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TBN,MS-DOS,RPG,顔文字(月刊ASCII 1990年2月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

TBNの「なんでも相談室」、MS-DOSユーザーズ・ワークベンチ、テーブルトークRPG、顔文字の記事をスクラップする。

TBNのなんでも相談室をスクラップする。
Printできない文字がある?
Q:MS-Cのprintf文で“表”という漢字を出力しようとしても,うまくいきません.ほかの漢字は大丈夫なのに,なぜでしょう.
Q:MS-Cのコマンドラインでは,“表”というパラメータがうまく処理されません.なぜですか.

A:このお二人の質問だけでは意味が分かりにくいと思うので、簡単な例で説明します。
 最初の質問は,MS-Cでリスト1のようなプログラムをコンパイル・実行した場合,出力が
This is test of 表1.
とならずに, This is test of 浮P.
のように乱れてしまうというような症状です.
 2番目の質問は,たとえば“数表計算.C”というC言語のソースファイルをMS-Cでコンパイルすると,“数表”という文字が抜けた“計算.obj,計算.exe"というファイルができてしまうような症状です(リスト2).
 結論から言えば,これらの症状はお使いのMS-Cが漢字コードに完全には対応していないために発生していると考えられます。では、なぜ“表”という文字に限ってこのような症状が出るのでしょうか.この原因について考える前に,MS-DOSでの日本語(漢字)の取り扱いについて簡単に説明しましょう.
 もともとMS-DOSは英語(1バイトコード)での使用を前提に作られました。ですからファイル名やテキストファイルに使えるのはアルファベットと若干の英記号(ASCII文字セット)に限られていました.この英語版MS-DOSを改造して2バイトコード(漢字コード)を扱えるようにしたのが,いわゆる日本語MS-DOSです.
 日本語MS-DOSで使われる漢字コードはMS漢字コードと呼ばれ,JIS漢字コードを一定の規則でずらしたものです。俗にシフトJISコードと呼ばれているものとほぼ同じです.1バイトコードとMS漢字コードが区別できるように,MS漢字コードの1バイト目には1バイト文字コードでは使われていない81h~9Fhの領域を割り当てています(2バイト目は,1バイト文字のコードに重なって割り当てられています).
 MS-DOSの入出力ルーチンは,1バイトずつの入出力が基本になっているため,このままでは正しく2バイト文字を取り扱うことができません.そこで日本語MS-DOSの画面出力ルーチンなどでは取り込んだ1バイトがASCII文字コードの領域から外れている場合は,次の1バイトと組み合わせて1つの2バイト文字として出力するようにしています.
 しかし,このようにして日本語に対応したMS-DOSのもとでも,アプリケーション自身が完全に対応していない場合には問題が起こります.
 ご質問のケースでは,MS-Cのprintf関数やコマンドラインの解釈ルーチンに問題があると思われます.
