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フロン全廃,QuickTime,AppleとIBM業績,A4サイズ他(月刊ASCII 1991年8月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSをスクラップする。

東芝が半導体生産工程での洗浄用フロン全廃
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二酸化炭素の排出問題の前はフロン全廃だった。フロンはオゾン層を破壊する原因物質とされ工場以外にも冷蔵庫等すべての使用製品から全廃された。結構年数がかかった。


「米国ハイテク産業の動向」をスクラップする。
QuickTime
 Apple社は「デジタルワールドコンファレンス」でSystem 7版マルチメディアエクステンション「QuickTime」の全容を発表した.QuickTime1.0は,以下に示すように4つの標準から構成され,単なるアプリケーションとシステム間のインターフェイスにとどまらず,包括的な仕様となっているのが注目される。基本的には、Mac上でのマルチメディア・アプリケーションのプログラミングインターフェイスの統一,異機種間でのデータ互換性の確保,ハードウェア・処理方式の違いを吸収するフィルタとしての機能,GUIの統一などを狙ったもので,目前に迫ってきているマルチメディア時代に対するApple社のひとつの回答ともいえるものだ.
 68020以上を搭載したすべてのカラー版Macに対応.OSとしてはSystem 7が標準,メモリは2Mbytes以上が必要.出荷は今年暮れからで、価格は現在のところ未定.

(1) システムソフトウェア
 QuickTimeの中核はシステムソフトウェアと呼ばれる部分で,以下の3つの部分から構成される.アプリケーションとシステムをつなぐインターフェイスで,MacOSに機能拡張される部分だ.
●動画ツールボックス(Movie Toolbox)
 マルチメディア拡張として追加された高次のシステムサービスをいう。この機能を用いると,アプリケーション内から動画をコントロールすることが簡単に実現できる.Apple社によれば,動画の再生機能をアプリケーションに組み込むようなものだと,2~3日で開発可能だという.

●画像圧縮マネージャ(Image Compression Manager)
 現在,GroupIIIFAX,JPEG,DVI,MPEGなどさまざまな画像圧縮方法が提案され,また一部はすでに実際に応用されているが,この画像圧縮マネージャ(ICM)は,アプリケーションをこうしたさまざまな画像圧縮方法から分離するために用いられる.すなわち、このICMを通して画像圧縮,再生を行なう限りにおいては,それぞれのプラットフォームで利用可能な圧縮方法が異なっていたとしても、または将来変更されたとしてもアプリケーションをいちいち変更しないですむ。
●コンポーネントマネージャ
 デジタイザやビデオテープ装置,各種計測器など外部リソースをランタイムでシステムに登録することを可能にする.画像圧縮マネージャと同様に,外部装置が変更になっても,アプリケーションの変更は必要なくなり,アプリケーションのハードウェア透過性が格段に高まることになる.
(2) ファイルフォーマット
 QuickTimeでは時間的にダイナミックなデータを取り扱うために,新しいファイルフォーマットを開発,追加した.動画ファイルの開発とPICTファイルの拡張がそれだ。もし,Appleの思惑どおりにことが運べば,同じフォーマットのデータがMacでもWindowsでも使用可能となる.
●動画(Movie)フォーマット
 すべてのダイナミックデータを指してこう呼んでいる。たとえば,QuickTimeでは,本来の意味での動画+サウンドデータに加えて,スライドショウや実験室での時系列データなど,時間的につながりを持った一連のデータを統一して動画(Movie)として取り扱う.動画フォーマットはこうしたダイナミックデータを保存するための仕様.
 複数のデータタイプは,それぞれトラックと呼ばれる単位で保存される。たとえば,映画などのデータはビデオトラックと音声トラックを含む.
 それぞれのトラックのフォーマットはその属性によってサブフォーマットが異なるが,今回のVer.1.0ではこのビデオフォーマットとサウンドフォーマットのみを定義しており,将来は徐々に拡張していくという.

