SSブログ

ソフト、その他(月刊ASCII 1990年3月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSをスクラップする。

テックメイト,文字認識ソフトを発売
ASCII1990(03)b12テックメイト文字認識ソフト_W500.jpg
日本語のOCRが7万8000円だった。

ロータス,1-2-3をバージョンアップ
ASCII1990(03)b16ロータス1-2-3バージョンアップ_W520.jpg
箱が頑丈だった。9万8000円か、もっと安かったように記憶している。

日電,パソコン通信用暗号システムを開発
ASCII1990(03)b14日電パソコン通信用暗号システム_W497.jpg
なんか仰々しい。

三井銀ソフトがJ-3100シリーズ用の通信ソフトなどを発売
ASCII1990(03)b16三井銀ソフトJ-3100用通信ソフト_W520.jpg
三井銀ソフトウエアサービス(株)という会社に興味を惹かれスクラップした。

ダイナウェアがAXマシン対応のUP2SYSTEMを発売
ASCII1990(03)b15ダイナウェアAX対応UP2SYSTEM_W520.jpg
一瞬パソコンかと思ったが、ソフトだった。

AMDが22MIPSを実現したRISCチップAm29000の33MHz版を発売
ASCII1990(03)b05Am29000_W520.jpg
AMDがインテルCPU互換製品で記事に出てくるのはいつごろか。

日本モトローラが20MIPSを実現した68040を発表
ASCII1990(03)b05日本モトローラ68040_W520.jpg
Macに搭載したのはいつだったか。

東芝,68000内蔵のCMOS1チップマイコンを発売
ASCII1990(03)b08東芝,68000内蔵1チップマイコン_W506.jpg

日電,16bit1チップマイコン2品種をサンプル出荷
ASCII1990(03)b08日電16bit1チップマイコン_W504.jpg
μPD78334ってなんだったのか。色々なものを作っていたということは分かった。

日電,アクセスタイム60ナノ秒の1MbitDRAMを発売
ASCII1990(03)b08日電アクセスタイム60ナノ秒_W506.jpg
日米貿易摩擦問題の主力はRAMだったと思う。

アイシーエムがPC-9800シリーズ用SCCIハードディスクを発売
ASCII1990(03)b13アイシーエムHDD_W520.jpg
40Mbytesで10万8000円。

ティアックがHDD+ストリーマ一体型ユニットなどを発売
ASCII1990(03)b13ティアックHDDストリーマ_W520.jpg
一体型は買わなかったがストリーマは職場で導入していた。当時のHDDはデータが飛びやすかったと思う。

アイ・オー・データ,J-3100SS用RAMカードを発売
ASCII1990(03)b04アイ・オー・データ機器J-3100SS用RAMカード_W506.jpg
1Mが4万5000円。1.5Mが5万7000円,2Mが7万円。高いのでとっても買う気にはなれなかった。

リコー,書き換え型光磁気ディスク装置を発売
ASCII1990(03)b08リコー書き換え型光磁気ディスク_W506.jpg
価格が53万円。私が、MOを買ったのは10万円を切ってからだった。

パイオニア,LDと連動するスタックウェアを発売
ASCII1990(03)b10パイオニアLDと連動するスタックウェア_W507.jpg
LDプレイヤーは動画を観るだけでしか使ったことがなく、パソコンでLDを制御する必要性は感じなかった。LDでゲームは選択肢になかった。

ビクター,S-VHSデジタルオーディオ技術を開発
ASCII1990(03)b10ビクターS-VHSデジタルオーディオ_W502.jpg
PCMプロセッサを使っていたが、これは知らなかった。

内田洋行,液晶原稿台を発売
ASCII1990(03)b10内田洋行液晶原稿台_W501.jpg
どう使うのか、どんな人が使うのか分からない製品だ。

東芝,脂質膜から光信号を取り出す人工網膜を試作
ASCII1990(03)b12東芝脂質膜から光信号取り出す人工網膜試作_W504.jpg
良く分からないが凄そうだ。東芝は高度な技術開発力を持っていたと思う。そういう会社をダメにしたのはどんな奴だ。経営トップは困ったちゃんが多かったのか。素人をトップにおいても会社をつぶすことはできないと思う。会社の中で出世する能力がある奴ほどダメだということだろうか。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

パソコン、ワープロ(月刊ASCII 1990年3月号2) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSをスクラップする。

ASCII1990(03)b02エプソン無償修理_W520.jpg
エプソンがPC-286L/LE/LF 約10万台を回収,無償修理
 セイコーエプソン(株)とエプソン販売(株)は,1987年12月以降に製造販売したラップトップパソコン3機種「PC-286L/LE/LF」のバッテリ充電ユニットに,設計上の不具合が発見されたため,1990年1月末までに販売された全数(10万5500台)を回収,無償で部品を交換すると発表した.
 同3機種に発見された異常は,内蔵バッテリに寿命がきている状態でACアダプタで使用を続けた場合にのみ発生の可能性があり,本体内蔵の充電ユニット内抵抗が加熱し,異臭を発したり,場合によっては発煙現象を起こすというもの。
 同社では,販売店などを通じてできるだけユーザートレースを行ない,ダイレクトメールや新聞告知広告などで同3機種の回収・無償修理を呼びかける。実際の修理作業は,連絡のついたユーザーの使用場所に宅配便業者が回収に向かい、長野県の同社交換センターで充電ユニットを交換,再び宅配便でユーザーのもとまで届ける。修理期間は、遠隔地からの回収も考慮して最大1週間を予定している.なお,同3機種を常時使用していて,修理期間の取れないユーザーには,出張交換にもできるだけ対応したいとしている.また,同件に関して専門の問い合わせセンターを設置した。

ACアダプタでの使用状況を想定しなかった設計ミス
 同社では,1989年11月下旬にこのような現象が発生することに気付き,過去の修理報告書を調査したところ,現在までに類似の修理依頼が12件あったことが判明した.
 3機種に内蔵している充電池は、通常のニッケル・カドミウム充電池で,普通に充放電を繰り返すと約1000回,過酷な充/放電を繰り返した場合では約400~500回で寿命がくる.寿命がきた充電池は、使用時の電圧・電流の低下のほか,充電時に電池内部の抵抗値が極端に下がるため,充電制御回路に過電流が流れる.同社の充電ユニットには、この過電流を防止する回路が取り付けられていなかったため,ユニット内抵抗に通常の約3倍の電流が流れて加熱し,抵抗の塗料や周囲の部品を焦がして,異臭の発生や発煙を招いた。この現象について同社で厳重な実験を行なった結果,加熱抵抗の焼き切れによって電流が止まること,充電ユニットが金属パッケージで封印されていることなどから,発火には至らないとしている。
 3機種の内蔵バッテリは,8本のニッカド充電池で構成されており,このうち6本以上に寿命がきた場合に事故発生の可能性がある.ACアダプタを抜いた状態(充電池駆動)で正常に動作する場合は,充電池が正常状態なので急な交換は必要ないが,そのまま使用を続けると2~3年後には、全出荷台数の40%~過半数で同様の事故が起こるという.
 同社では、今後このような現象が発生しないよう、充電ユニットに電流制限回路とヒューズを設けた.すでに販売したマシンの充電ユニットを改良したものと交換し,今後販売する分についても同様の処理を行なう.また,充電ユニット交換時に内蔵バッテリもチェックし,寿命のきているものがあれば同時に無償で交換する.なお,改良処理済みのものは,本体シリアルナンバー横と外箱に緑色のシールを添付し,未処理のものと区別する.
 PC-286Lは1987年12月に発売し,現在までに5万3400台,同LEは4万9600台,同LFは2500台を出荷している.ユーザー登録カードなどからダイレクトに連絡できるユーザーは,全保有者の約半分.残りのユーザーには広告などで告知する.
 修理は,ユーザーの購入ルートを問わず,本体のシリアルナンバーやメーカー保証書がない場合でも対応する.以前に,今回の原因で有償修理をしている場合には、修理代金の全額返済を行なう.交換は,当初2カ月間を集中期間とし,全PC-286L/LE/LFの充電ユニットを交換するまで継続する予定.地方都市では,販売代理店での修理も予定している.
 パーソナルコンピュータ業界で,今回のような大規模な回収修理が行なわれるのは初めて。同社では,今回の事態について「ユーザーの使用状況を十分考慮しなかった設計ミスであり,反省している」としている.なお,回収修理作業にともなう負担費用は10億円以上とみられている.


ASCII1990(03)b02エプソン無償修理写真_W423.jpg
ASCII1990(03)b02エプソン無償修理図_W437.jpg
モバイルパソコンだけではなく、バッテリ不具合は何回もあった。火を吹いたこともあった。バッテリは結構危険なものだった。

エプソンが低価格版ノート型パソコンと省スペース型386SXマシンを発表同時にMS-DOS Ver.4.01の販売を開始
ASCII1990(03)b06エプソン386SXマシン_W520.jpg

セイコーエプソンがクロック周波数20MHzのPC-286VXを発売
ASCII1990(03)b11エプソン20MHzのPC-286VX_W520.jpg
価格はPC-286VXモデルSTDが34万8000円。
私が買ったPC-9801VX2は80286の8MHzだったのでこうして次々と高速モデルがでるのはしょうがないにしても面白くなく、PC-9801VX2を買ったことを後悔していた。あのときPC-9801VM2に転んでおけばよかったのにと、VM2は第一線マシンとして長持ちしていたという点で名機だったと思う。それ以外の98は発売したとたんに残念マシンになったと思っている。

ASTリサーチ・ジャパンが25MHzの80486マシンを発売
ASCII1990(03)b07ATSリサーチ80486マシン_W520.jpg

カテナが米国Compaq社の80486マシンを国内発売
ASCII1990(03)b07カテナCompaq80486マシン_W520.jpg

キヤノンがNAVIシリーズに液晶マシンを投入
ASCII1990(03)b07キヤノンNAVI_W520.jpg
価格は、本体が39万8000円
この写真を見て今のスマホができることがこの大きさかと思ったが写真、動画が撮れないのでそれ以下だ。

日立製作所がPROSET30シリーズにHDD内蔵機種を投入
ASCII1990(03)b09日立PROSET30にHDD内蔵_W520.jpg
PROSET30HDが74万3000円。
なんとも仰々しいフォルムだがこういう形の機械を使ってみたかった。

沖電気が25MHzの80386を搭載した32bitマシン4機種を発売
ASCII1990(03)b09沖電気24MHzの80386搭載_W520.jpg
エントリーマシンEXII110Fが79万8000円

日本エイサー,80386/33MHz採用のAXマシンを発売
ASCII1990(03)b10日本エイサー80386/33MHz_W500.jpg
Acer1100/33X 101が172万8000円

富士ゼロックス,低価格ワークステーションを発売
ASCII1990(03)b08富士ゼロックス低価格ワークステーション_W505.jpg
低価格といっても8085-JスターII が 168万円から。思うに、一体どこに売っていたのだろうか。

日立製作所が32bitカラー液晶ラップトップなどを発売
ASCII1990(03)b09日立32bitカラー液晶ラップトップ_W520.jpg
B32LXCが72万8000円。

三洋電機,80386搭載のAXマシンを発売
ASCII1990(03)b14三洋電機80386AXマシン_W505.jpg
Axage(MBC-18SJH)の価格は49万5000円

リコー,PSシリーズの新機種を発売
ASCII1990(03)b10リコーPSシリーズ_W502.jpg

日電,N5200シリーズの最上位機種を発売
ASCII1990(03)b12日電N5200最上位機種_W505.jpg

富士通,スーパーニューロコンピュータを開発
ASCII1990(03)b10富士通スーパーニューロコンピュータ_W501.jpg
ニューロコンピュータは見たことがなかった。開発はしても市場には投入しなかったのか。

リコー,20MbytesHDD内蔵の日本語ワープロを発売
ASCII1990(03)b14リコー210MbytesHDD内蔵ワープロ_W507.jpg
リポート4100シリーズ、価格は本体43万円。
ワープロで20Mbytesの文書を保存しておく必要が分からない。FDではだめなんだろうけど。いったいどれだけ文書を作ってデータ保存したいのか。ワープロの場合印刷したら終わりではないのか。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

パソコン広告(月刊ASCII 1990年3月号1) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

もう一度読み返し、スクラップする。

ASCII1990(03)表裏_W520.jpg
この号も裏表紙は前号の使いまわし。

ASCII1990(03)見開_W520.jpg
表紙見返しの広告はNESAの正体だがなんだったんだか分からない。

ASCII1990(03)a01モデム川越美和_W520.jpg
ASCII1990(03)a01川越美和_W196.jpg
NECのモデムの広告。右下隅に川越美和のカットがある。NECはなぜこんな風にイメージキャラクターを使ったのか。どんなしがらみがあったのか。

ASCII1990(03)a02PC-VAN_W520.jpg
PC-VANは会員10万人を突破。知人に画像をアップしている人がいてその関係で私も入っていた。

ASCII1990(03)a03PanacomM_W520.jpg
右頁がPancomM LAPTOPの広告で前号の使いまわし

ASCII1990(03)a04X68000_W520.jpg
X68000は前号の使いまわし。

ASCII1990(03)a05OMRON_W520.jpg
左頁がOMRONのLUNAシリーズ。

ASCII1990(03)a06PS55Z_W520.jpg
IBMのPS/55Zの広告。

ASCII1990(03)a07DynaBook_W520.jpg
DynaBookとJ-3100シリーズ。

ASCII1990(03)a08PIO-31SS_W520.jpg
ダイナブックに挿入するRMカード、アイ・オー・データ機器のPIO-31SS。1Mbytesで45,000円、2Mbytesで70,000円。サイドマシンとしてダイナブックを使う私には眼中になかった。