 C言語のprintf関数は,出力のフォーマットを指示する文字列と出力する変数や定数をパラメータにとります。フォーマット用の文字列には,特殊な意味を持つ文字が含まれています。特に,“¥”という文字(英語の文字セットでは"\")は,その次の1文字と組み合わせて改行,改ページ,タブ,エスケープコードなどの制御コードを表わすために使われます.たとえば,
printf("ASCII ¥n issue ¥t %d.",150);
という文中で"¥t”は2文字で1つのTABコード(09h)を,“¥n"は1つの改行コード(MS-DOSではODh+OAhの2バイト)を表わしています。 問題になっている“表”という文字は,MS-DOSでは“955Ch”という2バイトのコードで表わされています。ところが,この2バイト目はASCII文字の“¥”と同じコードになっています.MS-Cなどで,質問のような症状が出るのは,実はこのせいだったのです.つまり,printf文をコンパイルする際,コンパイラが“表”の2バイト目のコードを"¥"と勘違いして,次の1バイトと組み合わせて1つの制御コードと見なしたり,対応するコードが定義されていない組み合わせならば“¥"のみが無視されて抜け落ちてしまうわけです。もちろん,“表”以外でも,“¥”を2バイト目に持つ漢字なら同様の症状が起きます(表1).
 実例で説明しましょう.リスト1のCプログラムをコンパイルしたオブジェクトファイルをダンプして,printf文の制御文字列に当たる部分を調べてみます(リスト3).すると“955Ch(表)”となるはずの部分が,“95h”しか残っていないことが分かります.このため“95h"と次の“82h”が組み合わされて,“浮”という漢字が表示されてしまうわけです。
 コマンドラインからのファイル名などがうまく解釈できないのも,MS-DOSでは"¥"がパス名の区切りに使われている特殊な文字であるためだと考えられます。
 もっとも,きちんと日本語に対応しているアプリケーションならばこのようなことは起こらないはずです.たとえば同じC言語の処理系でも,Turbo Cではprintf文中の漢字は正しく処理されます。しかし,コマンドライン中のファイル名では,似たような症状が発生します。
 では,MS-Cでは“表”という漢字を使うことはできないのでしょうか.実は,MS-Cでも“日本語版”と表記されているものならば,コンパイル時に“/J”というオプションをつけるだけで,printf文中などの漢字コードを正しく解釈できるようになります(ただし,コマンドラインの問題は解決されません).
 日本語対応でないMS-Cや“/J”オプションをつけない場合でも,問題のある漢字(2バイト目が“¥”の漢字)の直後に,(半角の)“¥”をつけ加えるだけで,正しく処理されるようになります.これはCのprintf文などの書式指定文字列中では,“¥”が2つ並んでいる場合は特殊文字とみなさずに1つの文字“”そのものであると解釈するからです.つまり,“表”の2バイト目の“¥"と直後の“¥"を合わせて1つの“¥”になり,“表”の1バイト目とそのまま組み合わされて正しい “表”のコードがオブジェクトファイルに出力されるわけです(図1).
 コマンドラインの問題に関しては,漢字でファイル名をつける必要はないのでそれほど困ることはないと思いますが,解決の方法は残念ながら分かりませんでした.もし,うまい解決法をご存じの方がいらっしゃいましたら,ぜひお知らせください。  (竹田)

