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米国ハイテク産業の動向その他IPL-MEIPL(月刊ASCII 1992年2月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「米国ハイテク産業の動向」をスクラップする。

IBMが背水の陣
 '91年は「ダウンサイジング」という言葉をよく耳にした.特に日本の大手メーカーの方から、たびたび聞かされた言葉だ.もちろん「ダウンサイジング」とは,メインフレームがミニコンに,そして,ミニコンがワークステーションにと,技術の進歩とともにコンピュータの主力が移ってきていることを指して言っているのである.
 ただし,米国内で聞くことは非常にまれで,少なくとも筆者の周りではあまり話題に上らなかったように思う.そもそも,この言葉は、主にメインフレーマから出てきたもので,彼らとは逆にマイクロコンピュータからパーソナルコンピュータへ,そして,ワークステーションへと移ってきた立場の人間としては,この言葉を聞くたびに,ある種の違和感を感じる.AppleIIがSPARCstation2に変わっても、サイズの点ではそれほど大きな差はない.逆に最近では,ネットワークなどがからんできて,むしろシステムの規模としては「アップサイジング」した感じを受ける。我々の立場から見ると,むしろマシンの性能が向上した点に注目するから,「ダウンサイジング」ではなく、むしろ「アップパフォーマンス」なのだ.つまるところ、このダウンサイジングという言葉に対する違和感は,コンピュータの進化に対する視点,あるいは棲んでいる世界の違いによるものであろう.
 メインフレームがもはや時代遅れになろうとしていることは,10年以上前から言われていたことで,分散型システム,ネットワーク,ワークステーション,オープンシステムと,その後のコンピュータの歴史は,この考えが正しいことをありとあらゆる面で立証してきた.したがって,最近になってこの言葉がメインフレーマたちから出てきたときには「今さら何を言ってるのか」といった感じで聞き流していたのだが,彼らにとっては,この傾向は思った以上に深刻らしい。このダウンサイジングの傾向に加え,最近の不況が特にメインフレーム業界を直撃しているからだ.
 日本でもバブルの崩壊とともに,やはり業績の低迷を予測する声が徐々に大きくなってきていると聞いている.それならばなぜもっと早くから手を打たなかったのかと言いたくなるが,メーカーとしてはそれなりに努力はしてきたのだろう.今ならどのメインフレームメーカーでも,一応はPCやワークステーション系列の製品を持っている.それでも、業界のかなり急な展開を見ていると,彼らの危機感はますます増加するばかりのようだ.そして,最後にはヒステリックとも言えるダウンサイジング」の合唱となる.これをはたから見ていると,本当の問題は別のところにあるように思える。こうしたメインフレームメーカーは,ほとんどが一応大企業に属するし,大企業は多かれ少なかれ官僚的体質を持っている.そして,この体質こそ問題なのだ。官僚的な体質は,業界の急激な環境の変化にうまくなじまない.
 開発,製造や技術提携から,単なる一製品の購入に至るまで,すべての動きを阻害する要因になっている.1台数億円のシステムでは,官僚体質もうまく機能することがあったが,これからはそうはいかないということに気づく必要がある.

■組織の大改造に着手
 そうした中で,コンピュータ業界の巨人IBMが,組織の大改造計画を発表した.メインフレーム,パーソナルシステム,ペリフェラルなど部門ごとにかなり広範な事業活動の裁量権を与える.その代わりに,独立採算制をとって,責任の所在を明確にするというもの。それにともなう2万人にも上る人員整理も同時に実行される.これによって'80年代の最盛期には45万人にも上った従業員数は34万人程度に縮小される予定だ.
 IBMは今でこそパーソナルコンピュータでも地位を築いているのだが,もともとはメインフレーマであることを知らない人はいないだろう.図1を見ても分かるように,'90年度の売り上げでは,今でもメインフレームが一応最大の割合を占めている.したがって,「ダウンサイジング」の傾向と,不況の影響はIBMにとっても深刻.総売り上げ高はまあまあ順調に伸びているが,'91年度にはふたたび下降を見せるきざしがある.ひところ65億ドルを超えていた利益は,'89年度に40億ドルに落ち込み,'90年度には復調して60億ドルにまで回復したようだが,これもまた'91年度にはなんと20億ドルに落ち込む見込みだ.つまり、このままでいくと,'92年度に赤字に転落しないとも限らないところまできたのである。


