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PC-9801NV/DX,VZ兵頭嘉彦氏インタビュー(月刊ASCII 1991年2月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

PRODUCTS SHOWCASEからPC-9801NVとPC-9801DXをスクラップする。
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286マシン相当になった
 PC-9801NV(以下NVと略す)はCPUにクロック周波数16MHzのV30HLを搭載,液晶には,PC-9801NSと同じ冷陰極管サイドライトを採用している。その他の基本スペックはPC-9801Nとほぼ同じで、2HD互換のRAMドライブやプリンタなどの各種端子は,並び方もそのままに収められている.
 気になる動作速度だが,編集部のベンチマークテストでは,12MHzの80286相当のパフォーマンスを実現している.上位機のPC-9801NSとの比較で言えば,かけ算で大差がついたほかは,おおむね2~4割減というところで,Nとの距離でいえばずっとNSに近い(図1)。
 普段PC-9801RXなどを使っている人なら,ほとんどデスクトップそのままの環境がNV上で実現する。24万8000円でモニタ付きの普及型デスクトップビジネス機に匹敵する機能をワンセットで揃えられるのはなんといっても安い.ただ,CPUがV30であるためプロテクトメモリが使えない。すなわち,MS-Windows(あるいは今春と噂されるWindows3.0)などを使うには制約が多い.

 V30が速いのか80286が遅いのか、V30HL(16MHz)と80286(12MHz)が同じくらいの速度だった。返す返すもPC-9801VMを買わなかったのが最大の間違いだった。PC-9801VX2は8086ではないと言って買うのではなく、もっと早くV30は8086ではないと言って買っておけば恨みつらみと共にパソコンを使わずに済んだ。V30は良いCPUだったと今でも思っている。速度は正義だ。
 Windows 3.0の件だが、640×400ドットの日本語環境(文字フォントが16ドット)でWindowsなんて常軌を逸している。この時点ではWindows 3.0は考えなくて良かった。

ついにレジュームを装備
 NVの注目点はやはり,レジューム機能の装備と,初のオートパワーオフ機能だろう.
 レジューム機能は,電源遮断時のメインメモリや画面などの情報をバックアップしておき、再度電源を投入したときに,電源遮断時の状況を瞬時に再現する機能.いつでも気がねなく電源を切ることができるので,持ち運んで使う人には,ブート時間の節約とともにメリットは多い.レジューム機能は,次の3つの場合に働く.まず,ユーザーが電源スイッチを切った場合。次に,後述する「オートパワーオフ」によって電源が切られた場合.最後に電池の消耗によって電源が切れた場合である。
 PC-9801互換機ではすでにPC-386NOTE Aがレジューム機能を装備しているが,使い勝手はNVのほうがよいようだ。たとえば,NOTEAでは電源投入後10秒ほどキー入力を受け付けないのに対して,NVではほとんどすぐに(3秒程度)動作が続けられる。また,NOTEAでは電源消耗によるシャットダウン後90分でレジューム内容が失われるのに対し,NVでは5時間保持してくれる.

 遅きに失している。今頃レジュームかよ。そうは言ってもNECが心を入れ替えたとも言えるPC-9801NVは良い機械だったと思う。持っている人は知らなかったけど。遅いんだよ。
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PC-9801DX
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 内部で変更された点としては,まず増設メモリの強化があげられる.従来機種ではメイン基板に増設RAMボードを差し,その上に増設RAMサブボードを最大4枚まで装着するもので,最大3Mbytesまでしか増設できなかった.これに対し,DXでは最大10Mbytesのメモリ搭載可能な増設RAMボードのほかに,さらに2Mbytesまで増設可能な増設メモリコネクタがある.拡張スロットを使用することなしに12.6Mbytesまでメモリを増設でき,拡張スロットにメモリボードを装着すれば最大14.6Mbytesまでのメモリ増設が可能だ(図1).
 メモリの増設が如何に面倒だったかが分かる図だ。
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 FM音源は,従来はEXなど3.5インチ機を中心に搭載されていたが,DXでは全モデルに標準搭載されている.PC-9801シリーズでは,FM音源とHDDインターフェイスを使用すると,EMSが事実上使用できないという問題がある.これは拡張ROM領域にサウンドBIOSとHDDBIOSを配置すると,EMS用のページフレーム領域が十分に確保できなくなるためだ(図2)。
 DXでは,FM音源を後述するシステムセットアップメニューで切り離すことができる.従来のFM音源搭載機種では,基板上のジャンパスイッチを切り替える処理が必要だった.FM音源を簡単に切り離すことができるようになったので,HDDとEMSを使用する人にはありがたい機能だ。

