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パソコン通信(月刊ASCII 1992年4月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「特集 パソコン通信をうまくやる」が懐かしかったので一部スクラップする。
アクセス料金比較
 PC-VAN,NIFTY-Serveともに,利用にあたっては電話料金とは別に「アクセス料金」を徴収される.ここでは,日常的なアクセスに必要なメニューを利用する際の料金の違いを検証することにする.
PC-VAN
 PC-VANのサービスメニューには,無印のもの(*)マークがついているもの,(\)マークがついているものの3種類がある.このうち(\)マークがついているものはデータベースへのアクセスやファクス送信など,外部経費がかかるサービスが中心で,通常のアクセス料金とともに別途追加料金が請求される.(*)印は,バイナリメール,オンライントークなどのメニューについている.このマークの意味は,以下で述べる「料金体系」によって意味が変わってくる.
 さて,PC-VANには「従量制」と「固定料金制」の2つの料金体系がある。従量制の場合,アクセス料は3分あたり20円で,上限はない。課金は,秒ごとの計算がなされており,1分20秒間アクセスした場合ならPC-VAN利用料金は9円となる.従量制を選択した場合には,サービス名に(*)がついていても別途料金を徴収されることはない。気をつけるのは(\)マークだけというわけだ。一方,固定料金制というのは,無印のサービスを1カ月2000円固定で利用できる,という方法だ。固定料金制の場合に(*)マークのサービスを利用すると,その時間について3分20円の利用料が追加される.もちろん(\)マークのサービスを使えば,従量制同様3分20円+追加料金が必要だ。
 2000円は,従量制に換算して5時間相当.したがって,ひと月に無印サービスを5時間以上利用するなら,固定料金制にしたほうが安くなる.ただし,固定料金にするとまったくアクセスしなくても2000円取られるわけだから,最初は従量制で契約したほうが無難かもしれない。契約の変更はもちろん可能だ。

NIFTY-Serve
 NIFTY-Serveのサービスには,無印のものと(\)マークがついたものがある。無印のものは通常料金,(\)マークがつくと通常料金のほかに別途追加料金を請求される.また,無印のうち一部は無料となっている.
 さて,NIFTY-Serveの料金制は,1分間10円の従量制だけで,こちらも上限なしだ。課金は1分単位の計算で,超過した秒数は1分に切り上げられる。つまり,1分20秒アクセスした場合は,10円×2分=20円が課金される.


ASCII1992(04)d03パソ通図1_W520.jpg
 そうだった。電話代だけではなくそれぞれのVANにアクセスするだけで課金されていた。よくもまあ金を掛けたものだ。

自動運転ってなんだろう
 そもそも、通信ソフトの自動運転とは何のことだろう。これは,要するにMS-DOSのバッチファイルみたいなものだ.つまり,あらかじめ決まった手順をファイルに書いておいて,通信ソフトに自動的に実行させようというわけだ。通信ソフトには,そのためのマクロ言語が用意されている.
 ただし,バッチが与えられた仕事をひとり黙々とこなせばいいのに対して,通信ソフトの場合には「パソコン通信のホスト局」という相手がいる.そのため,通信ソフトのマクロ言語は,ファイルをダウンロードするとか、特定の文字列を受信するまで待つとか,受信した文字列の内容によって違う処理をするなどの,通信ならではの機能が追加されている.また,文法もバッチとは異なる.より高機能で,コマンドの数も多いのが普通だ。

