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消えたファイルを救え(月刊ASCII 1992年5月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集の「これで分かった PC-9801&MS-DOS」をスクラップする。
今回は「消えたファイルを救え」をスクラップする。
ASCII1992(05)c08消えたファイルを救え_W520.jpg
 しまった。ハードディスクの作業用ディレクトリのファイルを全部消してしまった。ああ.なんてことをしてしまったんだろう.どうしよう.Bドライブのフロッピーにあるファイルを消そうとしただけなのに……カレントディレクトリを間違えた.
 ここでいかりや長介が出てきて,こりゃダメだ、次行ってみよう,とか言って舞台が回ったらいいのに,と暗い気持ちになっていると,机の上のパソコンから紫の煙がたち上った。ああ、電源のショートか,ついていない.
 と思っていると,部屋中にたちこめた紫煙の中に,怪しい人影.

●ヒドゥンファイルの秘密はね
■ 何者.
◆ フロッピーの妖精だ。
■ ああ、こんなものが見えるようじゃ,ついにおれの頭もくるったかな?
◆ どうした。何か困ったことがあるのか?
■ えーい,ままよ.仕事中のファイルを消してしまったんだよ。ああ.
◆ お前のなくしたのは,金のファイルか,銀のファイルか?
■ …….まじめにやる気,あるの?
◆ 説明しなさい。
■ 夜中にへんなかっこしているくせに偉そうだな。まあ、いい。やけくそだ。ちょっと付き合ってみるか.
 とにかく,原稿を出すために空のフロッピーを作ろうとしただけなんだよ。余計なことをしなきゃよかった.いらないファイルを消そうとして,ついついカレントのディレクトリで"del *.*"を実行しちゃったんだ。
◆ で,願いごとはなんだ.
■ ファイルを戻してほしい。
◆ それだけで,いいのか?
■ 十分,それで十分.
◆ ほれ。
■ えっ?あれ,ファイルが戻ってる.
◆ お安いごよう.
■ すごいなぁ.どうやったの.
◆ undelete[26]を使えば,ちょちょいのちょいだ.
■ 全部,消しちゃったんだよ.それをどうやって戻したの.
◆ 説明してやろう.ファイルを削除したといっても,ほんとうに全部消してしまっているのではないのだ.
■ でも、何もなかったよ.dirをとっても何もでなかったし.
◆ あまいな.dirで表示されないと,何も存在しないとでもいうのか.おまえはヒドゥンファイルというのを知っているか?
■ なに,それ.
◆ なに、こんなことも知らないのか。それはあまりにヒドゥン.
■ ひどいシャレ,……だから,説明してくれよ。
◆ ためしに,適当なファイルを作ってみなさい.
■ 分かった,分かった.ほれ.aaaというファイルを作ったぞ.
◆ 投げやりなファイルだなぁ。まあ,いい.そこで,“attrib +H aaa”と実行してみなさい.
■ やったよ.
◆ じゃあ,dirをとってみなさい.
■ あれ、なくなっている.
◆ どうだね。この状況を君はどう説明するのだ。aaaファイルは存在しないというのか?
■ 僕をバカにしているな.これは単に見えなくしているだけだろ。お前はメフィストかよ.
◆ 教えてほしいのか,ほしくないのか?
■ 分かったよ。で,Hはたぶんさっきの“hidden"の“H”で,それに+をつけたということは,その属性を持たせたということだろう?
◆ なかなかするどいな。こんどは,aaaを削除してみろ。
■ あれ,「ファイルが見つからない」と言ってる.
◆ ふふふ。dirで見えなくて,しかも削除もできないファイルは存在するかな?あるものはない,ないものはある.
■ こんどは,マクベスかよ。でも,あるのはある。ふふん,分かったぞ.削除したファイルは,属性がヒドゥンになっているんだな.
◆ ブー.
■ 何者だ,お前は.悲嘆にくれている俺をもてあそんでいるだけなんじゃないだろうな.
◆ いや,大事な教訓を与えたのだ。気がつかないのか。属性をヒドゥンに変えておけば,うっかりの削除からファイルを救えるのだ。
■ 知らないと思って,またへんあー,なことを吹き込もうとしているな.見えもしないファイルがあっても何の役にも立たないじゃないか
◆ 浅はかなやつ。たとえば,VZエディターを立ち上げて,ファイラーで見てみろ。
■ あれ,aaaがあるぞ.あれあれ,普通のファイルと同じように編集もできる.セーブもできる.いったい,どうなっているんだ?
◆ MS-DOSのcommand.comがファイルの属性を見て,これは表示するとか,これは削除できないとか判断してからコマンドに渡しているのだ。だから,VZから直接アクセスすると普通のファイルとして扱えるのだ。試しに削除してみな.
■ 削除もできた.へーっ。といあれ,うことは,大事なファイルは,とりあえず属性をattribコマンドでヒドゥンにしておいて,編集はエディタかなにかでやればいいわけだ。すると,うっかり“del *.*”をやってしまっても,そのファイルだけは助かる.ただし,セーブすると属性が解除されることもあるようだ.
◆ ふっ、ちょっとは賢くなったようだな.ひとつだけつけ加えておくと,それは,あくまで一時的な方法だ。ヒドゥンにしたファイルに気づかず,うっかりフォーマットしたりしないように,せいぜ い注意することだな.

●undeleteの秘密はね
■ でも、さっきの削除の話は,まだなにも分からないよ.
◆ さっきは関係ないと言ったが,実は,まったく関係ないわけでもない.
■ もう、いったいどっちなんだよ.
◆ 教えてほしいのか、ほしくないのか? ■ 分かった,分かった.おとなしくするから,続けてくれよ。
◆ 削除といっても,ほんとうに跡形もなくディスク上から消し去ってしまうのではない。ファイルの情報の一部を変えてしまうだけなのだ。
■ それが,さっきのファイル属性を変えるだけで一見なくなってしまう話と似ているところだな.
◆ そうだ。しかし、削除の場合は,書き換える場所が違うのだ。具体的には,そのファイル名の最初の1文字だけだ.
■ ようするに,ファイル本体のほうは,なにも削除されていないんだね。
◆ ピンポン
■ ということは,その情報を元に戻してやればいい.
◆ グレート.
■ しかし,だまされないぞ.その情報が削除されてしまっているわけだろ.削除された情報を元に戻すことなんてできるわけないじゃないか.
◆ うーん,いいところに気がついたね.たしかにそうなのだ。だから,そのファイル名の先頭の文字は,復活させる際に教えてやらなければならない。
 だけど,その情報さえあれば,小さなファイルだったら,だいたい連続したクラスタ[23]にあるので,undeleteががんばれば復活できる可能性が高い。ところが,大きなファイルや,何度も書き込んだディスクの場合は,クラスタが不連続になっている可能性が高いので,復活できる可能性はさがる.
■ たくさんのファイルをいっぺんに削除してしまった場合,1文字にしろ,めんどくさいよ。その先頭の文字の情報をどこかに持っていれば,いいわけだろう?
◆ 実は,それをこっそり保存しておくという大事な仕事をしているコマンドがある.それがmirror[25]だ。
■ そういえば、僕のautoexec.batの最後に,“mirror /TA /TB /TC"という行があったぞ.
◆ それだ,それ。それがあったから,すべてのファイルを消しても,“undelete /all”で復活できるのだ。これなら,一撃だ.
■ へー。そんなに簡単なの.
◆ mirrorを常駐させていたのが、幸いしたな.

26 UNDELETE
 誰もが必ず一度は体験する、うっかりびっくりの大失敗がファイルの誤消去.従来、そうしたミスをカバーするためのコマンドがMS-DOSに標準的に用意されていなかったため,これまで多くの市販,あるいはフリーソフトウェアのファイル復活ツールが発表されてきた.
 MS-DOSにおけるファイルの削除は,ディスクから完全にファイルの中身を消してしまうことを意味してはいない。実際には,ディレクトリ情報内のファイル名の頭1文字をE5Hというコードに替え,FATの情報を消去するだけなので,ファイルの中身そのものは削除後もそのまま残っているのである。したがって,消されたファイルの復活を試みるには,削除前のFAT,およびディレクトリ情報の内容が再現できればいい,ということになる.
 DOS 5で登場したUNDELETEコマンドは,MIRRORコマンドと併用することにより,きわめて強力なファイル復活ツールとして機能する.
 MIRRORを/Tスイッチとともに起動させ,メモリに常駐させておけば,削除されたファイルの復活情報は,常にディスク上のPCTRACKR.DELというファイルに書き込まれていく(図4)。そのため、うっかり消去してしまった場合でも,ファイルの上書きさえされていなければ,ほぼ100%の確率で復活が期待できるのだ.
 ただし,MIRRORコマンドが常駐していないときには,UNDELETEはエコロジーIIなどと同様に,ディスクに置かれていたファイルの痕跡を,クラスタごとにたどりながら復活を試みることになる(/DOSスイッチでの起動).
 これは,いうなれば,戸籍が完全に消滅した住民を足跡だけで追跡するようなもので、困難な仕事といわざるを得ない.そのうえ,この作業だけではクラスタごとのファイルのつながりまでは追いきれず,頻繁に書き消しを繰り返しているディスクで,サイズの大きなファイルを誤消去した場合などは、完全な形での復活はまず不可能となってしまうのだ。
 やはり,消されたファイルの完全な形での復活には,MIRROR /Tコマンドによる復活情報の保存が不可欠なのである。


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23 クラスタ
 ディスクの最小記録単位を「セクタ」という.2HDのフロッピーディスクの場合,1トラックには1024bytesのセク夕が8つ並んでいる.もっとも,セクタという言葉が意味を持つのは,アセンブラ言語でファイル操作をするプログラムを組むような方に限られる.一方,ファイルの最小記録単位である「クラスタ」のほうは重要だ.最小記録単位であるから、1つのファイルのサイズはこれより小さくならない.たとえ2bytesのファイルであっても,ディスク上では1クラスタ,すなわち数Kbytesを占有することになる.したがって,クラスタは小さいほど.ディスク空間の無駄は少なくなる.
 ちなみに2HDのフロッピーでは1クラスタ=1セクタだが,40MbytesのSASIのハードディスクでは1クラスタ=16セクタ,100MbytesのSCSIハードディスクでは1クラスタ=4セクタである.
 無駄と分かっていてどうしてクラスタサイズを大きくするのかというと,それは、クラスタの数が増えすぎると,クラスタを管理するためのFAT(次項参照)が大きくなる,空いているクラスタを探すのに時間がかかるなどの弊害が出てくるからである.クラスタの数を一定数に抑えるために,大容量のハードディスクほど,クラスタのサイズが大きくなっていく。
 クラスタは,次項で解説するFATとも緊密な関係にあるので,併せて読んでみてほしい。

 クラスタサイズを気にしてパソコンを使っていた。
25 MIRROR
 DOS 5で追加されたUNDELETE,およびUNFORMAT.いずれの機能も、このMIRROR.COMなくしては語れない.MIRRORコマンドは,ファイル復活成否のカギを握るともいうべき重要なコマンドである.
 MIRRORの主な機能を挙げていくと次のようになる.

◆パラメータなしでの起動
 この場合,MIRRORはカレントドライブのディスクに収められているFATとルートディレクトリ情報の内容を、復活情報としてMIRROR.FILというファイルに出力する.
 このファイルがあると,別項のUNFORMATコマンドによってFATとルートディレクトリ情報をMIRROR実行時の状態に戻すことができる.
 もっとも,DOS 5ではFORMATコマンドが自動的にこれと同じ作業を行なってくれるため,「うっかりフォーマット」対策としては特別意味のあることではない.しかし,ディスクがFORMAT以外の原因で壊れた場合(たとえばソフトウェアの暴走によるクラッシュ)では,MIRROR.FILがあればUNFORMATマンドで復旧できる可能性があるので,大事なディスクならこまめにMIRROR.FILを更新しておいたほうがいいだろう.
 なお,日本電気版のDOS 5では,ハードディスクに対してMIRRORをかけることはできないが,エプソン版では可能になっている.

