標準で内蔵しており,平均シーク時間28misの40MbytesHDDである(PC-9801T-35).現在のところ,この1種類のみで,20Mbytesや100Mbytesといったドライブはない.
 このHDDは従来のいわゆるSASIインターフェイスで,ドライブの背面にコネクタが付いており,拡張用のHDDを接続することができる.また,ディップスイッチにより,20+20Mbytesと分割しての利用もできる.取り付けは,背面のフタを開けて,スッポリと差し込めばいい.取り外し用のノブも付いているが,エプソンのようにプラスチックのカバーはないので,「持ち運ぶ」という雰囲気ではない.


ホワイトに新スタイル

 本体のデザインもまったく新しいもので,どの98シリーズのラップトップとも類似してはおらず、当然かもしれないが,同じ拡張スロット内蔵のラップトップ型マシンであるエプソンのPC-386LSに似ている.色も,日本電気のラップトップでは初めて白を採用した.
 容積は従来の98用ラップトップ中最大であったPC-9801LSの1.5倍ある。幅は25mm,奥行きは80mm,高さは17mm増しで,床面積だけでも約1.3倍ある.PC-386LSと比べると,幅と高さはほとんど同じだが,奥行きは40mm大きくなっている。重さは,W2で9kg,W5で10.4kgある.PC-386LSよりそれぞれ200gと900g重い.オフィス内か,1つのビル内での移動はできるが,持って歩くものではない.
 フタを開けると,キーボードが現われるのはこれまでと同じだが,さらに,キーボードを取り外すことができる。これも新しいスタイルの1つだ。キーボードの両サイドにボタンがあり,これを押しながら手前に引けば,本体から外れる.本体とキーボードはデスクトップマシンと同じカールコードで接続されている.キーボードにはフタがあり,その中にコードが収納されている.本体から20cm以上離したい場合には,ここからカール部を出してやればいい。また,切り離した場合,キーボードを傾けられるように,下面に蝶番の足が付いている.この足を立てて,キーボードを傾けたほうがキーを打ちやすい。本体の近くでキーボードを打つ場合でも,本体から外して足を立てたほうがいい。
 このキーボード部にはテンキーはない.キーボード右手のコネクタに別売のテンキーボードを接続する。また,本体のコネクタ部は,デスクトップマシンと同じ形状なので,このキーボードを外してしまって,デスクトップ用のフルキーボードを接続することができる.アスキーなどのサードパーティが発売している98シリーズ用のキーボードも利用可能だ。


ちょっと速いディスプレイに新フォントを採用

 ディスプレイ部は白黒液晶で,蛍光灯によるバックライトが付属している.液晶の付いているフタ全体が大きいので,液晶自体も大きいと感じたが,測ってみると225×145mmで,LVやLXなどと同じだ.コントラストとブライトネスの調整ボリュームは,従来の本体左側から,液晶パネルの右に移動している.位置は,98NOTEと同様だが,回転式ではなく、スライド式のボリュームになっている.
 98NOTEでは,液晶画面でかつサイズが小さいということもあり,漢字(2バイト文字)のフォントが従来の98シリーズとは異なる.細かいドットでも見やすいようにと,斜めの線が強調に(太く)なったのだが,これが,今回のTシリーズにも受け継がれている.日頃,デスクトップマシンを使っている人には違和感のあるフォントだ。98NOTEならまだ諦めもついたが,この液晶サイズでは,フォントの「バランスの悪さ」をストレートに感じてしまう.
 液晶の階調表示機能は8階調で,従来と同様に,8色モードでは色コードに対応,16色モードではRGBの組み合わせによって変化する。液晶の反転機能は,従来ディップスイッチを利用していたが,Tでは独立したジャンパスイッチになった.これは扱いにくく,改悪と言っていいだろう.指で抜き差しするのが大変で,先の細い器具が必要となる.アプリケーションによって変更するものとしたら,ディップスイッチよりも操作しやすいようなスイッチにすべきである.
 ちなみに,もう1つのジャンパスイッチはマニュアルに説明がないが,2階調表示のスイッチのようだ。
 ディップスイッチや,ジャンパ,それにボリュームは,FDD下のフタの中にある。フタの横には,電源とHDDのアクセスランプ,リセットスイッチがある。このリセットスイッチも,誤動作を防ぐために奥に入っており,かつ,重く,ストロークも長い。指で押そうと思うと,指の腹ではだめで,爪で奥に押し込む必要がある.
 ディスプレイの下に並んだFDDは薄型で,駆動音はほとんど感じない。アクセス時のモーター音だけで,カチャカチャとヘッドの動く音はない。ドライブの挿入口にはフタが付いており,イジェクトボタンは丸みを帯びて,エプソンのLSシリーズとよく似ている.とにかく,FDDは前面配置になったので,マシンの横に,FDを抜き差しするスペースを確保する必要はなくなった.
 スイッチ類のあるフタの左側も,簡単に外れるフタになっている.ここは,演算コプロセッサ387SXや,メモリ専用ボードの挿入口になっている.


