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PC-9800シリーズサードパーティアンケート(月刊ASCII 1990年3月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集'90年代のPC-9800シリーズはどうあるべきか?のサードパーティ・アンケートの記事をスクラップする。
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当時のサードパーティのNESAに対する感触を知ることはNESAの今後を予測できたのかどうか分かるかもしれない。


PC-9800のメインターゲットは,RAとRX
1:製品開発時に,最もターゲットとするシリーズ中の機種は?(複数回答)
 他機種を大きく引き離してRA,RXという現行のメイン機種がだんぜん多い.これは当然だろう.UV,CVは,1年以上もモデルチェンジがないためか,対象から外されていることが分かる.
 特徴的なのは,LTがまったく無視されているのに対して98nには積極的な点だ.LTに人気がないのは,やはり互換性に問題があるためだろう。一方の98nは互換性をクリアしているだけでなく,ノート型が時流に乗っているためだ。n松や一太郎dushのような,RAMディスク+1FDDで動作可能な“軽い”アプリケーションが,98nをメインターゲットにして数多く登場してきそうだ。今年の注目点は,軽いアプリケーションかもしれない。軽いという言葉には,プログラム容量が小さく価格が低いという両方の意味が込められている。98nをメインにした軽いアプリケーションのブームが到来すれば,拡張メモリやHDDにも多少の波及効果が生まれるかもしれない.


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「特徴的なのは,LTがまったく無視されているのに対して98nには積極的な点だ.LTに人気がないのは,やはり互換性に問題があるためだろう。」これはもっともだ。いまさら何を言っているのか。アンケートととるまでもないだろう。どうしてPC-98LTが受け入れられると思っていたのか。98という名前の威力はあったが互換性が売りで販売を伸ばしてきたのだから、たとえ性能が良くても互換性がなければ売れない。そんな市場にしたのはユーザとNECのせいだった。

現行マシンは遅い,グラフィックがダサイ,仕様が少しずつ違う
2:スペックにおいてネックとなる部分があるか?
問題ありと答えたメーカーが圧倒的に多い.
3:ネックとなる部分はどこか?
 意見の多くは,「標準で搭載しているメモリが少ない」,「ディスプレイの拡張性がない」,「グラフィック能力が低い」,「シリーズごとにスペックが少しずつ違う」,「処理速度が遅い」などに集約された。中でも,拡張性やグラフィック能力の低さ、互換性を指摘した声が多い.これらは,特集の冒頭で指摘した点とほぼ同じ内容で,各社ともNESAバスがこれらの不満を解消してくれると考えているようだ.
 周辺機器メーカーでは,DMAまわりの能力不足を指摘しており,NESAバスに対する期待が大きい。代表的な意見は,「I/Oスループットが遅すぎる。特にDMA周辺は時代遅れ。CPUもまだまだ遅い.クロックを上げ,命令+データキャッシュ型のCPU(たとえばH98)のようなマシンがほしい」(アイシーエム)だろう.今後登場するマシンには,グラフィック能力やバスの強化と標準搭載メモリの増量が望まれているようだ。


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NESAバスに期待していたのか。私がNESAの記憶がないのはDOS/Vに移ったからか。PC-9801に関心なくなったからだろう。

32bitマシンとしてNESAは当然のバス
4:NESAバスをどのように評価するか?
 「PC-9800シリーズの32bitバスとしては妥当」(ダイナウェア)に代表される基本的に賛成という意見が多く,期待が集まっているようだ。「32bitマシンでは当然のバス。これを基準にして次第に良い環境に向かうと考える」(エー・アイ・ソフト)が代表的な声だろう.中には,「マルチCPUなどは評価できる」(京都マイクロコンピュータ)の意見もある.しかし,「良いと思うが,基準仕様の公開という点に問題あり。セカンドメーカー(エプソン)にどんどん公開すべき」(アイシーエム)という条件付きで賛成という意見もある.
 否定的な意見では,「(日電は)意欲的だが,現行バスの影を引きずっているのが残念」(メガソフト),「スループットのスピードは魅力だが,仕様としてはあまり興味がない」(ハドソン)などがある.総合的には,まだNESAバス自体の全体像を把握していないためか,技術的な評価は見られなかった.


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日電が本腰を入れれば,NESAはスタンダードになる
5:将来,NESAバスはPC-9800シリーズの標準となるか?
 標準となる具体的な時期については,ばらばらだった.これは,PC-H98がまだ発売されておらず,評価ができない点も考慮する必要があるだろう.4の設問で明らかなように,期待が集まっているにもかかわらず,スタンダードになるかは疑問という意見が多い.
 「『なる』と答えましたが,それは価格やラインナップの点で日本電気が本気になればということ.そうでなければ現行マシンにおけるハイレゾマシンと同じ運命でしょう」(ブロダーバンドジャパン)という意見に代表される.大多数は,日本電気の出方を待って判断しようとしている.
 また,「いわゆる一般ユーザーが今のバスより速いバスを必要としているとは思えない」(デービーソフト)という意見もあり,32bitマシンの中でもNESAモデルと現行モデルのように二分化が行なわれると見る向きもある。また,「NESAとOS/2を使うのは企業レベル,個人レベルでは不要と思われる」(ライフボート)という意見に代表される考え方があるのも事実だ.
 メーカー各社が,NESAのスタンダード化に少なからず疑問を持っている限り,対応する周辺機器の登場は遅くなるだろう.しかし,日電インタビューでも明らかなように,年内に発表されるNESAマシンのバリエーションによっては,この姿勢が大幅に崩れることが予想される.