◆/Tスイッチによる起動
 MIRRORの第2の機能として、メモリへの常駐モードがある./Tスイッチにドライブ番号を指定することで,MIRRORはメモリに常駐し,ファイルが削除されると,そのファイルに関するFATとディレクトリ情報をPCTRACKR.DELというファイルに記録してくれるのだ。MIRRORを常駐モードで使うことのメリットは,この処理をリアルタイムで行なってくれるところにある(図4).つまり「しまった!」と思った次の瞬間には,もうUNDELETEを使う準備ができているということだ
 MIRRORのメモリ常駐サイズは,たったの6Kbytes.フリーエリアを大きく広げられるDOS 5のことを考えれば,この程度の占有量は大した問題にはならないだろう。ぜひ,AUTOEXEC.BATで組み込み,毎回常駐させるようにしたい。また、この機能は,日本電気版でもハードディスクに対して行なうことができる.

◆/PARTNスイッチによる起動
 ハードディスクのパーティション情報(パーティションごとのOS,ドライブの種類など)を他のドライブのフロッピーディスクにPARTNSAV.FILというファイル名で保存する。保存されるパーティションの内容は,UNFORMATを/PARTNスイッチとともに起動することにより復活させることが可能になる(図5)。うっかり「領域解放」をしてしまったときでも,パーティション情報が保存してあれば復旧が可能なので,必ず実行しておきたいコマンドである.
■ 万が一,フォーマットしてしまったときはどうすればいいの?
◆ 謙虚になったな。フォーマットでもだいじょうぶだ.
■ そうだと思った.unformat[27]というコマンドがあったからね。これで,ハードディスクをまちがってフォーマットしてしまっても,だいじょうぶ.
◆ ふふふ。あまいな。すべてのMS-DOS5がHDDもunformatできると思うと,とんでもない痛い目に遭うぞ。98の世界はそれほど簡単にはいかないのだ。なぜか,unformatはフロッピーしかできない。
■ うーん,ディープ.98の世界の奥の深さを学んだような気がする.

27 FORMATとUNFORMAT
 フロッピーディスクにハードディスク,それに加えて最近注目の3.5インチ光ディスクすべてのディスクはフォーマット,すなわち初期化しなくては使うことができない.そのフォーマットをすべてのディスクに対して行なうための外部コマンドがFORMAT.EXEだ.
 DOS 5のFORMATコマンドで強化された点は,まず3.5インチ光ディスクの初期化ができるようになったことと,/Qスイッチによる高速フォーマットの追加。そして,次が売り物,ディスク上のファイル情報を自動的に未使用領域に退避させることにより,一度フォーマットしてしまったディスク上のファイルの復活,すなわちUNFORMATを正式にサポートしたことにあるといえる。
 ディスクのフォーマットとは,白紙にマス目を書いていく作業だと考えると理解しやすい。とはいえ,DOS5のFORMATコマンドによるディスクの再フォーマットでは,ブートセクタとFAT,ルートディレクトリ情報の初期化のみ行ない,ディスクの内容そのものは手つかずで残っていることに注目したい
 つまり,UNFORMATが行なっている作業は,ディスクのファイル情報(FAT,ルートディレクトリ情報)を,そのまま再現しているだけなのだ(図6).
 このUNFORMAT UNDELETEにより,融通の利かない石頭のMS-DOSといった汚名を返上できるようになったのは喜ばしいことである.


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ハードディスクが飛んだ時は好機ととらえた。削除、書き込みを繰り返してノストラダムスの出番となるようなハードディスクを再フォーマットしてファイルを再書き込みすることで整理できた。

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割り込みの悪魔(月刊ASCII 1992年5月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集の「これで分かった PC-9801&MS-DOS」をスクラップする。
今回は「割り込みの悪魔」をスクラップする。
ASCII1992(05)c06割り込みの悪魔_W520.jpg
 街の喧騒に嫌気がさして,この春から隠遁生活を送ることにした.日がな一日,文芸誌に依頼された原稿を書くほかは,山と鳥だけを眺めて暮らす予定だ。ただ原稿を書くにはパソコンがいる.それに当分街には出られなくなるので、退屈したときのために,パソコン用の周辺機器をいくつか買い込んだ.
 まず,多色表示とWindows 3.0の環境改善にグラフィックボード(アイ・オー・データ機器のGA-1024i).音楽演奏には必須のMIDIボード(ローランドのミュージ郎300),それに,山の音を録音するためにサンプリングもできるFM音源ボード(エムエスエーのスピークボード)の3点だ.
 しかし……,いきなり3枚差すというのは無謀なのだろうか。正常に動いてくれたのはグラフィックボードだけ。楽しみにしていたミュージ郎も動いてくれないし.空気がきれいなところだとパソコンは誤動作するのだろうか。窓の外は4月も終わりだというのに雪が舞い始めた。と……

コンコン
 この夜更けに,こんな山中の小屋の戸を叩く者がいる.
「だれじゃ」
「夜分申し訳ありません。道に迷いまして……。恐れ入りますが,今晩泊めていただけないでしょうか」
「おお,見れば白髪かと思うほどに頭に雪が乗っておる。おもてなしはできないが,休んでいきなされ」
「これはまたなんとお礼を申し上げたらよいかときにご老人,何か悩みごとでもあるのではありませんか? どうも顔色がすぐれないようですが」
「分かりますかな.実は,初めて周辺機器を装着してみたのだが,どいつもこいつも動いてくれんのです」
「たとえば、どういうことでしょう」
「そうですな。ほれ,ハードディスクからの起動はちゃんとできるのですが,ここで“ミュージ郎”なるソフトを動かそうとするとですな,音楽を演奏しようとしたところで」
「おや」
「……このように,うんともすんとも言わなくなってしまうのです」


ASCII1992(05)c06割り込みの悪魔画面_W520.jpg
「なるほど、なるほど.わたくし,多少は心得がございますから,ちょっと見せていただけますか」
「どうぞどうぞ。実は途方にくれておったところです」
 30半ばと見える職業不詳の男は,ボードとマニュアルを並べてなにやらぶつぶつ言っていたが,やおら懐から紙とペンを取り出すと,こんなことを書いた.


ASCII1992(05)c06割り込みの悪魔メモ_W520.jpg
 「周辺機器の中には,“割り込み”という処理を利用するものがあります.98ですと,周辺機器が使える割り込みの番号は0から6までの7種類なのです.このメモのINT[13]というのが割り込みのことですね」
13 INT番号
 INTとは,割り込み(Interrupt)の略で,ハードウェア割り込みとソフトウェア割り込みがあるが,周辺機器接続の際にトラブルの原因となるのは主にハードウェア割り込みのほうだ。
 ハードウェア割り込みとは,周辺機器CPUに対して,何らかの処理を要求する合図のことである。このときCPUが、どの周辺機器から合図(割り込み)が来たかをはっきり判別できるように,周辺機器ごとに「INT番号」を決めておく必要がある。合図によって,CPUに別の仕事をやらせることを「割り込み処理」という.食事中に電話のベル(合図)が鳴れば,食事を中断して電話の相手と話をする、というのと同じだ。
 98の場合,INT番号はシステムに予約されているものと,ユーザーが使えるものとがある.ユーザーが使えるのは,INT 0からINT 6と呼ばれている7つ(厳密にはINT 4に2種類があるた8つ)だが,このうち,INT 3はSASIのHDDに,INT 4はFDDに,INT 6はマウスに使われているため,周辺機器側で利用できるのはINT 0,1,2,5の4つしかない(表1.なおマウスのINT番号は変更可能).FM音源が内蔵されていれば,INT 5も使えなくなる.
 複数の周辺機器を用いている場合,I/Oアドレス同様,「INT番号が重なる」ことでソフトが動かなくなることがよくある.割り込み処理は,ある特定の周辺機器に対して行なわれるもので,複数の周辺機器から同じ割り込みの合図が来ては適切な処理は期待できない(図2).通常は,そういう不都合を回避できるように,周辺機器はINT番号を変更できるように作ってあるのが普通だ。ただ,周辺機器を利用するためのソフトウェアはたいていデフォルトのINT番号を想定して書かれているため,ボード側でINT番号を変更した場合はそれに合わせてソフトウェアのセットアップが必要になる(画面2)また,2チャンネルRS-232C増設ボード(PC-9861/K,AIWA B98-01)のように,1枚のボードで2つのINT番号を必要とするものもある。
 INT番号はI/Oほど選択肢が多くないため,重なるという事故も発生しやすいSCSIのHDDをメーカーのセットアップのまま装着すれば,たいていSASIのHDDと重なるし(INT 3),だからといってSCSIのHDDをINT 2にする今度はMIDIインターフェイスと重なる.INT 5はFM音源がじゃまをするし,INT 4やINT 6は論外……ボードを2枚差しただけでこの始末なのだ。
 また,ノーマルモードとハイレゾモードではマウスのINT番号が変わる(ノーマル時はINT 6,ハイレゾではINT 2)ため,モードを切り替えたら動かなくなるという事故も起こる.このほか,98NOTEのうちNS/E以降はレジューム機能のためにINT 2を使っている.


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INT番号足りなかった。困ったものだ。
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「割り込みとはなんじゃろう」
「ちょっと急いでこの仕事をやってくれという合図,みたいなものでしょうか」
「ほう」
「ところが,今お使いのパソコンは,このように同じ割り込み番号を,2つのボードが取り合っているのです」
「取り合ってはいかんのですな」
「もちろんです。パソコン側は,誰が割り込みをかけたか分からなくなってしまいますから」
「なーるほど.……ということは,残念ながらどれか諦めんといかん」
「それには及びません。INT番号を変えてやればいいのです」
「そんなことができる」
「普通はできるようになっています」
「ではまず,MIDIボードをINT 1にでもして」
「いえ。それはやめたほうがいいでしょう」
「それはまたなぜ」
「MIDIボードを使うプログラムは,INT 2を使うものと思って作られているものがほとんどなのです。それを変えてしまったら,ソフトが動かなくなる可能性があります。今お使いのミュージ郎はINTの変更に対応できるみたいですが,これから導入されるかもしれない音楽ソフトが対応していると期待するのは甘いかもしれません」
「しかしそんなことを言ったらSCSIインターフェイスも同じなのではありませんかな」
「SCSIインターフェイスは,ボードのほうを変更すれば,あとは自動的にまわりもうまくセットアップされるようになっているのです」
「えらいんですな」
「まあ,そんなところです……とりあえずSCSIをINT 1に逃がしましょう。これで少なくともミュージ郎は動くようになるはずです」
「ところで,このメモではグラフィックボードが入っとらんが」
「このグラフィックボードは,割り込みは使っていないんです。周辺機器がどれも割り込みを使うわけではありません」
「あとは,INT 5のほうか」
「ああっ! これは内蔵FM音源の上位互換のボードですね」
「そうじゃったかもしれん」
「ご老人,これはいけません。INTだけではなく,I/Oアドレス[12]ROMアドレス[15]まで重なってしまいます」
「そうぽんぽんと新しい用語を出さんでもらえんかな」
「つまり,同じボードを2枚差しているようなものなのですから,これでは動作しません」
「マニュアルどおり内蔵FM音源を殺せば問題はないのじゃが,せっかくなら内蔵音源も外付けボードも同時に使いたいではないか」
「そういうご希望でしたら,I/OとINTを変えて,ROMを殺してしまえば……しかしそこまですると,付属のソフトが動作するかどうか」
「まあ,物理的に動かんのじゃ話にならんから,適当にやってみてくれんかな.あとでメーカーに聞いてみる」
「それがいいですね」
「いやそれにしたも今日はまったく,助かりましたわ」
「いえいえ。雪の中を野宿するのに比べたら.はっはっ」
 翌朝,男は早々に下山した。昨日はパソコンの相手で1日つぶしてしまったから、私も今日は山歩きでもするとしよう.と……

12 I/Oアドレス
 I/Oとは入出力(Input/Output)の略号で,パソコンではCPUと,その周辺ハードウェアとのデータのやりとり(入出力)のことを指す。
 パソコンにはRS-232C端子や拡張スロットなどを経由して周辺機器を接続するが,それらとデータをやりとりするのは「I/Oポート」と呼ばれるところ(信号線)である.ハードディスク,マウス,キーボードなど,画面表示以外の作業はすべてI/Oポートを介して行なわれているのだ.
 I/Oポートにもメモリと同じように番号が付いており、その番号をI/Oアドレスという。たとえばプリンタへのデータ送信は,I/Oアドレス40H番のポートを使っている.ポート番号は0からFFFFHまでがある.
 PC-9801シリーズに限らず,パソコンメーカーは機種ごとにどのI/Oアドレスには何がつながっているかを決めておまたユーザーが自由に使えるI/Oアドレスも決まっている(xxD0~xxDFHのうち偶数の番地,およびxnE0~xnEFHの番地xは任意の16進数,nは0~7).ただし98シリーズの場合,ノーマルモードとハイレゾモードでI/Oアドレスが異なるデバイスがあるので注意が必要だ.
 さて,周辺機器を接続するとき問題になるのは「I/Oアドレスが重なる」ことだ。複数のボードを98に差していて,そのボードが同じI/Oアドレスを使っていたら,当然その先につながっているものは正常に動作しない(図1).