プリンタI/Fにも標準コネクタを採用

 本体の背面には,電源ケーブル,増設FDD,プリンタ,RS-232C,アナログRGBの各コネクタがある。従来のラップトップマシンでは,プリンタコネクタがハーフピッチの小型コネクタであったが,すべてデスクトップマシンと同じになった。
 逆に,電源コネクタは,LSなどではデスクトップと同様のものだったが,エプソンと同様に小型のものに変更となっている.拡張スロットはコネクタ類の上にあり,デスクトップマシンと同じボードが利用できる.エプソンのLSシリーズとは異なり,左右に2つでなく,上下に2つ付いている。これによって,スロット2段分を占めるボードや,2枚を短いケーブルで接続するものが利用しやすい。
 基本的にESの拡張スロットで利用できるボードは使えることになっている.ただし,デジタルRGB出力を必要とするボード(日本電気のビデオプロセッサボードなど)は利用不可となっている。実際に使いたいボードが利用可能かどうかは,カタログや各ボードメーカーのユーザーサポートにチェックするほうがいいだろう.


速度は上々コストパフォーマンスは?

機械語ベンチマークの結果は20MHz80386を搭載しているRAと同様か,10%ほど遅い結果となった。9801LSやPC-386LSなどの16MHz386SXマシンと比べると,23%ほど高速となっている。液晶の反応速度は,LVやLXより多少速くなっているらしいが,方式は同じなので,CRTやプラズマと比べるとまだまだ遅い.MS-Windowsやグラフィックソフトなど,マウスを多用するアプリケーションの利用では,マウスカーソルを見失うことがある。また,CPU速度が向上した分,ディレクトリ表示や,ワープロ,エディタのスクロールが速くなるが,液晶の反応はあまり変わらないので,かえって見にくいということも起こる.
価格は,FDDモデルのW2が54万8000円,HDD内蔵のW5が75万8000円だ。差の21万円は,40MbytesのHDDとメモリ1Mbytes分である.オプションのHDDは17万円だから,1Mbytesのメモリ分は4万円となる.ただし,最大メモリ容量は異なるので、なるべく多くのメモリを使いたいという人はW5を選ぶことになる.PC-386LSは,FDDモデルが53万8000円,40MbytesのHDDモデルは76万3000円だ.Tとの機能差は,FDDモデルでは約1.25倍のCPU速度で,ちょうど1万円高い.HDDモデルでは加えて1Mbytesのメモリ分だけTのほうが優る上5000円安い.
さらに,PC-386LSとTの大きな違いは,本体内にメモリ専用スロットを持つか否かである.PC-386LSには専用スロットがなく,拡張スロットを使ってメモリを増設しなければならないが,Tでは内部で8Mbytes増設可能だ。メモリを増設して利用したい場合,大きな差となる.エプソンのLSシリーズは,当初,LAN用ボードや特定アプリケーションを内蔵して,企業向けや小規模商店への導入用として発売されたが,一般のホビーユーザーにも,省スペース型マシンとして受け入れられた。Tも液晶ディスプレイ付きで,使わないときは簡単に机上から片付けられるという利点から,ESやEXと比べた上で選択される製品となるかもしれない。

