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VGA,DOS/V,ニッカド電池その他(月刊ASCII 1991年7月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSの最後にVGAについての記事があった。スクラップする。
今月のキーワード
VGA

 最近,日本のパーソナルコンピュータ事情に変化が起きている.日本電気PC-9800シリーズが売れ筋1位であることに変わりないが,Apple社のMacintoshや富士通のFMTOWNSを押しのけるように,IBMPC/ATと,その互換機が話題にのぼるようになってきた。米国はもとより,欧州や,漢字を使う中国などでも,IBM系マシンは強い。世界標準機とも言われるPC/ATの強みは何なのか?
■VGAは下位の表示モードを含む
 IBMがPCを発売したのが1981年.PCの表示能力は,モノクロ80桁×25行のテキスト表示だけだった。この表示規格が「MDA(MonocromeDisplayAdapter)」だ.
 1982年には,カラー対応になったPC/XTを出している。グラフィックモードで最大解像度640×200ドット(16色中2色),テキストモードで40桁×25行が追加されている。これが「CGA(ColorGraphicsAdapter)」である.
 さらに,「EGA(EnhancedGraphicsAdapter)」搭載のPC/AT(1984年10月)になると,解像度640×350ドットのグラフィックモードが加わる.
 そして,PS/2(1987年4月)の登場だ。PS/2は,CPUスペック,マルチタスク対応,MCAバスの搭載など過去のPC/ATアーキテクチャとは異なる仕様のマシンだ。最大解像度640×480ドットのグラフィックモードを備え,表示色も最大256色表示に拡張された.この表示規格が「VGA(VideoGraphicsArray)」と呼ばれるものだ。
 VGAは,従来のMDA,CGA,EGAの表示モードすべてを含んでいる(表1)。ユーザーにしてみれば,より高い解像度,より多いカラー表示は魅力だろう.しかも,VGA上では、従来のCGA/EGA対応のアプリケーションが,デバイスドライバの登録だけで動く.PC/ATを,VGAにするハードウェア(VGAカード)も各社から安価(100ドル前後)で売られるようになり、本来はPS/2の表示規格だったVGAは,ひとり歩きを始めることになった。
 現在では,VGAより,解像度/同時表示色数が多いグラフィックモードとして,IBMの「XGA(eXtendedGraphicsArray)」や,「SVGA(SuperVGA)」というものがある.
 XGAは最大解像度1024×768ドットで,同時表示色数は最大6万5536色にもなる.これだけの色数が表示できるならば,自然動画(ビデオなど)の表示もたやすく,マルチメディアへの対応も可能だ。しかし現在,XGAはMCAバス対応のものしかない。IBMではATバス対応のXGAボードも開発したいとしているが,実物が出てきて普及するにはもう少し時間がかかりそうだ.
 一方のSVGAは,IBM以外のPC/AT互換機メーカーが独自に開発したATバス用の規格だ。メーカー間で,おおよその互換性はあり,普及の兆しもあるが,標準と言えるものではい.

■日本での高解像度対応は遅れる
 さて,海外では,下位モード対応のアプリケーションが動くということからVGAは普及が進んだが,日本での高解像度への対応はどうなのだろう.
 PC-9800シリーズは,IBMより一足先の1982年10月に解像度640×400ドット表示を実現していた.ところが,3年後に発表された高解像度1120×750ドットのグラフィックモードは,従来の解像度と互換性がない。しかも,高解像度にしたいならマシンごと買い替える必要があり,16色以上の多色表示にはフレームバッファが必要になる。これらの理由により,PC-9800シリーズの高解像度マシンは,爆発的普及に至っていない.
 また、日本語に関しては,EGA上で日本語を扱うために,日本で独自に拡張した「JEGA(JapaneseEGA)」を搭載したAXが1987年10月に生み出される.AXの表示は,英語モードのときはEGAと等しく,日本語モードでは解像度640×480ドット表示が使える.さらに今春には,VGA上で日本語を扱うための規格「AX-VGA」も発表された.
 しかし,これでようやくVGAなのである.さらなる高解像度のAX規格を定めるには,複数の参加企業で協議しなくてはならず,現在もなお協議中の段階だ。

