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パソコン業界(月刊ASCII 1990年9月号2) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSをスクラップする。

まずは学校教育とコンピュータの関係
学校教育用コンピュータの仕様が発表
 財団法人コンピュータ教育開発センター(CEC)は,学校教育向けに使われるコンピュータの仕様を「CEC仕様’90」としてまとめ、発表した。この仕様は、学校教育の現場で生徒や教員が使うパーソナルコンピュータのソフトウェアの互換性や,記号・漢字の表現能力を強化したもので、使用に対しての奨励はされるが,メーカーや各教育団体に対する強制力はいっさいない.
 現在教育現場では公立校に約14万台のコンピュータが導入され使われているが,メーカーの異なるコンピュータ間や各種教育用ソフトウェア間で,データや操作性に互換性がない.そのため,教える側/教えられる側の両者で混乱が生じている.近い将来,文部省の教育課程に沿って,学校に約150万台ものパーソナルコンピュータが導入されるとの予測もあるが,そうなればデータや操作の互換性の問題で,ますます混乱が大きくなる.
 今回発表されたCEC仕様'90は,このような混乱を解決すべく,異メーカー間のコンピュータでもデータや操作に互換性を持たせるために定められるべきであったのが,「コンピュータ界一般の技術発展を妨げないように」との理由から結果的に枠の緩い基準となった(仕様の詳細については表1,2を参照).
 CECでは1987年10月に教育用コンピュータの試作仕様原案を取りまとめ、この試作仕様に沿った試作機が1988年春にメーカー各社から発表されている。この試作機ではマイクロプロセッサの命令セットを80286用に限定したり,メインメモリ容量やLAN規格も定め,さらにはBTRONを採用した専用OSを作成するなどかなりきめ細かく突っ込んだものとなっていた.しかし,今回のCEC仕様'90では,OSに関する取り決めやユーザーインターフェイスなど各種操作の互換性,キーボードの形状/レイアウトに関する項目は仕様決定を断念したとのことで記述はなく,前回のものより後退した観がある.
 コンピュータメーカーにとっては,わずかな変更を加えるだけでCEC仕様'90に沿ったコンピュータが作れることになり都合が良いのだが,使う側にしてみれば,OSやキーボードなどの操作性が統一されておらず,社会に出た後,ビジネス向けの一般的なコンピュータソフトウェアが使いにくくなる可能性もある。これらの経緯について,教育関係者からは「どのメーカーからも文句の出ないような緩い仕様になってしまい、意味がない」などの批判的な意見が出たり,業界からも「一般向けのパーソナルコンピュータと区別がつかず,販売戦略を決めにくい」との声が上がっている.
 CECは,文部省と通産省の両者の外郭団体という立場にあるため,教育機関とコンピュータメーカーの両者の意見を尊重しなければならないということもある.同財団では,今回の仕様を全国の教育委員会に発送するなど教育界への浸透を奨励しているが,2年半かけて定めた仕様が非常に緩い枠であったことから,学校教育用コンピュータの仕様は本当に統一されるのか?との疑問が残る.


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このとき実質的にBTRONが消えたか。
言語はBASICとLogoだったのか。

人工知能の現状
Al'90(第6回人工知能総合展示会)開催
 AI,ファジィ,ニューラルネットワークに関する最新のアプリケーションからハードウェアを一堂に展示する「AI'90(第6回人工知能総合展示会)」(主催:日経新聞社)が7月2日から5日まで,東京・平和島の流通センターで開かれ,約60社が出展した。会期中の来場者数は,同時開催の「リスク&セキュリティ・マネジメント'90」と合わせて4万3609人.
 ビデオカメラ,オーブンレンジ,炊飯器から洗濯機,掃除機にいたるまで、家電メーカーが次々とファジィ制御システムを導入した製品を発表する今年.会場でも,ファジィシステムやニューラルネットを構築するためのエキスパートソフトから,実際に各システムを応用した処理/解析ソフトなど,ビジネス分野に人工知能をどのように生かすべきかを強調した実用性の高い展示が目立った.
 来場者に人気があった富士通のゴルフゲームは,人間とファジィシステムで,カップインまでの時間を競うもの.どの参加者もファジィの約2倍の時間がかかり,ファジィが制御系に有用である実証デモが行なわれていた.また,メイテックのニューラルネットを使った紙幣判別機は,既存のデジタルICだけを使ってパーセプロトン回路を構成したもので,数サイクルの学習で1万円,5000円、1000円の3種類の紙幣を100%判別できるという.
 このようなデモンストレーションは、会場のあちらこちらで見られ人を集めるのだが,各企業ともイメージ作りで精いっぱいという感じだ。次世代のAIシステムに向けた,最先端技術の紹介や学究的な展示がほとんどなかったことが残念でもある.


