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PC-9801NS,PC-386BOOKLC,LC-10C1(月刊ASCII 1992年1月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「最新機種徹底比較」をスクラップする。

「新製品概況」のリード文。
 1991年の末は近年まれに見る新製品ラッシュとなった.Appleが秋のショウに合わせて新型マシンを一気に発表したためかもしれないが,国内でも,ほとんどのメーカーが,単なる値下げマシンやCPUを変えただけといった製品ではなく,新しい発想のマシンを発表したので「にぎやかだ」という印象になったのである。
 今月の特集では,そんな新製品をジャンル別に比較していく.


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新製品概況
カラー液晶はノート型で身近に
 TFT液晶搭載機は,省スペース型ですでに発売されていた。今回の発表で新しいのは,ノートやブック型に搭載されたことである.
 出たものを見て驚いたのは,カラー液晶なのに,白黒液晶モデルとほとんど変わらないサイズであった点だ.これまでカラー液晶を搭載していたPC-9801TシリーズやエプソンのPC-386LSCを見なれていたため「カラー液晶はモノクロより厚いもの」という印象が強かった。そのままノート型に搭載すると,高さが倍になるのではと思えるものばかりであった.
 ところが,日本電気もエプソンも従来のノート型やブック型とほとんど同じサイズで出したのである。出てしまえば,当たり前の感じもするが,PC-9801NCを使っていると,ノート型であることを忘れてしまう。大きめの9801Tを使うのとは格段の違いを感じる。人が使っているのを見ると,液晶の裏に回って,それがCRTでないことを確かめたくなる.そんな新しさを持ち込んでくれた。
 もう1つの新感覚は,ノート型に搭載されたためもあるが,価格が身近になったことだ.TFTを初めて搭載したPC-9801TのmodelF5は115万円であった.他社の製品もみな100万円を超えており,ハードディスクを搭載していたとはいえ「TFTカラー液晶マシンは100万円以上」という印象を植え付けられたのである.その後,次世代モデルとしてF51が発売となったが,それが85万円といわれると,まだ個人で買おうという気になるものではない。
 今回のNCは60万円を切った.実物を見て,50万円台と思うと,食指が動く値段である.今,各メーカーはカラー液晶の生産ラインを増強している最中だろうが,DRAMと同様に,元がとれれば安くなるはずだ。そうなれば,カラー液晶がモノクロ液晶にとってかわるだけでなく,CRTをも凌駕していくことになる.

一体型に魅力ある機種が揃う
 ディスプレイ一体型というとまずMacが思い浮かぶが、日本でもキヤノンのNAVIや日立のProsetなど,電話との統合を狙ったものがある.ともにクローズしたアーキテクチャのため,個人で買うというよりも、会社で導入するといった製品だ。
 しかし、今回発表された一体型は,性能的にも価格的にも,個人ユーザーの購入対象として魅力のあるマシンである.
 たとえば,日本IBMのPS/55Z 30Uは,20MHzの386SXとXGAを搭載。30Zでは速度やグラフィックス性能で踏み切れなかった人も納得できる仕様である。下位モデルのセパレート型も同時に発表となったが,30Uは同社の最新PCとして最も魅力のあるマシンに仕上がっている.
 富士通のTOWNS II UXは,その価格が衝撃的だ。16MHzの386SXにメインメモリ2Mbytes,CD-ROMドライブと10インチのトリニトロン管まで入って26万3000円である。同時発表のTOWNS II CX+CRTより10万円安く,なんとノート型のPC-9801NS/Eよりも1万5000円安い。ノート型戦争では,DynaBookが低価格化の牽引車となったが,一体型ではTOWNS IIがそうなるかもしれない。なにしろ,PC-9801CSより13万5000円も安いのである.

