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HDDを増設しようとしただけなのに(月刊ASCII 1992年5月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集は「これで分かった PC-9801&MS-DOS」だった。
昔体験したトラブルシューティングが思い出されて懐かしかった。以下スクラップする。
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まずはじめに
特集の読み方・使い方
 今月の特集では,98を使っていてよくぶち当たる「悩み」の例を4つ用意し,それが解決するまでをストーリー仕立てにしてみました.
 そうはいっても、問題の解決にあたってはどうしてもある程度の専門用語の知識が必要になります。そこで今回は,ストーリー中の専門用語について,特集後半の「用語集」で詳しい解説を用意しています。番号の付いた単語の意味が分からないときは,番号を頼りにページを繰ってみてください。なお,用語集はジャンル別に分け,キーになる関連用語はできるだけ収録していますので,一度は通してご覧になることをお勧めします。

  確かによくぶち当たった。

今回は「HDDを増設しようとしただけなのに」
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5月3日
 パソコン通信を始めてからというもの、HDDの残り容量がどんどん減っていく[27].メッセージ,フリーソフトウェアやフリーデータをダウンロードするようになると,今までなかなか埋まらなかったディスクがあっと言う間にいっぱいになる.
21 HDDがいっぱいになったらどうするか
 80Mbytesだろうが300Mbytesだろうどんなに大容量のハードディスクでも,いつかはディスクがいっぱいになる日がやってくる。また,細かいファイルが積もり積もって,気付いたときには残り容量が1Mbytes以下,なんてこともあるだろう.これでは,使いにくくてたまらない。
 では,どうするか?まず,満杯状態のハードディスクの中を,FDなどのファイル管理ツールを使って一巡りしてみよう。そこには必ず,日頃使っていないプログラムや、パソコン通信の古~いログファイル,やたらと大きなグラフィックデータなどが累々と横たわってはいないだろうか。
 こんなムダなファイルはとっとと消してしまえ!といいたいところだが,それでもやっぱり、中には消すに消せない大事なファイルもあるだろう.そこで,お勧めしたいのが,LHAによるディレクトリ単位での圧縮作業だ。
 LHAは,複数のファイルをひとつにまとめてくれる書庫管理のためのフリーソフトウェア(作者:吉崎栄泰氏).ししかも、ファイルをまとめる際に個々のファイルのデータ圧縮を行なってくれるので,ディスクの省スペース化にも一役買ってくれるという優れものだ。ただ,LHAによるアーカイブファイルの作成。解凍は,一時的な作業用ファイルの作成を必要とするため,カレントディスク上に十分なフリースペースがないと実行不可能となることがある.
 もしも不幸にして「作業ファイルを作「成できません」というメッセージを残したままLHAが終了してしまった場合,環境変数TMPで作業用のドライブを指定することで,こうした問題は解決する.仮にこのドライブをAドライブとするならば,AUTOEXEC.BATにでも,“set tmp=a:\”の一行を書き込んでおくといいだろう.