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今のAIとは全く別物だ。アスキーが廃刊されるまで現在のAIは登場していなかったと思う。AIの進化は遅々として進まなかったが、近年急激に進んだということだ。

Lotus1-2-3酷似のユーザインタフェースは著作権侵害
ASCII1990(09)b10ロータス酷似のユーザインタフェースは著作権侵害_W520.jpg
判決の「メニューコマンド構造は,無限数とはいわないまでも多数の様式で表現できうるもので,Lotus1-2-3のコマンド構造は独創的であり決して単純ではなく,独自開発で類似の物ができる可能性は低い」だと。メニューコマンド構造はランダムでないので限定的になる。構造だって印刷の下に文字検索とか文字列移動とか置けないだろう。使い勝手が良いものとなれば限定的になるだろう。
一つ思い出した、1-2-3の縮小印刷。昔はドットインパクトプリンタで印刷していたが大きい表を1枚に収めるためキャラクタを24dotで印刷するところを16dotで印刷することができた。その設定がメニュー深いところにあり、どこをたどっていけばいいのかマニュアルを見ても分からず苦労した。記述箇所を見つけたときこの苦労に腹が立ちあのごついマニュアルでロータスの社員をぶん殴りたく思った。こういうへんてこりんなメニューまで真似をした場合にコピーだと判断すればよい。
昔FEPの辞書がコピーされたと訴えた会社は、目印となるへんてこりんな単語を辞書に入れておき、これが相手の辞書にもあるからコピーされたと主張した。