●PICT拡張フォーマット
 従来の静止画フォーマットであるPICTに,画像圧縮,プレビュー属性が追加された。画像圧縮属性は,コンポーネントマネージャで登録されている方式ならばどれでも指定できる。また,4~5Kbytes程度のプレビューデータにより,アプリケーション、あるいはシステムから内容を参照できる.
(3) 圧縮方式
 QuickTime1.0では、画像の圧縮に,以下の3種類の基本圧縮方式を用意している。これらの方式は,すべてソフトで実現されているので速度的にはそれほどのものは期待できないが,それでもすべてのカラー版Macで実現可能であるという点が最大のポイント。もちろん新しい方式の追加やハードウェアによるインプリメンテーションも,上記の各マネージャを通してアプリケーションの変更なしに実現できる.
●静止画圧縮
 ここではJPEG方式が採用されている。圧縮比は使用する画質から,5:1から100:1程度の間で設定される.ただし,すべてソフトで処理が行なわれるので速度的には遅い。Apple社の発表では,640×480×24bitの原画の圧縮にはIIcxで大体10秒かかるという(再生もほぼ同じ)。DTPアプリケーション,画像データベースなどのアプリケーションに向いている.
●アニメーション圧縮
 Apple社で開発されたランレングスベースの方式が採用されている。この方法はコンピュータで生成されたグラフィックス,スクリーンイメージなど,比較的同じ値(同色)が続きやすいデータの圧縮に向く.空間系列データ(フレーム単位)および時系列データ間(フレーム間の差分をとる)の圧縮が選択でき,高速処理のためにロス(データの劣化)を生じることもある(もちろん速度を犠牲にすればロスなしモードも選択できる).
●動画圧縮
 空間系列,時系列両方の圧縮をサポートする,Appleが開発した圧縮方式。空間系列のみの圧縮では,5:1から8:1の圧縮比,時系列圧縮を組み合わせると,25:1程度まで可能。フルスクリーンデータでは,IIcxで圧縮に3秒再生で1/2秒程度かかる.160x120程度の小さなサイズの画面でもIIsiで15フレーム/秒程度が限界。完全な動画処理にはもう少しだが,ソフトのみでの処理では仕方がないだろう.
(4) ヒューマンインターフェイス
 GUIにも若干の追加,拡張がなされた.アプリケーション間でばらばらになりがちなインターフェイスを早い時期に統一してしまいたいApple社の意向を反映したもの。
●標準動画コントローラ

 動画ウィンドウに対する新しいスクロールバーを追加。通常ウィンドウの下段に表示され,サウンドのON/OFFボタン,再生ボタン,早送り,巻き戻しボタンおよび時系列スクロールバーからなる(画面1).

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●ファイルダイアログボックス
 ファイルのオープン時に出てくるダイアログボックスに,静止画および動画データに対するプレビューウィンドウが標準で追加された。ファイルの内容を確認するのに便利(画面2).

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●ガイドライン
 マンマシンインターフェイスのガイドラインとして「Human Interface Thoughts」がリリースされる。これは、画像の入力,圧縮,編集などに対するガイドラインを含んでいる.

 QuickTimeは、1カ月前に発表されたSystem 7とともに,'90年代を通じて,Apple社のソフトウェア面での戦略の中核をなす.米国ではPCマーケットの拡大にかげりが出始めているが,ワープロとスプレッドシートだけではこれ以上の市場拡大は望めないだろうというのが大方の意見.そこで,新しいマーケットのターゲットがマルチメディア(的なアプリケーション)なのだ。5年前には雲をつかむような議論が横行したものだが,今ではかなりの現実性とともに切実感がみなぎっている。
 しかし現実には,世間で騒がれている割にはたいしたアプリケーションもなく,マルチメディアが単独のマーケットとして確立されるにはいたっていないのも事実。最大の理由としてはファンダメンタルの欠如があげられるだろう.何もない更地にいきなり一大マルチメディア帝国を築こうとしても所詮は無理な話.Microsoft社が発表しているMPCやWindowsマルチメディアエクステンションも、その意味では同じ背景を持っている.Apple社のRoger Heinenは「今までマルチメディアが,このパーソナルコンピュータ業界で,非常に狭い範囲の技術やアプリケーション,コンピュータを指していたのに対して,AppleのQuickTimeはこの偏狭さをくつがえすもの」として,より広範囲な応用を期待しているQuickTimeがマルチメディアのファンダメンタルとして今後の展開にどのように影響していくのか非常に注目されるところだ。
(ザイロンコーポレーション代表 脇山弘敏)


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ここでメモしておくべきは「JPEG方式が……すべてソフトで処理が行なわれるので速度的には遅い。Apple社の発表では,640×480×24bitの原画の圧縮にはIIcxで大体10秒かかるという」いまでは待ち時間なしで保存できる。ありがたいことだ。
 QuickTimeは良かったと思う。問題はコーディックの乱立だった。