この当時パソコンは机上ではなく専用のパソコンラックに置き、天板にはプリンタを置いていた。パソコンが増えればパソコンラックを置くスペースすらなくなり、事務机の上に置かねばならなくなった。パソコンが邪魔かと言えばそうではなく、おいて欲しいという希望者が多かった。本体、モニタ、キーボード、外付けHDDを運び電源ケーブルをタップにつなぎと結構面倒だった。その点PC-9801Tは便利だと思うが、高すぎる。トランスポータブルという言葉があったがPC-9801Tはまさにそんなマシンだった。しかしそれでは事業所用で一般ユーザには売れなかったはずだ。

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 東芝の「DynaBook」に新製品が2機種登場した。従来機種J-3100SS001(以下SSと略)のHDD搭載モデルである「J-3100SS02E(以下SS02Eと略)」と,CPUにi80C286を採用した「J-3100GS021(以下GSと略)」だ.また,従来モデルのSSに白色ボディの「J-3100SSW01」が加わった.

J-3100SS02EHDD内蔵の軽量マシン

 小型/軽量のノート型マシンとして評価の高いSSだが,ハードRAMの容量が少ないため,HDDへの対応が望まれていた。SSのHDD内蔵モデルであるSS02Eは2.5インチの20MbytesHDDを内蔵し,外付けの3.5インチFDDが付いてくる.
 基本的なスペック,外観はほぼ従来モデルと変わらない。ただし,標準搭載のRAMは1Mbytesと,1.5Mbytes搭載のSSより少なくなった。
 SSとの外観的な相違は,右側面のFD挿入口がなくなり,代わりに外付けFDD用のコネクタが付いている程度だ.キーボード上部のインジケータ列にはHDDアクセスランプが付いている.
 重量は2.8kgとSSに比べて100g重い.持ち比べてみると若干重く感じるものの,携帯にそれほど不便はない。内蔵HDDは電源を切るとヘッドパーキングする.
 外部FDDユニットは,105(W)×164(D)×23(H)mmと,システム手帳程度のサイズで厚みもないので,本体と一緒に鞄に入れてもかさばらない.電源はケーブルを通して本体から供給する.FDDユニットはケーブルをコネクタに接続し,本体の右側面に置くのだが,ケーブルの長さが8cm程度しかないので右側以外には置けない。戸外では,場所によってはFDDの配置に困ることもあるだろう.


20MbytesHDD環境が携帯可能に

 HDDは平均シークタイム25msと20MbytesHDDとしては平均的なスピードだが,動作音は非常に静かでアクセスランプがなければ気が付かないほどだ。静かな教室などでも問題にならないだろう.通常はFDDがA,Bドライブ,HDDがCドライブ,以降ハードRAM,RAMディスクとなる.FDDを接続していない場合もドライブ名は同じだ.
 標準搭載のメモリは1Mbytesで,SSと共通の拡張RAMカードにより最大3Mbytesまで拡張可能だ。搭載したメモリからメインメモリの640Kbytesを引いたサイズがハードRAMもしくはEMSメモリとして使用できる。標準メモリでは384Kbytesが使用可能だ。ハードRAMはSETUPJというユーティリティで設定する.
 ハードRAMとはHDDのようにアクセスできるメモリで,システムで管理される。使用する前にフォーマットする必要はあるが,リセットしても内容は消えない。
 RAMディスクはMS-DOSによって管理され,config.sysでramdisk.sysをデバイス登録して設定する。リセットすれば内容は消えるが,フォーマットの必要はない.
 ハードRAMはハードディスクのようにパーティションに分けることができないので,メモリを増設した場合は一部をRAMディスクとして使用するなどの工夫をして使い分けるとよいだろう.
 HDISKというユーティリティを使用すれば,内蔵HDDを最大4つのパーティションに区切ることができる。起動パーティションを設定できるので,別売の英語版MS-DOSと使い分けることも可能だ。MS-DOSの切り替えにはCHGSYSという,他のパーティションをアクティブにして再起動するコマンドが用意されている.
 SSと同じく,SETUPJのメニューでシステム情報を設定できる。設定項目には、ハードRAMサイズ,レジューム機能のON/OFF,画面反転の有無などがある.また、新たに内蔵HDDの自動停止時間の指定が追加された.これは一定時間HDDへのアクセスがないとHDDの回転を停止する機能で,ONにすれば5分から指定できる。一定時間キー操作がないとELバックライトを消灯する自動表示停止に加え,バッテリパック使用時に消費電力を抑えるのに役立つ。HDDの回転が停止している際は,アクセスに若干のタイムラグがあるものの便利な機能だ.
 これらのシステム設定のうち,HDD自動停止や画面反転,レジュームなどの機能は,セットアップウィンドウを画面に呼び出すことで使用中に変更可能だ。
 使用してみると,普段使っているアプリケーションやユーティリティをHDDに入れておき,そのまま持ち歩けるのは非常に便利だ。従来のSSのようにハードRAMの残量を気にしながら最低限のツールを選ぶ必要はない.デスクトップ機では20MbytesHDDは少々不足だが,持ち歩いて使用するセカンドマシンとしては十分だ。また、新しくアプリケーションをインストールしたり,文書などのデータを他のマシンに移す際はFDDを接続する.普段はFDDをしまっておき,持ち歩く際はHDDだけで使用すればよい.
 バッテリパックの使用時間を調べてみた(図2).充電完了した状態から電池切れアラームが鳴るまでと,シャットダウンするまでの平均時間を,HDDの自動停止をONにした場合とOFFにした場合について計測した。バックライトの輝度は最大にしている.参考にSSでのテスト結果(FDDアクセスなし)も掲載する.
 SS02EではHDD自動停止を設定していると130分余りで電源が切れる.カタログにある120分より10分ほど長いが,安全値のレベルだろう.SSと比べると約2割ほど短くなっている。
 HDDの自動停止を切っていると,バッテリパックの持続時間は20分程度短くなる。HDD自動停止を設定しておくほうが、長く使うのには有効だろう.
 次にELバックライトの輝度を最小にして試してみた.この状態では文字は見にくいが,何とか利用できる。結果は電源が切れるまで約180分利用できた。ELの消費電力が大きいことが分かる。