注:全角の¥は半角として読む。
ASCII1990(02)h01printできない文字リスト1_W338.jpg
ASCII1990(02)h01printできない文字リスト2_W520.jpg
ASCII1990(02)h01printできない文字リスト3_W520.jpg
ASCII1990(02)h01printできない文字表1図1_W357.jpg
そうだった。「表」はよく使う字だったので悩まされた。あと「能」も可能とか性能とかで出てくる。表1はメモにして机の上に置いていた。
※2023/04/18 追加編集※
33年前の問題だと思っていたが、なんと現在もあった。
ITmediaNEWSにSwitchの新作ゲームでこの問題があった。
キャラ名に「ソ」があると画面がフリーズ Switchの新作ゲームにバグ 制作会社が謝罪
なんともはやどうしたもんだか。
歴史を学ぶというのは大事だと重ねて思った

広い部屋が欲しい……
Q:MS-DOSの640Kbytesというメモリ空間の壁を破る手段として,EMSのほかにDOS Extenderというものがあると聞きました.それはどういうものなのでしょうか?
A:DOSExtenderとは,640KbytesというMS-DOSの使用可能メモリ領域の制限を打破するために考えられた,ソフトウェアのアイデアの1つです.
 EMSがデータ領域に利用するメモリ容量の拡張を主たる目的としていることに対し,DOS Extenderはコード領域に利用するメモリ領域を拡張することを中心に置いている点が特徴です。とはいえEMSで拡張されたメモリ領域に実行コードを置けないわけではありません。ただそれには非常に高度な技術が要求され,実用的ではありません。
 EMSがあくまでMS-DOSの機能に640Kbytesを超えるメモリ領域へのアクセス手段を付加するものであるのに対して,DOS ExtenderはCPUが本来持っている能力を引き出すことによってメモリ領域の拡張を図ります。これが,両者の最も大きな違いです.このことを,もう少し詳しく説明しましょう.EMSは,拡張領域として利用するメモリ(多くの場合はアドオンメモリボード)をドライブするソフトウェアであり,ハードウェア(特にCPU)による違いはありません.市販されている製品の中には特定のハードウエア(CPU,メモリボード)を搭載していないと動作しないものもありますが,規格として定められているわけではありません.ちなみに現在のEMSの主流をなしているのは,米国のLotus,Intel,Microsoftの3社が合同で発表したLIM EMSと呼ばれる規格です.
 一方のDOS Extenderは,多くのMS-DOSマシンのCPUに使用されている80286/80386が備えている本来のアドレスバス幅を十分に活用することで,640Kbytesを超えるメモリ領域を利用可能にするものです.通常MS-DOSのもとでは,80286でも80386でもそれらのCPUの本来の姿(プロテクトモード,あるいはネイティブモードという)で利用されているのではなく,8086互換(リアルモード)で動作しています。そのため32bitのアドレスバス幅を持つ80386を搭載したマシンでも,MS-DOSで利用する限りは8086と(動作速度を別にして)なんら変わることのない状態で,CPUの本来の能力を半分も使い切ることなく利用されているのです.DOS Extenderは,MS-DOSのもとで8086互換のリアルモードで動作している80286/80386を,DOS Extenderに対応したアプリケーションが動作するときにのみ一時的にそのCPU本来のプロテクトモードに変更し,640Kbytesを超えるメモリ領域の利用を可能にするものです。同時に,80286/80386の持つインストラクションセットの利用も可能にします。
 さてその仕組みですが,DOSExtenderには現在いくつかの製品があり、ぞれぞれが別の方法で先に述べたような機能を実現しています。代表的な製品としては米国Rational Systems社製の「DOS/16M」と,米国PharLap社製の「386|DOS-Extender」の2つがあります。どちらも,国内ソフトハウスから国産MS-DOSマシン向けに移植されたものが販売されています(それぞれの製品の問い合わせ先は,最後にあげておきます).
 DOS Extenderの本体コードは,アプリケーションプログラムまたはランタイムライブラリの形態をとっています。これはDOS Extenderに対応した(DOS Extenderを利用するためのライブラリをリンクした)アプリケーションを利用するときにのみ有効になり,リアルモードからプロテクトモードへの変更を行ない,プロテクトモードで動作するアプリケーションとMS-DOSとの仲介の働きをします。プロテクトモードのアプリケーションが終了すると,DOS ExtenderはCPUをもとの動作モード(リアルモード)に戻し、通常のMS-DOSアプリケーションの動作を保証します(図2参照).
 つまり,DOS Extenderは既存のアプリケーションでメモリの拡張領域を利用可能にするものではありません.DOS Extenderで拡張されたメモリ領域を利用するためには,そのDOS Extender専用のアプリケーションが必要になります。
 一方のEMSも対応するアプリケーションでなくては拡張メモリを利用することができないとはいえ,アプリケーションの大手ベンダー主導で考案したものであるだけに市販のアプリケーションでもEMS対応のものが増えています。その点,アプリケーションユーザーにとっては手軽なメモリ拡張法であるといえるでしょう.
 そうしたことをふまえた上でDOS Extenderの利点をあげるとするならば,やはりCPU本来の機能を生かしたアプリケーションの開発にあるのではないでしょうか.現行のMS-DOSと変わらない操作環境のまま80286/80386の本来の能力を生かしたアプリケーションが利用可能になるのは魅力的です.ただ,ひとくちにDOS Extenderといっても、製品ごとにまったく別のものであること,またそれらに対応するアプリケーションが現時点では皆無にひとしいことなどから,アプリケーションユーザーにとって,今すぐに役立つというものではないようです.
(樋田)