 他のメーカーがたまたま自社と同じI/Oアドレスを使う可能性を考慮して,ほとんどの周辺機器メーカーは利用するI/Oアドレスを変更できるようにしている。たいていはボード上にあるディップスイッチやジャンパスイッチを切り替えることで実現し,やり方はマニュアルに記述してある.
 ただし,I/Oアドレスを変更してしまうと,デフォルトのI/Oアドレスを前提に作られているプログラムは動作しなくなってしまう.I/Oアドレスを変更した場合は,それに合わせてアプリケーションソフト(場合によってはデバイスドライバ)のセットアップを行なう必要がある(画面1).もし不幸にもそういったセットアップ機能がソフトにない場合は,もう片方のボードのほうで対処するか,最悪の場合はどちらかをあきらめなくてはならない.
 周辺機器がうまく動作しないときには,自分が今使っているボードどうしのI/0アドレスが重なっていないかどうかチェックすることになる(本体が使っているI/Oと重なっている可能性もゼロではないが,普通そのような設計はしないはずだ).なお,現実的にはI/Oアドレスが重なるということはあまりない。同じボードを2枚差して別々に制御しようとする場合に注意するくらいだろう.

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I/Oアドレスのバッティング。気づかないことがあった。困ったものだった。
15 ROMアドレス
 拡張スロットに装着するボードには,ボード上にROMが搭載されているものがある.SCSIインターフェイスボード,RS-232Cボード,FM音源ボード,LANボードなどにはたいていROMがある.ROMは,メモリ編で述べた「拡張ROM領域」内に,重ならないように配分する必要がある.ボードによってはこのアドレスを移動させることができるようになっている(画面3).EMSやUMBのことも考えてセットアップしよう.

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セットアップは面倒だった。
コンコン
 また扉を叩く者がいる.忘れ物でもしたのだろうか.
「ちわー。宅急便す」
「なに,物を買った覚えはないが」
「東京のAhSKI編集部からです」
 箱を開けると,真新しいファクスボードが出てきた。一緒に紙切れが入っている.先生,お元気ですか? さて、先生の原稿は図が多いので、お気軽に送信していただけるよう,ファクスボードをお送りいたしました。電子メールで画像ファイルを送るより安いでしょう? では次の原稿の締め切りまであと5日です.よろしくお願いします。

 FAXボード?INT番号が足りないではないか。

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一太郎とWin3を一緒に使いたい,(月刊ASCII 1992年5月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集の「これで分かった PC-9801&MS-DOS」をスクラップする。
今回は「一太郎とWindows 3.0を一緒に使いたい,TeXだって使いたい」をスクラップする。
ASCII1992(05)c04一太郎とWin_W520.jpg
 自分のコンピュータがほしくなって,丹羽信夫さんの言うとおり,会社をやめて,その退職金でPC-9801のDAを買った。HDDも100Mbytes内蔵している.486DOS/VマシンとMacintoshは,とても買えなかったけれども,せめて,この98には,たくさんメモリを積んであげようと,4Mbytesの増設RAMを奮発した.初めからある1Mbytesの内蔵RAMを足せば,5Mbytes.これだけあれば,Windowsもなんとか動かすことができるだろう.これで,バリバリとアプリケーションを使って,大儲けをするんだ.と,はりきっていたのだが,…….
Windows3.0と一太郎を使うには?
■ これこれ、どうした?そこの娘.
◆ この画面を見てよ,もーぉ(画面1).こんなにお金をかけたのに,まったくひどいったらありゃしない。でも、おじさん,誰?どうして私の部屋にいるの?


ASCII1992(05)c04一太郎とWin画面1_W339.jpg
■ そんなこたぁー,どうでもええ.いったい、何を騒いでおるのじゃ。
◆ 一太郎とWin3を一緒に使いたいんだけど,どうすればいいのか分からないのよ.
■ なになに,お前さんは大船に乗り遅れたようじゃなぁ.
◆ それでね、話を聞いてくれる?まずは,一太郎をWindowsから立ち上げようとしたの。マニュアルと格闘しながらなんとかPIFファイルを書き換えて,それで日本語入力FEPを組み込んだらやっと動いたんだけど,それがもう,遅くて遅くて.
■ きちんとEMSドライバ[6]を組み込んどるのかな.

6 メモリマネージャ(EMSドライバ,XMSドライバ)
 EMSやXMSなどの手順でメモリを利用しようとするプログラムに対して,実際にメモリを割り振るプログラムのことをメモリマネージャという.386以上のマシンではプロテクトメモリさえあれば,メモリマネージャだけでEMSメモリやXMSメモリを提供することができる.UMBの項で,プロテクトメモリの一部を1Mbytes空間内に割り当てると書いたがEMSも同じ方法で実現することができるからだ.
 メモリマネージャは数社から発売されているが,注意したいポイントは「EMSとXMSを完全にサポートしているか」,である.EMSがなければ一太郎のようなEMS対応ソフトをはじめ,DOS環境の改善は大きく立ち後れる.一方XMSがないと,Windows3.0を快適に動作させることができない.
 現時点でこの条件を満たすのは,(1)DOS 5に含まれる「HIMEM.SYS」と「EMM386.EXE」の組み合わせ,および(2)MELWAREVer.5に含まれる「MELEMM.386」だけである。この両者にも違いがある.(1)の方法では,プロテクトメモリのうちEMSとして使う部分とXMSで使う部分の大きさを,あらかじめ決めておく必要がある。2では,要求されただけをEMSなりXMSなりにしてプログラムに渡す.
 どちらが便利かといえば,もちろん(2)だ.たとえば,一太郎Ver.4を使うときにはできるだけたくさんのEMSメモリがほしい.Windows 3.0を使うなら,EMSはなくてもいいがXMSはできるだけ多くほしい。(2)ならどちらに対してもあるだけのメモリを提供できるが,(1)では容量配分を変えるために一度リセットする必要があるからだ(画面4).


ASCII1992(05)c24メモリ画面4_W851.jpg
◆ もちろんよ。でも,あのスピードじゃあ、あんまりだから,やっぱり元に戻して,一太郎はMS-DOSから立ち上げて使うことにしたの.
■ まあ,386のCPUだと,もっともな判断じゃな。
◆ でね,config.sysを書き直して,一太郎が動くように,とりあえずしてみたの.そしたら,一太郎は,元どおりに,ちゃんと動くようになったわ.
 でもね、今度はWindowsが問題なの.立つのは立つんだけど,なぜかリアルモードなのよね。エンハンスドモードで立たなくなっちゃったのよ。config.sysを書き換えるまでは,Windowsもちゃんと動いてたから,きっと私,config.sysに何かへんなことをしちゃったんだと思うけど,どこが悪いのか分からないのよ.
■ フム,これは,98のDAじゃろ。それにメモリを5Mbytesも積んどるんじゃったら,Win3がちゃーんとエンハンスドモードで立ち上がるはずじゃ。よっぽどすっとんきょうなことをやっておるのじゃな。はてはて?メモリはどう使っておるのかな?
◆ 一太郎が使いやすいように,とりあえずEMSメモリ[3]にしてるよ.どこか悪いの?
■ それじゃ,きっとそれじゃ。EMSメモリは,どのくらい使っておるのじゃ?
◆ えっ、どのくらいって?
■ まさか,メモリをぜーんぶEMSにしとるのじゃないじゃろうな.
◆ EMSって,メモリの一部だけでもいいの?
■ あったり前田のクラッカー.どれ,どれ,ちょっとおじさんにconfig.sysを見してみぃ。フムフム.
 このemm386.exeを組み込む行を見なさい(図1).使うEMSのページ数を指定しておらんじゃろ。だから,DOSのシステムが使っとるメモリ以外は,すべて仮想EMSメモリになっとるんじゃよ。
◆ へーぇ。知らなかった.
■ Windowsは,空いているプロテクトメモリ[1]が足りないと,エンハンスドモードで動かすことはできないのじゃよ.
◆ でも,一太郎にたくさんメモリが必要といったって,いくらなんでも5Mbytesも使っちゃうことはないでしょう?
■ 一太郎がメモリを使っとるんじゃないぞ.emm386.sysがプロテクトメモリをみんな仮想EMSとして確保しとるのじゃ。そうなると,Windowsは,そのメモリをEMSメモリとしてしか使えなくなってし まうのじゃ。 ◆ うーん。じゃあ,どうすればいいのよ?
■ 簡単じゃ.MS-DOS5の「インストールガイド」の43ページに,EMSメモリを使うための説明があるぞ。そこをよーく読むんじゃ。
◆ ふーん。なになに、「使用できるメモリのうちどれだけをEMSメモリとして利用するかを,ページ単位またはKバイト単位で指定します」。前にもEMSのことを調べたら「ページ数」って書いてあっ たんだけど,このEMSのページ数って,なにかよく分からないのよね。
■ まあ、黙ってマニュアルを読みなされ.“/P=nnn”というオプションをつけろとあるじゃろう.
◆ はいはい,分かった,分かったわよ。ほんとはまだよく分からないけど,とにかくこれでメモリをどのくらいEMSとして使うかを指定するのね。つまり,こうね(図2)。


ASCII1992(05)c04一太郎とWin図1-2_W335.jpg
3 EMS
 98を使っているなら今やEMSは必需品である.まだEMSを使っていないという方は、この機会にEMS導入に踏み切られることをお勧めする.
 EMSがあると(正確にはEMSメモリがあると),(1)ワープロやデータベースではディスクとのやりとりが減少して動作が快適になる(2)表計算ソフトでは大きな表を作ることができる,(3)日本語入力FEPをEMSに追いやることでメインメモリに余裕ができる,などのメリットがある。
 386以上のCPUのマシンでメモリを1.6Mbytes以上搭載していれば,「メモリマネージャソフト」を使うことでEMSが利用可能になる(DOS 5にも付属してくる).もしメモリが640Kbytesしかないなら,本体内蔵タイプのメモリを買ってきて差せばよい.
 286までのマシンの場合は,拡張スロットに差すEMSメモリを購入し,そのボードに付属する(別売の場合もある)メモリマネージャを使うことになる.本体内蔵タイプのメモリは,PC-9801DXなど一部の例外を除いて,EMSメモリとして活用するのは困難であるからだ。ただし,Windows 3.0用にメモリを増設するというのであれば,内蔵メモリのほうが高速化に役立つ。

EMSとはどんな仕組みなんだ?
 MS-DOSは1Mbytesの内側しか扱うことができないが,そこでなんとか大量のメモリを扱わせようとして考えられたのがEMSである。EMSの規格では,外部にたくさんのメモリを用意しておき,そのメモリを16Kbytesごとにコマ切れにしてそのうち4つを1Mbytes内にとっかえひっかえ割り当てるようにしたのである.
 16Kbytesのメモリが4つ並ぶから,EMSを使うには64Kbytesの領域が必要になる.これをもしメインメモリの中に取ると他のプログラムとぶつかってしまうし,グラフィックVRAMやBIOS-ROMの上に取るとそれらが使えなくなってしまう.そこで,普通は拡張ROM領域のうち使われていないところを探して使う。拡張ROM領域はC0000~DFFFFHまでだが,C0000~CFFFFHを使うのが一般的である.