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 もちろん,IBMがダウンサイジングをまったく無視してきたかと言えばそんなことはない.パーソナルコンピュータは一時期よりもシェアが落ち込んでいるとは言え,業界のスタンダードという存在はゆるぎないし,RS6000ワークステーションは業界での評価も上がっている.この2つを合わせると,すでに同社の売り上げの14%を占めるまでに成長した.Appleとの技術提携にしても、将来のパーソナルコンピュータやマルチメディアに対してちゃんと布石は打ってある.ただし,PS/2やRS6000あるいはPowerPCといった戦略を次々と打っていくには,今の体制ではこれが限界.
 ここでも問題の本質は企業の体質だ.年間700億ドルもの売り上げと30万人を超えるこの大企業には,少なからず官僚主義が支配していると言われる.今回の措置の第一目的は,社内にはびこった官僚主義の一掃にあるはずだ.いわばソ連で進行中の独立革命のIBM版とも言える.肥大化した官僚集権的体制からみれば,両者とも似たり寄ったりの問題を抱えている.
 また業界の中には,企業の分離をいち早く取り入れ、この不況の中でも業績を好転させているところもある.SunMicrosystemsがそうだ。IBMがソ連にならったとは思えないが,その背景にはSunなどの非官僚的な企業のモデルが存在していたのは確かなようだ。

■ベイエリアはハードディスクの拠点に
 IBMのメインフレーム向けペリフェラル部門は,もともと分離独立が明確だった部分.まずは年間20億ドルを売り上げているメインフレーム向けプリンタ部門.将来的な魅力に欠けていたのが分離の本当の理由かもしれないが,PennantSystem(一応IBMの100%子会社)としてIBMの会社組織上から完全に独立する.本社はコネチカット州に置かれる.
 ここ,シリコンバレーのあるベイエリアで最も関心を集めているのは,ハードディスク部門.IBMはベイエリアに5つの事業所を持っているが,ハードディスク製造の本拠となっている.
 現在の主力は,10インチのメインフレーム用の大型ハードディスク.これらはIBMの社内製品向け以外にも,SiemensとBullにもOEMしている.米国内には、この事業所のほかに,もうひとつミネソタ州にハードディスク部門を持っており,こちらは3.5インチタイプを製造.ベイエリアの9000人に加えて世界で1万8000人を擁し、全体で110億ドルを売り上げる一大部門である(10インチドライブはメインフレーム向けとしても旧式になりつつある.将来的にはここでも3.5インチを製造するようだ).
 まずは,IBM社内の独立組織としてスタートするが,将来的に全ハードディスク部門を総括するようになると言われている.新社名は未定.本社はSanJoseに置かれる.今までほとんどIBMの社内向けであったディスク装置を,今後は外販も行なうという.

■注目されるPS部門
 さて,PS/2,RS6000をカバーする「PersonalSystems部門」は,まずはトップの削減を行なうことになった.今まで30名ほどいたマネージャは10名になる.このうち5名は,従来どおり,US,カナダ,南米ヨーロッパ中東アフリカそれにアジアのマネージャである.そして,新組織のトップとなるのがJames Cannavinoで,各地区のマネージャをまとめていく。
 次に,PS部門の下にEntrySystemsTechnologyグループを設立することが決まった.このグループは主に2~5年の長期的な技術開発やPC戦略を担当することになる.具体的な開発ジャンルとしては,マルチメディア,文字認識,液晶ディスプレイなどだ.EntrySystemsとAdvanced Workstation,PS Programmingの3グループは,従来の組織が引き継がれる.
 しかし,こうした一連の機構改革よりも,PersonalSystem部門にとって最も重要な点は,製品の開発,技術提携(たとえばAppleなど),製造,販売チャネルの開発について,より広範な自由裁量権が与えられたことだろう.今までならば,すべての決定事項の実施に先立ち、ニューヨーク本社の重役たちを説得しなければならなかったが,今後は,Cannavinoの決定で実施できるようになる.IBMのPC部門が少なくとも同業他社と同じサイズで活動できるようになった点について,業界アナリストの中には,競争力を持った低価格の新製品の発表を期待しているものもいる.Appleとの共同開発も今までよりはスムーズにいくかもしれない.
 PersonalSystem部門は,IBMの中でも最も将来性を見込まれている部門のひとつであるだけに、今回の発表の中でも注目度が高い.それだけに,会長のJhonAkersもこの部門に関しては多少慎重になったようだ.
 つまり、他の部門のように,いきなり分離はさせず,一応はIBMの社内の一部門にとどめたからだ(つまり,以前と同じ).IBMのスポークスマンによると,今回の改造が「IBMの各組織を徐々に独立化させていくための手始め」として,将来も継続的に組織改造を進めていく可能性を匂わせているが,この点は中途半端だと指摘される根拠にもなっている.
 今回の改造に批判的なアナリストは,「'88年のときにも大改造を行なったが,結果はご覧のとおりだ。いつものパターンである。たとえうまくいったとしても、結果が出てくるのは2年後」と冷ややかである.