 マーフィーの法則ではないが、HDDの容量を増やしても必ず足りなくなるという現象を体験してきた。ファイルの整理が趣味でもあった。
 それに,世はSCSI[16]時代というので、いささか遅きに失した感もあるがSCSIのハードディスクを増設することにした。100Mbytesで9万円くらいというのが相場らしいのだが,いずれWindows 3.0などを使うようになったらまた買い足すことになりそう.結局,7万円ほど高かったのだが180Mbytesのものを奮発した。さてインターフェイスボードを差して,ハードディスクをつなぐ……のだが,なんということか,これが動いてくれない.
 ハードディスクのフォーマット方法を知らないなんてことはない.そりゃ確かにSCSIは初めてだけれど,やり方はSASIといっしょでしょう?困ったことにSASIのハードディスクを引っこ抜いてフロッピーで起動すると,SCSIのドライブはちゃんと認識できるし.ということは,SASIとSCSIはいっしょに使えないのかな.
 自分一人で悩んでいてもらちがあかないので,知人のシステムエンジニアに電話してみる.
「あの、○○くん,もうお帰りですか」
「それがまだなんですよ」
 また遊び歩いてやがる。では,
「もしもし」
「はい××です.ただいま留守にしております。ピーという」
 そういえば決算のシステムがどうとか言ってたからなあ。誰か詳しい人いなかったっけ.そうだ,△△さんなら.
「あ、奥様で」
「あらお久しぶり.どうしたの」
「実は,ハードディスクも満足につながらない状況で.SASIとSCSIって,一緒には使えないんですか?」
「ちゃんとマニュアル読んだ?普通はSASIと一緒に使うときはこうしろって書いてあるんだけどな」
「SASIをはずせば動くんですけど」
「それは一,DMA[14]とかINT[13]とか重なりまくりなのよ」
16 SCSI,SCSI ID
 SCSI,Small Computer System Interfaceの略で,もともとHDDのインターフェイスとして作られたSASIがその原型である.近年販売されているCD-ROM,MOは,ほとんどSCSI仕様で作られている。
 SCSIでは,98本体も含めて8台までのSCSI機器をディジーチェーン方式で(A-B-C-Dという具合に)接続できる.SCSI対応であれば,MOだろうとCD-ROMだろうと,スキャナだろうと,なんでも接続できる.ただ,つながっている各機器を区別するために,SCSI機器には「SCSI ID」と呼ばれる番号がセットされている.SCSI機器でSCSI IDを変更できないものは少ないが,たまにIDが固定のものがある.
 SCSI機器を接続する場合には,このSCSI IDが重ならないように注意する必要がある。特に,SCSIインターフェイスボード自体がIDを持っていることは記憶にとどめておく必要がある。通常インターフェイスのIDは7になっているので、周辺機器側は0から順番に振っていけばいいだろう.
 さて,SCSI機器を98本体に接続するためには,SCSIインターフェイスボードが必要だ。サードパーティから発売されているSCSIのHDDには普通インターフェイスボードが付属してくる.これは,日本電気純正のボードではその会社のHDDが動かない,あるいはSCSI HDDのアクセス効率を上げるなどの理由で, ハード的にもソフト的にも調整を加えているからだ。
 その結果,SCSI対応のはずの周辺機器を接続したのに動作しないという問題がひんぱんに起きるようになった.それでも、ハードディスクだけなら同一メーカーのものを揃えれば問題はないが,CD-ROMMOだスキャナだ,となると,そのメーカーの製品だけで揃えるのは難しくなってくる。現状では,接続実験をして動いた,という情報を得てから購入するしかないSCSI機器の購入には十分な注意が必要だ。

これもあった。HDDの後ろに円形のスイッチがあった。精密ドライバーで回転させて設定した。まあなんと面倒なことか。
14 DMAチャネル
 DMAとはDirect Memory Access略。周辺機器とのデータのやりとりを,I/OやCPUの力を借りずに,メモリに対して直接アクセスすることだ。こういうハードウェアをDMAコントローラといい,そこに周辺機器を接続すると,DMAを利用したデータ転送が可能になる。典型的な例はハードディスクである.
 DMAは本来,周辺機器からの連続しまた大量のデータをメモリ上へ受け取る,逆にメモリの内容を周辺機器へ送り出す,といった作業を想定したものだ.DMAを使うと,その間CPUには他の処理を行なわせることができるというメリットがある.しかし,98のDMAは速度が遅いため,最近のハードディスクではDMAを使わず,CPUがI/O経由でデータをやりとりするようにしているものが主流になりつつある.
 98の場合,用意されているDMAチャネル(DMA転送を行なうための経路)は#0,#1,#2,#3の4つがあるが,ユーザーに解放されているのは,#0と#3の2つだけである.しかも,SASIのHDDは#0を固定的に利用する.
 DMAを使う周辺機器では,DMAチャネルの番号を変更できるように作ってあるのが普通だ。しかし,SASIのHDDを使っているところにSCSIのHDDを増設すれば,こちらは#3を使わざるをえないため,これでDMAチャネルに空きはなくなる.GP-IBボード,ファクシミリボード(日本電気製)のようなDMAを使う周辺機器は諦めなくてはならない.ただし,DMAを使わないタイプのSCSIハードディスクの場合はこの限りではない.