DOS Extenderは日本語TEXで使った。
注:DOS Extenderの図2は無かった。

MS-DOSのフォーマットの違い
Q:同じMS-DOSの2HDディスクなのに,IBMPCのディスクをPC-9801では読むことができません。IBMとPC-9801のフロッピディスクのフォーマットの違いを教えてください.
A:フォーマットとは,コンピュータがデータを読み書きできるように前もってディスク面に区切りを入れてデータを記録するときのガイドラインを作る作業です.真っ白な紙に文章(データ)を書き込もうとすると,文字の大きさや1行の文字数,右書きか左書きか,上から書くか下から書くかなどの書式がばらばらになってしまいます。人間なら書式がばらばらでも読み書きできますが,コンピュータではそうはいきません.フォーマットは真つ白なディスクに罫線を引いて,書式を決めてやる作業と考えれば分かりやすいと思います。
 MS-DOSの場合、図2のようにディスク面を区切っています。同心円状の区切りをトラック,それを放射状に区切ったものをセクタと呼びます.表2にMS-DOSで主に使用されているフォーマット形式をまとめてみました。一般に同じ2HD,2DDと呼ばれるフオーマットにも,セクタの数やトラック数の違うものがあることが分かります.
 ご質問のIBM PCとPC-9801がどのフォーマットを採用し,使用できるかをまとめたのが表3です.ご覧のように,IBM PCとPC-9801が標準で使用しているのは違うフォマットなのです.ただし,読み書きもしくは読み取りだけはできるフォーマットも存在するので,それを利用することでファイルの互換を図ることができます.
 それらのフォーマットを使用する際には,たとえばPC-9801でディスクを2DD/9セクタフォーマットをするときにはformat /9,IBM PCで2DD/8セクタフォーマットをするにはformat /8,というようにformatコマンドにパラメータをつけることで指定します(表4,5参照)なお,実際の データの読み書きの際には,DOSが自動的にフォーマットを判断し,そのフォーマットに合わせて処理します。
 日本語化されたIBM PC互換機のフォーマハットは,基本的にはIBM PCと同じです。ただし、機種によっては2HD/8セクタフォーマットを読み取ることができるものがあったり,2HDフォーマットがIBM PCと異なるものもあります(表6).
 J-3100の3.5"ディスクは2HDと呼ばれますが,2HD/18セクタフォーマットではなく2HC/15セクタフォーマットと同じものを使用しています.また,2HD/8セクタフォーマットの読み書きはサポートしていますが,3.5"2HD/18セクタフォーマットは読み取り,書き込みができません。またAXの規定では読み書きできないことになっているフォーマットでも,メーカー,機種によっては読み書きできるものもあります。
 なおIBM PS/55や5500といった日本IBMの機種の中にも,2HD/8セクタフォーマットを読み書きできるものがあります。
(加藤)


ASCII1990(02)h03DOSフォーマット図2_W353.jpg


表2 MS-DOSで主に使用されているフォーマット形式
フォーマット形式容量1周のセクタ数トラック数1セクタの容量
1.44Mbytes/18セクタ(2HD)1,457,664bytes1880×2512bytes
1.2Mbytes/18セクタ(2HD)1,250,304bytes877×21024bytes
1.2Mbytes/15セクタ(2HC)1,213,952bytes1580×2512bytes
720Kbytes/9セクタ(2DD)730,112bytes980×2512bytes
640Kbytes/8セクタ(2DD)649,216bytes880×2512bytes
360Kbytes/9セクタ(2D)362,496bytes940×2512bytes
320Kbytes/8セクタ(2D)322,560bytes840×2512bytes
180Kbytes/9セクタ(1D)179,712bytes940×1512bytes
160Kbytes/8セクタ(1D)160,256bytes840×1512bytes
250Kbytes/26セクタ(1S)252,416bytes2677×1128bytes



表3 IBM PCとPC-9801シリーズのフォーマット
PC-9801
8"
PC-9801
5"
PC-9801
3.5"
IBM PC
8"
IBM PC
5"
IBMPC
3.5"
1.44Mbytes
18セクタ(2HD)
×××××
1.2Mbytes
8セクタ(2HD)
×××
1.2Mbytes
15セクタ(2HC)
×××
720Kbytes
9セクタ(2DD)
××
640Kbytes
8セクタ(2DD)
××
360Kbytes
9セクタ(2D)
××
320Kbytes
8セクタ(2D)
××
180Kbytes
9セクタ(1D)
××
160Kbytes
8セクタ(1D)
××
250Kbytes
26セクタ(1S)
××××

◎:通常使用されているフォーマット
○:通常使用されないが,読み書きできるフオーマット
△:読み取ることはできるが,書き込むことができないフォーマット(ユーティリティなどの使用によっては可能なときもある)
×:読み取り,書き込みがまったくできない,もしくは存在しないフォーマット


表4 PC-9801のformatコマンドのパラメータとフォーマット形式
/6/m省略
/9720Kbytes/9セクタ(2DD)指定不可720Kbytes/9セクタ(2DD)
省略640Kbytes/8セクタ(2DD)1.2Mbytes/8セクタ(2HD)メニューより8セクタの2HD/2DDを選択
format [Drive:] [/6 or /m] [/9]という形で指定する.