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OS/2は'92年以降Windowsl'91年後半に本格化する
6:OS/2(PM)やWindowsの使用が本格化するのはいつごろか?
●OS/2
 大半は,'92年以降と見ている.つまり,予測できないというわけだ。PMがやっと発売になったという状況だから,本格化にはまだ時間が必要ということだろう.本格化しないという意見は,「現行マシンには重すぎ,OS/2のメリットがない」(アイシーエム)や「現行の80286レベルのマシンでは重すぎる」(ライフボート)というもの.NESAマシンが市場に投入されていないだけに,こうした意見が出るのはもっともだ。プログラムマナーの修得に1年,応用開発に1年と考えれば,'92年以降という時期は妥当なところだろう.しかし,NESAマシンの大量発表が順調に進めば,'92年中にもOS/2は本格化するかもしれない
●Windows
 約半数が,'91年後半までに本格化すると答えた.Excel,PageMakerなどのアプリケーションがすでに販売されていることもあり,OS/2よりは本格化する時期が早そうである.中には,'90年前半という意見もある。これは,すでに販売されているアプリケーションがあることを前提にしているようだ。アプリケーションの充実によっては,本格化の速度が急速に高まることも考えられる.本格化しないとする具体的な意見はなかった.


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アンケート結果は妥当だったが、ここでもアスキーのOS/2贔屓が目立つ。いい加減にしろという感じだ。アスキーはこんなに予測がダメだったのかとあきれてしまう。

機種依存はある程度脱却できる
7:OS/2やWindowsによって,PC-9800シリーズの機種依存から脱却できるか?機種依存がなくなった場合,差別化は可能か?
 「脱却できる.メーカーに関係なくコストパフォーマンスの優れたマシンが支持される」(デービーソフト),「MS-DOS上のほとんどのソフトがOS/2で動けばあり得る」(ライフボート),「OS/2では標準的な開発をすれば機種依存できないと思う」(ブロダーバンドジャパン)などが脱却派の声だ。しかし,日電がソフトウェア資産の継承を前提に付加機能(機種依存)の方向性を示唆していることは確かだ。「周辺機器の問題が大きい,パフォーマンスを上げようとすれば機種依存する」(ダイナウェア),「限られたソフトについては脱却できるが,移植されないソフト資産がある限り無理」(エー・アイ・ソフト)などが現行維持派の見方だ。否定的な意見の大半は,GUIによって依存性は脱却できても,ハードウェアによって差別化がなされるというものだ。
 しかし,ハードウェアの差別化は,すでにNESAバスによって始まっていると もいえる.


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 「MS-DOS上のほとんどのソフトがOS/2で動けばあり得る」はOS/2をWindows95にすれば合っていた。Windowsでなければ動かないソフトが市場に溢れ、Windowsに移植されず、MS-DOSのみで動くソフトは使われなくなった。

ソフト/ハード資産がある限り,PC-9800の寡占状態は続く
8:PC-9800シリーズの市場寡占状態は今後も続くと思うか?
 圧倒的に寡占は続くと見ている.現状のソフト/ハードの豊富な量が続く限り,市場寡占状態は変わらないというのが大方の見方のようだ。機種依存については意見が分かれたが,依存性は薄れても寡占状態は続くと見ている。大多数のサードパーティが,寡占状態は続くと見ていることからも,ソフト/ハードの豊富さは,今後とも変わることがないと思われる.つまり,PC-9800シリーズは日本の標準マシンであり続けるというわけだ。

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「ソフト/ハード資産がある限り」とあるが当時から不満を抱えながらPC-9801を使っていた。ソフトの資産?そんな立派なものだったか?事務処理関係のソフトは使いながらもうちょっとなんとかならんのかとイライラしながら仕事をしていた。美少女ゲームソフトは資産かもしれない。シムシティなどの移植ソフトは98でなくてもいいし。ゲームならゲーム機の方がいいし。残るは自作ソフトなのだが、それは資産と言えなくもないが、素敵な機械に変われば移植することは楽しみにもなる。ハードも資産とならないだろう。5年もたてば燃やせないゴミだ。昔は金をどぶに捨てるような買い物をしてさらにその処分にも手間がかかるという時代だった。今の仮想化された状態の方が良い。手元にハードを置かなくてもネット上にありふれるほどある。このブログもネット上にある環境(自分の所有物ではないが資産といってもいいだろう)で作っている。

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