なぜ自動運転なのか
 では,自動運転を使うとどんないいことがあるのだろうか.
 まず,何といっても電話料金の節約になる。パソコン通信のホスト局にログインしたまま、メッセージをひとつひとつ読んでいたのでは,時間がかかってしかたがない。通信速度が2400bps以上なら,人が読む速さより通信速度のほうが速いから,読み終わるまでの間,電話回線は遊んでいることになる.しかし,それでも電話料金はしっかり取られているのだ。ホスト局が従量制を採用していたら、使用料金もしっかり取られることになる.しかし,メッセージを一気にダウンロードして,ログアウトしてから読むようにすれば余分な料金は取られなくてすむ.
 たとえば,NIFTY-Serveの「NETWORKERフォーラム」には,別冊アスキーの会議室があり、2月17日現在、この会議室には183個のメッセージが書き込まれている。これをひとつひとつ見ていくと,ざっと目を通すだけでも30分以上かかる.しかし,自動運転を使ってこれらをまとめてダウンロードすれば,約8分半ですむ。もちろん,ダウンロードしたファイルを読む時間は結局同じかもしれないが,その間は電話料金がかかっていないのだ。自動運転を使えば,電話料金と使用料金が約1/4になる計算だ。
 読むほうだけでなく書くほうも、同じことがいえる.あらかじめエディタなどで文章を作っておき,自動運転でアップロードすれば,ずっと短い時間ですむ.この場合は,単に電話料金の節約になるだけでなく,落ち着いて文章を書けるという別のメリットもある。


ASCII1992(04)d13パソ通料金図2-3_W509.jpg
電話代が嵩んだ当時のパソコン通信ではささっと書き込みをダウンロードして電話を切ってゆっくりと書き込みを読んで、コメントをエディタで作成してアップロードをしていた。そこでオートパイロットを使っていた。

「一歩先行くオンラインマルチプレイヤーゲーム」
 '90年2月に富士通がサービスを開始したパソコン通信「富士通Habitat」は,現在約5000人がユーザー登録を行ない,架空の街でのプレイを楽しんでいるという.参加者は,ホストに作られたHabitat国の住人となり,ここでいろいろな体験をシミュレートしたり,住人同士のコミュニケーションを展開していく.ゲームとは性質が違っているが,みんながひとつの世界に住み、共通の通貨を持ち,会社を作ったりイベントを開催してお金を稼ぐというような点では,終わりのないRPGのような雰囲気もある.
 しつこく書いているがこの当時すでにメタバースの原形はあった。

いよいよ日本に上陸したAir Warrior
 4月上旬よりサービスが開始される予定の「富士通Air Warrior」は,「Habitat」に続いて富士通がNIFTY-Serve上で提供するビジュアルパソコン通信サービスの第2弾である.Habitatがゲーム的でないのに対し,Air Warriorは,敵・味方に分かれ空中戦を繰り広げる本格的なマルチプレイヤーゲーム,リアルなフライトをシミュレートしながら,相手を攻撃したり攻撃から逃れたりというハラハラドキドキが経験できる.
 Air Warriorは,もとは米国Kesmai社が開発し,米国のネットワークGEnie上ですでにサービスが行なわれている人気のゲームである.日本からAir Warriorをプレイするためには,これまでは国際回線を利用してアクセスするしか方法がなかった.それが今回NIFTY-Serveに移植されたことによって,いよいよ日本国内でも遊べるようになったというわけである.ただ,専用の通信ソフトが必要なため、現在のところはFM TOWNSでしかプレイすることができない(通信ソフトはグラフィックデータなど約12Mbytesを収録したCD-ROMと,システム部分の入ったフロッピーディスクで供給される).Habitatのときと同様,PC-9801シリーズなどへの移植も予定されているが,他機種ユーザーが楽しめるのはもう少し 先になりそうだ。