ノート型はDOS/Vと386LSへ
 やや安定した感のあったノート型の世界に,またも新風を吹き込んでくれたのは東芝である.
 まず世間を驚かせたのは,DOS/Vの採用だ。当分は,従来のJ-3100アーキテクチャでいくだろうと予想されていたところが,東芝はVGAマシンを発表した.東芝が欧米で発売しているマシンはとっくにVGAマシンだから、日本で発売することはべつに難しいことではないが,やはり衝撃である。
 AX陣営のシャープや三洋電機からもAX-VGAとして,まずはノート型が発表された.今後発売となるAXやDynaBookもすべてVGAになってしまうかもしれない.
 もう1点,これらのDOS/Vノートが新しく持ち込んだのが386SLというCPUである.東芝のJ-3100SLは25MHzという高速版を搭載しているためかバッテリ駆動時間は伸びていないが,シャープのPC-6700は,サスペンド・ツー・ディスクという方式により,レジュームの有効期間を約3ヵ月に伸ばしている.今後,日本電気やエプソンがどんなSLマシンを出すのかが見どころだ。

デスクトップはハイレゾへ行くのか
 まず多くの人が興味を持ったPC-98GSだが,残念ながら発売が11月20日ということで,今回の記事には間に合わなかった.
 ということになると,話題の中心は低価格のDOS/Vマシンということになる.みんなATバスだから,選定の基準はCPU速度やグラフィックスだ。
 それではこれからどんなデスクトップマシンが出てくるかというと,386SXマシンのクロックの上昇,486SXマシンの価格低下といったところか。あとは,エプソンと日本IBMが煽り立てている「ハイレゾ」である.DOS/Vマシンも,SVGAを搭載して当たり前となってきた.
 一度ハイレゾでWin3を使ったら,もう640×400ドットではがまんできなくなるというわけで,(特に日本語の場合)。日本電気のハイレゾマシンがどう出てくるかが見ものといったところだ。


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 やっとまともな文が出てきた。「一度ハイレゾでWin3を使ったら,もう640×400ドットではがまんできなくなる」そのとおり。大体日本でWin3がなかなか広まらなかったのはPC-9801が640×400ドットでMS-DOSのアプリで用が済んでいたからだった。なにもWin3で速度が遅いグラフ画面でワープロや表計算等をする気にはならなかった。しかもWin3で楽しめるゲームはなかった。PC-9801のゲームに足元も及ばなかった。

PC-9801NC
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PC-9801NCの評価をスクラップする。
 価格を見てみると,HDDなしで59万8000円とNS/Eに比べて32万円高い。2Mbytes多いメモリやクロック周波数の向上などの違いがあり,2Mbytesのメモリカードは7万9000円(PC-9801N-02U)であることを考えてもやはり高価だ。とはいえ,カラー液晶の価格が現実的になったことは確かだろう.
 「HDDなしで59万8000円」で現実的という30年前の経済観念が恐ろしい。そんな時代をパソコンユーザは生きてきた。

PC-386BOOK LC
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PC-386BOOK LCの評価をスクラップする。
 操作した感じでは,386BOOK L同様にキートップが高いため少々使いづらい。キャリングハンドルを兼ねたパームレストはあるが,じっくりと使う場合にはちゃんとしたパームレストを使ったほうがよいだろう。キーストロークは98NCよりも深くて押しやすいが,カチャカチャとしたタッチは好みの分かれるところだ。価格は65万8000円と,386BOOK Lよりも28万円高くなっている.2Mbytesのメモリボードが8万8000円なので,液晶ディスプレイの価格差は19万2000円になる。386BOOK LとCRTディスプレイを購入してプラスαと考えればそれほど高くないようにも思える.しかし,98NCに比べると6万円高い。もともと386BOOK Lのほうが98NS/Eよりも10万円高価だが,98NCのほうが高速のCPUを搭載していることを考えると割高感があるのは否めない。
 386BOOK Lの利点である2ドライブのFDD,ネットワーク関係のボードもリリースされたLスロット,数値演算コプロセッサへの対応といった拡張性を必要とする人には魅力のあるマシンだ。また,同社は単純マトリックス液晶であるNTN型液晶を搭載したPC-386BOO KLX(49万8000円)も同時に発表した(出荷は12月)。特にカラー表示の高速性,視認性といった必要性が高くなければこちらを選択するのもよいだろう。

 PC-386BOOK LCの解説がPC-386BOOK Lとの比較になって割高感があると否定的な評価になっている。確かに65万8000円のノートパソコンを買って知人はいなかった。。
 パームレストに反応してしまう。ダイナブックを買って木でパームレストを作った。ノートパソコンにはパームレストが必要だったと思う。