 折角開発したDMAなのに98では役立たずという規格だった。8086系CPUの方が速いなんて酷い話だ。
13 INT番号
 INTとは,割り込み(Interrupt)の略で,ハードウェア割り込みとソフトウェア割り込みがあるが,周辺機器接続の際にトラブルの原因となるのは主にハードウェア割り込みのほうだ。
 ハードウェア割り込みとは,周辺機器CPUに対して,何らかの処理を要求する合図のことである。このときCPUが、どの周辺機器から合図(割り込み)が来たかをはっきり判別できるように,周辺機器ごとに「INT番号」を決めておく必要がある。合図によって,CPUに別の仕事をやらせることを「割り込み処理」という.食事中に電話のベル(合図)が鳴れば,食事を中断して電話の相手と話をする、というのと同じだ。
 98の場合,INT番号はシステムに予約されているものと,ユーザーが使えるものとがある.ユーザーが使えるのは,INT 0からINT 6と呼ばれている7つ(厳密にはINT 4に2種類があるた8つ)だが,このうち,INT 3はSASIのHDDに,INT 4はFDDに,INT 6はマウスに使われているため,周辺機器側で利用できるのはINT 0,1,2,5の4つしかない(表1.なおマウスのINT番号は変更可能).FM音源が内蔵されていれば,INT 5も使えなくなる.
 複数の周辺機器を用いている場合,I/Oアドレス同様,「INT番号が重なる」ことでソフトが動かなくなることがよくある.割り込み処理は,ある特定の周辺機器に対して行なわれるもので,複数の周辺機器から同じ割り込みの合図が来ては適切な処理は期待できない(図2).通常は,そういう不都合を回避できるように,周辺機器はINT番号を変更できるように作ってあるのが普通だ。ただ,周辺機器を利用するためのソフトウェアはたいていデフォルトのINT番号を想定して書かれているため,ボード側でINT番号を変更した場合はそれに合わせてソフトウェアのセットアップが必要になる(画面2)また,2チャンネルRS-232C増設ボード(PC-9861/K,AIWA B98-01)のように,1枚のボードで2つのINT番号を必要とするものもある。
 INT番号はI/Oほど選択肢が多くないため,重なるという事故も発生しやすいSCSIのHDDをメーカーのセットアップのまま装着すれば,たいていSASIのHDDと重なるし(INT 3),だからといってSCSIのHDDをINT 2にする今度はMIDIインターフェイスと重なる.INT 5はFM音源がじゃまをするし,INT 4やINT 6は論外……ボードを2枚差しただけでこの始末なのだ。
 また,ノーマルモードとハイレゾモードではマウスのINT番号が変わる(ノーマル時はINT 6,ハイレゾではINT 2)ため,モードを切り替えたら動かなくなるという事故も起こる.このほか,98NOTEのうちNS/E以降はレジューム機能のためにINT 2を使っている.