米シリコンバレーの売り上げトップはHewlett-Packard社
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日本電気と富士通,コンピュータウイルス対策を表明
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統合環境
今月のキーワード
統合環境
 Microsoft Worksの日本語版が発表されて,「統合(化)ソフト」という言葉もいよいよ日常的なものになった.また,Turbo CやQuickCなどのプログラミング言語関係でも「統合環境」という言葉をよく耳にする.そもそも,「統合環境」とはなにを指しているのだろうか.
データと操作性の統一
 コンピュータのソフトは,その取り扱うデータによって,いくつかの種類に分けることができる.文章ならワードプロセッサ,数値データなら表計算ソフト,図形ならグラフィックソフトやCADソフトといった具合だ。
 これらの種々のソフトは,それぞれ独立に開発され,操作のしかたや画面上での表現方法,データファイルの形式などはまちまちで、特に工夫をしなければ,文章の中に図形を貼り込むといったことは難しかった。
 これを改善するために,同一のソフトメーカーが作ったソフト間で,データのやり取りができるものが登場してきた.たとえば,「一太郎」の文書中に「花子」で作った画像データを貼り込むことができる,といったたぐいのものだ。
 しかし,この場合でも,まず「花子」を起動して絵を作成してファイルにセーブし「花子」を終了する.次に,「一太郎」を起動して,文章を入力し,「花子」のファイルから貼り付ける絵を読み出す,といった操作が必要になる。いったん貼り付けた絵の一部を修正したければ,また「花子」の操作からやり直さなければならず面倒だ.
 このような不便さを取り除いたのが,「統合ソフト」と呼ばれるもので,ワープ口,表計算,グラフなど複数の機能を,ひとつのソフトを起動するだけで全部使える便利なものだ。各機能の操作方法は統一され,データの切り貼りも自由にできるように設計されている。データの修正なども,ソフトを終了することなくウィンドウを切り替えるだけですぐに行なえる。
 このように,複数のソフトが持つ機能をひとつのソフト(実際は複数のソフトの「集合体」の形をとるものが多いが)で随時切り替えながら作業ができるものを,「統合ソフト」といい,そのようなソフト環境を「統合環境」と呼んでいるわけだ。
 「統合環境」はビジネスソフトに限ったわけではなく,テキストエディタ,コンパイラ,アセンブラ,リンカ,ライブラリアン,デバッガなどのプログラミングツールを統合したものもあり,「Turbo C」や「QuickC」などが代表的なものである.もっと高度なものでは,ソフトウェアの設計からコーディングまでの作業を統合化するCASE(Computer Aided Software Engineering)ツールのようなものもある。
ウィンドウ環境が不可欠/高機能OSと統合環境
 このような統合環境では,複数のデータを相互に見比べながら作業を進められるかどうかが,使い勝手に大きく影響する。アイコンなどを使うグラフィカルなインターフェイスは必ずしも必要ではないが,複数のファイルをひとつの画面上に表示できるウィンドウ環境は最低限必要になるだろう.
 逆に,きちんとしたウィンドウ環境を作ってしまえば,ソフトウェアの統合化は9割方終わったといってもいいだろう.MS-Windowsやジャストシステムの「ジャストウィンドウ」などはそのよい例である。これらのウィンドウ環境では,複数のソフトウェアを同時に起動して,ソフトを終了させることなく,ウィンドウ間でデータの転送を行なうことができる。ウィンドウシステム側からの要請があるので,操作方法もある程度は統一される.
 OS/2Macintosh System Ver.7などの高機能OSでは,ウィンドウ環境とは別に統合環境のための新機能を備えている。これらのOSでは,ウィンドウ間のDDE(Dynamic Data Exchange)サポートしており.オリジナルのデータに変更があった場合に,それをコピーした先のデータも自動的に修正される「ライブペースト」などと呼ばれる機能が可能だ。MS-Windowsでも,ExcelやMS-Wordなど一部のアプリケーションですでに実現されていたが,今後はLANなどで接続された他のコンピュータ上に転送されたデータの修正も考えられる。OSレベルでこのような機能が備えられれば,単一のアプリケーションやマシンにとどまらない広い範囲での統合環境を作ることができるだろう.
 ソフトウェアの機能は,処理できるデータの質、量の改善と,表現力の強化を軸に進化してきたが,これからはより緊密な統合環境を作り上げることに重点が置かれるだろう.
(竹田)


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ジャストウィンドウはどうだったのだろうか。このとき思っていたのはWindowsでなくても良い。ジャストウィンドウでもいいからワープロ、表計算、お絵かきが同時に起動できてコピペで他のソフトにデータを与えられる環境が欲しかった。Windowsでなければならないということではないはずだと思っていた。