表5 IBM PC(5")のformatコマンドのパラメータとフォーマット形式
/8320Kbytes/8セクタ(2D)
省略ドライブにより360Kbytes/9セクタ(2D)か1.2Mbytes/15セクタ(2HC)を切り替え
format [Drive: ][/8]という形で指定する.
3.5"では,8セクタフォーマットを行なうことができない.


表6 IBM PC互換機のフォーマット
J-31003.5"AX5"AX3.5"PS/553.5"
1.44Mbytes18セクタ(2HD)××
1.2Mbytes8セクタ(2HD)×
1.2Mbytes15セクタ(2HC)×
720Kbytes9セクタ(2DD)
640Kbytes8セクタ(2DD)
360Kbytes9セクタ(2D)×
320Kbytes8セクタ(2D)×
180Kbytes9セクタ(1D)×
160Kbytes8セクタ(1D)×
◎:通常使用されているフォーマット
○:通常使用されないが,読み書きできるフオーマット
△:読み取ることはできるが,書き込むことができないフォーマット(ユーティリティなどの使用によっては可能なときもある)
×:読み取り,書き込みがまったくできない,もしくは存在しないフォーマット
AXは規格によって定められたもの,メーカー、機種によっては×のフォーマットが読み書き可能なこともある.PS/55系は基本的にはIBM PCと同じ.
ただしドライブの増設によって1.2Mbytes/8セクタフォーマットの読み書きが可能な機種もある.

複数の機種特に古い機械もあるところとか分析機器に付いているパソコンとかがあるとこれは何を使っているのかを把握しないと困惑することがあった。

MS-DOSユーザズ・ワークベンチの漫画をスクラップする。
ASCII1990(02)d01MS-DOS漫画_W520.jpg
ASCII1990(02)d02MS-DOS漫画_W520.jpg
ASCII1990(02)d06MS-DOS漫画_W520.jpg
ASCII1990(02)d08MS-DOS漫画_W520.jpg
最終回だった。

テーブルトークRPGの記事をスクラップする。興味はあったがやったことはない。
ASCII1990(02)h05RPG合体_W520.jpg
これはテーブルトークのRPGの記事。冒頭の挨拶を除きスクラップする。

遊んだことはないが、ECC(Enjoy Computer Club)の例会会場の区民センターのロビーで遊んでいる子たちを見た。高校生くらいだろうか、区民センターのロビーなら長時間無料で遊べる。私は興味があったが、近くに行くと彼らが気を遣いそうなので遠慮した。
テーブルトークの自由な世界
 テーブルトークRPGってご存じですか?
 コンピュータRPG全盛のこの頃ですが,テーブルトークRPGは,コンピュータRPGとは違った面白さを持つ,これからのゲームです.
 それはまずコンピュータを必要としません。一般にコンピュータRPGは謎ときやストーリートレースに重きを置きますが,テーブルトークRPGのポイントは世界の共有にあります。気心の知れた仲間と,ゲームの世界に一緒に旅行する感覚です.
 そこではさまざまな事件が起こり,プレイヤーたちはいやおうなくそうした事件に巻き込まれることになるのです.
 プレイヤーたちはまず一人の冒険者を創り出します。サイコロを振って、体力、知力、身分,所持金などを決定し,それらしい名前をつけてゲームを始めます。
 ファンタジーがテーマであれば、どこかの街の宿,SFであれば宇宙港といった具合に,最初の舞台が設定されます.
 プレイヤーたちは、自分のキャラクター(さっきサイコロで創った人、登場人物)になったつもりで、思い思いの行動をとります。たとえばバーテンに酒を注文したり、酒場にいるお客さんに話しかけたり…….あるいは,他の街に向かったりです.
 コンピュータRPGですと,こうした行動はコマンドやアイコンの中から選ぶことになります.「見る」とか「話す」といった具合ですね.ところがテーブルトークRPGでは,その辺の行動がまったく自由なのです。なぜなら,そこにはゲームマスターという人間の審判・進行役がいるからです.
 ゲームマスターは,ルールを熟知した人でなければなりません。彼は,事件の内容をあらかじめすべて知っています.そして,これらの設定とルールに従って,キャラクターの行動の結果を判定していくのです.
 キャラクターのとりそうな主だった行動については,ルールブックに判定ルールが載っています.たとえば,重いものを持ち上げようとするときは,[サイコロを2個振って出た目]+[持ち上げるものの重量]≦[体力]なら成功,といった具合にです。
 また,ルールにないことはゲームマスターが自由に判断していいことになっています。このことにより,プレイヤーは独創的な行動をいろいろと試せるようになりました。それにキャラクターをみんなの前で演じるわけですから,ちょっと演劇的な楽しみも得られます。
 面倒なルールはゲームマスターがすべて管理していますから,まったくの未経験者でもすぐに遊びに参加できます.そうした手軽さが幸いして,洋の東西を問わず,テーブルトークRPGは大人気になりました。合衆国におD&D(TSR)の成功.日本では,ゲーム小説でも名高いロードス島戦記(角川書店)のヒットなどなど.
 何かとマテリアル指向が強かった日本のエンターテイメント分野にこういうソフトウェア指向の遊びが定着しつつあるというのは,ーゲームファンとしても嬉しい限りです.