J-3100GS DynaBookシリーズの最上位機種

 GSはDynaBookシリーズの最上位機種だ。CPUはi80C286(12MHz)を使用し,3.5インチFDD1台と20Mbytesの2.5インチHDDを内蔵する重装備のノート型マシンとなっている。
 標準搭載のメモリはSS02Eと同じく1Mbytesで,メインメモリ640Kbytesを除く384Kbytesをプロテクトメモリ,EMS,ハードRAMとして使用できる.SS同様に電源を切ってもメモリ内容をそのまま保持するレジューム機能を持つ。
 本体のサイズはSSやSS02Eと比べると奥行きで26mm,高さで6mm大きい.HDD内蔵で,SS同様にモデムカードも内蔵できることを考えるとコンパクトにまとまっている.
 重量は3.6kgと,SSに比べると900g重くなっている。本体側面は右側にFDDが1台あるのみで,パワースイッチや電源コネクタなどは背面にある.
 底面には手前にキャリングハンドルが,後端の左右には本体をチルトさせるための足が付いている.本体が若干厚めなので,多少チルトさせたほうがキーボードを打ちやすいが,足の部分が少々貧弱で強度的な不安が残る.
 上面後部の中央に装着されているバッテリパックはSSと共通だ。従来のSSやSS02Eでは,バッテリが充電されていない場合や外している場合は電源を入れることができなかったが,GSではACアダプタを接続すればバッテリパックなしでも使用できる.
 本体底面にあるスロットには,2Mbytesのメモリボードを2つ取り付けることにより,搭載メモリを最大5Mbytesまで増設できる.搭載したメモリはハードRAM,プロテクトメモリ,EMSメモリの3つの使用方法がある。プロテクトメモリは絶対アドレスが1Mbytes以上にあるメモリ空間で,i80C286のプロテクトモードでアクセスされる.アプリケーションから使用するほかに,RAMディスクとして使用できる。SSとの違いはRAMディスクをプロテクトメモリ上に作成する場合,EMSドライバを設定する必要がない点だ。ハードRAMやEMSメモリはSSと同様にSETUPJユーティリティやconfig.sys内で設定できる.
 拡張メモリボードはGS専用で,SS用増設RAMカードとの互換性はない.1個で13万円と,SS用の2Mbytesカードの14万円より若干安価になっている.
 SSと同じく,日本語入力FPとしてATOK7が付いている.SSでは辞書がROMにあったが,GSでは辞書ディスクとして添付されている.
 ハードRAMやRAMディスク上に辞書を置けば日本語変換が高速になるが,標準搭載のメモリでは320Kbytesなので,ATOK7の辞書は入り切らない.日本語変換の速度は,ROM辞書とハードRAMを使用するSSよりも若干遅い。
 液晶ディスプレイはFLサイドライト方式で,側面にある冷陰極管を光源とする。SSのELバックライト方式よりも輝度が高くコントラストを強めに設定できるので、蛍光灯などの光が映りこむ場合でも見やすい。
 付属のMS-DOSVer.3.10は,HDD関連のコマンドなどはSS02Eとほぼ同一だ.SETUPJ,またはセットアップウィンドウでレジューム機能のON/OFFやハードRAMの指定,HDDの自動停止を設定できる.
 SS02EではHDDは5分から,バックライトは3分から自動停止を設定できるが,GSはHDDが3分,バックライトは1分から設定可能になっている.