米国ハイテク産業の動向
Apple,Clarisを再び傘下に
 Appleが同社のアプリケーションソフト部門を切り離して,Clarisを設立したのは1987年,当時,Apple社はClaris設立の決定について,「Apple自身がMacのアプリケーションを開発するのは,サードパーティの育成に好ましくない」としていた.AppleがMacWriteのような有力ソフトをバンドルする形で,事実上ただで領布するのは,サードパーティのアプリケーション開発意欲を阻害する,という考えに基づいた決定だった。
 Appleのこの方針は,他のアプリケーション開発社から高い評価を受けたし,こうして意識的に作られたフェアな競争関係はその後のアプリケーションの充実に少なからず寄与してきたはずだ.ClarisもApple本社のしがらみを断ち切り,自由にソフトを開発することで,昨年度の売り上げが9000万ドル(約135億円)にのぼるなど,Mac用アプリケーション分野ではMicrosoftに次ぐ企業となった。
 そのAppleが,6月になって,姿勢を180度ひるがえす発表を行ない,関係者に衝撃を与えている.AppleはClarisを自社の完全子会社にすることで,Clarisの企業決定に直接関与できるようにするというものだ。もちろん,Clarisは独立企業としての形態は維持し,以前のようにAppleのソフト開発部門に逆戻りすることはない.しかし,ほとんどの株を握るAppleが完全にコントロールすることが可能になるので,事実上,一部門になるといっても過言ではない.今後も現社長William Campbellが一応Clarisのトップにとどまるが,John SculleyはそのCampbellのボスになる.今回の決定について,Sculleyの言い分は,「今後'90年代を通して,ソフトウェアは他社との競争に打ち勝つ鍵になりつつある」としているが,考えてみれば当たり前のことで,まさにそのためにClaris社を独立させたはずではなかったのだろうか(今回の決定はJean-Louis Gaseeの退職以後のApple社の一連の組織改造と無縁ではないと見るむきも多い)。
 Macのアプリケーションを開発している会社は不安を隠せない。再び有力なソフトをバンドルするといったことが起これば,少なからぬ数の会社が被害を被ることは必至だからだ。そういう事態に至らなくても,ClarisがAppleの方針や技術内容をいち早く察知できる立場になると,今まで築いてきたフェアな競争関係などはなくなってしまうことは明らかだ.
 ちなみに,ClarisではFileMakerのWindowsへの移植を行なっているが,今回のApple社の決定はClaris社のマルチベンダー路線を制止するものではないようだ.Apple社にとってはすでにAppleShare/DOSもあるので.FileMaker/Windowsが初めてのDOS製品というわけではない.

■OS/2はどこへいく
 Windows3.0が発表され,ショップにも対応アプリケーションが並びだした。先週ニューヨークで行なわれたPC Expoでも数多くの対応ソフトが発表されたと聞いている.Windows3.0の出荷は一応順調な滑り出しを示しているようだ。定価は194ドルとなっているが,ほとんどのショップでは100ドル以下で売っているし,Windows2からのアップグレードは,たとえそれがExcelやWordにおまけで付いていたものであっても50ドルでやってくれる.Windowsが順調に推移すればするほど気になるのがOS/2の存在.Microsoftでは「WindowsとOS/2は互いに補完するものであって,競合するものではない」といっているが,ユーザーサイドから見ればやはり競合製品にまちがいない。1台のマシンには通常どちらか1つのOSしか載せないからだ(DOSとUNIXという組み合わせは可能だが,WindowsとOS/2という組み合わせは意味があることとは思えない).
 しかも,今までDOSユーザーだった人間にとってはOS/2への移行は,そう簡単にできるものではない。メモリ4Mbytes,事実上386以上のマシンが必要とあれば,DOSとWindowsの環境で我慢しようかというユーザーがいても不思議ではないし,4Mbytes+386という環境があるならばいっそのことUNIXに移行するといったユーザーが圧倒的に多いのも理解できる。
 こうした矛盾点を解決する方法として,「OS/2をスケールダウンし,小さな環境でも動作可能とすべき」という点がたびたび指摘されてきた.昨年以来MicrosoftやIBMにはそうした方向を匂わせる発言があったが,実際にスモールバージョンの開発はかなり進んでいるようだ。IBMはOS/2 Ver.1.2のシェイプアップ版(プレリリース)をソフト開発会社を中心に配布。一部はすでに公開しており,2Mbytesでも動作するという.
 また,シェイプアップした分だけ処理の高速化も期待できる.AdobeのTypeManagerフォントも搭載しており,表示される文字も格段に良くなっているという。現時点では,そもそも製品版として出荷されるのかどうかさえはっきりしていないが,普及の妨げになっている最大の原因を克服したこのバージョンが出てくれば,OS/2の将来にも多少明るい兆しが見えてくるかもしれない。ただし,このシェイプアップバージョンが成功すればするほど,今度は逆にWindowsが影響を受けるという潜在的なジレンマも内包している.
(ザイロンコーポレーション代表 脇山弘敏)


やっとOS/2へのまともな評価記事が出てきた。「WindowsとOS/2は互いに補完するものであって,競合するものではない」何を言っているのかという感じだ。企業の言うことは信用してはいけないということだ。これも歴史となった過去の記事を掘り起こすことで分かることだ。今も企業の言うことは信用してはならない。自分で調べて考えることが大切だ。

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