ここからTOWNSの見開き広告が6ページ続く。
ASCII1990(03)a09TOWNS_W520.jpg
ASCII1990(03)a10TOWNS_W520.jpg
右頁は前号の使いまわし。
ASCII1990(03)a11TOWNS_W520.jpg
前号と若干違う。

ASCII1990(03)a12富士通_W520.jpg
左頁がTOWNSで前号の使いまわし。

ASCII1990(03)a13FMR_W520.jpg
FMRは前号の使いまわし。

ASCII1990(03)a14SANYO_W520.jpg
サンヨーのAXマシン。

ASCII1990(03)a15PC-286NOTEF_W520.jpg
EPSONのPC-286NOTE F。

ASCII1990(03)a16PC-386M_W520.jpg
EPSONのPC-386M。

ASCII1990(03)a17WORDBANKnote2_W520.jpg
右頁がEPSONのWORD Bank note2

ASCII1990(03)a18NeXT_W520.jpg
キヤノンが国内販売しているNeXTの広告。ジョブスがかかわる製品の広告は常にオシャレだ。

ASCII1990(03)a19NAVI_W520.jpg
キヤノンのNAVI。前号の使いまわし。

ASCII1990(03)a20Bubble-Jet_W520.jpg
キヤノンのバブルジェットプリンタ。前号の使いまわし

ASCII1990(03)a21AXi_W520.jpg
キヤノンのAXパソコンの広告は前号の使いまわし。

ASCII1990(03)a22Mac_W520.jpg
アップルとキヤノンの共同によるMacの広告。

ASCII1990(03)a23ノストラダムスオーシャノグラフィー_W520.jpg
マイクロデータのノストラダムス、オーシャノグラフィー、エコロジーの広告。以下、漫画部分をスクラップする。
ASCII1990(03)a23オーシャノグラフィー漫画1_W520.jpg
ASCII1990(03)a23オーシャノグラフィー漫画2_W520.jpg
ASCII1990(03)a23エコロジー漫画_W520.jpg
ASCII1990(03)a23ノストラダムス漫画_W520.jpg

以下ジャストシステムの広告が見開き14ページ続く。
ASCII1990(03)a24一太郎_W520.jpg
ASCII1990(03)a25一太郎_W520.jpg
ASCII1990(03)a26一太郎_W520.jpg
ASCII1990(03)a27一太郎_W520.jpg
ASCII1990(03)a28一太郎_W520.jpg
ASCII1990(03)a29一太郎_W520.jpg
ASCII1990(03)a30ジャストシステム_W520.jpg
最後はEMSボードとハンディカプラの広告。

ASCII1990(03)a31TRON_W520.jpg
右頁がマイクロニクスのPC-TRONの広告。TORNの製品広告が珍しかったのでスクラップする。

ASCII1990(03)a32LOTUS1-2-3_W520.jpg
ロータス1-2-3の広告。

ASCII1990(03)a33ツクモ_W520.jpg
ASCII1990(03)a34ツクモ_W520.jpg
ツクモ電機の広告が見開き4ページあった。パソコンショップでASCIIのカラーページに広告を掲載しているのはツクモだけだった。

ASCII1990(03)裏裏_W260.jpg
裏表紙裏はFUJI FILMで3月号も前号の使いまわし。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

TBN,MS-DOS,RPG,顔文字(月刊ASCII 1990年2月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

TBNの「なんでも相談室」、MS-DOSユーザーズ・ワークベンチ、テーブルトークRPG、顔文字の記事をスクラップする。

TBNのなんでも相談室をスクラップする。
Printできない文字がある?
Q:MS-Cのprintf文で“表”という漢字を出力しようとしても,うまくいきません.ほかの漢字は大丈夫なのに,なぜでしょう.
Q:MS-Cのコマンドラインでは,“表”というパラメータがうまく処理されません.なぜですか.

A:このお二人の質問だけでは意味が分かりにくいと思うので、簡単な例で説明します。
 最初の質問は,MS-Cでリスト1のようなプログラムをコンパイル・実行した場合,出力が
This is test of 表1.
とならずに, This is test of 浮P.
のように乱れてしまうというような症状です.
 2番目の質問は,たとえば“数表計算.C”というC言語のソースファイルをMS-Cでコンパイルすると,“数表”という文字が抜けた“計算.obj,計算.exe"というファイルができてしまうような症状です(リスト2).
 結論から言えば,これらの症状はお使いのMS-Cが漢字コードに完全には対応していないために発生していると考えられます。では、なぜ“表”という文字に限ってこのような症状が出るのでしょうか.この原因について考える前に,MS-DOSでの日本語(漢字)の取り扱いについて簡単に説明しましょう.
 もともとMS-DOSは英語(1バイトコード)での使用を前提に作られました。ですからファイル名やテキストファイルに使えるのはアルファベットと若干の英記号(ASCII文字セット)に限られていました.この英語版MS-DOSを改造して2バイトコード(漢字コード)を扱えるようにしたのが,いわゆる日本語MS-DOSです.
 日本語MS-DOSで使われる漢字コードはMS漢字コードと呼ばれ,JIS漢字コードを一定の規則でずらしたものです。俗にシフトJISコードと呼ばれているものとほぼ同じです.1バイトコードとMS漢字コードが区別できるように,MS漢字コードの1バイト目には1バイト文字コードでは使われていない81h~9Fhの領域を割り当てています(2バイト目は,1バイト文字のコードに重なって割り当てられています).
 MS-DOSの入出力ルーチンは,1バイトずつの入出力が基本になっているため,このままでは正しく2バイト文字を取り扱うことができません.そこで日本語MS-DOSの画面出力ルーチンなどでは取り込んだ1バイトがASCII文字コードの領域から外れている場合は,次の1バイトと組み合わせて1つの2バイト文字として出力するようにしています.
 しかし,このようにして日本語に対応したMS-DOSのもとでも,アプリケーション自身が完全に対応していない場合には問題が起こります.
 ご質問のケースでは,MS-Cのprintf関数やコマンドラインの解釈ルーチンに問題があると思われます.
 C言語のprintf関数は,出力のフォーマットを指示する文字列と出力する変数や定数をパラメータにとります。フォーマット用の文字列には,特殊な意味を持つ文字が含まれています。特に,“¥”という文字(英語の文字セットでは"\")は,その次の1文字と組み合わせて改行,改ページ,タブ,エスケープコードなどの制御コードを表わすために使われます.たとえば,
printf("ASCII ¥n issue ¥t %d.",150);
という文中で"¥t”は2文字で1つのTABコード(09h)を,“¥n"は1つの改行コード(MS-DOSではODh+OAhの2バイト)を表わしています。 問題になっている“表”という文字は,MS-DOSでは“955Ch”という2バイトのコードで表わされています。ところが,この2バイト目はASCII文字の“¥”と同じコードになっています.MS-Cなどで,質問のような症状が出るのは,実はこのせいだったのです.つまり,printf文をコンパイルする際,コンパイラが“表”の2バイト目のコードを"¥"と勘違いして,次の1バイトと組み合わせて1つの制御コードと見なしたり,対応するコードが定義されていない組み合わせならば“¥"のみが無視されて抜け落ちてしまうわけです。もちろん,“表”以外でも,“¥”を2バイト目に持つ漢字なら同様の症状が起きます(表1).
 実例で説明しましょう.リスト1のCプログラムをコンパイルしたオブジェクトファイルをダンプして,printf文の制御文字列に当たる部分を調べてみます(リスト3).すると“955Ch(表)”となるはずの部分が,“95h”しか残っていないことが分かります.このため“95h"と次の“82h”が組み合わされて,“浮”という漢字が表示されてしまうわけです。
 コマンドラインからのファイル名などがうまく解釈できないのも,MS-DOSでは"¥"がパス名の区切りに使われている特殊な文字であるためだと考えられます。
 もっとも,きちんと日本語に対応しているアプリケーションならばこのようなことは起こらないはずです.たとえば同じC言語の処理系でも,Turbo Cではprintf文中の漢字は正しく処理されます。しかし,コマンドライン中のファイル名では,似たような症状が発生します。
 では,MS-Cでは“表”という漢字を使うことはできないのでしょうか.実は,MS-Cでも“日本語版”と表記されているものならば,コンパイル時に“/J”というオプションをつけるだけで,printf文中などの漢字コードを正しく解釈できるようになります(ただし,コマンドラインの問題は解決されません).
 日本語対応でないMS-Cや“/J”オプションをつけない場合でも,問題のある漢字(2バイト目が“¥”の漢字)の直後に,(半角の)“¥”をつけ加えるだけで,正しく処理されるようになります.これはCのprintf文などの書式指定文字列中では,“¥”が2つ並んでいる場合は特殊文字とみなさずに1つの文字“”そのものであると解釈するからです.つまり,“表”の2バイト目の“¥"と直後の“¥"を合わせて1つの“¥”になり,“表”の1バイト目とそのまま組み合わされて正しい “表”のコードがオブジェクトファイルに出力されるわけです(図1).
 コマンドラインの問題に関しては,漢字でファイル名をつける必要はないのでそれほど困ることはないと思いますが,解決の方法は残念ながら分かりませんでした.もし,うまい解決法をご存じの方がいらっしゃいましたら,ぜひお知らせください。  (竹田)

注:全角の¥は半角として読む。
ASCII1990(02)h01printできない文字リスト1_W338.jpg
ASCII1990(02)h01printできない文字リスト2_W520.jpg
ASCII1990(02)h01printできない文字リスト3_W520.jpg
ASCII1990(02)h01printできない文字表1図1_W357.jpg
そうだった。「表」はよく使う字だったので悩まされた。あと「能」も可能とか性能とかで出てくる。表1はメモにして机の上に置いていた。
※2023/04/18 追加編集※
33年前の問題だと思っていたが、なんと現在もあった。
ITmediaNEWSにSwitchの新作ゲームでこの問題があった。
キャラ名に「ソ」があると画面がフリーズ Switchの新作ゲームにバグ 制作会社が謝罪
なんともはやどうしたもんだか。
歴史を学ぶというのは大事だと重ねて思った

広い部屋が欲しい……
Q:MS-DOSの640Kbytesというメモリ空間の壁を破る手段として,EMSのほかにDOS Extenderというものがあると聞きました.それはどういうものなのでしょうか?
A:DOSExtenderとは,640KbytesというMS-DOSの使用可能メモリ領域の制限を打破するために考えられた,ソフトウェアのアイデアの1つです.
 EMSがデータ領域に利用するメモリ容量の拡張を主たる目的としていることに対し,DOS Extenderはコード領域に利用するメモリ領域を拡張することを中心に置いている点が特徴です。とはいえEMSで拡張されたメモリ領域に実行コードを置けないわけではありません。ただそれには非常に高度な技術が要求され,実用的ではありません。
 EMSがあくまでMS-DOSの機能に640Kbytesを超えるメモリ領域へのアクセス手段を付加するものであるのに対して,DOS ExtenderはCPUが本来持っている能力を引き出すことによってメモリ領域の拡張を図ります。これが,両者の最も大きな違いです.このことを,もう少し詳しく説明しましょう.EMSは,拡張領域として利用するメモリ(多くの場合はアドオンメモリボード)をドライブするソフトウェアであり,ハードウェア(特にCPU)による違いはありません.市販されている製品の中には特定のハードウエア(CPU,メモリボード)を搭載していないと動作しないものもありますが,規格として定められているわけではありません.ちなみに現在のEMSの主流をなしているのは,米国のLotus,Intel,Microsoftの3社が合同で発表したLIM EMSと呼ばれる規格です.
 一方のDOS Extenderは,多くのMS-DOSマシンのCPUに使用されている80286/80386が備えている本来のアドレスバス幅を十分に活用することで,640Kbytesを超えるメモリ領域を利用可能にするものです.通常MS-DOSのもとでは,80286でも80386でもそれらのCPUの本来の姿(プロテクトモード,あるいはネイティブモードという)で利用されているのではなく,8086互換(リアルモード)で動作しています。そのため32bitのアドレスバス幅を持つ80386を搭載したマシンでも,MS-DOSで利用する限りは8086と(動作速度を別にして)なんら変わることのない状態で,CPUの本来の能力を半分も使い切ることなく利用されているのです.DOS Extenderは,MS-DOSのもとで8086互換のリアルモードで動作している80286/80386を,DOS Extenderに対応したアプリケーションが動作するときにのみ一時的にそのCPU本来のプロテクトモードに変更し,640Kbytesを超えるメモリ領域の利用を可能にするものです。同時に,80286/80386の持つインストラクションセットの利用も可能にします。
 さてその仕組みですが,DOSExtenderには現在いくつかの製品があり、ぞれぞれが別の方法で先に述べたような機能を実現しています。代表的な製品としては米国Rational Systems社製の「DOS/16M」と,米国PharLap社製の「386|DOS-Extender」の2つがあります。どちらも,国内ソフトハウスから国産MS-DOSマシン向けに移植されたものが販売されています(それぞれの製品の問い合わせ先は,最後にあげておきます).
 DOS Extenderの本体コードは,アプリケーションプログラムまたはランタイムライブラリの形態をとっています。これはDOS Extenderに対応した(DOS Extenderを利用するためのライブラリをリンクした)アプリケーションを利用するときにのみ有効になり,リアルモードからプロテクトモードへの変更を行ない,プロテクトモードで動作するアプリケーションとMS-DOSとの仲介の働きをします。プロテクトモードのアプリケーションが終了すると,DOS ExtenderはCPUをもとの動作モード(リアルモード)に戻し、通常のMS-DOSアプリケーションの動作を保証します(図2参照).
 つまり,DOS Extenderは既存のアプリケーションでメモリの拡張領域を利用可能にするものではありません.DOS Extenderで拡張されたメモリ領域を利用するためには,そのDOS Extender専用のアプリケーションが必要になります。
 一方のEMSも対応するアプリケーションでなくては拡張メモリを利用することができないとはいえ,アプリケーションの大手ベンダー主導で考案したものであるだけに市販のアプリケーションでもEMS対応のものが増えています。その点,アプリケーションユーザーにとっては手軽なメモリ拡張法であるといえるでしょう.
 そうしたことをふまえた上でDOS Extenderの利点をあげるとするならば,やはりCPU本来の機能を生かしたアプリケーションの開発にあるのではないでしょうか.現行のMS-DOSと変わらない操作環境のまま80286/80386の本来の能力を生かしたアプリケーションが利用可能になるのは魅力的です.ただ,ひとくちにDOS Extenderといっても、製品ごとにまったく別のものであること,またそれらに対応するアプリケーションが現時点では皆無にひとしいことなどから,アプリケーションユーザーにとって,今すぐに役立つというものではないようです.
(樋田)