高機能ノート型マシンのパフォーマンス

 3.6kgという重量は持ち歩くには少々重いが,PC-9801LXなどのHDD内蔵型ラップトップマシンに比べると軽く,膝の上で使用してもさほど苦にならない.
 とはいえ運搬時はSSのように小脇に抱えるのは難しく,キャリングハンドルを持つことになる。これは底面の前端部分に収納されている小さなT字型のハンドルだ。GSの重さならば小型のキャリングハンドルでも強度は十分かもしれないが,実際に持つと安定感に欠け、長い間持つにはつらいものがある.
 使用してみると,SSのいまひとつ遅い操作性と比べると高速で,キビキビと動く感じだ。GSはSSと同じく漢字VRAMを持たないので,スクロールや文字出力の速度は同クラスのデスクトップ機よりは遅いものの、処理速度の向上により機敏な操作にも十分付いてくる.
 ベンチマークテストの結果では,SSに比べてスクロールが約2倍,文字出力が約1.8倍高速になっている(図1).
 SS用の一太郎dashをHDDにインストールして使用してみた。スクロールは高速で,SSでのもどかしい感じはない。ためしに一太郎dashで400行のスクロールにかかる時間を計測してみたがSSより約1.6倍高速化している.
 しかし,編集のメニューから処理を選択する場合など,SSでの使用よりも若干時間がかかる場合もあった。これは一太郎dashが処理の選択時や実行時にファイルを読み込むため,ハードRAMよりアクセスの遅いHDDでの使用では,かえって遅くなるためだ。SSのハードRAMでの使用を前提とした専用アプリケーションでは,頻繁にアクセスするファイルをハードRAMに置くなどの工夫をするとよいだろう.
 バッテリパックでの使用時間も,HDD自動停止を設定すれば約140分使用できる。カタログにある約90分よりは長いが,HDD自動停止を設定していない場合は90分弱しか使用できない(図2)FLの輝度を最低にすると持続時間は若干伸びるものの、持ち歩いて使用するには少々苦しい。輝度が最小でもSSのELと比べて明るいので,バッテリでの使用時は輝度を抑えて使用するほうがよいだろう.


 両機種を使ってみて、若干の不満があるとすれば従来のSSのものより大きなACアダプタが挙げられる.SS用のものが110(W)×67(D)×39(H)mmだったのに対し,SS02E,GSともに145(W)×55(D)×43(H)mmと,体積比にして約2割大きく,ケーブル込みで500gだったのが600gと2割重い.
 消費電力の増加からACアダプタが大きくならざるを得なかったのだろうが,できればSSのものよりもさらに小さくしてほしかった.
 また,SS02Eの32万8000円,GSの49万8000円という価格は,同クラスのラップトップ機であるPC-286LE(50万3000円)やPC-9801LX4(58万8000円)と比べると安価なのだが,SSの発売当初に話題となったほど「安い」という実感はしない。「HDD内蔵」と「80C286とHDD内蔵」という,今回付加された価値と,この価格をどうはかりに掛けるかになる.
 これらの機種と同時に発表されたJ-3100GLには,漢字VRAMが追加された.詳しい資料が到着していないので今回は触れないが,J-3100シリーズでもスーパインポーズや表示の高速化などが期待できるものと思われる.
 ちなみに,SS02EとGSには,海外向け仕様のT1000XEとT1200XEがある.これらにはSSの海外向け仕様のT1000SEと同じくMS-DOSがROMに搭載されている.T-1000XEでは外付けFDDユニットがオプションになっており,ファイル転送プログラムのLap-LinkをROMで搭載している.
 日本でも,SS02EのFDDなしでMAXLINK付きとか,SSと同じFDのみの286マシンなど,これからもラインナップを増やしてほしいところだ。
(行正)