EMSで起きるトラブルとは
 EMSは上述の“拡張ROM領域”を使用するので,他のROMとの衝突を避けなければならない。なかでも厄介なのは“サウンドROM”である.FM音源ボードを搭載した機種ではEMSを使うときはサウンドROMを切り離すようにしなければならない.これはEMSのページフレーム上とFM音源ボードのサウンドROMがCC000~CFFFFHの領域で重なってしまうのである(図2).
 もしサウンドROMを生かそうとしてEMSのページフレームをD0000Hから取るようにすると,今度はハードディスクのROMと重なることになる.つまりサウンドROM,HDD,EMSの3つは両立できないのである.もし,どれか削るとすればサウンドROMになるだろう.


ASCII1992(05)c22メモリ図2_W520.jpg
1 メモリマップ
 EMSとかプロテクトメモリといった個別の単語説明にはよくお目にかかるが,それらを理解するには「メモリマップ」を頭に入れておくとよい。メモリ用語がずっと現実味を帯びてくるはずだ.
メモリには1byteごとに番地がある
 パソコンの中にCPUとメモリがあることはご存じのとおり。メモリマップとは,文字どおりメモリの使われ方を示すものだ.PC-9801シリーズでは,あるいはMS-DOSではメモリがどのように使われているか.グラフィックを表示しているとき,そのグラフィックデータはどこに存在するのか.メモリマップを見るとそれが分かる.
 メモリにはすべて番地(“アドレス”という)が付いていて、1つの番地に1byteのデータが収まる.アドレスは通常16進数で表わし,0番地から始まる.16進数と言われてもピンとこないかもしれないが,16進数の10000Hが64K(キロ),同様にA0000Hが640K,100000Hが1M(メガ)というくらいを覚えておけばいい.なお,16進数には上で書いたように,最後にHを付けるのが普通だ.
 PC-9801(ノーマルモード)のメモリマップを図示すると、図1のようになる。順に内容を説明しよう.

●メインメモリ
 00000~9FFFFHの640Kbytesの空間がメインメモリだ.MS-DOSや日本語入力FEP,アプリケーションソフトなどはここに読み込まれ,実行される.“EMS”や“プロテクトメモリ”などが要求されるようになったのは,アプリケーション自体が巨大化して,扱うデータを含めると640Kbytesに収まり切らなくなってきたためである。残りメモリがどれくらいあるかは,CHKDSKコマンドや,DOS5ならMEMコマンドでも知ることができる.
●テキストVRAM
 A0000~A4FFFHの領域を“テキストVRAM"という.VRAM(VideoRAM)は,メインメモリと違って「画面と連結されている」のが特徴だ。テキストVRAMの場合は,プログラムでこの領域に文字コード(98の場合はJISコードに一定の計算を施した数値)を書き込んでやると,その瞬間文字が画面に表示される(画面1).
●未使用領域
 A5000~A7FFFHまでの12Kbytesは,RAMもROMも割り当てられていない.このほか,後述する拡張ROM領域も大部分は未使用領域である.未使用領域は,386/486マシンでは重要な意味を持ってくる(詳しくはUMBの項を参照).
●グラフィックVRAMその1
 A8000~BFFFFHの96Kbytesは“グラフィックVRAMその1"だグラフィックVRAMの場合は,データを書き込むとグラフィックが画面に表示される.したがって、現在表示されているグラフィックをディスクに保存したければ,この領域と、後述する“グラフィックVRAMその2”をセーブすればよい.
●拡張ROM領域
 C0000~DFFFFHの128Kbytesを“拡張ROM領域”という.たとえば,ハードディスクを装着すると,ハードディスクのインターフェイスボードの上にある拡張ROMがこの領域に現われる.
 この拡張ROMの中には,ハードディスクを制御するためのプログラムが入っている.
 メモリのトラブルが一番発生しやすい領域がここだ。というのも,別項で述べるEMSもこの空間を利用しているからだ.EMSや,ハードディスク,FM音源などの拡張ROMが同じ領域を取り合うと,マシンが起動できなくなることもある.

●グラフィックVRAMその2
 E0000~E7FFFHは“グラフィックVRAMその2”.上のグラフィックVRAMその1と合わせて128KbytesのグラフィックVRAMを形成する.なお,グラフィックVRAMはその1その2ともに2セット存在していて,切り替えて使うことができるようになっている.
●BIOS-ROM領域
 E8000~FFFFFHの,メモリマップの最上位に位置するのが“BIOS-ROM領域”だ.MS-DOSの起動に失敗したとき,“Howmanyfiles(0-15)?”と表示されるのを見たことはないだろうか.これはBIOS-ROMに内蔵されているROM-BASICが起動したからである.BIOS-ROMにはBASICだけでなく,MS-DOSの各種処理を行なうためのプログラム群も収められている.
●プロテクトメモリ空間
 CPUそのものの設計では,286は16Mbytes,386や486は4Gbytesものメモリを装着できるようになっているのだが,この領域はMS-DOSでは本来扱うことができない.しかし,386以上のCPUは,メモリマネージャと呼ばれるソフトを書くことでDOS上からプロテクトメモリを活用できるようになったし,286マシンでも用途は限られるが使い道がないわけではない.
 なお,Windows3.0のスタンダードモード,エンハンスドモードは,プロテクトメモリを直接扱って動作する.
 メモリに関するトラブルの多くは、(1)メインメモリが足りない,(2)拡張ROM領域で同じメモリを複数の装置やソフトが取り合う,の2つだろう.拡張ROM領域をうまく使えるようになれば,周辺機器やメモリ環境のセットアップのトラブルも自分で解決できるようになるはずである.


ASCII1992(05)c21メモリ図1_W520.jpg
ASCII1992(05)c24メモリ画面1_W865.jpg
■ そうじゃよ。賢いのぉ。
◆ とーぜんのことよ。で,残りのメモリがXMSメモリ[4]に割り当てられるのね。これでWin3もエンハンスドモードで立つようになるってわけね。
■ もちろん,himem.sysを組み込んでおかんとだめじゃぞ。
 肝心なのは,メモリの配分じゃ。せっかくたくさんメモリを積んでおるのだから,仮想EMSとプロテクトメモリをうまく配分してメモリを賢く使うのじゃぞ。

5 XMS
 XMSは,プロテクトメモリを使用するための規格である。プロテクトメモリは,ちょっと特別なプログラムを書けば誰でもアクセスできるのだが,それでは危険このうえない.そこで,プロテクトメモリを使うプログラムはどれも,XMS規格に基づいた方法でメモリを使うようにすることで,同じメモリ領域を取り合うような事故を防ごうとしているわけである.XMSは,正確にはHMA,EMB,UMBの3つの規格を合わせたものである.HMAというのは,プロテクトメモリの最初の64Kbytesを利用するための規格,EMBはその上のプロテクトメモリを利用するための規格,UMBは別項に述べたUMB領域を利用するための規格である.XMS規格に準じた方法でメモリを扱うには「XMSドライバ」と呼ばれるソフトが必要だ。現時点ではDOS 5に付属する「HIMEM.SYS」か、MELWARE Ver.5に付属する「MELEMM.386」の2つしか選択肢はない(画面3).

ASCII1992(05)c24メモリ画面3_W849.jpg
ここまでくるともう訳が分からない。MS-DOSの限界が露呈したものと思っていた。
DOSエクステンダを使うには?
◆ おじさん,見かけによらず,なんでも知っているのねぇ.
■ ふおっふおっふお.
◆ じゃね、じゃね。もういっこ,困っていることがあるんだけど,聞いてもいいかな?
■ ふおっふおっふおっ.
◆ せっTeXが,かくインストールした日本語TeXが,動かないのよ.
■ なに,わしは,柏餅がだいすきじゃぞ.
◆ そうそう,子供のころ,お兄さんのコイのぼりが……,それは,端午の節句.
■ アントニオ・ガデスがいいぞ.
◆ それは,タンゴ。
■ だから、わしは柏餅が好きだと言ったじゃろ
◆ あのね,…….EXE386を起動するときに,へんなメッセージが出るの.
■ どらどら.これは,あったり前じゃよ.
◆ どうして,どうして.
■ CPUが仮想86モードで動いとるからじゃよ.
◆ それじゃあ、メッセージどおりじゃない.私が知りたいのは,どうしたらいいのか,ってことよ.
■ ようするにじゃ,EMSドライバがVCPI[7]に対応してないからじゃ。だから,VCPIに対応しておれば,そのままでもCPUをプロテクトモードで動かすことができるじゃろう.

7 VCPI
 286以上のCPUは,「プロテクトモード」という動作モードに移行すれば,640Kbytesの壁を無視してプログラムが書けるようになる.そこで,一部のソフトでは,起動はDOS上で行なうけれども,その後プロテクトモードに移って処理を続けることでメモリ不足を解消している.プログラムが終了したらまたDOSが動いているモード(リアルモード)に戻るわけである.
 ところが,すでにメモリマネージャがプロテクトメモリを利用している場合は,こういうソフトを起動することができない無理に起動すれば,EMSなどに使われているメモリ空間が破壊される可能性もあるからだ。だからといってメモリマネージャを使わなければ,今度はほかのソフトの動作に支障が出てくる.
 この両者のメモリ利用を調停するための規格がVCPIである.メモリマネージャがVCPIをサポートしていれば,その上でプロテクトモードを使うソフトを動かすことができる.こういうソフトは日本ではまだ少ないが,アシストのパワーカルクやパワーベース,フリーソフトウェアのTeXなど,今後数が増えてくることも予想される(画面5).
 98用のメモリマネージャで現在公式にVCPIをサポートしているのは,MELWAREVer.5だけである。


ASCII1992(05)c25メモリ画面5_W520.jpg
使えるというのと使い物になるのというのは違う。
◆ えーっMS-DOS 5のemm386.exeって,VCPIに対応してたんじゃないの?
■ 娘っ子,よく知っとるのぉ。でも,あまいぞ。98の世界は,そんなあまいもんやないで.
◆ なに,それ,で,そのココロは?
■ ふぉっふぉっふおっ.
◆ ポリンキーモードに入ったな。さては、知らないのね。
■ ふぉっふおっふおっ。まずは,MELWARE Ver.5を手に入れることじゃな.
◆ あれって、単体では売ってないんじゃないの?
■ そのとーり.
◆ もぉ,役に立たない情報ばかり.どーすれば,いいのよ.
■ 心配せんでもええ.メモリの載ってない,メルコの増設RAM用のボード(EDA-0)を買えばよいのじゃ。そうすれば,9800円で手に入る.
◆ へーっ。まあ、いちいちconfig.sysをスイッチして立ち上げ直すのを考えると,けっこう安いかもしれないわね。cinit.sys[18]を使っても,やっぱり面倒くさいものは,面倒くさいものね。さすが静岡.
■ これこれ。それは,まる子じゃ。しかも,仮想EMSも2倍以上速くなるのじゃ。今のところ,これしかないじゃろうな.
◆ とにかく,これを使えば,メモリさえあれば,一太郎もWindows 3.0もそれからDOSエクステンダのEXE386も,同じ設定で使えるようになるってわけね。
■ もう,これでリセットともおさらばね.ふぉっふぉっふおっ.