DOS Extenderは日本語TEXで使った。
注:DOS Extenderの図2は無かった。

MS-DOSのフォーマットの違い
Q:同じMS-DOSの2HDディスクなのに,IBMPCのディスクをPC-9801では読むことができません。IBMとPC-9801のフロッピディスクのフォーマットの違いを教えてください.
A:フォーマットとは,コンピュータがデータを読み書きできるように前もってディスク面に区切りを入れてデータを記録するときのガイドラインを作る作業です.真っ白な紙に文章(データ)を書き込もうとすると,文字の大きさや1行の文字数,右書きか左書きか,上から書くか下から書くかなどの書式がばらばらになってしまいます。人間なら書式がばらばらでも読み書きできますが,コンピュータではそうはいきません.フォーマットは真つ白なディスクに罫線を引いて,書式を決めてやる作業と考えれば分かりやすいと思います。
 MS-DOSの場合、図2のようにディスク面を区切っています。同心円状の区切りをトラック,それを放射状に区切ったものをセクタと呼びます.表2にMS-DOSで主に使用されているフォーマット形式をまとめてみました。一般に同じ2HD,2DDと呼ばれるフオーマットにも,セクタの数やトラック数の違うものがあることが分かります.
 ご質問のIBM PCとPC-9801がどのフォーマットを採用し,使用できるかをまとめたのが表3です.ご覧のように,IBM PCとPC-9801が標準で使用しているのは違うフォマットなのです.ただし,読み書きもしくは読み取りだけはできるフォーマットも存在するので,それを利用することでファイルの互換を図ることができます.
 それらのフォーマットを使用する際には,たとえばPC-9801でディスクを2DD/9セクタフォーマットをするときにはformat /9,IBM PCで2DD/8セクタフォーマットをするにはformat /8,というようにformatコマンドにパラメータをつけることで指定します(表4,5参照)なお,実際の データの読み書きの際には,DOSが自動的にフォーマットを判断し,そのフォーマットに合わせて処理します。
 日本語化されたIBM PC互換機のフォーマハットは,基本的にはIBM PCと同じです。ただし、機種によっては2HD/8セクタフォーマットを読み取ることができるものがあったり,2HDフォーマットがIBM PCと異なるものもあります(表6).
 J-3100の3.5"ディスクは2HDと呼ばれますが,2HD/18セクタフォーマットではなく2HC/15セクタフォーマットと同じものを使用しています.また,2HD/8セクタフォーマットの読み書きはサポートしていますが,3.5"2HD/18セクタフォーマットは読み取り,書き込みができません。またAXの規定では読み書きできないことになっているフォーマットでも,メーカー,機種によっては読み書きできるものもあります。
 なおIBM PS/55や5500といった日本IBMの機種の中にも,2HD/8セクタフォーマットを読み書きできるものがあります。
(加藤)


ASCII1990(02)h03DOSフォーマット図2_W353.jpg


表2 MS-DOSで主に使用されているフォーマット形式
フォーマット形式容量1周のセクタ数トラック数1セクタの容量
1.44Mbytes/18セクタ(2HD)1,457,664bytes1880×2512bytes
1.2Mbytes/18セクタ(2HD)1,250,304bytes877×21024bytes
1.2Mbytes/15セクタ(2HC)1,213,952bytes1580×2512bytes
720Kbytes/9セクタ(2DD)730,112bytes980×2512bytes
640Kbytes/8セクタ(2DD)649,216bytes880×2512bytes
360Kbytes/9セクタ(2D)362,496bytes940×2512bytes
320Kbytes/8セクタ(2D)322,560bytes840×2512bytes
180Kbytes/9セクタ(1D)179,712bytes940×1512bytes
160Kbytes/8セクタ(1D)160,256bytes840×1512bytes
250Kbytes/26セクタ(1S)252,416bytes2677×1128bytes



表3 IBM PCとPC-9801シリーズのフォーマット
PC-9801
8"
PC-9801
5"
PC-9801
3.5"
IBM PC
8"
IBM PC
5"
IBMPC
3.5"
1.44Mbytes
18セクタ(2HD)
×××××
1.2Mbytes
8セクタ(2HD)
×××
1.2Mbytes
15セクタ(2HC)
×××
720Kbytes
9セクタ(2DD)
××
640Kbytes
8セクタ(2DD)
××
360Kbytes
9セクタ(2D)
××
320Kbytes
8セクタ(2D)
××
180Kbytes
9セクタ(1D)
××
160Kbytes
8セクタ(1D)
××
250Kbytes
26セクタ(1S)
××××

◎:通常使用されているフォーマット
○:通常使用されないが,読み書きできるフオーマット
△:読み取ることはできるが,書き込むことができないフォーマット(ユーティリティなどの使用によっては可能なときもある)
×:読み取り,書き込みがまったくできない,もしくは存在しないフォーマット


表4 PC-9801のformatコマンドのパラメータとフォーマット形式
/6/m省略
/9720Kbytes/9セクタ(2DD)指定不可720Kbytes/9セクタ(2DD)
省略640Kbytes/8セクタ(2DD)1.2Mbytes/8セクタ(2HD)メニューより8セクタの2HD/2DDを選択
format [Drive:] [/6 or /m] [/9]という形で指定する.


表5 IBM PC(5")のformatコマンドのパラメータとフォーマット形式
/8320Kbytes/8セクタ(2D)
省略ドライブにより360Kbytes/9セクタ(2D)か1.2Mbytes/15セクタ(2HC)を切り替え
format [Drive: ][/8]という形で指定する.
3.5"では,8セクタフォーマットを行なうことができない.


表6 IBM PC互換機のフォーマット
J-31003.5"AX5"AX3.5"PS/553.5"
1.44Mbytes18セクタ(2HD)××
1.2Mbytes8セクタ(2HD)×
1.2Mbytes15セクタ(2HC)×
720Kbytes9セクタ(2DD)
640Kbytes8セクタ(2DD)
360Kbytes9セクタ(2D)×
320Kbytes8セクタ(2D)×
180Kbytes9セクタ(1D)×
160Kbytes8セクタ(1D)×
◎:通常使用されているフォーマット
○:通常使用されないが,読み書きできるフオーマット
△:読み取ることはできるが,書き込むことができないフォーマット(ユーティリティなどの使用によっては可能なときもある)
×:読み取り,書き込みがまったくできない,もしくは存在しないフォーマット
AXは規格によって定められたもの,メーカー、機種によっては×のフォーマットが読み書き可能なこともある.PS/55系は基本的にはIBM PCと同じ.
ただしドライブの増設によって1.2Mbytes/8セクタフォーマットの読み書きが可能な機種もある.

複数の機種特に古い機械もあるところとか分析機器に付いているパソコンとかがあるとこれは何を使っているのかを把握しないと困惑することがあった。

MS-DOSユーザズ・ワークベンチの漫画をスクラップする。
ASCII1990(02)d01MS-DOS漫画_W520.jpg
ASCII1990(02)d02MS-DOS漫画_W520.jpg
ASCII1990(02)d06MS-DOS漫画_W520.jpg
ASCII1990(02)d08MS-DOS漫画_W520.jpg
最終回だった。

テーブルトークRPGの記事をスクラップする。興味はあったがやったことはない。
ASCII1990(02)h05RPG合体_W520.jpg
これはテーブルトークのRPGの記事。冒頭の挨拶を除きスクラップする。

遊んだことはないが、ECC(Enjoy Computer Club)の例会会場の区民センターのロビーで遊んでいる子たちを見た。高校生くらいだろうか、区民センターのロビーなら長時間無料で遊べる。私は興味があったが、近くに行くと彼らが気を遣いそうなので遠慮した。
テーブルトークの自由な世界
 テーブルトークRPGってご存じですか?
 コンピュータRPG全盛のこの頃ですが,テーブルトークRPGは,コンピュータRPGとは違った面白さを持つ,これからのゲームです.
 それはまずコンピュータを必要としません。一般にコンピュータRPGは謎ときやストーリートレースに重きを置きますが,テーブルトークRPGのポイントは世界の共有にあります。気心の知れた仲間と,ゲームの世界に一緒に旅行する感覚です.
 そこではさまざまな事件が起こり,プレイヤーたちはいやおうなくそうした事件に巻き込まれることになるのです.
 プレイヤーたちはまず一人の冒険者を創り出します。サイコロを振って、体力、知力、身分,所持金などを決定し,それらしい名前をつけてゲームを始めます。
 ファンタジーがテーマであれば、どこかの街の宿,SFであれば宇宙港といった具合に,最初の舞台が設定されます.
 プレイヤーたちは、自分のキャラクター(さっきサイコロで創った人、登場人物)になったつもりで、思い思いの行動をとります。たとえばバーテンに酒を注文したり、酒場にいるお客さんに話しかけたり…….あるいは,他の街に向かったりです.
 コンピュータRPGですと,こうした行動はコマンドやアイコンの中から選ぶことになります.「見る」とか「話す」といった具合ですね.ところがテーブルトークRPGでは,その辺の行動がまったく自由なのです。なぜなら,そこにはゲームマスターという人間の審判・進行役がいるからです.
 ゲームマスターは,ルールを熟知した人でなければなりません。彼は,事件の内容をあらかじめすべて知っています.そして,これらの設定とルールに従って,キャラクターの行動の結果を判定していくのです.
 キャラクターのとりそうな主だった行動については,ルールブックに判定ルールが載っています.たとえば,重いものを持ち上げようとするときは,[サイコロを2個振って出た目]+[持ち上げるものの重量]≦[体力]なら成功,といった具合にです。
 また,ルールにないことはゲームマスターが自由に判断していいことになっています。このことにより,プレイヤーは独創的な行動をいろいろと試せるようになりました。それにキャラクターをみんなの前で演じるわけですから,ちょっと演劇的な楽しみも得られます。
 面倒なルールはゲームマスターがすべて管理していますから,まったくの未経験者でもすぐに遊びに参加できます.そうした手軽さが幸いして,洋の東西を問わず,テーブルトークRPGは大人気になりました。合衆国におD&D(TSR)の成功.日本では,ゲーム小説でも名高いロードス島戦記(角川書店)のヒットなどなど.
 何かとマテリアル指向が強かった日本のエンターテイメント分野にこういうソフトウェア指向の遊びが定着しつつあるというのは,ーゲームファンとしても嬉しい限りです.