■DOS/Vが切り開くVGAの世界
 国産メーカーが高解像度への対応に躊躇している隙を狙うかのように,昨年秋,「IBM DOS/V(VGA対応の日本語MS-DOS)」が発売された.
 DOS/Vを使えば,VGA上で日本語が使え、解像度も大きく,高価なオプション機器を使わずに自然色に近い多色表示ができる.今まで,日本語が使えるという利点でパソコン市場を席捲してきた国内のマシンは,どうなるのだろう?欧米で販売されてきたPC/ATとその互換機は、国産の同等のスペックのマシンよりも安価なのである.
 オープンな思想で設計され,上位への移行もたやすい「VGA」は,ここしばらく,パーソナルコンピュータ世界の表示規格として注目されるだろう.



表1 VGAが内包するIBMのグラフィックモード (括弧内は最大同時表示の色数)
MDACGAEGAVGA
テキスト表示
(桁×行)
80×25(1)40×25(16)
80×25(16)
40×25(16)
80×25(16)
40×25(16)
80×25(16)
グラフィック表示
(桁×行)
なし320×200(4)
640×200(2)
320×200(4)
640×200(2)
320×20(16)
640×200(16)
640×350(1)
640×350(16)
320×200(4)
640×200(2)
320×20(16)
640×200(16)
640×350(1)
640×350(16)640×480(2)
640×480(16)
320x200(256)

 普通のパソコンユーザはBASICから始めた。LOAD,RUN,LISTのコマンドから始めた。マシン語から始めたオタクはごく少数で同好の士を探すのに苦労したものだ。パソコンショップで話しかけたりして探したものだ。MS-DOSになってからもCUIは続きDIRが一番投入したコマンドかもしれない。日本のパソコンはCUI時代で終わったと思う。日本のパソコンは640×400ドットで漢字ROMを持ちTEXT VRAMを持つことで仕事に使えるようになった。グラフィックスはゲームソフトにしか使い道がないと言っても過言ではなかった。GUIで仕事をする時代が来るとは思っていなかった。VGAに遅れをとったのは仕方がない。GUIを軽んじていた。日電はこともあろうにハイレゾモードを取り去ったH98を出すほどだ。日本もIBM PC互換機の時代になるのだが、Windows95の登場を待つ必要があった。

特集からコラム記事の「ただのIBMPCが日本語対応になる DOS/Vのすべて」をスクラップする。

 今回の特集では,日本IBMをはじめ5社のIBM PC(互換機)を紹介しているが,ご存じのようにIBM PCはそのままでは漢字の表示や入力を行なうことができない.にもかかわらずここへきてIBM PCが脚光を浴びているのは,J-3100やAXのような特殊なハードウェアがなくても日本語処理を可能にするソフトウェア,「DOS/V」が登場したからである.
DOS/Vとは何か
 DOS/Vというと何か特殊なDOSのように聞こえるが,その実態は「普通の英語版MS-DOSと,日本語処理のためのデバイスドライバなどをセットにした」だけのものである.マウスを使うのにマウスドライバが必要であるように,日本語を処理するのにDOS/V(のドライバ)が必要であるというわけである(図A)したがって,DOS/V起動時の画面は,日本の普通のMS-DOSマシンと変わりないし,ファイル操作などの方法もMS-DOSとまったく同じである。

ASCII1991(07)c11DOSV図A_W341.jpg
DOS/Vを使うのに必要なハードウェアは
 DOS/Vを利用できるマシンの条件は,(1) IBMPCアーキテクチャのマシンで,(2) CPUが80286以上で,(3) VGAの表示機能を持っていることである.日本国内で容易に入手できるJ-3100やAXは,ごく最近の製品を除いてVGAを搭載していないために,DOS/Vは使えない。逆に,海外で販売されているIBM PCでも上の条件を満たすものなら使えるというわけだ。
 もっとも、海外のPCに付属する「ATキーボード」には「漢字キー」「変換キー」などがないため,日本語入力ができないという問題が発生するPS/2仕様のキーボード端子を持っているマシンなら,日本IBMが販売している「PS/55用キーボード」を使うことで解決できるが,普通のAT互換機のキーボード端子は形状が異なる。現時点では,ATキーボードに漢字キー相当のコードを発生させるためのキーボードドライバなどで対応するしかないが,PS/55用キーボードを接続するための変換ケーブルなどを作ることでも対応は可能であるし,OADG参加メーカーから,ATキーボードの端子に接続できる日本語キーボードがリリースされる可能性も高く,そう心配する必要はないだろう.
 DOS/Vそのものは、現在のところ日本IBMが販売しているもの(基本セットで1万8000円)しかないが,OADG参加メーカーが発売してくることも考えられる.