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HDDを増設しようとしただけなのに(月刊ASCII 1992年5月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集は「これで分かった PC-9801&MS-DOS」だった。
昔体験したトラブルシューティングが思い出されて懐かしかった。以下スクラップする。
ASCII1992(05)c01これで分かった扉_W520.jpg
まずはじめに
特集の読み方・使い方
 今月の特集では,98を使っていてよくぶち当たる「悩み」の例を4つ用意し,それが解決するまでをストーリー仕立てにしてみました.
 そうはいっても、問題の解決にあたってはどうしてもある程度の専門用語の知識が必要になります。そこで今回は,ストーリー中の専門用語について,特集後半の「用語集」で詳しい解説を用意しています。番号の付いた単語の意味が分からないときは,番号を頼りにページを繰ってみてください。なお,用語集はジャンル別に分け,キーになる関連用語はできるだけ収録していますので,一度は通してご覧になることをお勧めします。

  確かによくぶち当たった。

今回は「HDDを増設しようとしただけなのに」
ASCII1992(05)c02HDD増設_W520.jpg
5月3日
 パソコン通信を始めてからというもの、HDDの残り容量がどんどん減っていく[27].メッセージ,フリーソフトウェアやフリーデータをダウンロードするようになると,今までなかなか埋まらなかったディスクがあっと言う間にいっぱいになる.
21 HDDがいっぱいになったらどうするか
 80Mbytesだろうが300Mbytesだろうどんなに大容量のハードディスクでも,いつかはディスクがいっぱいになる日がやってくる。また,細かいファイルが積もり積もって,気付いたときには残り容量が1Mbytes以下,なんてこともあるだろう.これでは,使いにくくてたまらない。
 では,どうするか?まず,満杯状態のハードディスクの中を,FDなどのファイル管理ツールを使って一巡りしてみよう。そこには必ず,日頃使っていないプログラムや、パソコン通信の古~いログファイル,やたらと大きなグラフィックデータなどが累々と横たわってはいないだろうか。
 こんなムダなファイルはとっとと消してしまえ!といいたいところだが,それでもやっぱり、中には消すに消せない大事なファイルもあるだろう.そこで,お勧めしたいのが,LHAによるディレクトリ単位での圧縮作業だ。
 LHAは,複数のファイルをひとつにまとめてくれる書庫管理のためのフリーソフトウェア(作者:吉崎栄泰氏).ししかも、ファイルをまとめる際に個々のファイルのデータ圧縮を行なってくれるので,ディスクの省スペース化にも一役買ってくれるという優れものだ。ただ,LHAによるアーカイブファイルの作成。解凍は,一時的な作業用ファイルの作成を必要とするため,カレントディスク上に十分なフリースペースがないと実行不可能となることがある.
 もしも不幸にして「作業ファイルを作「成できません」というメッセージを残したままLHAが終了してしまった場合,環境変数TMPで作業用のドライブを指定することで,こうした問題は解決する.仮にこのドライブをAドライブとするならば,AUTOEXEC.BATにでも,“set tmp=a:\”の一行を書き込んでおくといいだろう.

 マーフィーの法則ではないが、HDDの容量を増やしても必ず足りなくなるという現象を体験してきた。ファイルの整理が趣味でもあった。
 それに,世はSCSI[16]時代というので、いささか遅きに失した感もあるがSCSIのハードディスクを増設することにした。100Mbytesで9万円くらいというのが相場らしいのだが,いずれWindows 3.0などを使うようになったらまた買い足すことになりそう.結局,7万円ほど高かったのだが180Mbytesのものを奮発した。さてインターフェイスボードを差して,ハードディスクをつなぐ……のだが,なんということか,これが動いてくれない.
 ハードディスクのフォーマット方法を知らないなんてことはない.そりゃ確かにSCSIは初めてだけれど,やり方はSASIといっしょでしょう?困ったことにSASIのハードディスクを引っこ抜いてフロッピーで起動すると,SCSIのドライブはちゃんと認識できるし.ということは,SASIとSCSIはいっしょに使えないのかな.
 自分一人で悩んでいてもらちがあかないので,知人のシステムエンジニアに電話してみる.
「あの、○○くん,もうお帰りですか」
「それがまだなんですよ」
 また遊び歩いてやがる。では,
「もしもし」
「はい××です.ただいま留守にしております。ピーという」
 そういえば決算のシステムがどうとか言ってたからなあ。誰か詳しい人いなかったっけ.そうだ,△△さんなら.
「あ、奥様で」
「あらお久しぶり.どうしたの」
「実は,ハードディスクも満足につながらない状況で.SASIとSCSIって,一緒には使えないんですか?」
「ちゃんとマニュアル読んだ?普通はSASIと一緒に使うときはこうしろって書いてあるんだけどな」
「SASIをはずせば動くんですけど」
「それは一,DMA[14]とかINT[13]とか重なりまくりなのよ」
16 SCSI,SCSI ID
 SCSI,Small Computer System Interfaceの略で,もともとHDDのインターフェイスとして作られたSASIがその原型である.近年販売されているCD-ROM,MOは,ほとんどSCSI仕様で作られている。
 SCSIでは,98本体も含めて8台までのSCSI機器をディジーチェーン方式で(A-B-C-Dという具合に)接続できる.SCSI対応であれば,MOだろうとCD-ROMだろうと,スキャナだろうと,なんでも接続できる.ただ,つながっている各機器を区別するために,SCSI機器には「SCSI ID」と呼ばれる番号がセットされている.SCSI機器でSCSI IDを変更できないものは少ないが,たまにIDが固定のものがある.
 SCSI機器を接続する場合には,このSCSI IDが重ならないように注意する必要がある。特に,SCSIインターフェイスボード自体がIDを持っていることは記憶にとどめておく必要がある。通常インターフェイスのIDは7になっているので、周辺機器側は0から順番に振っていけばいいだろう.
 さて,SCSI機器を98本体に接続するためには,SCSIインターフェイスボードが必要だ。サードパーティから発売されているSCSIのHDDには普通インターフェイスボードが付属してくる.これは,日本電気純正のボードではその会社のHDDが動かない,あるいはSCSI HDDのアクセス効率を上げるなどの理由で, ハード的にもソフト的にも調整を加えているからだ。
 その結果,SCSI対応のはずの周辺機器を接続したのに動作しないという問題がひんぱんに起きるようになった.それでも、ハードディスクだけなら同一メーカーのものを揃えれば問題はないが,CD-ROMMOだスキャナだ,となると,そのメーカーの製品だけで揃えるのは難しくなってくる。現状では,接続実験をして動いた,という情報を得てから購入するしかないSCSI機器の購入には十分な注意が必要だ。

これもあった。HDDの後ろに円形のスイッチがあった。精密ドライバーで回転させて設定した。まあなんと面倒なことか。
14 DMAチャネル
 DMAとはDirect Memory Access略。周辺機器とのデータのやりとりを,I/OやCPUの力を借りずに,メモリに対して直接アクセスすることだ。こういうハードウェアをDMAコントローラといい,そこに周辺機器を接続すると,DMAを利用したデータ転送が可能になる。典型的な例はハードディスクである.
 DMAは本来,周辺機器からの連続しまた大量のデータをメモリ上へ受け取る,逆にメモリの内容を周辺機器へ送り出す,といった作業を想定したものだ.DMAを使うと,その間CPUには他の処理を行なわせることができるというメリットがある.しかし,98のDMAは速度が遅いため,最近のハードディスクではDMAを使わず,CPUがI/O経由でデータをやりとりするようにしているものが主流になりつつある.
 98の場合,用意されているDMAチャネル(DMA転送を行なうための経路)は#0,#1,#2,#3の4つがあるが,ユーザーに解放されているのは,#0と#3の2つだけである.しかも,SASIのHDDは#0を固定的に利用する.
 DMAを使う周辺機器では,DMAチャネルの番号を変更できるように作ってあるのが普通だ。しかし,SASIのHDDを使っているところにSCSIのHDDを増設すれば,こちらは#3を使わざるをえないため,これでDMAチャネルに空きはなくなる.GP-IBボード,ファクシミリボード(日本電気製)のようなDMAを使う周辺機器は諦めなくてはならない.ただし,DMAを使わないタイプのSCSIハードディスクの場合はこの限りではない.

 折角開発したDMAなのに98では役立たずという規格だった。8086系CPUの方が速いなんて酷い話だ。
13 INT番号
 INTとは,割り込み(Interrupt)の略で,ハードウェア割り込みとソフトウェア割り込みがあるが,周辺機器接続の際にトラブルの原因となるのは主にハードウェア割り込みのほうだ。
 ハードウェア割り込みとは,周辺機器CPUに対して,何らかの処理を要求する合図のことである。このときCPUが、どの周辺機器から合図(割り込み)が来たかをはっきり判別できるように,周辺機器ごとに「INT番号」を決めておく必要がある。合図によって,CPUに別の仕事をやらせることを「割り込み処理」という.食事中に電話のベル(合図)が鳴れば,食事を中断して電話の相手と話をする、というのと同じだ。
 98の場合,INT番号はシステムに予約されているものと,ユーザーが使えるものとがある.ユーザーが使えるのは,INT 0からINT 6と呼ばれている7つ(厳密にはINT 4に2種類があるた8つ)だが,このうち,INT 3はSASIのHDDに,INT 4はFDDに,INT 6はマウスに使われているため,周辺機器側で利用できるのはINT 0,1,2,5の4つしかない(表1.なおマウスのINT番号は変更可能).FM音源が内蔵されていれば,INT 5も使えなくなる.
 複数の周辺機器を用いている場合,I/Oアドレス同様,「INT番号が重なる」ことでソフトが動かなくなることがよくある.割り込み処理は,ある特定の周辺機器に対して行なわれるもので,複数の周辺機器から同じ割り込みの合図が来ては適切な処理は期待できない(図2).通常は,そういう不都合を回避できるように,周辺機器はINT番号を変更できるように作ってあるのが普通だ。ただ,周辺機器を利用するためのソフトウェアはたいていデフォルトのINT番号を想定して書かれているため,ボード側でINT番号を変更した場合はそれに合わせてソフトウェアのセットアップが必要になる(画面2)また,2チャンネルRS-232C増設ボード(PC-9861/K,AIWA B98-01)のように,1枚のボードで2つのINT番号を必要とするものもある。
 INT番号はI/Oほど選択肢が多くないため,重なるという事故も発生しやすいSCSIのHDDをメーカーのセットアップのまま装着すれば,たいていSASIのHDDと重なるし(INT 3),だからといってSCSIのHDDをINT 2にする今度はMIDIインターフェイスと重なる.INT 5はFM音源がじゃまをするし,INT 4やINT 6は論外……ボードを2枚差しただけでこの始末なのだ。
 また,ノーマルモードとハイレゾモードではマウスのINT番号が変わる(ノーマル時はINT 6,ハイレゾではINT 2)ため,モードを切り替えたら動かなくなるという事故も起こる.このほか,98NOTEのうちNS/E以降はレジューム機能のためにINT 2を使っている.


ASCII1992(05)c28ハード表1_W338.jpg
ASCII1992(05)c28ハード図2_W520.jpg
INT番号足りなかった。困ったものだ。
「は」
「とにかく,マニュアルにインターフェイスボードのディップの設定が書いてあるはずだから,そのとおりにやってみて」どうやらメモリのように差せば終わりというわけではないらしい。あきらめてこむずかしいマニュアルを頭から繰っていくと,確かに“SASIハードディスクを使っている場合”の設定方法が書いてある。今までの設定はSCSIハードディスクしかつながっていない場合のもののようだ。図のとおりにディップスイッチを動かして再度起動する.……と.
 すばらしい。ちゃんとFORMATコマンドが認識してくれる!マニュアルも読んでみるものだ。ではさっそくフォーマットして……え?物理セクタサイズって?まあいいや,256bytesのほうにしておこう……あれ,領域確保で180Mbytesを指定したいのにできない!これはいったい……
「奥様奥様」
「動いたでしょ」
「それはいいんですけど。あの一.180Mbytesの領域確保ができないんです」
「キミDOS 5使ってないでしょ」
「あ、……ええ,3.3Cですけど」
「3.3だと,1ドライブにつき128Mbytesが限界なの」
「じゃあ、残りはひょっとしてパー?」
「まさか,パーティション[22]を切ればいいだけ。でもね,DOS 5を使えば180Mbytesでも1ドライブにできるわよ」

22 パーティション
 あるときはMS-DOSで一太郎を使い,またあるときはWindowsからExcelを起動.かと思えば,N88-BASICでもハードディスクを使いたい.
 こんなわがままをたったひとつのハードディスクで実現させるには,ディスクの中をそれぞれの領域ごとに振り分けて使うしかない。そうした機能を実現させるMS-DOSのシステムが,パーティションと呼ばれるものだ。パーティションは,ハードディスクのフォーマット時にのみ切り分けることができる.
 パーティションによりハードディスクを複数領域で使うことのメリットは,まず、ひとつのハードディスク上で異なるOSを使い分けることが可能になるという点。そして,日本語入力フロントプロセッサやEMSドライバなど,起動時に目的別のデバイスドライバを選択できるという二点に集約される.
 また,100Mbytesを超える大容量のハードディスクを導入する場合,MS-DOSのバージョンによっては扱えるディスクの容量に限界があるため,たとえば100Mbytesのハードディスクを,40+40+20Mbytesの3つの領域に論理的に分割して使用することも,パーティションを使えば可能となるわけだ.