(ザイロンコーポレーション代表 脇山弘敏)


「日本でもバブルの崩壊とともに,やはり業績の低迷を予測する声が徐々に大きくなってきている」は記録しておくべきだと思う。バブル崩壊後のパソコン環境がこれからスクラップしておくと思い出せる。
日本IBMも機構改革
日本IBMも,事業本部制を柱とする機構改革を行なった.まず,新たに編成された事業本部は以下の3つ.
●産業システム事業本部
 公共,金融,製造,流通など,大企業を対象にした営業部.
●情報システム事業本部
 中小規模企業から個人ユーザーまでを対象とした小型パーソナルコンピュータの営業部門.
●サービスビジネス部門
 保守,運用,管理サービス,コンピュータ関連備品販売,ネットワークサービスなどを提供する.
 米国と同様,狙いは,価格の決定,企画,人事などに関する権限を本社から現場に移すことにある.そのため,ある事業部が顧客のニーズに応えるため,他社製品を販売したり、関連会社を創設するといったことも可能になるという.
 さらに,本社の1700名のうち1300名を営業部門に配転し、一層の営業強化も行なう予定.



「Miscellaneous:behind the news」をスクラップする。
■Lotusが他社製表計算ソフト破棄を撤回
 日本と同様,米国でもWin3上の表計算ソフト拡販競争が続いている.そんな中,Lotus社は「他社のソフトを破棄する」約束と引き替えに「1-2-3 for Win」の割り引きを開始した.ところが,競合会社やユーザーからの非難の声に負けて,1週間で中止に追い込まれた。
 このサービスは,もともとLotus製品のアップグレード・サービスで,パッケージに付いている葉書には「90日以内にこれまでのソフトの使用をやめ、そのソフトを破棄する」という誓約にサインすることになっていた.この方法で,かなりのLotusユーザーが安く1-2-3 for Winを入手できた.
 ここまでなら,よくあることだが,問題はその後で、同じ方法でMicrosoftやBorlandなどのユーザーを誘惑し始めたのである.他社製品にも適用されたため,Lotus製品に切り替えたユーザーは,まだ使う可能性のある従来製品を破棄しなければならなくなった.これは,契約の中身を知らずに買ったユーザーを憤慨させたのみならず,競争相手のMicrosoftやBorlandの非難を浴びる結果となった.
 かくして,Lotus社はキャンペーン1週間で他社ソフトの破棄は要求しなくなった.とはいえ,安く販売し続けるだけでは物足りないようで「これまで他の表計算ソフトを使っていたコンピュータへのインストールに合意すること」を求めるようだ.日本では,Microsoft社が他社製アプリからのバージョンアップ割り引きをやろうとしただけで騒ぎになったが,進んでいる米国でも「Destroy all copies within 90 days」には反感が出たというわけだ.