「MIscellaneous」をスクラップする。
■IBMも背水の陣
 MicrosoftがDOS5を発表した日、同時にユーティリティソフトが2本出てきた.ひとつはNortonUtilitiesのVer.6.0で,従来の機能に加え「NDOS」というDOS Enhancerが入っている.ファイル名に説明が付けられるほか,バッチファイル用の拡張コマンド,ヒストリ,逆スクロール,ワイルドカードの強化などが行なわれている。2つめもおなじみのPCTools7.0.「DOS5に付いているUndeleteとUnformatはPCToolsのサブセットだ」そうで,MSとの協力関係をアピールしている。両方とも,DOS5上では常駐ソフトをUMBに逃がすことができるほか,Windowsに対応している点も同じで、価格も同じ179ドルだ。あとは個々の細かい機能を比べて選ぶか,両方買っておいしいところを使うことになる.CompuServeComputerExpressMicrosoftDOS5アップグレードキットとセットで175ドルで発売している.
 さて,DOS5発表翌日の6月12日,米国ではIBMが「PC-DOS5.0」とともに,クローンメーカーに挑戦すべく,新しいハードウェアを発表した.
 まずは,20MHzの386SXを搭載した低価格路線.上位モデルは,4MbytesのメモリとSCSIインターフェイス,MCAバスを5スロット内蔵,2.88Mbytesの3.5インチFDDを搭載した「57SX」80MbytesHDD付きで3625ドル(約50万円)。同じスロット数ながらバスがATになっている「40SX」はメモリが2Mbytesと40MbytesHDDで2395ドル(約33万円)低価格モデルは小型の35SXで,こちらは1.44MbytesのFDDと2Mbytesのメモリを搭載して1999ドル(約27万円)である.これに伴って55SXと70でメモリの増加やハードディスクの高速化の変更があった。
 ハイエンドのほうは,なんと50MHzの486.これは,486や486SXを搭載している90XPと95XPからのアップグレードサービスで,20/25/33MHzのどれでも可能。価格は20MHzからが7245ドル,25MHzが5345ドル,33MHzが3695ドルである。50MHzの486を搭載したモデルを出さずに,アップグレードだけというのはどういうことなのだろう。
 6月号でも触れたように米IBMは第1四半期の赤字ショックがあり,その後1万4000人の解雇を発表している。それを吹き飛ばすための商品戦略のようだが,この値段ではまだ足りないのではなかろうか.というのはIBMも感じているようで,マシンを出しただけでなく,PS/2を購入するユーザーに対して下取りサービスも実施する.PS/2の旧機種だけでなく,CompaqやAppleの製品も買い取るというものだ。値段は中古市場価格+αらしいが,あの巨人がそこまでやるかという感はある.PS/55noteを欧米の企業ユーザーに見せて,売れるかどうかの調査もしているというし,コンパチメーカーの競争もさらに激化しそうだ。

■そしてAppleも
 WallStreetJournal→NewYorkTimes→朝日新聞と広がった「IBMとAppleが手を組んだ」という話題だが,何を話したのかは結局うわさレベルでしか出てこない.MacOSの技術とRISCの技術を交換するとか,AppleTalkとTokenLingを繋ぐ相談だとか、マルチメディアでどう結託するか(QuickTimeがらみ)とかいった噂である.Appleはコードネーム「Pink」という開発中のObjectOrientedOSを見せたという話まである。まあ,Appleはずっと次世代Macに載せるRISCを物色中だから,Motorola,MipsときてじゃあIBMのRS6000チップも見てみよーかといった程度なのかも.ひょっとしてIBMとAppleの話し合いは,「いかにして業績の悪化を隠すべきか」という情けないものかも.
 先月号で「Sculleyの高い給料」を批判したが,米国でも同じことを思った人が多いらしく,Apple社は役員給与の10%カットを発表した。1割ではたいしたことはないし,解雇を言いわたされた1500人の従業員たちも腹は収まらないだろう.
 さて,Appleの業績悪化は低価格機のせいというが,MacClassicをスーパーマーケット型の大型店で販売する計画を進めている。協力するのは、全米に20店舗を持つ最大のコンピュータスーパーチェーン,CompUSA(本社Dallas).CompUSA側は,まだ公式なサインはしていないが,IBMやCompaqなどの「ブランド商品」も扱う計画という.
 アナリストたちは,これがメーカーにとっては自然な動きと見る。現在のユーザーは数年前のように無知ではないので,「店員によるいたれりつくせりのアドバイス」は必要なく、「決めた商品をより安く」になっているという意見だ。あの「RadioShack」を全米に7000以上持つTandy社までが,スーパー型ストアを買い取るという噂も出てきた。日本でも、店員の説明やアフターサービスなしでも多くの人がコンピュータを買えるようになるのだろうか.