テーブルトークの弱点
 ところがこのテーブルトークRPGには,1つ決定的な弱点がありました.ゲームマスターが難しいのです.ゲームマスターはルールを熟知し,スムーズにその適用ができる人でなければなりません。しかし,それだけでゲームマスターがつとまると思ったら大間違いです。
 彼はあらかじめ設定した事件の設定書(シナリオといいます)に従って,事件を進行していく進行役でもあります。しかし「ルールに書いてあるから」,「シナリオがそうだから」という理由だけでゲームを進行したのでは,テーブルトークRPGの面白さは理解できません.ルールとシナリオの厳格な出し入れだけだったら,コンピュータにでもやらせたほうがましです.ウィザードリィのような傑作がそれを証明しました。
 集ったプレイヤーたちの,趣味や指向,ノリの種類にあわせて事件の方向を微妙に修正するフットワーク.プレイヤーたちの演技を上手に引き出すテクニック.そして,何よりも自分自身がその別世界の登場人物になってプレイヤーを引き込むパフォーマンス性。こうしたさまざまな素養を備えた人が,ゲームマスターには望ましいのです。
 さらに加えて,日本特有の問題がまたもや発生しています.アメリカで生まれたこの遊びは、元来シミュレーションゲームの一分野だったのです.
 地図を描いたゲームボードの上に部隊を表わすユニットを置いて,互いに戦う図上演習のようなゲームをご覧になったことはないでしょうか。こういうゲームは,軍隊という非常に評価しにくい戦力集団を,戦闘力とか移動力といった数値に置き換えるというコンセプトのもとに作られています。
 いまでこそ見慣れている,こうした定量化,能力の相対化は,考えてみるとアメリカ人のお家芸のようです。野球における「防御率」のような数字が,いかに偉大なものかは相撲(日)や競馬(英)にこうした数字がないことからも明らかです.
 それはさておき,軍隊の強さをずばりと数字化し,ルールに従って戦場の様子を再現してしまおうというシミュレーションゲームは,ひととき大変な流行になりました.
 シミュレーションゲームの面白さは,次の2点に要約されると思います.
(1) 双方のプレイヤーがベストを尽くすことによって,戦場の様子がよく分かり、そこにあった可能性も検討できる.
(2)戦争の指揮官として困難に立ち向かうことができる.
 そして市場では,次第に(2)が優勢になったのです.
 そうなると,扱う世界は実在の戦場である必要はどこにもありません。プレイヤー個人の資質が問われるようなゲームが求められるようになります。
 1対1のレベルでの戦いを扱ったシミュレーションゲームは,もともとその要件を満たしていました.戦闘機対戦闘機という空中戦ゲームや剣士の戦闘を扱ったゲームは,もともと非常にRPGに近かったのです。
 リアルに世界を描けるシミュレーションゲームのルールが,剣戦闘のまわりに架空世界を作りました。プレイヤーは,いまや自分の剣士を創り,それに感情移入してモンスターの潜む地下迷宮に出かけられるようになったのです.
 こうした発達事情があるものですからアメリカ産のRPGは,プレイヤーがみなシミュレーションゲーム的な知識を持つものとして書かれています。
 そんなわけで,それを翻訳・輸入したものも、普通の日本の人には遊びにくいものになってしまいました.ルールが販売されていてその遊び方が本にもなっているというのは,なんだかコンピュータソフトみたいですね。