■こんどはDECとMicrosoft
 日本でもIBMや日本電気から,DOS5の出荷が始まったが,米国ではMicrosoft社が「DOS 5 upgrade」というパッケージを出荷しており,'91年中に250万本以上を出荷した.世界中のPCメーカーの90%以上が,出荷したコンピュータにDOS5を組み込んでいるといい,92年には1000万セット以上を見込んでいるという.
 さらに,Microsoft社は,Works for Windowsの「Multimedia Edition」を発表,ビジネス用アプリとしては初めてマルチメディア機能を備えたもので,デジタルサウンドやアニメーション機能を内蔵している.
 さて,このところ鳴りをひそめていたDECは,社員を解雇したにもかかわらず,Philipsの社員7000人を採用すると発表これは,DECがPhilipsのコンピュータ部門の一部を買収し,「Digital Equipement Enterprise」という新会社を設立,ヨーロッパで商売を拡大しようという作戦の一環である.170億ドルともいわれるヨーロッパのコンピュータ市場に乗り入れる戦力として7000人の社員を新会社に送るようだ。
 さらにDECはMicrosoftと提携して,同社のネットワーク技術をWindowsに組み込むと発表.ExcelとWordの販売,ユーザーサポートも行なうという.DECの副社長は「もはや1つの企業で顧客の要求する技術すべてを提供することはできない。なぜなら、過去とは比べものにならないほどに選択の幅が広がっているからだ」と語る.
 かつては,DEC-AppleとIBM-Microsoftという,対抗的な組み合わせがあった.ところが,IBMとMicrosoftの不仲から,IBM-Appleという新しい組み合わせが始まり,それに対抗するには,残ったDECとMicrosoftが接近するわけだ.
 新たな提携はチップの世界でも始まっており,フランス+イタリアの半導体メーカーThomsonは,オランダのPhilipsと共同で次世代のIC開発について合意.また,日本の東芝とドイツのSiemensが,RISCプロセッサの開発協力に合意した。計画の詳細はまだ話し合いの段階にあるものの,それぞれのブランドネームで供給するらしい.

■さまよえるオランダのハッカーに注意しよう
 調査会社Dataquestと政府機関のNational Computer Security Associationが600以上の企業を調査したところ、その63%が一度はコンピュータウイルスを経験しているという.そのうえ,そのうちの半数が,たった2種類のウイルスによるものと判明した.
 2種類の流行ウイルスは,「The Stoned Virus」と「Jerusalem Virus」と呼ばれるもの.Dataquestは「この2種類が,世界中のウイルス事件の50%以上を起こしている.両方とも,非常に優秀だが,明らかに狂ったプログラマによって書かれたものだ」と発言.また,調査結果から,コンピュータウイルスは5.2カ月で2倍の量に増殖することも分かったという.
 新たに出現するウイルスはどんどん精巧になっていくので,ワクチンプログラムを開発しても完全なる予防は不可能.米国政府は,これまで問題を見過ごしてきたが,企業などでウイルス問題が頻発しているなか,国も重い腰を上げ始めたようだ.
 Denverに住むWittman(24歳)は,NASAのコンピュータシステムへ侵入し,データやパスワードを改変したことを認めた.彼は,NASAのネットワーク内のなんと118ものシステムに侵入したのみならず,ファイルや他人のメールを見ることのできるスーパーユーザーのステータスまで得ていたという.罪を認めたことによって、懲役5年と25万ドルの罰金という求刑は,軽くなる見込みだ。
 かくして論点は,賠償の範囲へと進み,NASAが侵入後に用意した新しいプログラムの開発費も彼が負担すべきかどうかについて意見が分かれている.NASAはWittmanの追跡に300時間、侵入の再発を防ぐためのソフトの書き換えに100時間を費やしており,その全額を請求.被告側は,NASAの極秘ファイルにアクセスするのに、自室のパソコンに2時間ほど向かっただけで,被害額は不当と反論。侵入防止ソフトの代金をハッカーに請求するというのもアメリカらしい話である。
 もう1件はこわい侵入話.湾岸戦争が行なわれていた'90年4月から'91年1月までの10カ月間,軍のコンピュータに収められて戦略情報が,侵入者によって改変またはコピーされていた.ドイツ,オランダ,オーストラリアなど海外のハッカーが,10カ月間国防総省の30カ所以上のコンピュータに侵入した形跡がありセキュリティ管理のズサンさが明るみに出た.
 オランダのティーンエイジャーたちは,作戦や兵器などの情報(個人報告,行軍,戦略,移動される兵器の数と仕様,兵器の研究開発などの情報)を手に入れ,さらに核兵器についての情報を探した形跡もあるという.
 現在,司法省が調査中なので、ペンタゴンは早急なコメントを差し控え,侵入場所や日時などの詳細も明らかにはしていない。調査に当たっている議員は「詳細が明らかにならなくとも,この内容に非常に狼狽している.情報を盗み出した連中によって,中東戦線の軍隊が危険にさらされなかっただけでも、幸運だったとしかいいようがない」と語っている.
 今回のシステム侵入によって,これまで再三にわたって弱点が指摘されていた軍のコンピュータ・セキュリティが,またも問題になっている.前出の議員は「もしオランダの小僧が軍のコンピュータに侵入できたのなら,敵だって同様のことができたはず「だ」と,もっともな意見をいう.どうやら,貧弱なパスワード管理とセキュリティ問題に疎い管理者の組み合わせがシステムの弱点を作り,さらに,侵入を発見する方法が不適切なところが原因のようだ.国防総省はいまだにハッキングの全体像を把握しきれていないというから,追跡力の甘さは明白.
 ハッカーたちは,Tymnetなどの商用長距離サービスを使用して,大学や政府のシステムに入り,Internetを通して国防総省のシステムにアクセスしたようだ.彼らは発覚と追跡を逃れるためにシステムのログを変更し,その際,ディレクトリやメッセージなどを拾い読みする。その中からキーワードになるような単語を切り出しておいて,次なる標的のキーにするらしい.なお,ほとんど場合,国防総省の管理者が不正侵入を発見したことはなく,各地の大学や研究機関が警告を出していたといい,さらに,4つの有名大学のコンピュータには,盗み出された作戦遂行情報やミサイルの比較テストデータなどの機密情報ファイルがコピーされて残っているという.
 ところで,訴えられている少年たちだが,オランダにはコンピュータ侵入に関する法律がないため告訴されない.協定によって,米国の調査に協力するのがせいいっぱいのようだ.ただ,コンピュータ犯罪への関心はオランダ国内でも高まっており,来年には法律ができるという。そういった「認識の甘さ」からか,オランダの大学では,コンピュータの勉強と称して,先輩からハッキングを勧められたり,最高の工科大学Delft University of Technologyでは,かつてハッキング授業も設けていたという噂もあるが,ほんとうだろうか.