DOS/Vはどうやって漢字を表示するのか
 IBM PCには漢字ROMなど搭載されていない。そこでDOS/Vは,起動時に漢字フォントをディスクから読み出し,プロテクトメモリに置くようにしている.漢字を表示する際には,そこからフォントを読み出して画面に転送するというわけである.ただ,一部の機種では,DOS/Vが漢字ROMをアクセスするようになっている(PS/55note,5510Z/T,TERADRIVE).もちろんこれは,DOS/V用の漢字ROMを積んでいるからであって,たとえばJ-3100にVGAカードを差した場合にJ-3100の漢字ROMをDOS/Vが使ってくれるわけではない.
DOS/Vはどれだけメモリが必要か
 MS-DOSは640Kbytesのメインメモリで立派に起動するが,DOS/Vを使う場合は,漢字フォントを置く領域として最低256Kbytes程度のプロテクトメモリがまず必要である.
 次に,漢字表示のために計10個のファイルが必要だ。CONFIG.SYSに5つの行を追加する必要があり,システムディスクの作成はけっこうたいへんだ.
 実はこの状態では,MS-DOSのフリーエリアは500Kbytes程度しかない。日本語入力FPのためのプリプロセッサ「$IAS.SYS」が約48Kbytesほど,漢字表示システム「$DISP.SYS」とフォントドライバ「$FONT.SYS」が合わせて20Kbytesほど必要とするからだ。FPを組み込むことを考えれば,DOS/VにEMSメモリは必須といえる.EMSがあれば「$IAS.SYS」も逃がすことができる。
 386マシンなら,「QEMM386」などの仮想86マネージャを使うことで好きなようにEMSメモリを確保できるが,286マシンの場合は注意が必要だ。5510ZやTERADRIVEのように,プロテクトメモリの一部をハードウェアEMSに設定できるようなマシンならいいが,そうでないと苦労することになる。386マシンの場合でもメインメモリは1.5Mbytes以上というのが最低ラインになるだろう.

DOS/Vの上ではどういうソフトが使えるのか
 DOS/Vはもともと英語版のMS-DOSなので,どの会社のMS-DOSでも動くような,いわゆるDOSジェネリックなソフトなら,DOS/V上でも動作する.日本語のメッセージはちゃんと表示される.また,画面に依存しないソフトウェア(たとえばQEMM386のようなメモリマネージャなど)も一般に動作するようだ。
 それ以外のソフトに関してはあまり期待はできない。PC-9801やJ-3100など用のソフトウェアはもちろん,IBM PC用のソフトの多くも期待薄だ。その原因は,テキストベースの多くのソフトウェアがMS-DOSのファンクションを経由せず,直接ビデオRAMにデータを書き込んでいるからだ。AXでは普通に動作するNorton Commanderのようなテキストベースのユーティリティが使えないのは少々残念である。
 そういうときには2つの解決策がある.ひとつは「chev」コマンドを使う方法だ.コマンドラインから「chevus」と入力すると,メッセージも含めほぼ完全に英語モード相当の環境になる.ちょっと英語版のソフトを使いたい場合などに便利だ。もっとも、日本語表示用の各種ドライバなどは常駐したままなので,メモリ環境まで一緒というわけにはいかない。完全に英語DOSと同じ環境が欲しいときは「switch」コマンドを使うが,これを実行するとシステムはリブートする.