本当は簡単なんだよ
 けれども、繰り返しになりますがテーブルトークRPGはとても遊びやすいものなのです.カードゲームやパーティゲームをやっているときに、ぼくらは自然にロールプレイをしていることさえあるくらいですから…….「それだったら,カードやボードゲームにロールプレイのルールをつけちゃえばいいじゃないか。カードゲームやボードゲームをプレイしていて,ステップアップ式にロールプレイに引き込んでしまえるルールブックを書いてみたい」
 そう考えたのが,去年の中頃でした。そのコンセプトでデザインしたのが,翔企画の『レムリカ銃士隊』です.RPGのルールを利用したカードゲーム,それに登場するキャラクタ一の作り方,ロールプレイの説明、入門用のシナリオまでをセットした,初心者向けのテーブルトークRPGです.
 みんなが集まったら簡単なカードゲームで楽しむ.そして,そのゲーム用の自分のキャラクターを作る。そこにシナリオが待っていて……という現場の流れを考えました。
 これで少しでもロールプレイのファンが増えればいいなと思っています。また、今年はそんなゲームをいくつかデザインしてみたいと思っています。
(近藤功司)


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RPGは面白くていいのだけれど、それを趣味にするとプログラミングができなくなる。趣味の時間がもっと欲しかった。

顔文字の記事をスクラップする。
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【スマイリーフェイス】 (smily face)
私の気持ちを伝えたい
 「スマイリーフェイス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
 直訳すれば「微笑んでいる顔」という意味ですが,コンピュータの世界で「スマイリーフェイス」といわれても,「なんのことだかさっぱり分からない!」という人が多いのではないでしょうか。もしパソコン通信をやっている方ならば,「ひょっとして,あれのことかな?」と,思い当たるかもしれません。一度ぐらいはBBS上のアーティクルの行の中や,行末に「:-)」という記号が入っているのを見かけたことがありませんか?
 「んー,見かけたことがあるかもしれないけど,ゴミにしてはよく見かけるなと思っていました」などという方に,ちょっと驚くことを教えましょう。この記号「:-)」を,首を左側に90度傾けてみてください。すると,なんとなく「微笑んでいる顔」に見えませんか?そう、この「:-)」という記号こそ,今回お話する「スマイリーフェイス」なのです。
 さて,このスマイリーフェイスはどのように使われているのでしょうか。普通、BBS上のアーティクルの行末などに,このスマイリーフェイス「:-)」を付け加えることで「これは冗談ですよ」,「笑ってやってください」,「どうぞよろしく」といったニュアンスにするために使います。
 おもにパソコン通信での情報のやりとりは文字を基本にして行なわれています.文字,つまり文章のやりとりだけでは,どうしても自分の伝えたい感情などが相手に伝わりにくくなってしまいます.そこでこのスマイリーフェイスが使われるようになったのです.写植の文字でも,それほど多くは使われませんが決まり文句(?)的な記号「 」があるようです(写研ならBA-90の記号)。 スマイリーフェイスの習慣は,個人的にやっていたという人もいるかもしれませんが,どうやらアメリカのUNIXのネットワークで流行し始めたようです.国内ではUNIXのネットワーク,JUNETの「JUNET利用の手引」の中で詳しく紹介されたのが流行の始まりのようです。