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INT番号足りなかった。困ったものだ。
「は」
「とにかく,マニュアルにインターフェイスボードのディップの設定が書いてあるはずだから,そのとおりにやってみて」どうやらメモリのように差せば終わりというわけではないらしい。あきらめてこむずかしいマニュアルを頭から繰っていくと,確かに“SASIハードディスクを使っている場合”の設定方法が書いてある。今までの設定はSCSIハードディスクしかつながっていない場合のもののようだ。図のとおりにディップスイッチを動かして再度起動する.……と.
 すばらしい。ちゃんとFORMATコマンドが認識してくれる!マニュアルも読んでみるものだ。ではさっそくフォーマットして……え?物理セクタサイズって?まあいいや,256bytesのほうにしておこう……あれ,領域確保で180Mbytesを指定したいのにできない!これはいったい……
「奥様奥様」
「動いたでしょ」
「それはいいんですけど。あの一.180Mbytesの領域確保ができないんです」
「キミDOS 5使ってないでしょ」
「あ、……ええ,3.3Cですけど」
「3.3だと,1ドライブにつき128Mbytesが限界なの」
「じゃあ、残りはひょっとしてパー?」
「まさか,パーティション[22]を切ればいいだけ。でもね,DOS 5を使えば180Mbytesでも1ドライブにできるわよ」

22 パーティション
 あるときはMS-DOSで一太郎を使い,またあるときはWindowsからExcelを起動.かと思えば,N88-BASICでもハードディスクを使いたい.
 こんなわがままをたったひとつのハードディスクで実現させるには,ディスクの中をそれぞれの領域ごとに振り分けて使うしかない。そうした機能を実現させるMS-DOSのシステムが,パーティションと呼ばれるものだ。パーティションは,ハードディスクのフォーマット時にのみ切り分けることができる.
 パーティションによりハードディスクを複数領域で使うことのメリットは,まず、ひとつのハードディスク上で異なるOSを使い分けることが可能になるという点。そして,日本語入力フロントプロセッサやEMSドライバなど,起動時に目的別のデバイスドライバを選択できるという二点に集約される.
 また,100Mbytesを超える大容量のハードディスクを導入する場合,MS-DOSのバージョンによっては扱えるディスクの容量に限界があるため,たとえば100Mbytesのハードディスクを,40+40+20Mbytesの3つの領域に論理的に分割して使用することも,パーティションを使えば可能となるわけだ.

 クラスタサイズを小さくするためにパーティションは必須だった。またバックアップするときも便利だった。
「どっちがいいんでしょう」
「うーん。それは好みの問題だけど,私は1ドライブにしちゃったほうがいいと思うな。ほら,下手に分けると,ほかのドライブは容量が余ってるのに使いたいドライブがいっぱい,なんてことによくなるのよ。でも,あんまり1ドライブを大きくすると,DIRとかエコロジーとか起動が遅くなるし、あと,クラッシュしたときにたいへんだから分けたほうがいいって言う人もいるけど」
「ほら,1ドライブの容量を大きくすると,なんでしたっけ,なんとかがどうかしてディスクの無駄が多くなるって」
クラスタ[23]サイズでしょ。それはSASIの話。SCSIなら,65Mbytesから256Mbytesまで,条件はみんな一緒よ」
「じゃあDOS 5を買えと」
「無理にとは言いません」
 まあ,DOS 5にも興味はあったから,じゃあ、領域確保は明日にするか.

23 クラスタ
 ディスクの最小記録単位を「セクタ」という.2HDのフロッピーディスクの場合,1トラックには1024bytesのセク夕が8つ並んでいる.もっとも,セクタという言葉が意味を持つのは,アセンブラ言語でファイル操作をするプログラムを組むような方に限られる.一方,ファイルの最小記録単位である「クラスタ」のほうは重要だ.最小記録単位であるから、1つのファイルのサイズはこれより小さくならない.たとえ2bytesのファイルであっても,ディスク上では1クラスタ,すなわち数Kbytesを占有することになる.したがって,クラスタは小さいほど.ディスク空間の無駄は少なくなる.
 ちなみに2HDのフロッピーでは1クラスタ=1セクタだが,40MbytesのSASIのハードディスクでは1クラスタ=16セクタ,100MbytesのSCSIハードディスクでは1クラスタ=4セクタである.
 無駄と分かっていてどうしてクラスタサイズを大きくするのかというと,それは、クラスタの数が増えすぎると,クラスタを管理するためのFAT(次項参照)が大きくなる,空いているクラスタを探すのに時間がかかるなどの弊害が出てくるからである.クラスタの数を一定数に抑えるために,大容量のハードディスクほど,クラスタのサイズが大きくなっていく。
 クラスタは,次項で解説するFATとも緊密な関係にあるので,併せて読んでみてほしい。