DOS/V用にはどんなソフトがあるか
 日本語といえば何をさておき日本語入力FPと,ワープロかエディタが欲しい.現在日本語入力FPには,日本IBMが提供する「MKK」があるほか,一太郎dashを購入すれば「ATOK7」が,VJE-Penには「VJE-βVer.2.5」が付属する.エディタには,「MIFES」,「VZエディター」,「FINAL」がすでにDOS/V対応版を販売している.
 また,すでにWindows3.0のDOS/V対応版が日本IBMから出荷されているためExcel(表計算)やPageMaker(DTP)などWindows用ソフトも使える状況にある。このほか,Multiplan,Lotus1-2-3UPシリーズ,F-1DATABOX,TheCARD3などがすでに対応,または発売予定リストに挙がっている.

DOS/Vマシンの周辺機器は
 DOS/Vマシンのハードウェアは普通のIBM PCと同じだから,IBM PC用の周辺機器や拡張ボードはすべて使えるインストールソフトが日本語モードで動かないということはあるが,そのときはインストールだけ英語モードにして行なえばよい。
 プリンタについては,DOS/VのVer.4.06から,IBM純正とともにESC/P用のプリンタドライバも付属するようになったので、とりあえずその2つは使える.マウスはマシンによるが,PS/2用マウスの端子がなければ,シリアルマウスか,ボードを1枚差して使うことになる.モデムの接続には特に問題はない。

 この時点ではDOS/Vを導入する必要性が見いだせない。テキストベースでMS-DOSを使うのならPC-9801でいい。グラフィックは劣るが必要なソフトはゲームソフトだけのような状態だった。CUIからGUIに変わり、使いものになるWindows95が出たときにDOS/V機にアドバンテージが出てきた。DOSを使わなくなったのはWindows95でWindows3.0はDOSを起動し、Windowsという環境ソフトをかぶせたものだった。Windows95はMS-DOSに取って代わるきちんとしたOSだった。MS-DOSは名前の通りDisk Operating Systemという限定品だった。
 DOSを使わなくなってからDOS/V機が広く使われるという逆説的な状態が面白く、好きだった。

ニッカド電池のメモリ効果が懐かしい。J-3100SSのロードテストをスクラップする。
ASCII1991(07)g01J-3100SS_W520.jpg
バッテリは気を使ってこそ長持ちする
 J-3100SSの動作のすべての源は,搭載されているニッカドバッテリである。たとえ,ACアダプタをつないでいても,バッテリが弱るとJ-3100SSに電源が入らなくなる。この「バッテリ第一」の電源仕様は,モデル002などSS02E以降に発売されたモデルでは解消されているものその,ロードテスト対象マシンでは,バッテリが消耗すると最低30分の充電時間を費やさないと動かないのである.
 充電式の電池全般に言えることだが,充放電を繰り返すと必ず寿命がくる.ニッカド電池は,この寿命までの時間が比較的短い充電池で,約200~1000回が限度だという.乱暴に扱えばさらに短くなるのは言うまでもない.

メモリ効果によるバッテリ不調
 ニッカド電池が弱る主な原因は,過充電と過放電である.なにごとも過ぎると良くないのは分かるのだが,それ以外にも、突然バッテリが死んだようになってしまうことがある.
 J-3100SSの標準バッテリは,完全充電時に約9.6Vを出し,約7Vぐらいにまで出力電圧が下がると,バッテリローでシャットダウンする(図1)。ところが,常にACアダプタをつなぎっぱなしにするとバッテリを消費しつつ充電することになるため,バッテリが安定して出力する電圧が8V前後になる.ニッカド電池は,充放電の電圧差を記憶する特性(メモリ効果)がある。このままでは,充電しても8Vにしかならず,8V以下になると急速に電圧が低下し,バッテリ使用時間が極端に短くなる.
 メモリ効果をなくすには、完全放電,完全充電を数回繰り返す必要があるが,J-3100SSのセットアップウィンドウで確認できるバッテリ残量は,充放電の時間を示しているだけなので,あてにはできない.
 完全に充電したければ,J-3100SSがフル充電を示してから,いったんバッテリを取り外し、セットアップウィンドウ内の表示を“???”にして再度充電する.さらに,完全放電させるには,J-3100SSがバッテリローで動かなくなった後に,バッテリの+,-両端子に適当な抵抗をつないでバッテリを使う.ただし,出力0V近くにまで放電してしまうと逆にバッテリに害を与えるので,テスターなどで測定しつつ,6V程度にまで下がった時点で放電を止めておこう.