「従来のSSやSS02Eでは,バッテリが充電されていない場合や外している場合は電源を入れることができなかったが,GSではACアダプタを接続すればバッテリパックなしでも使用できる」これはSS(初代のDynaBook)でも欲しかった機能だった。私はDynaBookはセカンドマシンとしての用途だったからHDDは必要なかった。そんな大きなアプリケーションを使いたいとは思わなかった。たまにしか使わないアプリはFDに納めていた。
 初代DynaBookはバランスの取れた名機だと思う。価格、重量ともに後継機種より優れていると思う。メモリはあった方が嬉しいが価格に難があった。また、HDDはセカンドマシンとして使う以上必要は無かった。何回か書いたが、レジューム機能が気に入って買った機械だった。
 文章入力ならワープロは必要なかった。テキスト処理、計算はjgawkで十分だった。
 MAXLINKは良かった。VzとMAXLINKにjgawk、これらがあるので十分使えた。通信ソフトは何を使っていたのか思い出せない

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三洋電機から低価格のAXマシン「MBC-18SJH(以下18SJHと略)」が発売された.MS-DOS,MS-WindowsなどをあらかじめHDDにインストールしていて,MS-Windowsには独自のグラフィックユーザーインターフェイスであるWavyDesktopが付く.AXは現在,企業向けに多く販売されているが,18SJHはシステムのセットアップを不要にしたことなど,この枠を広げる新しい試みがなされている.
インストール済みでセットアップ不要

 CPUには,クロック周波数16MHzの80386を採用している.メモリは,1Mbytes搭載しており,メインメモリに640Kbytesを割り当てた残りの384Kbytesは拡張メモリとなる(表1).
 モデルは,3.5インチFDD1ドライブと40MbytesのHDDを搭載した1種類だけだ。このHDDは,6Mbytesと34Mbytesにパーティションが切られている.6Mbytesのほうには,出荷時にMS-DOSVer.3.2,MS-WindowsVer.2.1,日本語入力FPのVJE-βVer.2.11といったシステムがインストールされる.384Kbytesの拡張メモリをMS-Windows用のXMSで利用する環境設定で出荷されるため、電源を入れるだけで,自動的にMS-Windowsが起動し,WavyDesktopまで立ち上がる.
 HDDにパーティションが切られているのは,6Mbytesのほうはシステム専用として使い,ユーザーが誤ってファイルを消したりしないための配慮だ.
 本体は縦置きが基本で,正面の面積は小さいが,奥行きがある(写真1)。正面には,電源スイッチ,FDDが1ドライブとキーボードロック用のキー,マウスコネクタが付いている.MS-Windowsが付属していることもあり,マウスが標準で装備されているのは評価できる点だ。キーは,右側に1/4回転でロック,さらに1/8回転でリセットとなっている。このリセットは,キーボードによるリセット(CTRL+ALT+DELのできないようなソフトでも動作するのが便利だ。ただ,ロックをするとき,回しすぎるとリセットしてしまいそうで恐い。ロックとリセットは反対側にしてほしい.
 拡張スロットは5つあり,1つはJEGAボード,そして,もう1つはCPUボードに使われている(写真2).そのため,ユーザーが増設できるのは3つだが,そのうちの1つは8bitバスである。
 また,AX規格自体の問題でもあるが,FDDが1.2Mbytesのディスクを読み書きできないので,98シリーズとのデータ交換には,720Kbytesのディスクを使うことになる.5530Zはオプションとはいえ,1.2Mbytesの読み込みができるFDDを用意している.J-3100もSGXとGLでは1.2と1.44Mbytesの読み書きができる(その他の機種では逆に1.44Mbytesの読み書きはできないが,1.2Mbytesの読み書きが可能だ)。
 グラフィックに関しても,IBMPS/2は,VGAが標準となっている.3.5インチディスクのソフトもVGA対応のものが増えてきている.AXにもVGAに対応したマシンを出してほしいところだ。