 クラスタサイズを気にしてパソコンを使っていた。
5月4日
 DOS 5を買ってきた。インストールプログラムが自動的にFORMATを呼び出してくれたから,勧められたとおり180Mbytesを1ドライブとして確保する.さすがに最近の大容量ハードディスクは速い!今までのSASIのHDDなど使う気がしなくなるほどだ。プログラムは全部移し替えたほうがいいな.
 しかし,どうしていつもSASIがAドライブでSCSIはBドライブなんだろう?SASIのディスクの中身をそっくりSCSI側に移したのだけれど,パスがみんな狂っちゃうし。一太郎をもう1回インストールするのも面倒だし,当分は容量不足の心配もないから,SASIのHDDはとりはずしてSCSIをAドライブとして使うようにしよう.
 こうすれば前の環境をそっくり引き継げるCHKDSKしてみると,今までよりメインメモリが減っていることに気がついた。あれ。DOS 5って,メインメモリが増えるんじゃなかったの?
「減ってるんですよ」
「CONFIG.SYSを前のドライブから持ってきてたりしない?」
「ええ.そうですけど」
「DOS 5ってね,そのままだと今までよりメモリを圧迫するの」
「そんな」
EMS[3]はどうやってるの」
「ああ,一太郎に付いてたやつを使ってますが」
「じゃあそれはやめて,DOS 5に付いてるのにしなきゃ」
「どうすればいいんですか」
「ファクスしたげるからちょっと待ってて」
こんな紙が届いた.
-----------------------------------------------
CONFIG.SYSに追加する文

DEVICE=A:\DOS\HIMEM.SYS
DEVICE=A:\DOS\EMM386.EXE /P=800 /F=D000 /UMB
DOS=HIGH,UMB

AUTOEXEC.BATに追加する文
LH DOSKEY /INSERT
LH MIRROR /TA
-----------------------------------------------

「相変わらずメモリって呪文だなあ」
「それでMEMしてみて」
「めむ,って?」
「メモリの状態を見るプログラム.DOS 5から付いたの」
「へえ.CHKDSKしなくていいんだ」
 MEMコマンドを実行してみると,瞬時に,それにCHKDSKより詳しく,メモリの状態を報告してくれる。確かに,メインメモリが増えている!550Kbytesもある。今までは520Kbytesだったから,30Kbytesほど増えた計算だ。
「ところで,DOSKEYとかMIRROR[25]ってのは,何ですか?」
「DOSKEYはね,過去のコマンド入力を簡単に呼び出したりできるソフト。上向カーソルを押してごらんなさい」
「わ.前のコマンドが出る」
「ほかにもいろいろ機能はあるんだけどね。あとMIRRORはね,うっかりファイルを消しちゃったときのための情報を保存するソフト.UNDELETE[26]ってコマンドとペアで使うのね。今年の2月号のASCIIにも詳しく載ってたわよ。読んでみたら?」

3 EMS
 98を使っているなら今やEMSは必需品である.まだEMSを使っていないという方は、この機会にEMS導入に踏み切られることをお勧めする.
 EMSがあると(正確にはEMSメモリがあると),(1)ワープロやデータベースではディスクとのやりとりが減少して動作が快適になる(2)表計算ソフトでは大きな表を作ることができる,(3)日本語入力FEPをEMSに追いやることでメインメモリに余裕ができる,などのメリットがある。
 386以上のCPUのマシンでメモリを1.6Mbytes以上搭載していれば,「メモリマネージャソフト」を使うことでEMSが利用可能になる(DOS 5にも付属してくる).もしメモリが640Kbytesしかないなら,本体内蔵タイプのメモリを買ってきて差せばよい.
 286までのマシンの場合は,拡張スロットに差すEMSメモリを購入し,そのボードに付属する(別売の場合もある)メモリマネージャを使うことになる.本体内蔵タイプのメモリは,PC-9801DXなど一部の例外を除いて,EMSメモリとして活用するのは困難であるからだ。ただし,Windows 3.0用にメモリを増設するというのであれば,内蔵メモリのほうが高速化に役立つ。