バッテリは寝ることもある
 ニッカド電池は,内部の化学物質が突然,不活性状態になる(寝る)ことがよくある。いったん寝てしまったバッテリは、充電ができなくなり,出力電圧が低いままになってしまう.
 このような状態でJ-3100SSの電源を入れようとすると,コンピュータ内部に十分な電気が供給されず,充電を促すインジケータが点滅したり,FDDをアクセスするとシャットダウンしてしまったりする。この状況は,昨年春にJ-3100SSを修理に出したときの状態と似ている.あのとき伝票に書かれていた修理項目が,「デンチパック交換」となっていたこと思えば,J-3100SSは故障などではなく,ただバッテリが寝ていただけだったのかもしれない.
 眠ってしまったバッテリを起こすには,バッテリの端子に,瞬間的に充電電流の2~5倍の電流を流すとよい.具体的には定電源装置などを使うのがベストだろう.それでもダメなら,そのバッテリは寝ているのではなく,死んでいる.あきらめて新しいバッテリを買うしかない.

 パソコン通信ネットでも,バッテリ改造のレポートがあったり,セットアップウィンドウ内のバッテリ残量表示を自由に移動させるフリーソフトウェアがあったりと,ユーザーたちの苦労が忍ばれる.
 J-3100SXの海外版である「T2000SX」では,ニッカド電池の約10倍の寿命の「ニッケル水素電池」を載せていると聞く.このニッケル水素電池は、ニッカド電池よりも容量が大きく,放電も長時間安定しているそうだ.
 先日入った情報では,ソニーのハンディビデオカメラ「CCD-TR705」が,このニッケル水素電池をバッテリとして採用したとのこと。しかも,ACアダプタや専用充電器には、バッテリの残電気をいったん放電してから再充電する機能がついている。このような高品位バッテリや充電機能を備えたノート型コンピュータの登場を待ち望みたい.  (池田)


ASCII1991(07)g01J-3100SS図1_W520.jpg
 ダイナブックのバッテリには苦労した。最初バッテリを外してACアダプタだけでは起動できないのにはこんなことがあるんだと驚いた。メモリ効果にも苦労してバッテリは3本持っていたが、1本はACで接続して使用するときの専用だった。秋葉でニッカド電池を買ってきてバッテリを分解して電池交換もした。何事も最初は大変だった。
 そうそう東芝の修理部門は親切だった。お世話になったのでそこに行った後は、諸々の不満が解消した。