 PC-9801はゲーム機としても使われていたのでFM音源を使うことがあった。職場ではFM音源は使わないし、家ではゲーム機が他にあったので98のゲームをする機会はほとんど無かった。
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MIFESとVZの比較記事があった。VZに関してのみスクラップする。
なにしろVZはほれ込んだソフトだった。
ソフトウェアを捨てる(TurboC他)
以下過去の記事を再掲する。
---- ここから ---
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高機能なのに安かった。コピーする人が多かった時代、周りに是非購入するようにと勧めていた。このソフトが出てありがたかったし使いこなしたと思っている。
以前からの私の主張は
・プロテクトがかかっているからコピーに挑戦する。かかっていなければコピーしない。
・高価だからコピーする。安ければコピーしない。
これに対し、知人は
「そんなことはない。コピーする人間は、ノンプロテクトだろうが安かろうがコピーする。」
と反論してました。
VzEditorは買ってもらえると思って盛んにユーザーを増やそうと努力したのですが、知人の意見が正しいと納得しました。コピーユーザーは良心の呵責がないのです。心に痛みを、負い目を感じてコピー品を使っていた人間しか購入しないものです。
---- ここまで ---
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(前略)
 一方のVZは,商品とフリーソフトウェアの中間的な存在ともいうべき,きわめてユニークなソフトウェアである.ひとことでいえば,作者の兵藤嘉彦氏の個性で作られ,それがたまたま売られているというような感じすらある。また,細部の作りはある種の美学で貫かれており,常駐モードやカスタマイズの機能などエキセントリックな作りになっているそして,9800円というこれまた型破りな価格設定が特徴だ.
 MIFESとVZの基本スペックを表1に示す.VZは,すべてアセンブラで書かれているだけあって,必要とするシステム資源は,MIFESよりも小さくてすむ.

 アセンブラで書かれたプログラムは軽快で気に入っている。他のもっさりとしたアプリも全部をアセンブラで書けとはいわないが、速度が必要な部分はアセンブラで書けよとずっと思っていた。
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VZにしかない魅力
常駐モードのパラダイス
 常駐モードは,-zをオプションをつけて起動してやることで,プログラムをメモリの一部に残したまま終了するモードである.したがって,このように常駐した後は、何もなかったかのようにMS-DOSのプロンプトが表示された状態となる.この状態で,ESCを押すといきなりVZのファイル名の入力をうながす窓が開いて,たしかに常駐していたのだということが分かる.VZが常駐することで,占有されるメモリは50Kbytes程度だが,EMSをフルに生かせばわずか2.5Kbytesしかメモリを圧迫しない.
 しかし,常駐モードの本当の魅力は,VZをいちいちディスクから読み出すことなく瞬時に起動できるといったことよりも,一見何も起こっていないかのように見えたMS-DOSのプロンプトの状態で働くものなのである.

コマンドラインの環境が変わる
 たとえば,マルチステートメントが使えるようになる.これは,";"によって複数のコマンドを区切って1行で指定して実行できるものだ。しかし,このマルチステートメントもエリアス機能と組み合わせてこそ真価を発揮するともいえる。エリアス機能は,DEFファイルに登録しておくことで,あるコマンドを別の名前で実行できるというものだ。たとえば,DEFファイルに次のように指定しておけば,“cl file"と入力することで“del file.bak ; del file.$*”が実行される.マルチステートメント機能と併用すれば,短いバッチファイルを作る必要はなくなる.
 cl del%1.bak ;del%1.$*
 ヒストリ機能は,入力したコマンドを覚えていて,カーソルキーなどによって過去に入力したコマンドを呼び出し,必要なところだけ書き直してまた実行できるというものだ。MS-DOSのテンプレートをずっと強力にしたものと考えればよい。
 コマンドラインのヒストリ機能は,MIFESでは,子プロセスでのコマンド実行環境として利用できるが,VZでは,コマンドラインだけでなく、検索文字列,置換文字列,複写文字列,ファイル名などの入力でも同じ考え方でサポートされており,MIFESよりもずっと使い勝手をよくしている.