■長期休暇で不況を乗り切れ
 フロッピーディスクの雑誌を発行しているSoftdisk社は,使用済みディスクのリサイクルキャンペーンを始めた.どうやら同社の売れ残りディスクを束にして売ろうという作戦のようで,2DDディスクの場合,3.5インチ25枚または5インチが50枚で9ドル95セント(約1400円)を発売.1.2Mbytesのフォーマット済み5インチディスクは50枚で19ドル95セント(約2800円)もある.確かに秋葉原より安いが,相手は一応中古ディスクである。
 同社は,このキャンペーンで約9万枚ものリサイクルディスクが出荷されたとしている(ということは,それだけ売れ残ってわけか?).リサイクルによる環境保護という意味だけでなく、消費者は60パーセントもお金を節約できるとしている.日本的発想で,そのうち,チリガミ交換ならぬフロッピーディスク交換屋でもできないだろうか.
 さて,景気の減退と不調によってシリコンバレーのコンピュータメーカーでは,のきなみレイオフが行なわれたが,さらなる経費削減のために,多くの会社で「強制休暇」を実施する.
 たとえばChips&Technologiesでは,今年45人を解雇したばかりだが,さらに,冬期休暇を3週間と延長した.同社は「創業以来はじめて,従業員に家にいてくれと頼んだ.これ以上レイオフをするよりはましだろう」と語る.TandemやMipsは,収穫祭の1週間を完全休業にし,IBMは12月23~27日を休業に,クリスマスにはSanJoseにある2000人の工場を1週間閉鎖するという.
 どうやら,会社を閉鎖すれば,休暇中の給料を支給するとしてもかなりの経費節減になるらしい.もちろん従業員の給料をカットするのも1つの手だが,会社自体を閉鎖することで従業員の交通費,電話代,昼食代,電気料金などを大幅にカットできるわけだ.National Semiconductorは「我が社の社員は,強制休暇を楽しみにしています.会社では,その休暇中に,工場設備を最新化するなどのメンテナンスをするのです」と,一挙両得である旨を説明する.
 そのほか,LSI Logic,Intel,Hewlett-Packardなども休暇を取らせるようだが、逆に,386の増産に忙しいAMDは毎日残業で動き続けるようで「クリスマス休暇が欲しいところだが,非常に忙しいので無理.当社は良い状況にあり,ビジネスというものはつねにいい状態ばかりであるとは限らない」と語っている.クリスマスに休めるけど景気が悪い会社と,景気がいいけど休めない会社のどちらがいいのだろうか.