 クラスタサイズを小さくするためにパーティションは必須だった。またバックアップするときも便利だった。
「どっちがいいんでしょう」
「うーん。それは好みの問題だけど,私は1ドライブにしちゃったほうがいいと思うな。ほら,下手に分けると,ほかのドライブは容量が余ってるのに使いたいドライブがいっぱい,なんてことによくなるのよ。でも,あんまり1ドライブを大きくすると,DIRとかエコロジーとか起動が遅くなるし、あと,クラッシュしたときにたいへんだから分けたほうがいいって言う人もいるけど」
「ほら,1ドライブの容量を大きくすると,なんでしたっけ,なんとかがどうかしてディスクの無駄が多くなるって」
クラスタ[23]サイズでしょ。それはSASIの話。SCSIなら,65Mbytesから256Mbytesまで,条件はみんな一緒よ」
「じゃあDOS 5を買えと」
「無理にとは言いません」
 まあ,DOS 5にも興味はあったから,じゃあ、領域確保は明日にするか.

23 クラスタ
 ディスクの最小記録単位を「セクタ」という.2HDのフロッピーディスクの場合,1トラックには1024bytesのセク夕が8つ並んでいる.もっとも,セクタという言葉が意味を持つのは,アセンブラ言語でファイル操作をするプログラムを組むような方に限られる.一方,ファイルの最小記録単位である「クラスタ」のほうは重要だ.最小記録単位であるから、1つのファイルのサイズはこれより小さくならない.たとえ2bytesのファイルであっても,ディスク上では1クラスタ,すなわち数Kbytesを占有することになる.したがって,クラスタは小さいほど.ディスク空間の無駄は少なくなる.
 ちなみに2HDのフロッピーでは1クラスタ=1セクタだが,40MbytesのSASIのハードディスクでは1クラスタ=16セクタ,100MbytesのSCSIハードディスクでは1クラスタ=4セクタである.
 無駄と分かっていてどうしてクラスタサイズを大きくするのかというと,それは、クラスタの数が増えすぎると,クラスタを管理するためのFAT(次項参照)が大きくなる,空いているクラスタを探すのに時間がかかるなどの弊害が出てくるからである.クラスタの数を一定数に抑えるために,大容量のハードディスクほど,クラスタのサイズが大きくなっていく。
 クラスタは,次項で解説するFATとも緊密な関係にあるので,併せて読んでみてほしい。

 クラスタサイズを気にしてパソコンを使っていた。
5月4日
 DOS 5を買ってきた。インストールプログラムが自動的にFORMATを呼び出してくれたから,勧められたとおり180Mbytesを1ドライブとして確保する.さすがに最近の大容量ハードディスクは速い!今までのSASIのHDDなど使う気がしなくなるほどだ。プログラムは全部移し替えたほうがいいな.
 しかし,どうしていつもSASIがAドライブでSCSIはBドライブなんだろう?SASIのディスクの中身をそっくりSCSI側に移したのだけれど,パスがみんな狂っちゃうし。一太郎をもう1回インストールするのも面倒だし,当分は容量不足の心配もないから,SASIのHDDはとりはずしてSCSIをAドライブとして使うようにしよう.
 こうすれば前の環境をそっくり引き継げるCHKDSKしてみると,今までよりメインメモリが減っていることに気がついた。あれ。DOS 5って,メインメモリが増えるんじゃなかったの?
「減ってるんですよ」
「CONFIG.SYSを前のドライブから持ってきてたりしない?」
「ええ.そうですけど」
「DOS 5ってね,そのままだと今までよりメモリを圧迫するの」
「そんな」
EMS[3]はどうやってるの」
「ああ,一太郎に付いてたやつを使ってますが」
「じゃあそれはやめて,DOS 5に付いてるのにしなきゃ」
「どうすればいいんですか」
「ファクスしたげるからちょっと待ってて」
こんな紙が届いた.
-----------------------------------------------
CONFIG.SYSに追加する文

DEVICE=A:\DOS\HIMEM.SYS
DEVICE=A:\DOS\EMM386.EXE /P=800 /F=D000 /UMB
DOS=HIGH,UMB

AUTOEXEC.BATに追加する文
LH DOSKEY /INSERT
LH MIRROR /TA
-----------------------------------------------

「相変わらずメモリって呪文だなあ」
「それでMEMしてみて」
「めむ,って?」
「メモリの状態を見るプログラム.DOS 5から付いたの」
「へえ.CHKDSKしなくていいんだ」
 MEMコマンドを実行してみると,瞬時に,それにCHKDSKより詳しく,メモリの状態を報告してくれる。確かに,メインメモリが増えている!550Kbytesもある。今までは520Kbytesだったから,30Kbytesほど増えた計算だ。
「ところで,DOSKEYとかMIRROR[25]ってのは,何ですか?」
「DOSKEYはね,過去のコマンド入力を簡単に呼び出したりできるソフト。上向カーソルを押してごらんなさい」
「わ.前のコマンドが出る」
「ほかにもいろいろ機能はあるんだけどね。あとMIRRORはね,うっかりファイルを消しちゃったときのための情報を保存するソフト.UNDELETE[26]ってコマンドとペアで使うのね。今年の2月号のASCIIにも詳しく載ってたわよ。読んでみたら?」

3 EMS
 98を使っているなら今やEMSは必需品である.まだEMSを使っていないという方は、この機会にEMS導入に踏み切られることをお勧めする.
 EMSがあると(正確にはEMSメモリがあると),(1)ワープロやデータベースではディスクとのやりとりが減少して動作が快適になる(2)表計算ソフトでは大きな表を作ることができる,(3)日本語入力FEPをEMSに追いやることでメインメモリに余裕ができる,などのメリットがある。
 386以上のCPUのマシンでメモリを1.6Mbytes以上搭載していれば,「メモリマネージャソフト」を使うことでEMSが利用可能になる(DOS 5にも付属してくる).もしメモリが640Kbytesしかないなら,本体内蔵タイプのメモリを買ってきて差せばよい.
 286までのマシンの場合は,拡張スロットに差すEMSメモリを購入し,そのボードに付属する(別売の場合もある)メモリマネージャを使うことになる.本体内蔵タイプのメモリは,PC-9801DXなど一部の例外を除いて,EMSメモリとして活用するのは困難であるからだ。ただし,Windows 3.0用にメモリを増設するというのであれば,内蔵メモリのほうが高速化に役立つ。

EMSとはどんな仕組みなんだ?
 MS-DOSは1Mbytesの内側しか扱うことができないが,そこでなんとか大量のメモリを扱わせようとして考えられたのがEMSである。EMSの規格では,外部にたくさんのメモリを用意しておき,そのメモリを16Kbytesごとにコマ切れにしてそのうち4つを1Mbytes内にとっかえひっかえ割り当てるようにしたのである.
 16Kbytesのメモリが4つ並ぶから,EMSを使うには64Kbytesの領域が必要になる.これをもしメインメモリの中に取ると他のプログラムとぶつかってしまうし,グラフィックVRAMやBIOS-ROMの上に取るとそれらが使えなくなってしまう.そこで,普通は拡張ROM領域のうち使われていないところを探して使う。拡張ROM領域はC0000~DFFFFHまでだが,C0000~CFFFFHを使うのが一般的である.

EMSで起きるトラブルとは
 EMSは上述の“拡張ROM領域”を使用するので,他のROMとの衝突を避けなければならない。なかでも厄介なのは“サウンドROM”である.FM音源ボードを搭載した機種ではEMSを使うときはサウンドROMを切り離すようにしなければならない.これはEMSのページフレーム上とFM音源ボードのサウンドROMがCC000~CFFFFHの領域で重なってしまうのである(図2).
 もしサウンドROMを生かそうとしてEMSのページフレームをD0000Hから取るようにすると,今度はハードディスクのROMと重なることになる.つまりサウンドROM,HDD,EMSの3つは両立できないのである.もし,どれか削るとすればサウンドROMになるだろう.


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 最初はバンク切り替えメモリだった。それが洗練されたEMS規格が一般的になった。もちろんPC-9801VX2でも使っていたが密かに軽蔑していた。PC-9801なんて16bitなんて言っているけどメモリの拡張なら8bit機でもバンク切り替えで実現していた。8bit機並みのことで拡張しなければならないなんて8086は本当にダメな16bitCPUだと思っていた。PC-9801VX2でもプロテクトメモリをきちんと使ったプログラムを利用することはなかった。
25 MIRROR
 DOS 5で追加されたUNDELETE,およびUNFORMAT.いずれの機能も、このMIRROR.COMなくしては語れない.MIRRORコマンドは,ファイル復活成否のカギを握るともいうべき重要なコマンドである.
 MIRRORの主な機能を挙げていくと次のようになる.

◆パラメータなしでの起動
 この場合,MIRRORはカレントドライブのディスクに収められているFATとルートディレクトリ情報の内容を、復活情報としてMIRROR.FILというファイルに出力する.
 このファイルがあると,別項のUNFORMATコマンドによってFATとルートディレクトリ情報をMIRROR実行時の状態に戻すことができる.
 もっとも,DOS 5ではFORMATコマンドが自動的にこれと同じ作業を行なってくれるため,「うっかりフォーマット」対策としては特別意味のあることではない.しかし,ディスクがFORMAT以外の原因で壊れた場合(たとえばソフトウェアの暴走によるクラッシュ)では,MIRROR.FILがあればUNFORMATマンドで復旧できる可能性があるので,大事なディスクならこまめにMIRROR.FILを更新しておいたほうがいいだろう.
 なお,日本電気版のDOS 5では,ハードディスクに対してMIRRORをかけることはできないが,エプソン版では可能になっている.

◆/Tスイッチによる起動
 MIRRORの第2の機能として、メモリへの常駐モードがある./Tスイッチにドライブ番号を指定することで,MIRRORはメモリに常駐し,ファイルが削除されると,そのファイルに関するFATとディレクトリ情報をPCTRACKR.DELというファイルに記録してくれるのだ。MIRRORを常駐モードで使うことのメリットは,この処理をリアルタイムで行なってくれるところにある(図4).つまり「しまった!」と思った次の瞬間には,もうUNDELETEを使う準備ができているということだ
 MIRRORのメモリ常駐サイズは,たったの6Kbytes.フリーエリアを大きく広げられるDOS 5のことを考えれば,この程度の占有量は大した問題にはならないだろう。ぜひ,AUTOEXEC.BATで組み込み,毎回常駐させるようにしたい。また、この機能は,日本電気版でもハードディスクに対して行なうことができる.