ファイラはビジュアルシェル
 VZを起動するとファイル名入力のための窓が開くが,ここでリターンキーを叩くと,ファイラが立ち上がる.一見地味な画面だが,市販のファイル操作ユーティリティやビジュアルシェルと呼ばれているもの(File Masterやエコロジー)の機能の多くをカバーしてしまう.
 たとえば,「Mask」という機能は,ファイルの一覧を指定したマスたとえば拡張子が“doc"と"txt"のものだけ)に合ったものだけを表示するようにする.「Sort」は,文字どおり並び順を指定するもので,たとえば作成・変更日時の新しいものから順に並べるなどといったことができる。このほかにも,ディレクトリの変更や表示方式の変更,さらには2つのディレクトリの内容比較といったことまでできてしまうのである(写真8).
 おまけに,ファイル名の並んだ窓でスペースバーを押すことでファイルを選択しておき,それらの一括削除,コピー,パック/アンパック(別途アーカイバが必要)などが可能なのである.

コンソール出力バックスクロール機能
 VZを常駐させた状態で,SHIFT-ESCを押すと,VZを起動するまでのMS-DOSのコンソール出力がそのまま編集テキストとなる(常駐させてないときには子プロセスで実行した結果の出力が対象となる).ちょうど通信ソフトのバックスクロール機能のような感じだが,このMS-DOSのコンソール出力は,ほかの普通のテキストファイルとまったく同じ扱いなので,編集したりほかのファイルにカット&ペーストしたりすることもできる(写真9).
 こうした環境は,形は異なるが近い効果を提供するフリーソフトウェアのxscript(Oka氏による)はあるが,自然な形でエディタに取り込んでしまっているケースはほかにはない.

テキストスタック
 VZでは,ブロックのカット&ペーストの際に,カット(またはコピ-)したテキストは,スタックに積まれる。MIFESでは,2回カット&ペーストを行なうと,以前のカットバッファの内容は,どこかにペーストしなければ消えてしまうが,VZではテキストスタックがあふれない限り保存されており,遡ってペーストできる。
 スクラップしてやっと思い出せた。この環境が当たり前となっていたので忘れてしまったのか。MS-DOSが便利になった。これらはUnixを使っていた人からみると当たり前だろうが、逆に言えばVZがあればUnix環境に似た拡張MS-DOSを使っていたようなものだ。
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作者の兵頭嘉彦氏のインタビューをスクラップする。
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――作られた動機みたいなものは?
兵藤 ようするに98U2を買って,とにかくエディタがないとプログラムが組めないから作ったと。そういうわけです。それまで,日立のS1というパソコンでエディタ作っていたので,そのへんのノウハウやアイデアがあったんです.
――なるほど。それでは開発コンセプトなんかは?
兵藤 自分が入れたい機能と,ほかの人の要求で「これはいいアイデアだ」と思った機能をかいつまんで入れることです.
――特にユニークというか,意識して入れた機能とかありますか?
兵藤 たとえば,テキストスタック,スムーズスクロール。あとインジケータですね,1番上のラインに出ている。意外と知られていないけれども,タイトルサーチなんかもそうです.
――なるほどね。ポリシーのようなものとかはないんですか?
兵藤 やっぱり「使いやすい」ということに尽きるんじゃないですか.それと,必要性の低い機能は入れない.
――アセンブラで書かれたのは,やはり小さいものを作ろうということですか?
兵藤 当時,C言語をまだ知らなかっただけです.それまでもアセンブラでしたし,アセンブラのほうが何かと容易だったわけです.あえてアセンブラで書こうというのではなかったのですよ.
――常駐モードというのは,どういうつもりで作ったんですか?
兵藤 いままでhistory(Oka氏によるフリーソフトウェア)とか使ってたんだけど,当然キーアサインがVZと違うでしょ.もっと統一できないかなぁと.それにTSRとかいっぱい組み込むのも嫌だった。
――これからVZはどんなふうになりますか?
兵藤 うーん,いろいろあります.たとえばマウスの対応はしたい。でもしたいというだけで,やるかもしれないし,やらないかもしれない。早い話がMIFESがやればやります.やっぱり、パソコン通信のログとか見るときなんか,マウスでボーっとやりたいですよ.あと、本当にやりたいのといったら,テキストの読み込みがいまけっこう単純なことをやってるんで,ちゃんとページごとに管理して,もっと速くしたい.

 ASCIIには、こういう作者のインタビューとかあるのが嬉しかった。

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