LC-10C1
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LC-10C1のまとめ部分をスクラップする。
 価格は59万8000円と,98NCと同じだ。やはりディスプレイ単体での価格としては高価だが,導入したときのメリットは大きい14インチクラスのCRTディスプレイはコンパクトなものでも幅が約350mm,奥行きが約370mmあり,LC-10C1は幅324mm,奥行き64mmとなっている。本体を少し上向きにするため背面のスタンドを広げても,奥行き180mmもあれば設置できる.机上でスペースを取っていたディスプレイの面積が半分程度節約できるわけだ。価格がそれに見合うかどうかは,購入する人がどれだけ机上スペースを必要としているかによるだろう.
 この当時液晶は本当に高くて一般ユーザが個人で買うことは難しかった。

コラム記事をスクラップする。
液晶ディスプレイの2つの方式
 現在のところ,一般的に利用されている液晶ディスプレイは「単純マトリックス」と「アクティブマトリックス」の2つに分けることができる.
 単純マトリックス型液晶は液晶を格子(マトリックス)状の電極で挟み、電極1本1本を走査するように電圧をかけることにより,交点部分の液晶セルを反応させる.ただし,電極が独立していないので1つの液晶セルを駆動すると隣の液晶も反応してしまい,コントラストを上げられない。この点を解決したのが2層STN(Double Super Twinsted Nematic)型液晶で、コントラストを上げるために液晶分子の向きの変化を大きく(220度もしくは240度)し,透過する光が偏光するのを防ぐためにもう1枚の液晶パネルを組み合わせている.しかし,液晶の向きの変化が大きいため・反応時間が長い,2層構造のため視野角が狭いなどの欠点がある。98NOTEやDynaBookシリーズの白黒液晶において、真正面以外では見にくい、高速スクロールで文字が読めない,マウスカーソルの移動に表示が追い付かないなどの欠点があるのはこのためだ。
 アクティブマトリックス液晶はSTN型液晶よりシンプルで,1層の液晶と電極板で構成され,個々の液晶セルに直接電圧をかける.これはトランジスタもしくはダイオードを電極板に積層形成し,各素子の増幅作用を利用しているためだ。素子がトランジスタのものをTFT(Thin Film Transistor),ダイオードのものをTFD(Thin Film Diode)と呼ぶ.エプソンがパソコンに搭載しているMIM(Metal Insulator Metal)TFD方式に属する.
 液晶板が1枚で視野角が広く,液晶分子の向きの変化も小さい(90度)ため反応速度が速い.しかし,トランジスタやダイオードを集積する製造段階で高度の技術が要求されSTN液晶に比べて製造コストが高いという欠点がある.


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コラム部分をスクラップする。
新技術を採用した液晶ディスプレイ
 STNとTFTを使用した液晶ディスプレイが普及する傍ら,新しい液晶材料の開発も行なわれてきた。期待される技術のひとつが高性能な単純マトリックス方式の液晶パネルであるSSFLC(Surface Stabilized Ferroectric Liquid Crystal:表面安定化強誘電液晶)だ.STNやTFTが使用する液晶が電界による誘電作用で液晶分子の方向を変化させるのに対し,SSFLCではFLCの自発分極を利用して表示を行なうためメモリ特性(電圧を切っても液晶表示が保持される)と高速応答性が利用できあるのが特徴だ。
 FLCの問題点としては,液晶を挟む膜が薄く均一でなくてはならず,液晶分子の配向が衝撃によって崩れやすいといった点があげられる.しかし,液晶パネルの構造としては単純マトリックス方式で,画素ごとにトランジスタを必要とするTFTよりも安価に実現できるという利点がある.メモリ特性により画面内で変更のあった部分のみ書き換えることも可能となるので,高速な描画や省電力が期待できる液晶パネルだ。
 このFLCディスプレイを実用化したのがキヤノンの日本語DTPシステム「EZPS」('92年春に発売予定:写真A)で,FLCタイプの15インチディスプレイを搭載する.モノクロ表示だが,960×1312ドットの高精細表示でA4サイズの用紙イメージをそのまま表示することが可能なディスプレイだ。
 また,16色カラーのFLCディスプレイ(写真B)も発表しており,画面サイズ15インチで1280×1024ドットと高い解像度を持つ。こちらは参考出品のみで市販予定はないそうだが,サンプル出荷が予定されている.


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