ネットワーク上で腕を見せつけろ!
 さてゲームの内容だが,Air Warriorの最終目的は,敵対する3国間の戦争に勝つことにある。つまり自分の所属しない2国の基地をすべて破壊あるいは占領するのが目的だ。そのためには,プレイヤーは同じ国の仲間と役割を分担し,協力して攻めることが必要となる.したがってAir Warriorは基本的にはチームプレイを楽しむゲームだ。だが,もちろんチームを組まなくても,個人的に敵機を何機撃墜したかという得点を争うのも重要な楽しみである(ただし自分の国が負けてしまったら個人成績も無効になってしまうが).
 ではプレイの手順を追ってみよう。NIFTY-Serveに接続するとまず,European theaterか,Pacific theaterかどちらのシアターにするかを聞いてくる.どちらかを選択すると「協議室」に移動.協議室は誰とでも話ができるいわば中立地帯で,ここで所属する国を決める決めたら「本部」に移り,続いて出発する「基地」を選ぶ。各国とも,本部(滑走路はないが、国全体の戦略などを話し合うために用意されている)1ヵ所と,数カ所の基地を持っているのだ。ここまでの「協議室」,「本部」,「基地」では同じ場所にいる者同士でチャットができるので,現在の状況を聞いたり,あるいは仲間を募って戦闘の役割分担をしたりという作業を行なえる.またすでに飛行中のプレイヤーとは無線を使って連絡が取れる(チャンネル数を合わせてチャットする)。次に兵器を選択する.選べる兵器は,第二次世界大戦時の戦闘機や爆撃機をはじめ28種類。ジープなどの地上兵器もあり,性能はそれぞれの兵器をモデルに設定されている(Air Warriorのマニュアルによると,3国は非常に貧しいため、第二次世界大戦の飛行機の余剰品しか購入できないが,有能な機械工によって完璧な状態を保っているのだ……とある).
 兵器を選択したらいよいよ滑走路から離陸だ.メニューの「戦場へ……」をクリックすると,自分が飛行機に乗り込み、滑走路に立って今にも飛び立つところである(画面3)操縦桿を操作するのはマウスかアナログジョイスティックマウスだと操縦桿を前に倒すときは上へ,手前に引くときは下へ動かすことになるが,ここはできればジョイスティックを使いたいところだ。そのほかの操作はキーボードで行なう.離陸のための手順は,(1)エンジンを始動する。(2)フラップを下げる,(3)機体をまっすぐにしてスロットルを全開にする,(4)速度が上がってきたらゆっくり操縦桿を手前(下)に引く,(5)ギアを格納する.急上昇による失速に気を付ければ離陸は簡単にできるだろう.
 飛行中は,レーダー画面や自機の前後左右,斜め方向を見ることが可能。そこで敵機を見つけたら接近して照準を合わせ,機銃掃射!(マウスの右ボタンまたはジョイスティックのAボタン)一瞬飛行機の残骸が飛び散る(画面4).そこここで,撃墜される飛行機の音が鳴り響く.エンジン音が心地よく耳に響いて,「やった!」と叫ぶころにはもう,このゲームにハマッタ状態だ。ちなみに自分の飛行機が墜落した場合,それが自国の領地内だったらもとの「基地」へ,他国の領地だったら国の「本部」に戻されて,やり直しとなる.当然他国に落ちるほうが得点が低い.

活躍の陰にひたすら飛行訓練の日々あり!?
 ところで,実際に戦場に出て(NIFTY-Serveに接続して)戦闘を行なう前にまずしておかなければいけないのは、飛行機の操縦に慣れておくことだ.飛行機に関する多少の知識も必要.Air Warriorでの操縦は,本誌のTBNコーナーで紹介しているようなフライトシミュレータで,ガンガン腕をならしているユーザーにはそれほど難しくはないはずだが,初めての人には,乗り越えなければならない第一の壁でもある。
 もちろん着陸訓練は必須。たとえ空中戦で活躍しても,その後味方の基地の飛行場に着陸しないと任務を完了したことにならなくなってしまう(戻ってきて初めて1フライト中の得点が加算される.任務完了だと100%,不時着だと得点を減点したうえで加算)。また,自機を完壁に操縦したうえで,仲間と無線連絡を取ったり,目標を定めて爆弾投下や機銃掃射をするなど,やることはいっぱいあるのだ。経験がものをいう。


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 基本的に今あるゲームの原形は当時できていた。画面を綺麗にしただけで根本的なアイデアは既にあった。革命的なアイデアのゲームは見てない。

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