EMSとはどんな仕組みなんだ?
 MS-DOSは1Mbytesの内側しか扱うことができないが,そこでなんとか大量のメモリを扱わせようとして考えられたのがEMSである。EMSの規格では,外部にたくさんのメモリを用意しておき,そのメモリを16Kbytesごとにコマ切れにしてそのうち4つを1Mbytes内にとっかえひっかえ割り当てるようにしたのである.
 16Kbytesのメモリが4つ並ぶから,EMSを使うには64Kbytesの領域が必要になる.これをもしメインメモリの中に取ると他のプログラムとぶつかってしまうし,グラフィックVRAMやBIOS-ROMの上に取るとそれらが使えなくなってしまう.そこで,普通は拡張ROM領域のうち使われていないところを探して使う。拡張ROM領域はC0000~DFFFFHまでだが,C0000~CFFFFHを使うのが一般的である.

EMSで起きるトラブルとは
 EMSは上述の“拡張ROM領域”を使用するので,他のROMとの衝突を避けなければならない。なかでも厄介なのは“サウンドROM”である.FM音源ボードを搭載した機種ではEMSを使うときはサウンドROMを切り離すようにしなければならない.これはEMSのページフレーム上とFM音源ボードのサウンドROMがCC000~CFFFFHの領域で重なってしまうのである(図2).
 もしサウンドROMを生かそうとしてEMSのページフレームをD0000Hから取るようにすると,今度はハードディスクのROMと重なることになる.つまりサウンドROM,HDD,EMSの3つは両立できないのである.もし,どれか削るとすればサウンドROMになるだろう.


ASCII1992(05)c22メモリ図2_W520.jpg
 最初はバンク切り替えメモリだった。それが洗練されたEMS規格が一般的になった。もちろんPC-9801VX2でも使っていたが密かに軽蔑していた。PC-9801なんて16bitなんて言っているけどメモリの拡張なら8bit機でもバンク切り替えで実現していた。8bit機並みのことで拡張しなければならないなんて8086は本当にダメな16bitCPUだと思っていた。PC-9801VX2でもプロテクトメモリをきちんと使ったプログラムを利用することはなかった。
25 MIRROR
 DOS 5で追加されたUNDELETE,およびUNFORMAT.いずれの機能も、このMIRROR.COMなくしては語れない.MIRRORコマンドは,ファイル復活成否のカギを握るともいうべき重要なコマンドである.
 MIRRORの主な機能を挙げていくと次のようになる.

◆パラメータなしでの起動
 この場合,MIRRORはカレントドライブのディスクに収められているFATとルートディレクトリ情報の内容を、復活情報としてMIRROR.FILというファイルに出力する.
 このファイルがあると,別項のUNFORMATコマンドによってFATとルートディレクトリ情報をMIRROR実行時の状態に戻すことができる.
 もっとも,DOS 5ではFORMATコマンドが自動的にこれと同じ作業を行なってくれるため,「うっかりフォーマット」対策としては特別意味のあることではない.しかし,ディスクがFORMAT以外の原因で壊れた場合(たとえばソフトウェアの暴走によるクラッシュ)では,MIRROR.FILがあればUNFORMATマンドで復旧できる可能性があるので,大事なディスクならこまめにMIRROR.FILを更新しておいたほうがいいだろう.
 なお,日本電気版のDOS 5では,ハードディスクに対してMIRRORをかけることはできないが,エプソン版では可能になっている.