(中略)

HDDが付いてRA21とほぼ同価格

 マシン自体の速度は,グラフ1のベンチマークテストの結果でも分かるように,クロック周波数16MHzの80386マシンの平均的なものである.旧RAとの比較でも,addがほんの少し遅く,mul,nopでは勝っていた。ただ,表示のscrlとstroutの遅さは気になるところだ.
 価格は,49万5000円とRA51に比べ約17万円安い。その上,18SJHにはMS-DOS,Windows,VJE-β,マウスが付属している.RA51にこれらを加えた価格は71万円ほどになり,その差は約21万円だ3.5インチFDDが1ドライブであり,クロック周波数が16MHzであることを差し引いても,お買い得なマシンということが分かる。また、同じAXマシンのQuarterLは,40MbytesHDD付きで49万8000円と3000円高い。しかも,こちらはSCSIインターフェイスが付属してはいるものの,マウスが付属せず,その上,CPUは80386SXである.18SJHのコストパフォーマンスの高さが分かる.
 有名ソフトの多くは,すでにAXに対応しているため,使いたいアプリケーションがその中にあれば不便はない.その上,海外の優秀なソフトもいち早く使えるわけだ。特に,グラフィックソフトやゲームでは日本にはないような優秀なソフトが多いので,そんなソフトを使ってみたいという人には最適なマシンだ。

(小林)
この当時Windowsのプリインストールマシンは珍しい。流石、企業向け。
マウスが付属も当時は珍しかった。
PC-9801とのフロッピーディスクの互換性に注意が必要だったのを思い出した。2DDが共通通貨のようなものだった。
 対応ソフトが多いといったってPC-9801には豊富なゲームソフトがあるのでそれらが動かないのでは一般ユーザには受けなかった。企業にどれだけ売れるのかが勝負だったので「特に,グラフィックソフトやゲームでは日本にはないような優秀なソフトが多いので,そんなソフトを使ってみたいという人には最適なマシンだ。」は見当違いだ。

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 昨年9月,Apple Computer社はMacのラップトップモデルMac Portableをようやく発表した。可搬型のMacを望む声は以前より市場に根強くあり,待望の発表だった.
 Apple社純正のラップトップは,このPortableが最初だが,それ以前に可搬型のMacがなかったかというとそうではない.以前から,米Colby社などがMacのマザーボードを利用した互換ポータブルマシンを販売していた.しかし,数はそんなに出回っていたわけではない.
 なぜMacの互換マシンは,IBMPCの互換マシンのようにたくさん販売されていないのだろうか?その答はMacのROMにある.MacのROM中には,マシンの中核となるシステムソフトウェア部が含まれており,これなくしてはMac環境を構築することはできない。かといって,これと同等のものを独自で開発するのは極めて困難だ.MacのROMをコピして自社製のマシンに搭載するなどということをすれば、市販ソフトウェアを無断でコピーして販売するというのと同一の違法行為となる.
 この問題を回避するために考え出されたのが,Apple社の純正マザーボードを利用して,互換マシンを作ってしまおうというものだ。これならば,ROMに関してはまったく問題がないといえる。