◆/PARTNスイッチによる起動
 ハードディスクのパーティション情報(パーティションごとのOS,ドライブの種類など)を他のドライブのフロッピーディスクにPARTNSAV.FILというファイル名で保存する。保存されるパーティションの内容は,UNFORMATを/PARTNスイッチとともに起動することにより復活させることが可能になる(図5)。うっかり「領域解放」をしてしまったときでも,パーティション情報が保存してあれば復旧が可能なので,必ず実行しておきたいコマンドである.
26 UNDELETE
 誰もが必ず一度は体験する、うっかりびっくりの大失敗がファイルの誤消去.従来、そうしたミスをカバーするためのコマンドがMS-DOSに標準的に用意されていなかったため,これまで多くの市販,あるいはフリーソフトウェアのファイル復活ツールが発表されてきた.
 MS-DOSにおけるファイルの削除は,ディスクから完全にファイルの中身を消してしまうことを意味してはいない。実際には,ディレクトリ情報内のファイル名の頭1文字をE5Hというコードに替え,FATの情報を消去するだけなので,ファイルの中身そのものは削除後もそのまま残っているのである。したがって,消されたファイルの復活を試みるには,削除前のFAT,およびディレクトリ情報の内容が再現できればいい,ということになる.
 DOS 5で登場したUNDELETEコマンドは,MIRRORコマンドと併用することにより,きわめて強力なファイル復活ツールとして機能する.
 MIRRORを/Tスイッチとともに起動させ,メモリに常駐させておけば,削除されたファイルの復活情報は,常にディスク上のPCTRACKR.DELというファイルに書き込まれていく(図4)。そのため、うっかり消去してしまった場合でも,ファイルの上書きさえされていなければ,ほぼ100%の確率で復活が期待できるのだ.
 ただし,MIRRORコマンドが常駐していないときには,UNDELETEはエコロジーIIなどと同様に,ディスクに置かれていたファイルの痕跡を,クラスタごとにたどりながら復活を試みることになる(/DOSスイッチでの起動).
 これは,いうなれば,戸籍が完全に消滅した住民を足跡だけで追跡するようなもので、困難な仕事といわざるを得ない.そのうえ,この作業だけではクラスタごとのファイルのつながりまでは追いきれず,頻繁に書き消しを繰り返しているディスクで,サイズの大きなファイルを誤消去した場合などは、完全な形での復活はまず不可能となってしまうのだ。
 やはり,消されたファイルの完全な形での復活には,MIRROR /Tコマンドによる復活情報の保存が不可欠なのである。


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ファイルさえ回復できればいいと考えていたので再フォーマットして再インストールしていた。
 削除してもデータ自体は残っているのでFATを追って行ってファイルを回復するということはツールを使う前は手作業でやっていた。Windowsになると削除とは名ばかりでゴミ箱フォルダに移動するだけでゴミ箱を空にするまではいつでも復活できるようになった。SHIFT+DELでいきなり削除することができた。

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米国ハイテク産業の動向、その他(月刊ASCII 1992年5月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「米国ハイテク産業の動向」、「Miscellaneous:behind the news」他をスクラップする。

「米国ハイテク産業の動向」をスクラップする。
第7回CD-ROMコンファレンス
 3月10日から3日間,Microsoft社後援のCD-ROM&マルチメディアコンファレンスがサンフランシスコで開かれた.このコンファレンスは今年で実に7回目を数え、例年,パーソナルコンピュータのソフトウェア,ハードウェア業界,セミコンダクタ関係,出版関係,テレビやレコード,映画などのメディア関係者などを集めて開かれている.今でこそマルチメディアばやりで,コンファレンス,セミナーがいたるところで開催されるようになったが,これはその元祖的な存在だ.今回のショウのトピックをいくつかあげていこう.
Intel,Microsoftがデジタルビデオ仕様を発表
 Intel社とMicrosoft社はWindows用デジタルビデオ仕様である「Digital Video for Media Control Interface(DVMCI)」のベータバージョンを発表Windows環境下でのデジタルビデオ仕様の統一に動きだした.DVMCIは昨年12月にIntel,IBM,Microsoftによって発表されたアルファバージョンをベースにしたもので,名前のとおりMCIに対するデジタルビデオのコマンドセットという位置付けである.Windowsアプリケーションを,システムの画像圧縮方法や画像処理方法から独立させるもので,Apple社のQuick-Timeに近い.ファイナルリリースは今年6月末を予定している。これに伴い,Asymetrix社とIntel社は共同でDVMCI仕様のDVI-SDKを開発,Asymetrix社が販売することに合意したと発表.このSDKは今年第3四半期に出荷が開始される.
IBM,TI,Intermetrics社がMwaveを発表
 IBM,TI,Intermetricsの3社はDSPを用いたマルチメディアサブシステム「Mwave」を発表.コンピュータベンダー,ハードウェアおよびソフトウェアサードパーティにライセンスする.Mwaveサブシステムは,TIがマルチメディアに特化したDSPを,Intermetricsがソフトウェア開発ツールを担当,今年末までにはこれらチップおよびツールを発表する予定.IBMはこれらの供与を受け1993年頃からシステムとして販売を開始するIntel社のDVI,C-CUBE社などのJPEG,MPEGチップなどに対抗するものとして注目を集めている.
MicrosoftがMME機能の一部をWindows3.1にバンドル
 前項のTIのDSPの件は,Microsoftを抜きに話が進んでいるところが興味深い.従来ならば必ずMicrosoftがからんでくるところだが,今回はMicrosoftは一切なし.例のIBM,Microsoftの反目がこんなところにも波及してきており、別のところでも見え隠れする.
 Bill Gatesはキーノートスピーチでも,MME機能の一部をWindows3.1にバンドルすることを述べ,Windowsでのマルチメディア環境を強調した(といっても今回バンドルされたものはSound recorderとMIDIシーケンサのみ.ビデオは含まれていない).
 一方,IBMは2月からMMEパッケージを単独で販売開始(MicrosoftからはMMEパッケージは販売されていない)会場でも100ドルで直売するなどMicrosoftとは対照的な動きをしていた。もちろんIBMブースでの主力はOS/2で,Windows関連はこのMMEの一角だけだった.

AuthorwareとMacromind-Paracompがマージ
 今回のコンファレンスでの最大の話題は,Authorware社とMacromind-Paracomp社の合併だ.Macromid-Paracomp側は推定年商2500万ドル(約33億円),一方Authorwareは1500万ドル(約20億円)で,両社ともつい最近,黒字になったばかりだ.
 Macromind-Paracompの社長でCEOであるTim Mottが新会社の会長兼CEOに,Authorwareの社長兼CEOのBud Colliganが新会社の社長兼COOになる.両社の合併で年商50億円のマルチメディア企業が誕生することになったわけだが,はっきりいってこれはあまり前向きな話ではない.
 会社側発表の理由はともかく,両社の合併の真の理由が,「マルチメディア市場の成長が当初予想されたよりも大幅に遅れている」点にあると見られているからだ.すなわち,すでにマルチメディア業界はその市場規模以上に競合会社がひしめき合っている過当競争社会なのだ.コンピュータ業界の長引く不況で,各社がマルチメディアに「はけ口」を見いだそうとしているからといっても,オーサリングツール会社だけでもすでに数十社にのぼるというのは誰が見ても多すぎる.市場が順調に成長していればこんな合併などあるはずがない.成長過程ではむしろスピンアウトなど新会社分離が活発に行なわれるはずだ.
 これを裏付けるように,もうひとつ,マージが行なわれた.Dataware Technology社(マサチューセッツ州)とReference Technology社(コロラド州)の合併だ.Dataware社は世界で最大のCD-ROMソフトウェア会社.すでに150社近くの顧客に対してCD-ROM開発を行なっている.Reference社も1982年設立以来,政府関係や企業相手にCD-ROM開発をサービスしてきた.新会社はDataware Technology社の名前を引き継ぎ、これまた世界最大のCD-ROM開発サービス会社となる.これもまた与えられたバイに対する過当競争が原因.
 最近米国企業の体質がいろいろと批判されているが,こうしたコンピュータ業界やマルチメディア業界の素早い(?)動きもそういった米国企業の体質,性格に起因している.日本だと市場が思うように広がらないときには概して十分な市場に成長するまで「忍」の一字でとにかく耐えようとする.ところが,米国では株主に対して期待される時期に期待される額の配当を行なわなければならないから,業界の変化にあわせて(マルチメディアの場合は十分な変化がなかったということに対して)めまぐるしく対応することになる.
 もちろん、この体質は日本の識者が声をあわせて批判するように一概に悪いと決めつけるわけにはいかない。変化の激しいコンピュータ業界においては,むしろこうした機敏な動きをしなければならないことも多いからだ。ただし今回の場合は投資家の先りがあったことは確か.Kleiner Perkins Caufield & ByersやCole GiburneなどのベンチャーキャピタリストはMacromindなどに対してすでに2700万ドル(約36億円)の金を使っている.

全体的には低調だったが……
 このCD-ROM&マルチメディアコンファレンスは,参加者も展示会場よりはコンファレンスに参加するという,どちらかというと玄人好みのするコンファレンスだ.筆者も第2回目から連続6回参加と今までわりと真面目につきあってきたつもりなのだが,今年はいたって低調.常連の顔はいつもどおり見かけるが,誰と話しても「今年は最悪だ」と同じ回答が返ってくる.
 実は筆者は,初日,2日目(10,11日)は東京で別件のミーティングがあったため,11日のUA最終便でサンフランシスコへ向かった。時差の関係で11日午前にSFOに到着.とめてあった車でそのまま会場へ向かうという強行軍を強いられてしまった.コンファレンス会場でエンドレスの議論をやっているのはいつものことながら、無理して来たわりには熱気が感じられない。コンファレンス参加者約6500名,会場の出展社も120社と数の上ではまあまあなのだが,なにか今一つ盛り上がりに欠ける.
 昨年来,QuickTimeの発表でマルチメディア最右翼に躍り出たApple社が不参加なのも原因のひとつだが,さきほど述べたようにマルチメディア市場が予想されていたほど成長していないのも理由のひとつだ(低調なのは筆者の体調だけではなく,業界自体にあったのは確かだ).ただし,Quick Timeにしろ,MPCにしろ、ようやくマルチメディアの基礎が築かれてきたところなので,今後こうしたアプリケーションがどんどん出てくると期待されているし,少なくとも進むべき方向は間違ってはいない.そういえば今年のコンファレンスの標語は「Charting The Course」.前方にある危険を慎重に回避すればゴールは間近だ.
(ザイロンコーポレーション代表 脇山弘敏)


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IBMとMicrosoftの反目が記事に挙げられていたが、当たり前だ。MicrosoftがIBMと共同開発したOS/2を捨てたのだから。
CD-ROMについてはもう決着が付いていたのかと思ったら、マルチメディア関係が煮詰まっていなかったのか。

「Miscellaneous :behind the news」をスクラップする。
MicrosoftWindows3.1とExcel Ver.4
 Microsoft社が,4月6日,Windows3.1を発売した.英語版とともに6カ国版(オランダ,ドイツ,フランス,イタリア,スペイン,スウェーデン)が同時に出荷され,その初期ロットはなんと100万本.昨年末でVer.3.0は900万本出荷しているというから,この数もうなずける.会長のGates氏によると,今回の製品は,各国のユーザーが何を必要としているかを調査した結果を反映しており、1万5000人のベータ版テスターを使って,テストを行なったという。詳しい中身は次号以降でレポートするが,見た目が派手なのがTrueTypeだ.日本ではすでにWifeと市販フォントで実現されているが,Windows3.1には14種類のアウトラインフォントが入っている.さらに別パッケージで,44種類のフォントが入った「TrueType Font Pack」も発売する.
 あとは,ファイルマネージャや各種メニューの操作性向上,サウンドドライバやメディアプレーヤといったME関連ソフトの付属などが,Ver.3.0との主な違いである.
 日本語版は、年内を予定しているということだが,MacintoshのSystem7日本語版のように延び延びにならないようにしてほしい。
 さて,時を同じくして,Microsoft社はExcelのVer.4を発売した.Win3.1は昨年末からその内容が知られていたが,こちらは急に出てきた感じで,機能や操作性の変化はWindowsの比ではない。
 セルをつまんで移動できるという「Drag and Drop」,セルを選択するだけで日付や連番を埋める「Autofill」,マウスの右クリックで出現する「Shortcut Menu」,頻繁に利用するコマンドを割り振れる「Toolbar」といった新しい編集機能が付いている.また,ScenarioManagerやWorkBook,CrossTabulationといった新しいデータの管理,集計機能や、新しい3次元グラフ,高度なプレゼンテーション機能も加わっている.ライバルを大きく引き離し,独走態勢に入った感があり,日本語版が待たれるところである.

Macintosh LCII発売
 米国ではLC IIが発売となった.予測されたとおり,CPUが16MHzの68030となり,標準で(ロジックボード上に)4Mbytesのメモリを搭載している(最高10Mbytes)ほかの仕様はLCと同じだが,FDのみのモデルはなくなり,HDD40Mbytesモデルは1699ドル(約22万円),80Mbytesモデル(VRAM512Kbytes)は1849ドル(約24万円)である.LCからのアップグレードキットも発売となるが価格は未定.
 同時にAppleCD 150(599ドル),AMDの29005を搭載し,PCと同時利用可能なPersonalLaserWriterNTR(2199ドル),PC用のSCSIボードとソフトを同梱したOneScanner for Windows(1299ドル)も発売.プリンタとスキャナに関しては,PCでの利用を重視しているのは、IBMと恋仲になったからか,実利をとったのか.ちなみに,日本ではCD-ROMドライブ以外は発売の予定はないという.LCの4Mbytes+40Mbytesは39万8000円だから,速度は遅くて値段は1.8倍ということになる.