■コンピュータ科学者との会話には注意しましょう
 日本は米国のおいしいところは買い尽くしたようだが,今度はコンピュータ技術者の引き抜きで非難が出た.ホワイトハウス筋によると,日本のそれも政府が,AT&Tベル研,南カリフォルニア大,カリフォルニア大サンディエゴ校,イリノイ大などのコンピュータ研究者たちに「コンタクト」したという。金銭的な交渉が行なわれたわけではないが,「第6世代コンピュータ」のために人買いに出たお役人さんがいたようだ。
 研究者を買うのは日本だけではなく,Microsoftもやっている.Bill Gatesが,巨大な家の次に基礎研究所を作りたがっているようで,IBMでコンピュータ言語学を研究している3名をヘッドハントした.MSによると,計画はまだ初期の段階というが,場所はワシントン州のレドモンド.Gatesはこのところ「information at your fingertips」と騒いでいるというが,何を研究するのだろうか.

■MS-DOSからMacまで4年
 Lotusは,長らく待たれていたMac用のスプレッドシートをついに発表。「作りますと約束したソフトが形になるまでに一番時間のかかった製品」の記録を作ったとして,「Mac1-2-3」はソフト業界をあざける冗談のネタになっていた.
 Mac1-2-3は,この秋,一般向けとしては495ドルで発売となるが,Lotus側は,Excelに追い付くのは大変と考えているようで,99ドルという低価格で「academic version」を作成中.さらに,「student version」は,AddisonWesleyキストブックに付けて発売するようだ。Lotus側は、最近爆発的に増えたMacユーザーが,この新しいスプレッドシートの売り上げも伸ばしてくれるのではと期待をかけているが,アナリストらは,売り上げを伸ばしているのは最下位機種のClassicで,それらのユーザーがスプレッドシートを買いに走るとは思えないと冷ややか.Windows版の1-2-3もPCExpoで発表されるようで,ExcelやWingzの出方が見たいものだ。

■陸軍用ハイパーポケコン
 米国陸軍はハイテク兵士計画を推進すべく,TexasMicroSystems社と50万ドルの契約を結んだ。作戦中の兵士が,敵の軍隊や兵器を正確にねらうことを可能にする「タバコサイズ」の小型コンピュータの開発を依頼したのだ。この研究は今年の秋までには終了予定で,プロトタイプが作られるというから注目しておこう。
 同社の社長によると,ハイテク兵器の優秀さは湾岸で示されたが,それに比べて歩兵は非常に旧式の兵器で戦っているという.そう言われれば,銃器の性能は上がっているかもしれないが,持っているのはそれだけで,昔から進歩はない.
 軍によると,この「1ポンドコンピュータ」には戦闘機や戦車が持つコミュニケーション,演算,グラフィックス能力が備わり、早ければ1995年には兵士に配る。バッテリ駆動の処理ユニット,音声およびデータを送受信する無線機,ヘルメットにイメージを投影するディスプレイ,入力デバイス,正確な位置を割り出すシステムなどを入れるそうだ。
 CPUとしてPoqetComputer,無線はセルラー電話とポケットモデム,ディスプレイはあの頭に付けるプライベートアイ,そしてソニーが発表したような小型GPSレシーバがすでにある.これらを全部バラバラにしてから合体し,バッテリを共通にしてやればできそうだ。日本のメーカーに依頼すれば4年もかからないと思うが,よく考えたら、我々でも欲しくなるスペックである。
 米国と戦争する予定の人は,早めにこのマシンを入手してパックマンやテトリスを移植,地下組織を使って配布すれば,血を流さずに相手の戦力をかなり低下させられる.戦闘中に無線でエッチな絵を送りつける作戦とか,ジョークを送って笑い声で相手の場所を割り出すとか,ネタには困らない.


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 この頃はパソコン業界が不況だったのだが、原因は何だったのだろうか。記事をスクラップしても分からない。

「今月のキーワード A4サイズ」をスクラップする。
 ノートパソコンの売れ行きは快調で,新型機種も続々と登場している.メーカーの打ち出す戦略には,高速CPUの採用やレジューム機能搭載などによる高機能化の流れと,より小さく,より軽くを目指す小型化の流れがあると言っていいだろう。そこで気になるのがサイズ!
 “A4ファイルサイズ”とか“A4ジャストサイズ”など,「A4」という名称がよく使われる.また,「ファイルサイズ」と「ジャストサイズ」はどこが違うのだろう(写真1).