軍等へのハッキングが湾岸戦争の頃からあった。現在もきっとあるのだろう。ハッキング技術が広まり簡単に使えるようになった。

「CLOSE up」をスクラップする。

ハードディスク特殊IPL 「MEIPL」 (緑電子(株))
 ハードディスクを購入して,まず初めに行なうことはなにか?といえば,フォーマットとシステム転送だろう.その後に,各自のパソコンのCPUやメモリ,周辺機器の環境に合わせた設定を行なう.MS-DOSの場合では,パーティションを決めたり“CONFIG.SYS"ファイルを作成したり,いろいろ行なわなければならない.
 パワーユーザーにとってはなんでもないこれらの作業も,パソコン入門者にしてみれば,とっても!難しいのである.そのため、最近ではHDDをあらかじめフォーマットして出荷しているメーカーも多い.しかし,これだけではまだまだ分からない.ユーザーが考えなくても,システム転送や各種設定を自動で行なってくれればいいのに……これに応えるのが,緑電子(株)製の「横浜Y-100」以降のHDDに出荷時からインストールされている特殊なIPL「MEIPL」だ.

IPL(Initial Program Loader):パソコンは,一番初めにIPLを起動することによってシステムをロードする.
■パソコンとHDDだけでシステムインストーラが起動
 パソコンとHDDが物理的に接続され,双方に電源が入っている状態ならば,たとえ,MS-DOSのシステムが入ったフロッピーディスクがなくても,HDDからの立ち上げが可能だ。通常はフロッピーディスクでMS-DOSを起動し,そのあとHDDにシステムを転送,リセットしてHDDを再起動という手続きになる.しかし,HDDにMEIPLがあると,これが疑似IPLとしてパソコンに読み込まれ独自のシステムインストールプログラムを起動することになる.
 さて,ここでMEIPLの働きを見てみよう.MEIPLの機能は,(1)HDDのセルフチェック,(2)MS-DOSのシステムインストール,(3)ユーザーのパソコン環境に最適なシステム設定――の3つに大きく分けることができる.
 MEIPLが起動すると,まず緑電子(株)のロゴが表示される(画面1).自己紹介的なメッセージが表示されると,次に,その時点でHDDのセルフチェックを行なう(画面2).ここでは,検査担当者の名前や,出荷時の状況が画面に表示されている.セクタ単位でのHDDチェックが無事に終われば,次はシステムのインストールだ(画面3).また,パーティションの設定もここで行なえる(画面4)そして再起動,HDDから正常にMS-DOSが立ち上がればシステムのインストールは完了し,各自のパソコンの環境に合わせ,日本語入力のデバイスドライバを組み込んだCONFIG.SYSを自動的に生成してくれる(画面5).このようにして設定されたHDDには,パソコンをリセットした後,各自で決めた時間(秒単位)が経過すると,リターンキーを押すことなく設定したパーティションからHDDを自動起動してくれる簡易メニューが埋め込まれる(画面6).

 MEIPLは,パソコン入門者にとっては,このように親切なプログラムである.しかしパワーユーザーは,邪魔に感じるかもしれない.メーカーでもそこのところは分かっていて,HDDパッケージの一番目に付くところに入っている「絶対読んでね!マニュアル」には,次のように記載されている.
 “MEIPLなんか要らないあなたへ.MEIPLは世話好きですが,おせっかいではありません.消えろと言うなら別に居座るつもりはありません.……どんどん初期化してください……ただし,MEIPLは二度と帰ってきませんので十分ご注意下さい”
 冗談にもとれる軽い口調だが,ユーザーに対して無理強いはしていない.HDD(商品)に対するメーカーの姿勢が組み取れるメッセージだ.今回の特集でも多数のHDDを取り上げたが(269ページ参照),メーカーによっては不親切なマニュアルや独自の仕様をユーザーに押し付けているところもある.MEIPLは,ユーザーのことを考えた製品として,十分評価に値するといえよう.


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こういうものもあったのか。「パワーユーザーにとってはなんでもないこれらの作業」とあるが自分はパソコン好きのユーザだと思っていたがパワーユーザと分類される位置にいたようだ。

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