テーブルトークの弱点
 ところがこのテーブルトークRPGには,1つ決定的な弱点がありました.ゲームマスターが難しいのです.ゲームマスターはルールを熟知し,スムーズにその適用ができる人でなければなりません。しかし,それだけでゲームマスターがつとまると思ったら大間違いです。
 彼はあらかじめ設定した事件の設定書(シナリオといいます)に従って,事件を進行していく進行役でもあります。しかし「ルールに書いてあるから」,「シナリオがそうだから」という理由だけでゲームを進行したのでは,テーブルトークRPGの面白さは理解できません.ルールとシナリオの厳格な出し入れだけだったら,コンピュータにでもやらせたほうがましです.ウィザードリィのような傑作がそれを証明しました。
 集ったプレイヤーたちの,趣味や指向,ノリの種類にあわせて事件の方向を微妙に修正するフットワーク.プレイヤーたちの演技を上手に引き出すテクニック.そして,何よりも自分自身がその別世界の登場人物になってプレイヤーを引き込むパフォーマンス性。こうしたさまざまな素養を備えた人が,ゲームマスターには望ましいのです。
 さらに加えて,日本特有の問題がまたもや発生しています.アメリカで生まれたこの遊びは、元来シミュレーションゲームの一分野だったのです.
 地図を描いたゲームボードの上に部隊を表わすユニットを置いて,互いに戦う図上演習のようなゲームをご覧になったことはないでしょうか。こういうゲームは,軍隊という非常に評価しにくい戦力集団を,戦闘力とか移動力といった数値に置き換えるというコンセプトのもとに作られています。
 いまでこそ見慣れている,こうした定量化,能力の相対化は,考えてみるとアメリカ人のお家芸のようです。野球における「防御率」のような数字が,いかに偉大なものかは相撲(日)や競馬(英)にこうした数字がないことからも明らかです.
 それはさておき,軍隊の強さをずばりと数字化し,ルールに従って戦場の様子を再現してしまおうというシミュレーションゲームは,ひととき大変な流行になりました.
 シミュレーションゲームの面白さは,次の2点に要約されると思います.
(1) 双方のプレイヤーがベストを尽くすことによって,戦場の様子がよく分かり、そこにあった可能性も検討できる.
(2)戦争の指揮官として困難に立ち向かうことができる.
 そして市場では,次第に(2)が優勢になったのです.
 そうなると,扱う世界は実在の戦場である必要はどこにもありません。プレイヤー個人の資質が問われるようなゲームが求められるようになります。
 1対1のレベルでの戦いを扱ったシミュレーションゲームは,もともとその要件を満たしていました.戦闘機対戦闘機という空中戦ゲームや剣士の戦闘を扱ったゲームは,もともと非常にRPGに近かったのです。
 リアルに世界を描けるシミュレーションゲームのルールが,剣戦闘のまわりに架空世界を作りました。プレイヤーは,いまや自分の剣士を創り,それに感情移入してモンスターの潜む地下迷宮に出かけられるようになったのです.
 こうした発達事情があるものですからアメリカ産のRPGは,プレイヤーがみなシミュレーションゲーム的な知識を持つものとして書かれています。
 そんなわけで,それを翻訳・輸入したものも、普通の日本の人には遊びにくいものになってしまいました.ルールが販売されていてその遊び方が本にもなっているというのは,なんだかコンピュータソフトみたいですね。

本当は簡単なんだよ
 けれども、繰り返しになりますがテーブルトークRPGはとても遊びやすいものなのです.カードゲームやパーティゲームをやっているときに、ぼくらは自然にロールプレイをしていることさえあるくらいですから…….「それだったら,カードやボードゲームにロールプレイのルールをつけちゃえばいいじゃないか。カードゲームやボードゲームをプレイしていて,ステップアップ式にロールプレイに引き込んでしまえるルールブックを書いてみたい」
 そう考えたのが,去年の中頃でした。そのコンセプトでデザインしたのが,翔企画の『レムリカ銃士隊』です.RPGのルールを利用したカードゲーム,それに登場するキャラクタ一の作り方,ロールプレイの説明、入門用のシナリオまでをセットした,初心者向けのテーブルトークRPGです.
 みんなが集まったら簡単なカードゲームで楽しむ.そして,そのゲーム用の自分のキャラクターを作る。そこにシナリオが待っていて……という現場の流れを考えました。
 これで少しでもロールプレイのファンが増えればいいなと思っています。また、今年はそんなゲームをいくつかデザインしてみたいと思っています。
(近藤功司)


ASCII1990(02)h05RPG図1_W520.jpg
ASCII1990(02)h05RPG図2_W372.jpg
ASCII1990(02)h06RPG図3_W517.jpg
ASCII1990(02)h06RPG図4_W515.jpg
RPGは面白くていいのだけれど、それを趣味にするとプログラミングができなくなる。趣味の時間がもっと欲しかった。

顔文字の記事をスクラップする。
ASCII1990(02)h07顔文字合体_W520.jpg
【スマイリーフェイス】 (smily face)
私の気持ちを伝えたい
 「スマイリーフェイス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
 直訳すれば「微笑んでいる顔」という意味ですが,コンピュータの世界で「スマイリーフェイス」といわれても,「なんのことだかさっぱり分からない!」という人が多いのではないでしょうか。もしパソコン通信をやっている方ならば,「ひょっとして,あれのことかな?」と,思い当たるかもしれません。一度ぐらいはBBS上のアーティクルの行の中や,行末に「:-)」という記号が入っているのを見かけたことがありませんか?
 「んー,見かけたことがあるかもしれないけど,ゴミにしてはよく見かけるなと思っていました」などという方に,ちょっと驚くことを教えましょう。この記号「:-)」を,首を左側に90度傾けてみてください。すると,なんとなく「微笑んでいる顔」に見えませんか?そう、この「:-)」という記号こそ,今回お話する「スマイリーフェイス」なのです。
 さて,このスマイリーフェイスはどのように使われているのでしょうか。普通、BBS上のアーティクルの行末などに,このスマイリーフェイス「:-)」を付け加えることで「これは冗談ですよ」,「笑ってやってください」,「どうぞよろしく」といったニュアンスにするために使います。
 おもにパソコン通信での情報のやりとりは文字を基本にして行なわれています.文字,つまり文章のやりとりだけでは,どうしても自分の伝えたい感情などが相手に伝わりにくくなってしまいます.そこでこのスマイリーフェイスが使われるようになったのです.写植の文字でも,それほど多くは使われませんが決まり文句(?)的な記号「 」があるようです(写研ならBA-90の記号)。 スマイリーフェイスの習慣は,個人的にやっていたという人もいるかもしれませんが,どうやらアメリカのUNIXのネットワークで流行し始めたようです.国内ではUNIXのネットワーク,JUNETの「JUNET利用の手引」の中で詳しく紹介されたのが流行の始まりのようです。

さまざまな顔のバリエーション
 「:-)」というスマイリーフェイスが一般的ですが,実はスマイリーフェイスにはさまざまなバリエーションがあります。パソコン通信で扱える文字のキャラクターをさまざまに組み合わせることで,限りなくいろいろな顔,表情を作ることができるのです.
 たとえば、先程の「:-)」という基本的なスマイリーフェイスの唇を変えて「:-(」という不機嫌そうなスマイリーフェイスを作って、自分の感情を表わすことがあります。単純に感情を表現するスマイリーフェイスはほかにもたくさんあり,「:->」(すまし顔),「:-<」(悲嘆),「:-D」(元気),「:-O」(ぼけーっ),「X-(」(ひぇーっ)などなどきりがないほどです。感情を表現するだけでなく,ほかにもいろいろなスマイリーフェイスが考えられます.たとえば,「8-)」(眼鏡をしている人),「:-{)」(口髭を付けた顔)などです。
 この横から見ると分かるスマイリーフェイスのほかに,正面からまともに見られる「(^_^)」のようなスマイリーフェイスも最近ではよく見かけるようになってきました。このスマイリーフェイスにもやはりさまざまなものがあり,目の部分を変えた「(°_°)」,口の部分を変えた「(^.^)」など,これもあげていくときりがありません。さらには,1行ではなく2行3行にわたって大きな顔を作ってしまう人もいるようです.

顔を作る時の注意事項
 スマイリーフェイスを使う時に注意しなければいけないことがいくつかあります。
 まず,各メーカーのコンピュータによって,表示される文字がまったく違う場合があるので注意しなければなりません。主な例として,IBMPC上で「\」と表示されていても日電のPC-9801上では「\」と表示されてしまうことなどがあります.たとえば,「:-\」というスマイリーフェイスがあったとしてもIBM PCの人は分かるが,PC-9801上ではなんのことだかさっぱり分からないということがありえるということです.
 また,PC-9801でカタカナを使って「(°_°)」と表示できてもIBM PCでは表示できないことになります。全角のひらがな、カタカナ,漢字,そのほかのキャラクターを使った場合も同じく注意が必要です。漢字を使用する場合には,各メーカーで漢字セットが異なっている部分もあります。PC-9801の場合,罫線や丸付数字,ギリシャ数字,単位記号などがJISではありませんので正しく表示されないと考えてください(実は,PC-9801シリーズのマニュアルの全角文字一覧にも入っていなくて,こっそり入っているのだそうです)。また,PC-9801の場合には2bytes半角文字といって,半角で表示されるにもかかわらず2bytesコードで表現される英数字,記号,罫線があります.丸付き数字やギリシャ数字をスマイリーフェイスに使う人は少ないと思いますが,書き込みの内容そのものについても同じことがいえますね。PC-9801シリーズで使える全角文字と,JISコードを一度比較してみるとよいでしょう.
 さらに,同じ文字でもメーカーや機種によってその文字フォント(文字を画面上やプリンタの印字で構成するドットのパターン)に若干の違いがあり,スマイリーフェイスの表情は違ったものになってきます(写真1).たかが,面白半分のスマイリーフェイスもよく考えると奥が深いですね:-).
 最後にスマイリーフェイスの例をあげておきます.UNIXのネットワークで使われていたものや,日本のネットワークで付け加えられたものをまとめてみました。まだまだいろいろなスマイリーフェイスが作れそうですが,それはあなた自身のアイデアで作ってみてください.
(中橋義博)


ASCII1990(02)h07顔文字図1_W520.jpg
ASCII1990(02)h07顔文字写真1_W520.jpg
ASCII1990(02)h08顔文字表1_W520.jpg
インターネット時代のずっと前から顔文字には沢山の種類があることは分かった。33年前の顔文字を使っているとジジイと言われてもしょうがないか。

nice!(0)  コメント(1) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

スーパーコンピュータの展望(月刊ASCII 1990年2月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事「スーパーコンピュータの展望 後編」をスクラップする。
ASCII1990(02)g01スパコン扉_W520.jpg
リード部分をスクラップする。
 スーパーコンピュータの処理速度は,初期の100MFLOPS前後から現在の数十GFLOPSへと、急速な進歩を遂げている。このような中で,'89年には,最初のスーパーコンピュータメーカーであるCDC社の撤退。日本初のマルチプロセサマシンである日電のSX-3の発表,そして日米貿易摩擦問題など,スーパーコンピュータに関するニュースが多く報じられた.
 1月号の前編では,スーパーコンピュータの全体像とその代名詞ともいえるクレイ・リサーチ社のシステムを取り上げた。第2回の今回は,日本製のスーパーコンピュータとそれを取り巻く問題にフォーカスしていく。日米間の貿易問題で、不公正貿易品目の1つとして数えられた日本製スーパーコンピュータである.その素顔を見ていくことにしよう.
(編集部)

え?スパコンが不公正貿易品目?当時、いったいなにが起きていた?スパコンは米国の方が進んでいたのでは?

急成長する国産スーパーコンピュータ
 前回で紹介した米クレイ・リサーチ社のCRAYシリーズは,世界のスーパーコンピュータ市場の約60%を占めており,日本では十数台が導入されている.'89年9月には東芝が,10月にはトヨタ自動車がCRAYY-MPシリーズの最上位機種であるY-MP8を購入した。価格はトヨタ自動車の場合,約1500万ドル(約21億4500万円)と発表されている.
 日本製スーパーコンピュータの歴史は'82年からであり,米クレイ・リサーチ社のCRAY-1から6年遅れてスタートを切ったことになる.
 現在の日本のスーパーコンピュータ市場では,富士通がシェアの約半分を,残りを日電,日立,クレイ・コンピュータがほぼ等分しているような状況だ。当初は独占状態であった米国製マシンのシェ・アも,日本製マシンの登場以来下がっていて、逆に日本製マシンが米国へ輸出されるところまできている.
 しかし,日本のスーパーコンピュータ市場での国内メーカー優遇の入札や極端な安値販売などが米国政府に指摘されるなど,日本製マシンが日米間の貿易摩擦の1つにもあげられている.
 一方,米国での日本製のスーパーコンピュータは,日本国内の米国製スーパーコンピュータに比べて非常に少ないのが現状だ.現在までに導入されたものは,全部合わせても5台とないといわれる.'87年にはMIT(マサチューセッツ工科大学)に,入札の結果納入されることになった日電のSX-2が,米政府の主張によりキャンセルされるという事件もあった。これは国防関係の研究の情報漏出を防ぐという理由でもあり,国際間のスーパーコンピュータ販売の微妙な面を窺わせる.とはいえ,急速なスーパーコンピュータの技術革新,そして民間企業での導入など市場の拡大を背景に,老舗であるクレイ・コンピュータ以上に,新勢力といえる国産スーパーコンピュータが,今後のカギを握るように見える.

ああ、政府調達の話か。公官庁の入札では、ありそうなことだ。日本の役人はずるいことばかりしていたから。今でもしているけど。
ASCII1990(02)g02スパコン図_W520.jpg

富士通 FACOMVP-2600
ASCII1990(02)g03スパコン写真01VP-2600_W520.jpg
 富士通のスーパーコンピュータ市場への参入は,'82年にVP-100/200を発表したところから始まる。これは日立のS-810シリーズと同じように,富士通の汎用機であるM-380シリーズを基本としたスーパーコンピュータだ。
 VP-100/200は単一プロセッサで,それぞれの最大処理性能はVP-100が250MFLOPS,VP-200が500MFLOPSであった.
 '85年には,富士通はVP-400とVP-50という2つの後継機種を開発する.VP-400は,最大処理性能約1GFLOPSの上位後継機種だ。これに対し,VP-50は280MFLOPSのエントリーマシンで,翌年には220MFLOPSのVP-30シリーズとなる.
 '87年にはこれらのシリーズを統合したVPEシリーズが開発される.最高機種のVP-400Eで1.7GFLOPS,エントリーマシンであるVP-30Eで220MFLOPSの最大処理性能を持ち、幅広いラインナップとなっている.
 '88年には富士通はVP-2600/2400/2200/2100のVP-2000シリーズを発表する.これはクロック周期4ナノ秒の単ープロセッサを使用するスーパーコンピュータで,最高機種のVP-2600では最大処理性能4GFLOPSを実現。単一プロセッサのマシンとしては最高の性能となっている.
 VP-2000シリーズの大きな特徴として,1つのベクトルプロセッサに対し2つのスカラープロセッサを配置した「デュアルスカラープロセッサ方式」を装備したモデルが全シリーズに加わっていることである.スーパーコンピュータの処理速度はFLOPSといったベクトル処理速度の単位で表わすのが一般的だが,処理によってはスカラー演算によるところが大きい計算処理もある。スカラープロセッサを1台追加することで,システム全体の処理速度を向上させることができるので,コストパフォーマンスの高い製品となっている.
 国産スーパーコンピュータの多くは汎用機をフロントエンドプロセッサとして使用し,スーパーコンピュータが演算処理専用に使用できる構成にしている.VP-2000シリーズは他のスーパーコンピュータと同様に,汎用機を使用することなしにスタンドアロンで使用することもできる.また,デュアルスカラープロセッサのモデルならば1つのスカラープロセッサにフロントエンドプロセッサの役割を行なわせることにより,1台でフロントエンド,バックエンドの構成をとることもできる.
 VP-2000シリーズは'90年の出荷なので,現在はユーザーがいないわけだが,VPシリーズは国内1位のシェアを持っており,'90年には原子力研究所に最上位機種VP-2600の納入が決まっている. 現在,富士通はVP-2000シリーズの後継機種を開発中といわれている.これは最大4プロセッサ構成のマルチプロセッサマシンで,最大性能は16GFLOPS程度になると伝えられている.しかし,日電のSX-3の性能を超える性能を持たせるまでは発表を見合わせるのではともいわれ、今後の国内のスーパーコンピュータ開発競争は,その処理速度をめぐって熾烈になると予想される.