さまざまな顔のバリエーション
 「:-)」というスマイリーフェイスが一般的ですが,実はスマイリーフェイスにはさまざまなバリエーションがあります。パソコン通信で扱える文字のキャラクターをさまざまに組み合わせることで,限りなくいろいろな顔,表情を作ることができるのです.
 たとえば、先程の「:-)」という基本的なスマイリーフェイスの唇を変えて「:-(」という不機嫌そうなスマイリーフェイスを作って、自分の感情を表わすことがあります。単純に感情を表現するスマイリーフェイスはほかにもたくさんあり,「:->」(すまし顔),「:-<」(悲嘆),「:-D」(元気),「:-O」(ぼけーっ),「X-(」(ひぇーっ)などなどきりがないほどです。感情を表現するだけでなく,ほかにもいろいろなスマイリーフェイスが考えられます.たとえば,「8-)」(眼鏡をしている人),「:-{)」(口髭を付けた顔)などです。
 この横から見ると分かるスマイリーフェイスのほかに,正面からまともに見られる「(^_^)」のようなスマイリーフェイスも最近ではよく見かけるようになってきました。このスマイリーフェイスにもやはりさまざまなものがあり,目の部分を変えた「(°_°)」,口の部分を変えた「(^.^)」など,これもあげていくときりがありません。さらには,1行ではなく2行3行にわたって大きな顔を作ってしまう人もいるようです.

顔を作る時の注意事項
 スマイリーフェイスを使う時に注意しなければいけないことがいくつかあります。
 まず,各メーカーのコンピュータによって,表示される文字がまったく違う場合があるので注意しなければなりません。主な例として,IBMPC上で「\」と表示されていても日電のPC-9801上では「\」と表示されてしまうことなどがあります.たとえば,「:-\」というスマイリーフェイスがあったとしてもIBM PCの人は分かるが,PC-9801上ではなんのことだかさっぱり分からないということがありえるということです.
 また,PC-9801でカタカナを使って「(°_°)」と表示できてもIBM PCでは表示できないことになります。全角のひらがな、カタカナ,漢字,そのほかのキャラクターを使った場合も同じく注意が必要です。漢字を使用する場合には,各メーカーで漢字セットが異なっている部分もあります。PC-9801の場合,罫線や丸付数字,ギリシャ数字,単位記号などがJISではありませんので正しく表示されないと考えてください(実は,PC-9801シリーズのマニュアルの全角文字一覧にも入っていなくて,こっそり入っているのだそうです)。また,PC-9801の場合には2bytes半角文字といって,半角で表示されるにもかかわらず2bytesコードで表現される英数字,記号,罫線があります.丸付き数字やギリシャ数字をスマイリーフェイスに使う人は少ないと思いますが,書き込みの内容そのものについても同じことがいえますね。PC-9801シリーズで使える全角文字と,JISコードを一度比較してみるとよいでしょう.
 さらに,同じ文字でもメーカーや機種によってその文字フォント(文字を画面上やプリンタの印字で構成するドットのパターン)に若干の違いがあり,スマイリーフェイスの表情は違ったものになってきます(写真1).たかが,面白半分のスマイリーフェイスもよく考えると奥が深いですね:-).
 最後にスマイリーフェイスの例をあげておきます.UNIXのネットワークで使われていたものや,日本のネットワークで付け加えられたものをまとめてみました。まだまだいろいろなスマイリーフェイスが作れそうですが,それはあなた自身のアイデアで作ってみてください.
(中橋義博)


ASCII1990(02)h07顔文字図1_W520.jpg
ASCII1990(02)h07顔文字写真1_W520.jpg
ASCII1990(02)h08顔文字表1_W520.jpg
インターネット時代のずっと前から顔文字には沢山の種類があることは分かった。33年前の顔文字を使っているとジジイと言われてもしょうがないか。

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coo

※2023/04/18 追加編集※
33年前の問題だと思っていたが、なんと現在もあった。
ITmediaNEWSにSwitchの新作ゲームでこの問題があった。
<a href="https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2304/14/news119.html" target="_blank">キャラ名に「ソ」があると画面がフリーズ Switchの新作ゲームにバグ 制作会社が謝罪</a>
なんともはやどうしたもんだか。
歴史を学ぶというのは大事だと重ねて思った
by coo (2023-04-18 15:29) 

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