◆/Tスイッチによる起動
 MIRRORの第2の機能として、メモリへの常駐モードがある./Tスイッチにドライブ番号を指定することで,MIRRORはメモリに常駐し,ファイルが削除されると,そのファイルに関するFATとディレクトリ情報をPCTRACKR.DELというファイルに記録してくれるのだ。MIRRORを常駐モードで使うことのメリットは,この処理をリアルタイムで行なってくれるところにある(図4).つまり「しまった!」と思った次の瞬間には,もうUNDELETEを使う準備ができているということだ
 MIRRORのメモリ常駐サイズは,たったの6Kbytes.フリーエリアを大きく広げられるDOS 5のことを考えれば,この程度の占有量は大した問題にはならないだろう。ぜひ,AUTOEXEC.BATで組み込み,毎回常駐させるようにしたい。また、この機能は,日本電気版でもハードディスクに対して行なうことができる.

◆/PARTNスイッチによる起動
 ハードディスクのパーティション情報(パーティションごとのOS,ドライブの種類など)を他のドライブのフロッピーディスクにPARTNSAV.FILというファイル名で保存する。保存されるパーティションの内容は,UNFORMATを/PARTNスイッチとともに起動することにより復活させることが可能になる(図5)。うっかり「領域解放」をしてしまったときでも,パーティション情報が保存してあれば復旧が可能なので,必ず実行しておきたいコマンドである.
26 UNDELETE
 誰もが必ず一度は体験する、うっかりびっくりの大失敗がファイルの誤消去.従来、そうしたミスをカバーするためのコマンドがMS-DOSに標準的に用意されていなかったため,これまで多くの市販,あるいはフリーソフトウェアのファイル復活ツールが発表されてきた.
 MS-DOSにおけるファイルの削除は,ディスクから完全にファイルの中身を消してしまうことを意味してはいない。実際には,ディレクトリ情報内のファイル名の頭1文字をE5Hというコードに替え,FATの情報を消去するだけなので,ファイルの中身そのものは削除後もそのまま残っているのである。したがって,消されたファイルの復活を試みるには,削除前のFAT,およびディレクトリ情報の内容が再現できればいい,ということになる.
 DOS 5で登場したUNDELETEコマンドは,MIRRORコマンドと併用することにより,きわめて強力なファイル復活ツールとして機能する.
 MIRRORを/Tスイッチとともに起動させ,メモリに常駐させておけば,削除されたファイルの復活情報は,常にディスク上のPCTRACKR.DELというファイルに書き込まれていく(図4)。そのため、うっかり消去してしまった場合でも,ファイルの上書きさえされていなければ,ほぼ100%の確率で復活が期待できるのだ.
 ただし,MIRRORコマンドが常駐していないときには,UNDELETEはエコロジーIIなどと同様に,ディスクに置かれていたファイルの痕跡を,クラスタごとにたどりながら復活を試みることになる(/DOSスイッチでの起動).
 これは,いうなれば,戸籍が完全に消滅した住民を足跡だけで追跡するようなもので、困難な仕事といわざるを得ない.そのうえ,この作業だけではクラスタごとのファイルのつながりまでは追いきれず,頻繁に書き消しを繰り返しているディスクで,サイズの大きなファイルを誤消去した場合などは、完全な形での復活はまず不可能となってしまうのだ。
 やはり,消されたファイルの完全な形での復活には,MIRROR /Tコマンドによる復活情報の保存が不可欠なのである。


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ASCII1992(05)c33ハード図5_W419.jpg
ファイルさえ回復できればいいと考えていたので再フォーマットして再インストールしていた。
 削除してもデータ自体は残っているのでFATを追って行ってファイルを回復するということはツールを使う前は手作業でやっていた。Windowsになると削除とは名ばかりでゴミ箱フォルダに移動するだけでゴミ箱を空にするまではいつでも復活できるようになった。SHIFT+DELでいきなり削除することができた。

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