解説を読むとちょっと前のプロセッサのことを書いているとしてもいいくらいの内容だ。当時のスパコンが今はパソコン降りてきた。

日立 HITAC S-820
ASCII1990(02)g03スパコン写真02S-820/80_W520.jpg
 日立は'82年に,同社の汎用機であるM-280Hを基本としてスーパーコンピュータとしての性能を持たせたS-810/10,20を開発した.これはMシリーズと高い互換性のあるシステムで,S-810/20で最大処理性能630MFLOPSを持つものであった.CRAYX-MPとほぼ同時期,同程度の性能を持つスーパーコンピュータといえる.三角形のインターフェイス部を介してメモリや周辺機器,プロセッサ部を接続する形状は,配線間の距離を短縮することに役立っている.
 S-810シリーズは,従来からMシリーズを導入していた公的機関などを中心にシェアを伸ばした。これはMシリーズとの高い互換性のためソフトウェアや周辺機器がそのまま使用できるという利点によるところが大きかった。実際,SシリーズとMシリーズとの相違はプロセッサ部だけなので,周辺機器やソフトウェアはそのままにしてプロセッサ部のみを置き換えるケースが多い。ソフトウェアはベクトル演算処理用に変更する必要はあるものの、従来の処理業務を継続しながら新しくソフトウェアを開発/変更することができるので,ユーザーにとっては有利だったわけである.
 '87年には,日立は後継機種であるS-820シリーズを開発する.従来の三角形のインターフェイスを中心に放射状に配置される機器構成は廃止されたが,単一のCPUのクロック周期は4ナノ秒まで高めており,最上機種S-820/80では最大処理性能2GFLOPSを持つマシンである.S-810シリーズとの互換性も保っていて,汎用機からの置き換えにも向いているので,S-810と同じく汎用機での通常業務も行なえる。汎用機との互換性を生かして,昼間は通常の業務を行なう汎用機として,夜間には技術計算を行なうスーパーコンピュータとして使用している企業も多い。
 現在のところ,S-820シリーズは最上位機種のモデル80からエントリーマシンのモデル15まで5機種が発売されている.
 全モデルにわたって,オプションのグラフィック出力装置にダイレクトに画像出力する機能を装備しており,計算結果を画像イメージで確認するような処理に向く。スーパーコンピュータの機能を紹介する写真などで流体シミュレーションなどのグラフィック出力をよく見かけるが,スーパーコンピュータの多くは直接画像出力の機能を持っていないので,グラフィックワークステーションを使用している場合が多い.膨大な数値データが出力されるシミュレーションなどでは動画などで出力した場合のほうが結果の確認が容易なので、こういった目的には有用である.

はい出ました「公的機関などを中心にシェアを伸ばした」。これが日米貿易摩擦での不公正だという指摘を受ける商慣行だ。

日電 SX-3
ASCII1990(02)g04スパコン写真05SX-3モデル44_W520.jpg
 日電のスーパーコンピュータ,SXシリーズには,国産初のマルチプロセッサマシンとして'89年初頭の発表時に話題を撒いたSX-3がある.ここではSX-3を中心に,日電のスーパーコンピュータであるSXシリーズを簡単に解説してみよう。
 日電は'83年に同社初のスーパーコンピュータSX-1,SX-2を発表した。これは単一プロセッサ構造のマシンで,パイプラインの本数などの違いによりSX-1で570MFLOPS,SX-2の1.3GFLOPSの最大処理性能を持つ。発表時期は国産メーカーの中では一番遅かったが,SX-2は当時最高速のスーパーコンピュータとして諸外国の耳目を集めた。
 特徴的なのは、他の国産メーカーのスーパーコンピュータが,それぞれの汎用機をベースにして開発されているのに対し,SX-1/2は独自のアーキテクチャにより開発されているところだろう.
 SX-1/2のソフトウェアは,同社の汎用機であるACOSとの互換性の高いSX-OSと呼ばれるオペレーティングシステムを使用しているが,アーキテクチャは独自のもので,ベクトル処理や高速演算の効率を高めている。
 日電は'88年に,SX-1/2を改良したSXAシリーズを発表した.これは従来のSXシリーズの改良型で,主記憶容量を従来の4倍の1Gbytesまで拡張可能となっている.SXAシリーズの特徴として,システムを最大4台まで接続して高速化する機能を持っている。SX-3のマルチプロセッサへの布石ともいえるマシンである.
 現在のところ,SXシリーズは約25台が稼動しており。国内ではマツダ,住友金属,大林組など民間企業と,大阪大学,東北大学などに導入されている.海外では,米国の計算機センターであるHARC(HoustonAreaResearchCenter),オランダ国立航空宇宙技術研究所など3台が稼動している.
 '89年には,日電は国産初のマルチプロセッサマシンであるSX-3を発表した。これはクロック周期2.9ナノ秒のプロセッサを1台から4台の構成で選択でき,最上位モデルで22GFLOPSの最大処理性能を持ち,世界最高速をうたっている.SX-3シリーズでは,プロセッサ1台につきパイプライン処理装置を1~4台,プロセッサも1~4台を選択できる.プロセッサ1台で,パイプライン処理装置1台のモデル11(最大処理性能1.37GFLOPS)からプロセッサ4台で,パイプライン4台のモデル44(22GFLOPS)までの7モデルがある.
 特にプロセッサ1台にベクトルプロセッサ4台のモデル14は最大処理性能5.5GFLOPSと,単一プロセッサのスーパーコンピュータとしても最高速のマシンとなっている.
 SX-3の機器構成は,SX-1/2で使用されていたユニットを放射状に配置して配線間距離を短くとる構成に代わり,1列に並んだプロセッサ部に周辺機器を接続する形状となっている
 ソフトウェアに関しては,SX-3は新たにUNIX System V R3.1に準拠し,4.3BSDの機能を取り入れたSUPER-UXと呼ばれるオペレーティングシステムを搭載している.SUPER-UXはマルチプロセッサを本格的にサポートしていて,並列動作を使用した処理の効率を向上させている.
 また,UNIX環境の利点を生かし,ローカルエリアネットワークを構築し,汎用機やワークステーション,PC-9801シリーズまで接続できる柔軟性の高いシステム構成もセールスポイントとなっているという.


米国製がよいのか日本製がよいのか
 国産スーパーコンピュータの歴史を見ると,各マシンが発表された時点での世界水準の性能を持っていることに驚かされる.しかし,高速処理が目的であるスーパーコンピュータでは,その時点での最高速であることはセールスポイントを考えても当然であり、実際に多くの機種は発表時点での世界最高速を誇ったマシンである.
 また,国産スーパーコンピュータは,ソフトウェア資産がCRAYシリーズに比べて足りない点が指摘されている.特に構造解析の分野では,アプリケーションの量がCRAYシリーズに多く,構造設計に使用することが多い自動車企業がCRAYシリーズを導入しているのもうなずける話のようだ。
 ソフトウェアの質と量を高めるため,国産メーカーはさまざまな努力をはらっており,富士通は昨年、米国にシスラボVPセンタという施設を設立した。これは米国製のソフトウェアの優れたものを,VPシリーズに移植するための施設である.
 いずれにしろ,国産スーパーコンピュータは,ハードウェアの性能面では世界水準に達しているといわれながら,ソフトウェアの面では3~5年遅れているといわれる場合もあり,ソフトウェアの質/量の改善が求められているのである。海外へのスーパーコンピュータの販売力に関しては,日電は米ハネウェル社と仏ブル社,富士通は米アムダール社と西独シーメンス社と提携を結ぶなどして海外市場でのシェア獲得に努めているしかし,'89年11月には,販売不振を理由に米アムダール社が富士通との提携を解消するなど,国産スーパーコンピュータの海外での販売は、あまり順調とはいえないようだ。
 このような状況にありながら,米国の一部では,日本製スーパーコンピュータを米国のマシンによるシェアを荒らすものとして、警戒心を高めていることが伝えられる。1台が数十億円,システム全体では数百億円を超えるという価格もさることながら,スーパーコンピュータはそれ自体が最先端技術の結晶である.米国の技術的優位が急成長の日本製マシンによって揺らいでいることに,苛立ちを感じていることは否定できないだろう.
 今世紀中には100GFLOPSを超えるスーパーコンピュータが開発されるといわれている.それだけの処理速度を実現するには、数々の技術的な問題点があるだろう.しかし,スーパーコンピュータの利用は,今後ますます一般化するとともに,これを用いて設計された製品やサービスの恩恵を地球上のほとんどの人が受けることになるのは明らかだ。このような展望の中で,コンピュータの怪物ともいえるスーパーコンピュータは,技術的な問題点とは別の,奇妙なマイルストーンの前に通りかかっている.
(行正)



コラム記事をスクラップする。
もう1つの日米対決/円周率算出
 スーパーコンピュータに関わる日米対決といえば,経済問題の他に「円周率」の対決がある.ご存じのように、円周率(π:パイ)は円の周囲の長さを,その直径で割った値で3.14159…と続く数字である.しかし,これがどこまで続くのかはいまだに解明されていない。このの値を解明しようとしたのは,アルキメデスから始まってニュートン,日本の関孝和まで,古今東西の人物が名を連ねる.16世紀のオランダの数学者ルドルフは,彼の一生涯をかけて35桁を計算したと伝えられている.π解明は数学者の夢の1つかもしれない.
 さて,今世紀に入りコンピュータが登場するようになってからは,の算出速度は1000桁,10万桁,100万…1億桁と10倍ペースで速くなっている.コンピュータを使ったの計算は,1949年のENIACから始まるのだが,当時,70時間をかけて計算した桁数は2040桁であった。ちなみに現在では,パーソナルコンピュータでさえ,計算時間1秒の間に約1000桁のを算出する(パーソナルコンピュータの場合,1万桁以上になると等比級数的に時間がかかるが…).
 この戦いは近年になって活発になり,新しく開発されたスーパーコンピュータの性能試験にも使われるほどになってきた。米国のCRAY-2で約3000万桁の記録が樹立されると,日本でもHITACS-810/20を使って6700万桁の記録,再び米国ではIBM3090で4億8000万桁が計算された。その後も、日本で5億3687万桁,米国で10億1119万桁,そして日本で1989年11月19日に樹立された,最新記録の10億7374万桁と,まさに日米で戦争が繰り広げられている.なぜこんなに競争するのだろう?元計算の日本の雄、金田康正・東京大学計算機センター助教授は「プログラムがきちんと動くかどうかを確かめる意味もあるが,登山家のように,そこに“があるから計算したくなる.次は15~16億桁に挑みたい」と数学者の意地を見せている.
 計算は,コンピュータの性能アップだけでなく算出アルゴリズムの改良も重要なファクターになる.桁数の競争はマシンの性能,ソフトの対決でもあるわけだ.また,CPU時間をどれだけ独占できるか?という経済的な問題もある.次は何桁の記録が出るのだろうか….