Plus,SE,SE/300マザーボードを利用したラップトップ

 今回紹介する台湾DTC Technology社が開発した「M-TOP」も,上記のApple社マザーボード利用型のラップトップだ。マザーボードを中心に,電源部,液晶駆動部,ドライブなどの構成部品をラップトップの本体に組み込んでいる(写真1).ボディ本体は,IBMPC互換のラップトップのものを流用しているようだ。サイズは,315(W)×420(D)×105(H)mm,重量はHDDを搭載して6.5kgApple社のマザーボードを利用している関係上,筐体サイズをこれ以上極端に小型化するということは望めそうにもない。
 マザーボードは,ユーザーの要求に応じて,Plus(68000,クロック周波数8MHz),SE(同),SE/30(68030,同16MHz)の中から選択できる.ユニークなのは、筐体・液晶・電源・FDDのみでマザーボードなしの製品「M-TOPKIT」があることだ。これに,Mac512,Plus,SE,SE/30のマザーボードを取り付ければ,ラップトップとして機能する。すでにPlusやSEを持っているユーザーが,マザーボードをこのKITに入れ替えて持ち運ぶなどということも可能というわけだ。
 外部記憶装置としては,容量800Kbytesの3.5インチFDDを1台搭載している.SEとSE/30のマザーボードを使用したモデルには,容量40Mbytesの3.5インチHDDを標準で内蔵している.Plusモデルには,HDDあり/なしの2モデルが用意されている.
 表示デバイスには,バックライト付きのモノクロ2層STN液晶ディスプレイを採用している。バックライトを採用したことで,視認性は非常に良い(写真2,3).MacPortableよりも見やすいくらいだ.しかし,応答速度の面では格段に劣ってしまう.マウスを勢いよく動かしたりすると、カーソルを見失ってしまうといったこともあった。アクションゲームなどの実行には支障をきたすかもしれないが,通常のアプリケーションを使用する分には問題はないだろう.
 解像度640×400ドットのユニットを使用してはいるが,512×384ドットの部分しか使用していない。これはPlusなどと同じ画面サイズだ。液晶ディスプレイ部は,簡単に取り外すことが可能になっている.
 メインメモリは,標準で2Mbytes実装されており,Plus,SE仕様のものが最大4Mbytesまで,SE/30仕様のものが最大8Mbytesまで増設可能だ.Mac Portableは,現状では最大で2Mbytesまでしか実装できない.漢字Talk6.0上で大型アプリケーションを動かすとか,MultiFinderを使って複数のアプリケーションを実行させる,などという用途の場合はM-TOPのほうがよいかもしれない。増設するメモリは通常のSIMMでよく,DRAMの価格が急落した昨今では安価にグレードアップができるだろう.
 本体後部には,ADB,マウス,外部FDD,SCSI,プリンタ,モデム,オーディオの各ポートが出力されている.これら以外に,ビデオポートも用意されていて,オプションで発売予定の外部CRTディスプレイを接続することもできる(写真4)
 マウスが標準装備されているが,ラップトップという使用環境を考えると必ずしもマウスが使いやすいとは限らないだろう.トラックボールなどの他のポインティングデバイスの採用も考えてほしい。電源はACのみ。バッテリ駆動モデルがぜひ欲しいところだ。
 今回は,Plusのマザーボードを使った40MbytesHDD内蔵モデル「M-TOP2MH」を使用したのだが,ソフトウェアや周辺機器の互換性にはまったく問題はなかった。純正のマザーボードを使っているわけだから当たり前のことではあるが.ちなみに,システムソフトウェアは標準添付されていないから,日本語環境を使いたい場合にはアップルコンピュータジャパンが販売している漢字Talk6.0アップグレードキットを購入する必要があり,英語環境を使いたい場合には大手ネットワークに登録されているSystem6.0.4をダウンロードする必要がある.
 今後,2400bps内蔵モデム,外部モノクロCRTディスプレイ,外付けFDD,バッテリ電源アタッチメントなどがオプションで順次供給される予定となっている.価格であるが,M-TOP2Mが58万円,同2MHが68万円,同SE030Hが116万円,同KITが38万円となっている.同SEHは今のところ価格未定だ。シリーズ中のエントリーモデルである2Mは,同様の構成のMacPlusに比べて20万円強の割高となる.最上位機種のSE030Hは,Mac Portableと同等の価格だ。
 純正のマザーボードを使っているとは言っても,Apple社から直接サポートを受けられるわけではない.リスクを考えた上で,この価格を高いととるか安いととるかは,ユーザー次第といったところだろうか.
(永瀬)

本家のマザーボードを利用するのは分かったがどうやって入手したのだろうか。Appleがマザーボードだけを売ったのだろうか。
この当時、台湾はこのマシンのように世界(まあ米国だが)を相手にした商売をしていた。ガラパゴス化した日本とは違っていた。このことがその後の成長に繋がっていたのだろう。日本も日電以外は日本の一般ユーザ向け市場はあきらめて台湾のように力を世界向けに注げば良かったのだろうが、そうするとまたダンピングだと叩かれたような気がする。
際物マシンで博物館用のコレクションとしてはありかもしれないが、まあ全然一般ユーザ向けではない。やろうと思えばこういうこともできますよという例としてのマシンだったのだろう。

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