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国際標準のAと日本独自のB
 ノートパソコンのサイズを表現するために引用される「A4」というのは、ご存じのとおり紙のサイズを表わす用語だ。プリンタやコピー機器,ファクシミリなど,紙を出力媒体とする機械でも「B4用紙までOK」などのように使われている.紙のサイズを表わすには「A4」,「B4」などのようにアルファベットのAとBを、番号の頭に付ける。このAやBにはどういう意味があるのか?
 紙のサイズを表わすのにAやBを使い始めたのは,1929年の日本標準規格(日本工業規格:JISの前身)の制定時にまで遡る。そのころ工業先進国であったドイツでは,紙のサイズも規格として定められており,制定の際に,それを「A列」として取り入れた.一方,日本でも和紙の時代から受け継がれてきた紙サイズがあり,江戸時代の美濃紙に由来する日本独自のサイズを「B列」と定めた。
 A列B列の用紙は共に,最大の0番から最小の12番まであり,0番を半分に折り曲げた大きさを1番,それを半分にしたものを2番,さらに半分が3番などと,それぞれミリ単位で定められている(表1).
 1957年のJIS制定時には,国内の伝統的な紙サイズ(すなわちB列)を重視し,帳簿や伝票など帳票類について「仕上がり寸法はB列(判)とする(JIS規格)」と指定,さらに,見積書や納品書,届け出用紙などのサイズをB列で統一した。そのため広く一般でも、ほとんどの公文書/ビジネス文書を,B列用紙で提出しなければならなかった.
 従来から,電話帳やワープロなど海外から入ってきた技術にともなうものはA列,大学ノートや教科書など国内で発展したものはB列と,習慣的に区分けされていた.しかし,大きさが違うと,ファイリングなどの書類整理に不便だし,国際取引でB列は通用しないという現状もある。そこで,1990年3月,通産省は「国際化社会にそぐわなくなった」として,JIS規格のB列重視規定を削除した.いまや国際的な標準となっている「A列」を,積極的に認めようというわけだ。現在の日本では,官公庁などに提出する法令公文書などを除き,一般文書は徐々にA列に統一されつつある。

■縦と横の美しさ黄金率
 A列,B列ともに紙の短辺と長辺(縦と横)の長さの比は「短:長=1:√2」となっている.
 人間が最も美的な調和感覚の得られる長方形の比率として,ギリシャ時代から有名な「黄金率(縦:横=1:1.618……)」という数値がある.これは経験上求められたものではあるが,現在のテレビ画面の縦横比や、各国の国旗などにも見うけられる.A列B列の縦と横の比1:2というのは、黄金率に比較的近い値で,半分にしたときに元の縦横比と等しくなるという利点がある.
 さて,A列は,もともとドイツの紙の規格であるが,英国や米国にも,日本でいうB列に当たる独自なサイズがある。最近,プリンタ用紙のサイズなどでよく見かける「レター(Letter)サイズ」などというのがそれだ。レターとは、その名のとおり便せんのサイズである.タイプライタ用紙として普及し,米国などでは,A4用紙の代わりとして一般化しているが,このレターサイズも英国と米国では異なり,さらにややこしい。

■A4ファイルサイズなんてない?
 ノートパソコンのサイズに話を戻そう.「A4ジャストサイズ」というのは,すなわち「A列4番用紙のサイズと等しい」ということだ.確かにエプソンのPC-386NOTEWのサイズは297(W)×210(D)×43(H)mmとなっており,縦と横はA4用紙と同じだ。
 では,「A4ファイルサイズ」とは何なのか?メーカーの表現では,A4用紙を収納できるファイルのサイズであるという。しかし,ファイルのサイズに明確な規格はなく,「A4ファイル」といっても文具メーカーごとにサイズが違う.
 ノートパソコンのA4ファイルサイズというのは,「A4」より大きいという意味しかなく,宣伝文句にすぎないようだ.


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A版とB版が混在したとき仕事を始め、A版に切り替えたときを経験したが、A4はB4より小さいので1枚ものの資料を作るのが大変だった。B4だったら収まるのにとA4切り替えを呪っていた。幹部は1枚ものにこだわっていた。俺に見せる資料は1枚にまとめろということだった。

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