懐かしい。スパコンの能力を示すのに円周率は良く使われていた。新聞記事にもTVニュースにも出ていたように記憶する。
円周率(π)計算の歴史
時期 算出桁数 使用計算機 計算時間 記録保持者
1949年 2040 ENIAC 70時間 米/Reitwiesner
1958年 10000 IBM 704 2時間 米/Genuys
1961年 100265 IBM 7090 9時間 米/Shanks,Wrench
1967年 500000 CDC 6600 28時間 米/Guilloud,Dichampt
1981年 2000040 FACOM M-200 137時間 日/三好
1982年 4194304 HITAC M-208H 2時間 日/田村,金田
1983年 10013400 HITAC S-810/20 24時間 日/後,金田
1986年1月 29360000 CRAY-2 28時間 米/Bailey
1986年9月 67108839 HITAC S-810/20 23時間 日/金田,田村
1987年1月 133554000 NEC SX-2 37時間 日/金田,田村,久保
1988年1月 201326000 HITAC S-820/80 6時間 日/金田,田村
1989年6月 480000000 IBM 3090 ? 米/チュドノフスキ兄弟
1989年7月 536870000 HITAC S-820/80 67時間 日/金田
1989年8月 1011196691 IBM3090 ? 米/チュドノフスキ兄弟
1989年11月 1073740000 HITAC S-820/80 74時間 日/金田


スーパーコンピュータ/ユーザ訪問
 パーソナルコンピュータのユーザーから見れば,スーパーコンピュータは雲の上の存在かもしれない。しかし,最も生活に身近な場面で運用されている例もある.その計算結果としての産物は,天気予報という形で,だれにでもたやすく利用できる.気象の計算は、どのように処理されているのだろうか?天気予報の現場を覗いてみよう。
気象庁 予報部 数値予報課
 新聞やテレビで日常的に見ることのできる天気図.高気圧/低気圧などの勢力分布が等圧線を使って示されている.この天気図の作成は、地球上の各地点の気象データを観測し、その結果を集計することで得られている.しかし,観測によって得られたデータからは,過去の状況しか分からない。計算機が天気予報に導入されるまでは、この過去のデータから未来の気象を予測するのが,予報官の役目であった。もちろん,その頃の予報には「予報官の感と経験」だけが頼りであったわけだ。しかし,計算機導入後の現在は「スーパーコンピュータ」が予報のカナメとなっている.
 日本の気象庁における数値予報計算の流れを見てみよう。気象観測衛星による全地球的な観測データや,飛行機による高高度の大気情報,一般船舶から寄せられる気象データ,地上の定点観測記録,バルーン/ロケット/レーダー/海上ブイによる無人観測など,多面的で大量のデータが観測結果として集められる。それらのデータは,前もって大型コンピュータで解析処理され平均化された後,スーパーコンピュータに注ぎ込まれる(図1).そして,その結果は気象協会を通じして新聞/テレビなどのメディアに送信され、私達の手元に毎日定期的に届くというわけだ。この計算結果は,一般向けの気象協会だけでなく,航空機パイロットのために特に雲の情報を重視した国際航空悪天予想図として,また,自衛隊などにも送信されているという。

▼数値天気予報のデータの流れ
 気象庁で活躍しているスーパーコンピュータは,日立製作所の「HITAC-S810/20K(気象庁バージョン)」である.同庁で,このコンピュータ用に開発した気象解析プログラムを走らせると,実効値として最高計算能力600MFLOPSを発揮する.この数値は,1983年に単純な偏微分方程式の計算で得られた記録である,678MFLOPSの約88%にも達するもので,専用に開発されたプログラムの優秀さを物語っている.
 スーパーコンピュータを用いた実際の計算には,いくつかのモデルが用意されている.代表的なものをあげると,(1)地球全体の気圧配置をシミュレートする「全球モデル」,(2)日本周辺の気圧配置を見る「領域モデル」,(3)赤道付近から日本列島までの間の台風進路を計算する「台風モデル」,(4)範囲数百kmのオーダーで,天災時など必要に応じて結果を算出する「地域モデル」――などである。いずれも地球の大気層を格子状に区切り、各々の格子点の動きを流体力学解析するのである.たとえば,全球モデルの場合,この格子間の距離は水平方向が110~125km間隔,垂直方向には大気の濃い標高30kmまでの高さを21層に分けてある(図2)。この膨大な格子点の情報に加えて,海洋の表面温度/海流速度/大陸の地形データなどが解析プログラムで処理されるわけだ.毎日定刻の午前9時(日本時間)に地球上の数百地点で観測されたデータは,前処理を終えて正午ちょうどにスーパーコンピュータへと入力される.日本周辺の領域モデルの計算結果は午後1時15分に出力され,午後3時にはテレビなどで見ることができるのだ。また,この精度も非常に精密になってきており,観測データからの計算で得られた2日後、3日後の予測値も,実際の観測値と大差ないものとなっている(図3a,b).これらは,日常の処理であり,台風接近時などには前出の台風モデルを使って,格子点間隔40kmの細かいシミュレーションを1時間おきに行なっている.この場合,1回分の結果を算出するまでに,わずか25分を要するだけだという。
 日本と同様にスーパーコンピュータを用いた気象予測は,イギリス,フランス,アメリカなどでも行なわれているというが,全球モデルクラスの計算では,日本がトップの計算精度/速度を誇っている.ちなみに諸外国では,クレイ社のコンピュータを用いているのだが,気象予測に関してはマルチプロセッサのクレイ社マシンに対応するソフト開発が難しく,単ープロセッサで高能力を発する日本製マシンのほうが向いているという。


ASCII1990(02)g06スパコン図1_W520.jpg
ASCII1990(02)g06スパコン図2_W338.jpg
ASCII1990(02)g06スパコン図3_W520.jpg
▼計算能力が天気予報の限界を決める
 さて,数値天気予報の今後の問題点について述べよう。スーパーコンピュータの計算速度は、正確な天気予報のために重要なファクターである。より細かい間隔で地球表面を分割すれば,さらに精度の高い予測が可能だ。仮に,125kmで分割されている格子間隔を10~20kmにするとしたらどうなるか….3次元の現象を扱う気象予測の場合,コンピュータが扱うデータ数は間隔比率変更の3乗に比例するため、間隔を1/10の約13kmにした場合でもデータ数は現状の1000倍になってしまう.これは,大気データだけでなく,地形の上下データについても同じことがいえる。図4には,日本全土を解析対象にした地域モデルの解析時に使っている地形データ(格子間隔40km)を示した.これでは,北海道の中心に大雪山を表現したとみられる大きな隆起が分かる程度である.このデータレベルでは,非常に狭い地域で発生する集中豪雨などの予測には,とうてい対応できない.気象庁では、この格子間隔を10km単位に設定した予備的実験も行なわれている.格子間隔10kmでは図5のように地形もかなり精密に表現されるのだが,データ数も多くなる。現在運用しているコンピュータの計算速度では,予測対象としてカバーできる範囲が,北海道の広さほどになってしまう。この問題の解決には、より高速処理のできるスーパーコンピュータの導入が必要だという。
 また,気象庁の数値予報の担当者によれば「天気予報の精度は,観測地点数によって左右される」とのことだ。すなわち,人口の多いヨーロッパ地域やアメリカ大陸の観測は頻繁に行なわれているのだが,海洋上やユーラシア/アフリカ大陸での観測件数が少ないために、全球モデルでの正確な予測ができない.低軌道気象衛星などで,人のいない地域の間接データを取ること,これも今後の目標だという.


ASCII1990(02)g07スパコン図4-5_W347.jpg
ASCII1990(02)g07スパコン図6-7_W520.jpg
ASCII1990(02)g07スパコン図8_W333.jpg
最近の天気予報がよく当たるのはコンピュータの進歩によるものだと良く分かる。

スーパーコンピュータ/トピックス
 昨年,1989年はスーパーコンピュータ界が大揺れした年でもあった.政界は,スーパーコンピュータ購入に際しての疑惑でぐらつき,国際経済では,日本製スーパーコンピュータのダンピングを指摘した米国のスーパー301条が適用された.また,スーパーコンピュータメーカーも激動した。スーパーコンピュータの生みの親ともいえる米Control Dete社(CDC)が,4月にスーパーコンピュータ業界から撤退。5月には,トップメーカーのCray Research社がスーパーコンピュータの開発部門を分離,別会社にして開発リスクから逃れた。このため新会社のCray Computer社では,開発費調達に苦しみ,CRAY-3の開発遅れを招いた.
 暗いニュースは,なおも続く.CDCやCray Research社の低迷時に新たに登場した米Evans&Sutherland社は,CPUの並列化で1.6GFLOPSの最高性能を叩き出すマシンを発表した.しかし,発表後わずか4カ月足らずで,同マシンの機能不良が明らかになり,販売を取り止めた。新マシンを1台も販売しないまま,E&S社は事実上スーパーコンピュータ開発を断念したのだ。
 一方,日本では日本電気が世界最高速の計算速度を誇る新マシンSX-3を発表日立製作所も米Cray Research社と技術提携を結ぶなど,スーパーコンピュータ開発力の高さを誇示した.松下電器は大規模な並列処理マシンを開発し,スーパーコンピュータ界に新たな風を吹き込んだ。この並列マシンは,単一で20MFLOPSの計算速度を出すCPUを256個つなげてスーパーコンピュータと同等の能力を発揮するもので、価格も安く設定できるという.しかしながら,もう1つのメーカーである富士通では,国内の公的機関に供給したスーパーコンピュータの大幅な値引きが問題になった.5月,野辺山電波天文台に納入が決まったシステムは,公称価格の6割引き(月額1億5000万円が月額5300万円に)で販売されたという.これでは海外のスーパーコンピュータメーカーが日本市場に食い込めないのも分かる.対日感情を悪化させた富士通は,欧米市場で日本製スーパーコンピュータを扱う米Amdahl社の取り扱いリストから外された.
 ソフトウェアについてはどうだろうか?スーパーコンピュータ用のソフトは,汎用性が著しく低いといわれている.パーソナルコンピュータのように,ソフト/ハードが共に相乗効果を呼んで発展してきたのとはわけが違う.たとえば昨1年,日本の自動車メーカー3社が相次いで米クレイ社のスーパーコンピュータを導入した.一部には,国際経済状況の緩和のためともいわれるが,実はソフトの問題でもある。新型自動車の開発には欠かせない衝突実験のシミュレーションは,現在スーパーコンピュータで行なわせることが多い。そのための構造解析用ソフトは,「PAM-CRASH」というものが有用なのだが,これはクレイ製マシンでしか動作しない.自動車メーカーは,1本の優れたソフトを動かしたいがために約50億円ものハードウェアを買ったのだ.
 業界全体を俯瞰すれば,昨年は「スーパーコンピュータメーカーの淘汰があった年」と言い換えてもよいだろう。従来からのメーカーは生き残り作戦に懸命になり,日本のメーカーは出すぎた釘を打たれた.マシンのほうも,ブレークスルーを起こすようなものは登場せず,シリコン半導体で作られるコンピュータの1つの限界を提示したようであった。代わって,ガリウム砒素素子,光素子,ニュ一ロ素子など,高速演算を実現するための新しい技術開発が活発になった。スーパーコンピュータが,次のステップに進むためには,これらの技術が実用レベルに達するのを待たなければならないのか?
(池田)

なるほどスパコンでの日米貿易摩擦問題はこうだったのか。
SUPER-COMPUTER NNEWS 1989
NEWS
1 米クレイ社,スーパーコンピュータ世界市場の60%以上を把握
2 松下電器・京都大学が20MFLOPSのCPU×256個の並列処理マシンを開発スーパーコンピュータの約1/10の価格で製造が可能
3 日本クレイ,Y-MPの19モデルを発売
4 日本電気が最高処理能力22GFLOPSのSX-3を発表
米CDC,スーパーコンピュータ部門を閉鎖
5 米国通商代表,スーパーコンピュータを対日制裁候補にリストアップ
リクルート事件の捜査が核心へ
米クレイ社,開発部門を分離.クレイ・コンピュータ社を設立
米CDC,クレイ社が生き残りのため技術提携を結び,ネットワークを構築
リクルート事件捜査で中曽根元総理大臣が国会証言
米国スーパー301条を正式発表日本のスーパーコンピュータが対象に
東京工業大学のCDCマシン,27億円の実力の1割しか出せず
米IBMの新型機,スーパーコンピュータ並みの能力を発揮
6 富士通が,6割以上の値引きでスーパーコンピュータを国立天文台に納入
7 米E&S社がスーパーコンピュータ業界に撒退
米クレイ社と日立製作所がスーパーコンピュータの技術提携
9 富士通と日立製作所がスーパーコンピュデータの月額価格を5~35%引き下げ
10 米クレイ社で400人の人員削減
11 米E&S社,スーパーコンピュータから撒退
12 米アムダール社,富士通製スーパーコンピュータを不扱いに
スーパーコンピュータ購買がからむリクルート事件,初公判
リクルート事件とスパコンの関係がいまいち分からないがどす黒いことがあったのだ。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

98note,DynaBook,PS/55Z他(月刊ASCII 1990年2月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「徹底比較研究シリーズ」から98NOTEとDynaBook、「PRODUCT SHOWCASE」からIBM PS/55Z、ノートサイズパーソナルワープロの最新機種であるOASYS30AD、文豪miniCARRYWORD EXをスクラップする。
ASCII1990(02)e01_98NOTEvsDynaBook_W520.jpg
ASCII1990(02)e02_98NOTEvsDynaBook写真01_W413.jpg
ASCII1990(02)e02_98NOTEvsDynaBook写真02_W520.jpg
ASCII1990(02)e02_98NOTEvsDynaBook写真03_W724.jpg
ASCII1990(02)e03_98NOTEvsDynaBook印字例1_W520.jpg
ASCII1990(02)e05_98NOTEvsDynaBook図2_W520.jpg
ASCII1990(02)e07_98NOTEvsDynaBook画面1-2_W370.jpg
ASCII1990(02)e08_98NOTEvsDynaBook画面3-4_W376.jpg
電源・バッテリ
 SSのバッテリパックは,利用時には必ず装着している必要がある.つまり,ACアダプタを接続していてもバッテリパックがないと利用できない.スペック上は,フル充電後,電源ONで2.5時間利用できる.充電は,電源ONで11時間,OFFで4時間必要.
 NOTEのバッテリは,本体に付属している標準のバッテリパックと,別売の大容量バッテリパックの2種類があるSSとは異なり,バッテリを外していてもACアダプタを接続すれば操作可能である.標準のバッテリパックは、電源ONで1.5時間利用可能.充電はONで5時間,OFFで1.5時間と,利用時間と同じ時間で充電できる.
 上述のように,SSのようなフル充電のインジケータはなく,知るすべはない(自分で電圧を計るのは別だが).バッテリ駆動とACアダプタの接続を頻繁に切り替えて使う場合,バッテリがどんな状態か分かりにくいものである。なんらかのチェック方法が欲しい.
 ACアダプタの構造とサイズ,重量は両機種ともにほぼ同様で,ACケーブルがアダプタから外せる形だ。