ミケランジェロその後
 前回予告したように,ミケランジェロ・ウイルスが世界中でニュースとなった.しかし,マスコミによる事前の警戒が効を奏して,騒がれたほど被害は大きくなかったようだ。3月6日の1週間前には100万台のパソコンがウイルスの被害に遭うとまでいわれていたのだが,世界中の被害を合計しても高々1万件程度だったと,Computer Virus Industry Associationはコメントしている.中でも被害が大きかったのは,500社から合計1000件の報告があった南アフリカで,なぜか薬剤師に被害が多かったという.
 ミケランジェロの出どころについては他のウイルス同様に明らかではないものの、多くの専門家はアムステルダムではないかとしている。逆に,オランダ側は台湾から来たものだと主張。オランダ警察は,台湾の海賊版ソフトメーカーがうっかりウイルスを世界中に拡散してしまったことを,インターポールの仲介で突き止めたと語っている。
 そんな中,Network World紙は,National Computer Security Association主催でウイルスディテクター19種のテストを行ないそのランキングを発表した.
 最高点を獲得したのはDr.SolomonのToolkit,Fridrik SkulasonのF-Prot,Leprechaun SoftwareのVirus Busterの3本.僅差で続くのがScan,Vi-Spy,AntiVirus,ViruSafeの4本だった.これらのソフトはトータルポイントの80%以上を獲得している.
 主な採点項目は,セルフチェックおよびブートセクタ,ウイルスファイルのチェックがきちんと行なわれるか,ウイルスや問題対処の方法についての説明などユーザーに対するメッセージは適切か,ネットワークに対するサポートはあるか,などだという。

あなたはコンピュータですか
 おなじみ,ボストンのコンピュータ・ミュージアムでは,2回目となった「世界初のThinkingComputerを探せ」コンテストを開催する。昨年のイベントは,審査員が8つのコンピュータに向かい,人間に近い反応をするソフトを選ぶというもの。ただし,8台のうち2台は,裏で人間が対応するという仕掛けだ.
 昨年は,大方の予想どおり「隠れた人間」が上位2位を占めた.しかし、残りの6つのソフトのうち1つが,半数の審査員に「人間だ」と思わせた.さらに,審査員の3割が,人間をコンピュータだと思ったという.それほどソフトの出来が良かったのか,相手をした人間がひどかったのか.
 今年のコンテストでは、1つのトピックについてどれだけ精通しているかを審査するという(なんとなくカルトQだ)。1位にはメダルと賞金2000ドルが授与される.コンテストの申し込みは7月31日消印まで有効で,審査のうえ,10人が最終選考に残る.決勝は11月17日に行なう予定だ.(昨年の会話が入ったディスクも配布中).さて,PCComixという会社が,電子コミックシリーズ「Lance Stone」を発売した.Paul Mace氏(「Graphic Animation System for Professionals」のPaul Mace社長)が編集長をしており,Doug Zeffer氏(GRAFX Groupの前副社長)と共同でこの会社を設立した。対応機種はVGA搭載のPCで,HDが必須.通常のスピーカからも音は出るが,SoundBlasterなどにも対応している.価格は20ドル.
 Mace氏は,「この会社が成功すれば、今までなかった市場を開拓したことになる」と強気だ.シリーズ1作目の題名は「Lance Stone,Trouble at the Woz」.時は2091年,主人公のStoneはCGアーティストで,ある女性と知り合った後に惑星集団殺戮計画に巻き込まれてしまうというストーリーで,とにかくゲームではなく,HyperComicである点を強調している.CompuServeのComicフォーラムにデモ版があるので,興味のある人はダウンロードしてみよう.

無期限保証のPCが出現
 HyundaiAmericaは,同社のPCの無期限保証を開始すると発表.このような保証を提供する最初のコンピュータメーカーとなる.新しい保証は「Get a Lifetime of Value」と呼ばれる販売促進キャンペーンの一貫として行なわれ,6月30日までは,同社が指定した機種に対して無料で提供される.
 保証の対象は,メイン基板,ビデオカード,FDD,キーボードなどの関連部品なども含まれており,サービスはアメリカのみというが,なかなか思い切ったやり方である.
 話は変わるが,Hewlett Packardの創立者の一人であるWilliam R. Hewlett氏は,可変周波数発振器の発明が認められて,発明家の殿堂入り(National Inventors Hall of Fame)を果たし,エジソンやマルコーニらと名を連ねることになった.
 同氏の発明は,通信,地球物理学,薬学,防衛などで必要とされる高音質の可聴周波数を発生する最初の実用的方法だった.1939年には,ディズニーのファンタジアのサウンドトラックを作るために8台の機器が使用されたという.氏は1918年生まれで現在はHPの名誉役員.発明家の殿堂は1978年に設立され,殿堂入りできる発明者は88の国の科学技術組織・団体の代表などで構成される委員会によって選考されるという.
 最後は笑えない事件で、息子のコンピュータを銃で撃った男が逮捕された.「自宅にある個人の所有物を銃で撃ったことが,果たして法に反しているのか」という声が上がっている.
 主人公は,ワシントン州在住のHubbard氏(44歳)で,自分の息子のコンピュータに銃弾7発をあびせたということで逮捕された.なぜ撃ったかが興味あるところだが,どうやら職にも就かずにブラブラしている息子が,長時間コンピュータに向かっていることに腹を立てたのではないかといわれている.他人ごととは思えない人もいるのでは?


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 「Windows3.1」がもう出た。日本ではまだ販売されていない。ExcelのVer.4では「Drag and Drop」,「Autofill」,「Shortcut Menu」が実装された。ようやく使えるものになった。Win3は日本では640×400ドットの画面を駆逐しなければ使い物にならないのにNECときたら。
 「ミケランジェロ・ウイルス」32年前からこうして事件になっていたのにパソコンユーザは全然学習していないようだ。今でもウイルス対策をしないで引っかかる人たちがいるが同情できない。「まさか自分が引っかかるとは思わなかった」という人たちが引っかかる。趣味でパソコンを使っているのならともかく仕事に使っていた無対策はないだろうと思う。歴史から学べることは沢山ある。
 「HyundaiAmerica」自動車だけではなくパソコンも売ってたのか。スクラップしていると色々な知識が補完される。
 「自宅にある個人の所有物を銃で撃った」「どうやら職にも就かずにブラブラしている息子が,長時間コンピュータに向かっていることに腹を立てたのではないか」引きこもりは32年前からあった。流石アメリカ銃を使ってパソコンを壊すとは。

シャープが米アップル社と業務提携
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 アップルと業務提携できるとはこの当時シャープは健在だった。

「ヨーロッパ最大の情報・通信技術見本市 CeBIT'92」から写真をスクラップする。
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パソコン、その他ハード、ソフト等月刊ASCII 1992年5月号2) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSをスクラップする。

エプソンが「PC-386NOTE WR」を発売
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NWR2の価格が27万8000円

松下電器がHDD内蔵で重さ1.7kgのノートパソコンを発売
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M55NLFDの価格は29万8000円

日本IBMがPS/55ファミリーの新モデルを発売
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TFTカラー液晶ディスプレイのPS/55 note モデル27sxの価格は89万8000円

日本NCRがペン入力コンピュータを発売
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NCR3125の価格は82万3000円

日本IBMがPOWERステーションの新モデルを発表
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POWERステーション560の価格は998万円

インテルがi486DX2と3.3V駆動のi486SXを発表
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clock doublerを初めて記事で読んだときはネーミングが格好良いと思った。

アイ・オー・データ,H98用RAMボードなどメモリ数種を発売
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メルコ,PC-9801NS/T専用メモリキットを発売
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システムサコム,FMR用デュアルドライブユニットを発売
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MSD-100の価格は17万8000円

日本テクサ,大容量HDDを発売
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STATION 240LBが15万8000円

日本テクサがHDの未使用領域を2倍の容量で使用するシステムを発売
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PRESS 98の価格は3万9800円
データを圧縮するプログラムでハードディスクを目一杯使おうという取り組みがあった。未使用領域を一つのファイルにしてそこにデータを圧縮しながら保存するという方法でクラスタサイズによる無駄遣いを無くすことも利用して圧縮率2倍という売り文句ができた。

PC-9801用NetWare386J対応のHDDサブシステム
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富士通,厚さ1インチの3.5インチMOドライブを開発
ASCII1992(05)b06富士通MOドライブ_W520.jpg

アップルコンピュータがCD-ROMドライブの新機種などを発売
ASCII1992(05)b09アップルCD-ROM_W520.jpg
AppleCD 150の価格は9万8000円

マイクロマウス,DynaBook用拡張ユニットを発売
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インターニックスが3.5インチFDD搭載の液晶ディスプレイを発売
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PDM500-0Fの価格は11万9500円
オフィス机上や工場などの省スペース化を狙ったというがデスクトップマシンのモニタを取り除かねばならないというシーンがよく分からない。

アスキー三井物産セミコンダクタが16色LEDディスプレイを開発
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青色LEDは中村修二氏がノーベル賞をとったことで有名だが、それを発表したのが1993年11月30日だからこのときはまだLEDによる白色はできなかった。だから16色表示と言っても赤と緑だけで表示したのだがそれでも記事にできるほどの事柄だった。
アスキー三井物産セミコンダクタとはアスキーは出版だけではなく技術もあったのか。

RISC
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この写真はなんの発表会だったのか。

富士通研究所と富士通がHEMT ATMスイッチLSIを開発
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良く分からないが凄いことなのだろう。

三洋電機が超電導トランジスタの動作検証に成功
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今は無き三洋電機がこのような最先端技術開発をしていた。

東芝ラムバスインターフェイスを採用した超高速データDRAMを開発
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ラムバス懐かしい。インテルが採用したが広まらなかった。またインテルが不利な契約をして損をしたと覚えている。ゲーム機では利用されたが、パソコンでは結局あまり利用されなかった。

パック・イン・ビデオ,Win3対応のゲーム集を発売
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DOS版の倉庫番は遊んだ。

ラナップ,ファイル圧縮UTLを発売
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WSBACKの価格は1万2800円
ファイル圧縮ソフトはダイナブックでは使ったがHDDがあるデスクトップマシンでは使わなかった。

ボーランド,学校向け低価格パックを発売
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ロータス,ICカード版1-2-3を発売
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ノートパソコンではICカード版のソフトが使い勝手が良かった。

ボーランドがWin3対応のC++言語コンパイラを発売
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BORLAND のコンパイラにはお世話になったが、Windows環境では結局使いきれなかった。

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パソコン広告(月刊ASCII 1992年5月号1) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

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裏表紙は前号の使いまわし。

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これは2月号の使いまわし。

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右頁のDynaBookは前号の使いまわし。

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FM TOWNS IIは前号の使いまわし。

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左頁はFM NoteBook。
右頁はPC-386P。

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PC-386 NOTE WR

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キヤノンのレーザーショットは前号の使いまわし。

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右頁のファミリーコピアのイメージキャラクターは富田靖子。前号の使いまわし。

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右頁はIBMのPS/55サーバー。

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左頁は東芝のワープロRupoで前々号の使いまわし。
右頁は関西電機のDOS/V 48AGで前号の使いまわし

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NeXTは前号の使いまわし。とうとうNeXTも使いまわしをするようになった。

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ソニーのQuarterL。

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イメージキャラクターが松本典子のスター精密のプリンタは前号の使いまわし。

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右頁はインテルの広告。
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左頁はインテルの広告。何をしたいのかちょっと不思議な広告だった。

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ボーランドのdBASEの広告。

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ボーランドのC++の広告。

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ロータスの広告。

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Windows用Excelの広告は前号の使いまわし。

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Windows用のWordの広告は前号の使いまわし。

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マイクロデータ。

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パソコンショップでASCIIのカラー広告を出しているのはツクモだけだった。

裏表紙裏はFUJI FILMのFD。
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前号の使いまわし。
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