「単語テーブル」からスクラップする。
シークタイム seek time
 ハードディスクの基本的な原理は,フロッピーディスクとよく似ています。内部に収められた円盤状の磁性体は,フロッピーのように柔らかいペラペラしたものではなく、固い金属やガラス製ですが,磁気化された情報は,どちらも同心円状のトラックに記録されます(図1)。この情報の書き込みや読み出しは,レコードの針のような磁気ヘッドという部品によって行なわれます.
 しかしレコードと違って,パソコンの情報は,トラック上に順序よく並んでいるとは限りません。必要な情報が離れたトラックに書き込まれていることもあります。そんなとき,パソコンはどの位置の情報を読み書きするかをハードディスクに指示します。このとき,磁気ヘッドが指定されたトラックに到達するまでに多少の時間がかかります.これがシークタイムです.
 もちろん,離れたトラックに移動するときは,隣のトラックへの移動と比べて時間がかかります.そこで,ハードディスク上の情報をまんべんなく読み書きするとして,磁気へッドの移動にかかる平均的な時間を「平均シークタイム」と呼んでいます.
 ハードディスクのカタログにも、たいていは「平均シークタイムXXミリ秒」などと表記されています.シークタイムは,ハードディスクの動作スピードの目安になる数値と考えていいでしょう.一般にシークタイムが短いほうが高速なハードディスクというわけですね。
 しかし,実際に使ってみると,カタログに書かれているシークタイムが短い製品よりも、長い製品のほうが高速にアクセスできることもあります。
 また,筆者が現在利用しているハードディスクは,カタログにはシークタイム18ミリ秒と書いてあるのに,専用のソフトウェアを利用してシークタイムを実測してみると,24ミリ秒と表示されます。これは,別に不当表示というわけではなく,シークタイムの測定方法や条件の違いによるものでしょう.
 最近では,平均シークタイム20ミリ秒程度のハードディスクが主流になってきていますが、数ミリ秒程度のシークタイムの違いに力リカリすることはありません。さすがに,シークタイム85ミリ秒の製品よりは20ミリ秒の製品のほうが速いことは確かですが,20ミリ秒の製品と18ミリ秒の製品では一既にどちらが速いとも言えないでしょう.
 このほかに,ハードディスクのファイルを読み書きする場合の目安になる数値としては,データ転送速度などもあります.これは,1秒間にどれぐらいの量のデータをパソコンとハードディスクでやりとりすることができるかという数値で,この値が大きいほうが高速です.毎秒10Mbit程度の数値なら十分でしょう.もっとも,この数値もさまざまな条件で変わってきますから,あまり神経質になることもありません.
 いろいろ難しいことの多いハードディスク選びですが,ハードディスクを選ぶ場合には,カタログの数値ばかりでなく,雑誌などの評価記事やユーザーの評判も確かめたいものです.


ASCII1991(07)h01seek_time図1_W411.jpg
 今使っているマシンのD:ドライブにはToshiba MD04ACA600(6TB HDD SATA)が入っているが、カタログ上の転送速度は6Gb/sだから100倍は速くなっている。加えてバッファが128MB。快適に使えてありがたいことです。

編集室からスクラップする。
○○○が飛んだ日
▲リセットスイッチについて「このようなスイッチが付いた製品はパソコン以外にはないのではないか」などと6月号のDMAに書いたら,読者の方からお便りをいただいた。「リセットスイッチの付いた製品なら対震自動消化装置付き石油ストーブとか漏電ブレーカー,子供のおもちゃ(タイマ付きのゲーム)など,ソロバンも(スイッチはないが)そーだと思う」というのだ。たしかに,そうかもしれない.
 さて,こんな話を始めたのも私のヘッドホンステレオが,ごくたまにハングアップしてしまうからだ。つまり,どのボタンを押してもウンともスンとも言わなくなってしまう。普通の人なら,これで「壊れた」と思うのかもしれないが,パソコンユーザーならすぐに「飛んだ」(ハングアップした)と了解するだろう.しかし,ヘッドホンステレオにはリセットボタンなどないのだ。
 結局,それはボタン電池(最近のものはモードやカウンタを保持したり液晶表示したりするために入っている)を出し入れすることで無事もとの状態に戻った.しかし,この話を編集部ですると、最近のこの手のいわゆるパーソナル家電には,ハングアップするものが結構あるということが分かってきた。あるポータブルCDプレイヤーでは,ハングアップに再現性があり,どのような操作をするとハングするかを知っているという人もいた。そして,ビデオデッキやなんと洗濯機でハングアップしたという話もあるという.
 理由は簡単。家電製品がどんどん利口になってきたからなのだ。ハングアップというのは,コンピュータというものが優れて高度な処理をこなす特別な装置であるという認識のもと,許されていたようなところがあると思う。その,ある種,神聖な領域が私のヘッドホンステレオや家電製品におかされはじめているようでもある。
 しかし、ハングアップなどしないほうがよいのだ.爆弾もでないほうがよいに決まっている(Macintoshではエラーが検知された場合に画面に爆弾のマークが表示される)。パーソナルワープロやファクシミリなどのハイテク製品を,第2家電と呼んだりするのだという.その第2家電の仲間に確実に入りつつあるパーソナルコンピュータだが,少し込み入ったことをしようとすると,なかなか微妙で難しい部分がある。  (遠藤諭)

 1991年の時点でこの有様だった。利口になるほど故障になるのか。馬鹿な方が楽かもしれない。昔のTVは叩くと直ったから。

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