そうだった。DynaBookはバッテリを装着していなければならなかった。これは気になった。ニッカド電池だからメモリ効果があるし、バッテリを長く使用するにはAC電源があるときはバッテリを外しておきたかった。もしかするとレジューム機能の為だったのか。

RAMディスク
 NOTEのRAMドライブは,D8000H~DBFFFH番地の16Kbytesを使っており,8KbytesずつをBIOS用ウィンドウとメモリ用のウィンドウで使っている.
 このBIOSは,通常の1.2MbytesのFDDの全機能をサポートしている(識別方法もあるが).BIOSレベルでの互換性しか保証していないので,これを介さずに直接アクセスする場合の動作は保証されていない.
 また,バッテリパックとは別のバッテリが本体内に設置してあり,これによってRAMディスクの内容をバックアップしている.つまり,ACアダプタとバッテリパックを取り外しても内容はなくならない。バッテリパックが消耗し,本体が利用できなくても,RAMディスクの内容は約5時間保持される.
 NOTE用の増設メモリは,2Mbytesのカードが用意されている.PC-9801-53ボードとコンパチブルなので,V30ではEMS方式の拡張メモリとして利用する.MS-DOSのVer.3.3A/BでEMSに割り当てられる他,3.3Bに付属のドライバを使って,RAMディスクとしての利用も可能である.他にも,PC-9801-53に対応しているEMSドライバやEMS用のRAMディスク,キャッシュドライバなら利用できる。ただし,このメモリはRAMドライブとは別に利用するしかなく,かつバッテリによるバックアップはできない。ここは,非常に残念な点で,後継機などではぜひ改善してほしい部分である.
 SSはハードRAMという名称で,896Kbytes分が内蔵されており,EMS用とハードRAM用に振り分けて利用するこれも,フル充電で7日間は持つようになっている。オプションの1/2Mbytesのカードは標準の896Kbytesに加えて利用でき,バッテリバックアップも行なわれる.ただし,FDDとコンパチブルという作りではない.そのため,diskcopyによって,システムディスクにはならない.sysやformat/sでシステムを転送すれば,起動できるようになる.
 SSのメモリバックアップにはハードRAMの保持だけでなく、「レジューム機能」もある。これもNOTEにはない機能で,電源を切る直前の状態(CPUの状態や画面も)を保存しており、そのまま電源ONで継続できる.

DynaBookのハードRAMは電源を切っても保持される外部記憶装置のように使える。しかし、896Kbytesと容量は少ない。基板上にはRAMを付けるところが残っていた記憶がある。改造してそこにRAMを付けたという改造記事を見たような記憶がある。純正品の拡張メモリもあったが高くて買えなかった。DynaBookは198,000円というところに価値があると思っていた。

表1 98NOTEとDynaBookの主な仕様
機種 PC-9801N J-3100SS
メーカー 日本電気 東芝
CPU V30(10MHz) 80C86(10MHz)
メインメモリ 640Kbytes 640Kbytes
RAMディスク 1.25MbytesRAMドライブ 896Kbytes(EMS可)
RAM合計(最大) 1.9Mbytes(3.9Mbytes) 1.5Mbytes(3.5Mbytes)
FDD 3.5インチ2HD1台 3.5インチ2HD1台
液晶部 640×400ドット8階調
ELバックライト
640×480ドット2階調
ELバックライト
ソフトウェア N88-BASIC(86)(ROM) ATOK7用辞書(ROM)
日本語MS-DOS(DISK)
バッテリ保持 1.5時間 2.5時間
充電(利用時) 1.5時間(6時間) 4時間(8時間)
サイズ(WDH) 316×253×44mm 310×254×44mm
重量 2.7kg 2.7kg
価格 24万8000円 19万8000円
98NOTEはDynaBookより5万円も高いのにMS-DOSも付いていなかった。MS-DOSの購入分だけさらに割高だ。まあ、DiskBasicしか使いません、ゲームしかしませんならいいけど。

バッテリテスト
  次に,バッテリの保持時間を計ってみた.SSもNOTEも,スペック上の保持時間は「FDDを10%利用した時」となっている.そこで,同じ条件になるようなソフトを組み,テストした。場所は編集部の室内で,液晶のバックライトは最も明るい状態である.
 1.5時間(90分)の動作というNOTEでは,起動後,平均109分でバッテリ警告が鳴った。10%長く持っているが,安全値のレベルだろう.
 FDDをまったくアクセスしない場合を計ると,平均120分後に警告が鳴る。つまり,FDD10%のアクセスを行なうと17%利用時間が縮まることになる.
 ちなみに,テスターを当ててみると,フル充電で11V,警告が出るのは8.5V,シャットダウンは7.5Vのあたりである.
 SSでは,FDDを10%使った場合158分で警告が鳴り,170分で電源が切れる.まったくアクセスしない場合は164分で警告,178分で電源OFFである。こちらもスペック上は2時間30分(150分)だから,余裕ありというところだろう.
 両機種とも,警告を無視して放置しておくと,電源が切れる.SSはレジュームをONにしておくと,その状態を保持する.ともに,RAMディスクやハードRAMの内容は,すぐには消えない.
 次に,液晶のバックライト(ともにEL)の明るさを変えてテストしてみた。FDDアクセスはなしで,液晶のBRIGHTを最小にした.この状態でも,SSよりNOTEのほうが明るく,ともに文字はかなり見にくくなるが,なんとか利用できる.NOTEでは5割増しの175分と,3時間近い連続利用が可能となる.SSでも3割増しの209分。こちらは3時間30分と,ゆうに新幹線の東京-大阪間で使用できる.いかにELが電気を消費するかがよく分かる.
 今回,NOTE用の大容量パックはテストできなかったが,スペック上は標準タイプの倍ということだから,同じ条件で6時間近い連続使用ができるかもしれない。

当時出先でバッテリを充電することが難しかった。またニッカド電池なのでメモリ効果があり、劣化も速かった。私は結局バッテリを3本持っていた。
アプリケーション利用法
 NOTEでは,MS-DOSを購入する必要がある。メモリを拡張していて,EMS用のRAMディスクドライバを持っていない場合は,Ver.3.3Bが必要だ.
 両機種とも,省エネと速度を考えると,RAMディスクを中心に作業環境を整えることになる.
 NOTEでは上述のように,システムディスクを作っておいて,オートモードを使い,RAMドライブ上で使う.MS-DOSのシステムと,最小限のツール,日本語入力FP,エディタかワープロを1枚のディスクに入れて,第1のシステムとしてRAMドライブに入れておく。
 入り切らなかったアプリケーションは,ディスクに入れて持ち歩く。通信ソフトや表計算ソフトなどはドライブ2で利用すればいい.
 対して,SSでは,日本語入力FPにATOK7を使う場合、辞書がROMに入っている分,余裕ができる.896Kbytesのメモリは,64KbytesをATOK7の退避用としてEMSに利用し、残りの832KbytesをハードRAMとする.
 レジューム機能をONにして,FDDで起動してやれば,システムはハードRAMに入れる必要がなくなる.command.comや常用のツール,アプリケーションをハードRAMにコピーして利用すればいい.
 以上は標準メモリでの利用法だ.NOTEでは2Mbytesのメモリカードを,SSでは1Mbytesか2Mbytesのメモリカードを購入して装着すれば,操作環境は大きく向上する.
 NOTEでは前述のように,EMSによる拡張メモリまたはRAMディスクとして利用する.バックアップされないという弱点があるので,RAMドライブに入り切らないデータやアプリケーションをコピーしてやれば,FDDなしの高速環境にはなる.
 SSでは,単純にハードRAMを増やすことができ(EMSとしての増設も可能),バックアップされる。合計で最高2.8Mbytesとなり,常用のアプリケーションはほとんど入ってしまう.
 どちらにしても,バックアップされているとはいえ,入力したりダウンロードしたデータは,なるべく頻繁にFDにバックアップすることを忘れないように.SSでは,従来から発売されているJ-3100シリーズ用のソフトウェアは基本的に走ることになっている。特にJ-3100SL対応ならより安心だが,詳しくは、東芝が発行している対応表でチェックすること.
 J-3100シリーズ用として発売していたアプリケーションの中には,パッケージに「SS対応」と明示したものが出ている.これは,マニュアルなどを改訂し,SSでのインストール方法を付加したり,インストールソフトを付けることによって対応とうたっているものである。ダイナウェアのデスクup,チャートupや,まいと-くなどが,こうした対応で発売されているが,ATOK7のみ利用可能といった制約があるものもある。
 さらに一歩進んで,SS専用として発売したのが,BUSICOMPOや一太郎dashである.

レジューム機能がなければDynaBookは使っていなかった。FDからDOSを起動するとFDを抜いてもそのまま電源を切ったり点けたりして使える。データの読み書きの時だけFDを挿入して使っていた。だから、何日も連続してDOSを起動せずに使えた。
どちらを選ぶか
 単純にパーソナルコンピュータは初めてで,いろいろやってみたいという人にはNOTEをお勧めしたい。多くのアプリケーションから,自分の目的に合うソフトを選択できる.RAMドライブは容量の制限があるが,NOTEメニューによってセットアップが簡単にできる。周りに98ユーザーがいる可能性も多いので,使い方やテクニックの教授を受けやすい.
 当面は一太郎が使えればいいとか,IBMPC用のソフトが使いたいといった目的がはっきりしている人,3MbytesのハードRAMでないとだめという人はSSになる.
 すでに98を持っているという場合も,目的によって違ってくる.すでにデスクトップで利用しているアプリケーションをそのまま持ち歩きたいという場合はNOTEとなる.同じMS-DOSマシンとはいえ,2台目は異なるアーキテクチャのマシンをという場合はSSがIBMPCの世界を見せてくれる.CGAで動作する最新の米国製ゲームも楽しめる.
 2台目とはいえ,小型軽量かつスピード,ハードディスクを必要とする人は,両機種の次期マシンや,他社の春モデルに期待して待つことになる.

記事のとおり、はじめてパソコンを持つなら98NOTEを選択すべきだ。ゲームをするのに98NOTEを使うのもどうかと思うが、遊べた。私は、持ち運び、出先でテキスト入力ができ、通信ができ、FDに保存していたテキストファイルから必要なデータを検索してという使い方をしていた。環境はVzを常駐させDOSのツールやjgawkを使っていた。なにしろレジューム機能が良かったし、価格も安かったのでこのとき最高の機械だった。

別コーナーでDynaBookのマニュアルについての評価があった。
ASCII1990(02)h09J-3100SSマニュアル_W520.jpg
 年末,J-3100SSの売れ行きが好調だったという.サイズ・重量と価格が市場に与えたインパクトは,非常に大きかったというべきだろう.デスクトップマシンのオーナーがセカンドマシンとして購入するのはもちろん,ビギナーも相当数にのぼったらしい。使いこなせない場合のリスクを,価格と設置面積の両方で低減できるブック型マシンは,格好の入門機といったところだ.J-3100SSのパッケージに添付するマニュアルは,わずかに1冊.総ページ数は185と,平均的なMS-DOSマシンのそれと比べて格段に少ない.

ページ数だけで見ると合格点
 マニュアルの完成度をページ数だけで判断するのは危険だが,このガイドはがんばっているという東芝の思惟を感じさせる.すべての情報を盛り込んで,大部になってしまったマニュアルを見慣れている人にはとても新鮮だろう。日本語ワープロ機でも,これほどシンプルなマニュアルはまれだ。ビギナーにとってこのページ数は,なんとかモノにしてやろうという意欲を殺ぐものではないと思う。
 しかし,周囲の反応を見ると,中・上級者の評判はあまり良くない.ATOKの詳しい説明がない,システムディスク中のコマンド解説が不十分だ,などもっともな指摘がポンポンと出てくる.4~5冊セットのマニュアルがパーソナルコンピュータの常識と思う人にとっては,この薄いマニュアルは暴挙に等しいだろう.なにしろ,MS-DOSを標準添付しているのに,DOSマニュアルは別売なのだ。
 ところが,薄さゆえにこのマニュアルは良くできていると思う.もっと正確に言えば,盛り込みたい部分を思い切って削除した企画の意図が非常に評価できるのだ。本当に必要な部分と,場合によっては必要になるかもしれない部分とを区別していく作業は大変だったろう.下手をすると,サポート電話が鳴り続けることになりかねないのだ。何を盛り込み,何を捨てるかという選択基準は別にして、こうした見切りが付けられたことは明るい材料だ。結局,もっと知りたい人は,別売のマニュアルなり専門書なりを買いなさい,とこのマニュアルは暗黙裡に語っている.暴挙(?)に習って言えば,それはそれでいいと思う.
 舞台裏はともかく,マニュアルの表記は一般的なレベルにある。ということは,ビギナーにとっては呪文の羅列に近いということだ.専門用語の解説ページはない。しかし,本記中でこまめに触れているから,あとは表現の問題だけが残る.各ページは情報を凝縮しているにもかかわらず,煩雑なイメージはあまり伝わってこない。ただし,参照ページを乱発しているために,ページジャンプを繰り返していると,何がなんだか分からなくなってしまう可能性は残る.
 最も気になるのは,各キーを描いた絵が見づらい点だ(写真).キートップの文字が小さいうえに,網をかけているから判読に苦労する.これとは別に,矩形と文字の組み合わせによるキー表示も採用している。この混在は紛らわしい。キー入力はマシン操作で最も大切な要素だ。どちらかに統一すべきだろう.ちなみに,キーの表記上の約束を記した文章が手ごわい。『入力するキーの表現●操作で入力するキーを本文中で表わすときには、説明に必要な部分だけを□で囲んで書いています。』とある.はて,これはどういう意味なのか?
 電源部の解説も分かりづらい。マニュアルには,マシンを動作させる方法が2つある旨を記している.続く中見出しは,(1)バッテリパックの充電,(2)バッテリパックだけで使用するとき,(3)ACアダプタを接続して使用するとき,(4)電源のON/OFFに関する注意(以後略)となっている.これでは,本当に2通りあるかのように読める。確かに,電源部は2通りの供給を受ける.しかし,基本はバッテリパックであるはずだ.バッテリパックが未充電の場合は,ACアダプタを接続しても電源は入らない。だから,中見出しの最初が1なのだろう.すると、前記の2つの方法は本当に正しいのか。基本は1つだが,バッテリパック使用中でもAC電源が使用できるという表記が正確ではないか2.5時間しか使えないのだから,このあたりは簡潔に大書するべきだろう。肝心の表記は,中見出し4の2番目にある.『バッテリパックを取りはずしているときは、ACアダプタを接続していても、電源のON/OFFは行なわれません』とあるだけだ。電源関連は,ソフトウェアとの連動の悪さもあって,問題が残りそうだ。
 蛇足をひとつ。第1部の表題である『さわってみようDynaBook』と,その中の第2章の表題『使ってみましょう』ほど間の抜けたタイトルはない.  (戸島)

総合評価: C
MS-DOSマシンのマニュアルを200ページに収めた功績は大.削除する情報については再考の余地がある。IBMPC互換に関する記述がないのは残念.
*評価は,A,B,C,D,Eの5レベルで表わす.
各レベルは,A=完璧,B=良い.多少の手直しが必 要,C=一般的なレベル,いっそうの努力が必要,D=ほとんど分からない.見直しが必要,E=マニュアルとは言えない.即座に回収の必要あり……の意味.

マニュアルについては覚えていない。だから記事を信じるしかない。私がコンピュータのマニュアルを読み込んだのはMZ-80Cだけだ。X-1,PC-9801VX2,DynaBookとマニュアルを読み込んだ記憶がない。もしかするとX-1はある程度読んだかもしれない。別の解説書を買って読み込んだ。本体の内部解析や活用法、ソフトウエア(CP/M,MASM,MS-DOS,言語)は本を買って読んだ。添付マニュアルを活用したことは無かった。役に立たないものが付いてあるなという印象だった。DynaBookを初めてのパソコンとして買って質問できる知人も居ないのなら苦労しただろう。
 アスキーにマニュアルの評価があったとは記憶になかった。私が、それほど重要視していなかったからだろう。

IBM PS/55Z モデル5530Z SXシリーズ
ASCII1990(02)e09PC/55Z_W520.jpg
ASCII1990(02)e09PC/55Z写真_W520.jpg
ASCII1990(02)e11PC/55Z写真_W359.jpg
ASCII1990(02)e12PC/55Z画面_W520.jpg
表1新製品の主なスペック
製品名 PS/55Zモデル5530ZSX
CPU 386SX(16MHz,0ウェイト)
メインRAM 2Mbytes(マザーボード上で4Mbytes,拡張スロットの利用で16Mbytes)
ビデオRAM 512Kbytes(表示拡張ボードの利用で1Mbytes)
画面解像度 640×480ドット/26万2144色中16色(英語モード)
1024×768ドット/26万2144色中16色(日本語モード)
表示拡張キットにより、26万2144色中256色表示も可能
表示部 12インチカラーディスプレイ(標準装備)
文字フォント 24×24ドット(漢字)12×24ドット(半角文字)
外形寸法 320(W)×402(H)×408(D)mm
重量 18kg


レポート記事が面白かった。
PS/55シリーズの素性
 PS/55シリーズは,米IBMが販売中の「PS/2」シリーズに独自の日本語モードを追加したものである.そのため,英語モードと日本語モードとがあり,英語モードではPS/2と同じになり,日本語モードでは漢字表示などをはじめとした各種日本語処理に対応できる.
 IBM PCをベースに日本語処理機能を追加した,いわゆる日本語PCに,PS/55の他にもAX,J-3100/3300,TheBOOKがあるが,PS/55はいくつか先進的な特徴を持っている.特に,複数デバイスの調停機能を持つ高機能バス「マイクロチャネル」を採用していることと,VGA(Video Graphic Array)という高解像度で多色表現が可能なビデオボードを標準で装備していることは重要だ。また日本語モードでは24ドットフォントの漢字を41字×25行表示できる点も見逃せない。
 今回登場した「PS/55Zシリーズ」は,大企業などへのシステム販売が中心の「PS/55」シリーズを,個人/学生/小規模企業などに販売するための新たなラインナップである.このため,従来の販売ルートの他,量販店で個人向けに店頭販売も行なう.もちろん,PS/55シリーズとは完全に互換性があるので,PS/55用のソフトウェアや周辺機器はすべて利用できる.その一方で価格はずっと抑えられ,個人向けのサポートセンターも新たに用意している.

CPUとメモリはPC-9801ES相当
 PS/55Zモデル5530ZSX(以下ZSX)にはS02/S03/S06の3タイプがあり,S02ではFDDを2台,S03/S06では順に30/60Mbytesのハードディスクを装備している.S03/S06モデルについては,日本語DOSをインストールした状態で販売される「SJ03/SJ06」のモデルもある.この場合,DOSそのもののパッケージもついてくるうえ,価格差(2万8000円)はDOSを単体で買う場合(4万円)より安いすでにDOSを持っているというのでなければインストールずみのほうを買うのが便利だ。
 これらのモデルは,ディスク容量を除いてスペックは同一である(表1)。前から見るとZSXは,チルト台に乗ったテレビという印象である.386SXを搭載する高機能パソコンであるにもかかわらず、机の上に置いたときに,いかにもコンピュータがあります的なプレッシャーがない.前面のFDDは隠しようがないが,家庭内に違和感なく溶け込めそうなデザインといえよう。もちろん省スペース効果についてはいうまでもない.チルト台上でマシンを360度回すことができ,上下にも振ることができる.会議中のプレゼンテーションなどでは,モニタを片手で容易に回せることのメリットは大きい.ロックレバーもついているので,自分専用に使う人は,最適な状態に固定すればよい。
 HDDはIBM製で,平均アクセスタイム19msという高速なものだ。編集部に,PS/55モデル5550T(20MHz,130MbytesのHDD)があるので,Norton UtilitiesのSI(System Information)でディスクアクセス速度を計測したところ,対PC/XT比で5550Tが3.5,ZSXは3.9と出た.一般に大容量HDDは高速だが,それよりも速いようだ。また,FDDも新しい製品を使っており,アクセス音がほとんど聞こえないくらいに小さくなっている.以前の製品の「音」を知っていると若干のショックを感じる.
 キーボードは別売で,124キー,106キ87キーの3種類が選べる.このうち106キーのものが,PS/2に変換キーなどを追加した標準的なタイプで,端末などに使用するのでなければこれで十分だろう.キーボードには,スピーカとボリュームがついており,日本語DOS Ver.4以降ではベル音をここから鳴らすことができるようになった.
 本社が米国であるにもかかわらず,キー配置はJISに従っており,国産各機種とほとんど同じになっている.AXやJ-3100が米IBMと同じ配置になっていることを考えると,日本のマシンに慣れた人にはありがたい仕様である.
 マウスは,従来の大型のマウスの他,国産品程度の大きさのミニーマウスが発売予定となった.


戦略価格ではないというが
 PC-98XLが発売され,その24ドット表示の漢字を見たとき,これはすぐ次世代の標準になるという感慨を受けた方はいないだろうか.残念ながらソフトウェアの移植がもうひとつだったことや,何よりマシンが高価なこともあって,24ドットマシンは長らく陽の当たらないところにいた.
 ところがZSXは,ディスプレイ/キーボード込みで42万8000円という低価格を打ち出した.現在24ドットの表示ができるMS-DOSマシンには,PC-98XL/RLやFMR-60/70,M700/800があるが,最も安いFMR-60FXでも43万5000円である。R-60のCPUが286であることを考えると,驚異的な安さだ(しかもXLにしろR-60にしろモニタは別売である)。
 16ドットマシンと比較しても386SXのマシンでは,PC-9801RS(39万8000円,メモリは640Kbytes,モニタは別売)よりも断然安い。ソニーのQuarterL(27万8000円)と比べても,メモリが1Mbytes多いことと,モニタのことを考えると,ZSXのほうが割安なイメージがある。コストパフォーマンスでいえば,市場のパソコン中で一躍トップに踊り出たといえよう.
 この価格で24ドットマシンが出てくると,今度こそ流れは変わるかもしれないという気がしてくる。24ドットマシンに話を限定した場合、各社が16ドットマシンとの完全な互換性を取り切れずにいる現在,ずっと24ドットで通してきたPS55は,ソフト資産でも優位に立っているのである。   (野口)

24ドット表示の日本語を見たとき記事のとおりの感想を抱いた。私はEPSONの486GRを買ってやっと24ドット環境を手に入れた。そのときモニタに向かうのが楽しい時間となった。趣味でパソコンを使うのだから楽しさは重要だった。ゲームをしないから特にこの24ドット日本語表示が大切だった。

OASYS 30ADと文豪mini CARRYWORD EX
ASCII1990(02)e13OASYS文豪miniタイトル_W520.jpg
ASCII1990(02)e14OASYS文豪mini写真1-2_W453.jpg
ASCII1990(02)e15OASYS文豪mini写真3_W520.jpg
ASCII1990(02)e15OASYS文豪mini写真4_W448.jpg
表1 主な仕様
製品名 OASYS30AD 文豪miniCARRYWORDEX
表示 16×16ドット文字,40文字×21行
縮小時80文字または38行(メッセージ行2行)
16×16ドット文字,40文字×11行
縮小時80文字×16(メッセージ行1行)
日本語入力 連文節変換(ローマ字入力可能) 複文節変換(ローマ字入力可能)
キーボード 親指シフトキーボード/JISキーボード JISキーボード
単語辞書 約13万8000語 約14万6000語
ユーザー辞書 約1000語 約200語
補助機能 画面分割(縦横),他文書参照,文書結合線画機能,数式入力、欧文入力(4カ国語) 文書領域分割編集(8文書),簡易表計算段落設定,欧文入力(7カ国語)
文書作成限界 1000文字×18ページ 1000文字×10ページ
拡張機能 システム手帳フォーマット,カレンダ,電卓スケジュール管理,メモ作成,住所録 電子手帳機能,通信,英文スペルチェッカ文書暗号化
通信機能 自動運転(20行),バックスクロール(600行)文書送受信,通信ログダウンロード,通信メモ 自動運転(3行),バックスクロール(100行)文書送受信,文書作成画面との文字列の複写
専用内蔵モデム 300/1200bps,全二重 300/1200bps,全二重
対応プリンタ 専用プリンタの他,FROM9用プリンタ,OASYS100シリーズ用のプリンタが使用可能 専用プリンタの他,PC-PR101/201/406/150シリーズが使用可能
電源 ACアダプタ,単3アルカリ電池5本 ACアダプタ,単3アルカリ電池5本,、バッテリパック(オプション)
外形(W×D×Hmm) 335×229×42mm 本体:305×214×30mm
FDD部:305×220×64mm
重量 約2kg 本体:1.4kg
FDD部:1.4kg
価格 15万8000円 11万5000円
発売元 富士通(株) 日本電気(株)
こうして仕様を見るとパソコンじゃなくてもワープロでいいんじゃないと思ってしまう。なんと言ったって単3アルカリ電池5本で動くというのは凄いのではないか。
まとめ部分をスクラップする。
 30ADとEXを使ってみると,EXはダイヤモンドキーやMS-DOSフォーマットを使用できるなど,パーソナルコンピュータ的な感じを受ける。ただし,30ADのほうが文書作成量やモデムの内蔵などのキャパシティはある。親指シフトに慣れたユーザーなら迷わず30ADを選べばよいだろうが,作成する文書量がさほど多くないならばEXの軽さやパーソナルコンピュータ的な使用感も魅力だ。
 携帯電子ノートとして使用するならば、いつでも持ち歩ける小型軽量のマシンが理想的だ.J-3100SSやPC-9801Nと持ち比べると,30ADとEXの軽量,コンパクトさは高い魅力がある.
 また,30ADが15万8000円,EXが11万5000円と安価なのも魅力だ。文書作成に関しては専用機だけあり操作性は高く,文書作成用の携帯マシンにするのなら,ノート型パーソナルコンピュータよりもコストパフォーマンスは高いだろう.  (行正)

まさにこのとおりだと思う。実用を考えるのならワープロでいい。私が、パソコンにしたのはプログラムを作れるが大前提だった。自宅で見栄えの良いフォントで文書を印刷することは考えてなかったのでワープロは買わなかった。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット