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アメリカのソフトウェアメーカーは何を考えているか(月刊ASCII 1992年1月号9) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

SPA(Software Publishers Association)という知らないものの記事を抜粋スクラップする。
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SPAってなに?
 9月10日(火)から9月14日(土)まで米国フロリダ州オーランド市のマリオネットワールドセンターホテルでSPAの年次大会が開催された.
 SPAというのは(Software Publishers Association)の略で、要するにアメリカのパソコンのソフトウェアメーカーの業界団体のことである.Lotus,Microsoft,CRARIS,Borland,WordPerfect,Ashton-Tateといったビジネスソフトメーカー,BroderbundやMAXISといったゲームソフトのメーカー,そしてIBMやAppleを始めとするハードウェアメーカーも入っていて,加盟社数は400社以上.毎年春と秋に国内で大会を開き,最近ではこのほかにヨーロッパでも大会を開くなど,活発な活動をしている.
 この大会に参加すると,アメリカの市場動向,新技術,販売戦略,法的保護の問題など多岐にわたる最新の動きを概観できる。私にとっては好奇心を満たす絶好のチャンスであり,このところ毎年参加するようにしている.
 SPAのコンフェレンスは,学会とかシンポジウムとかと同じ仕組みになっている。基本的にはパソコンのソフトウェアビジネスに関係するいろいろなテーマについて議論する「セッション」と講演,パーティ,ディーラーの展示,その他の行事から成り立っている.
 参加者が楽しめるようにいろいろな仕掛けがしてはあるのだが,この業界の人はマジメ人間が多いせいか,全体としてややネクラの感もなきにしもあらずといえる.今回の参加者数は,確認したわけではないが,少なくとも300人以上だったと思う。
 さてこれでSPAが何かは分かった。さてその内容は
IBM PCは米国内で1億台を超える!
 “Industry Trend”というセッションの中で,今後3年間の市場動向に関するプレゼンテーションがあった.いささか愕然としたのは,1994年におけるクローンも含めてのIBM PC規格のパソコンの累計台数が1億2500万台になるとの予測である.このほかにMacなどがあるわけで,アメリカの人口を考えれば,まさに「2人に1台」ということでクルマなみにパソコンが普及すると見ているのである(注)現在すでに7000万台が存在し,毎年1000万台が売れているので十分説得力のある数字である。最初この数字を聞いたときはとても信じられなくて,思わずあとで質問をしにいってしまった(英語の会議だから,分からないことがあれば,質問をして確認するのが一番である)。
 日本の10倍もの市場なので,とてもうらやましい話であるが,彼らにしてみるとそうではないらしい。デスクトップパソコンの市場は飽和状態になりつつあり、彼らの今後のビジネスは「新しいマシン,新しいソフト」がうまく立ち上がるかどうかにかかっている.既存マーケットのサイズが大きいからといって,安穏としてはいられないのだ。SPAはパソコンで商売をしている会社の団体だから,会議の内容も「動機が不純」になり,今のパソコンを使用していないか、使用できない環境でパソコンを使う市場に目を向けなければならないというので,「マルチメディア」と「ペンコンピュータ」が興味の対象になるわけである。
 一方,流通チャンネルもこのようなパソコンの大衆化をうけて,スーパーでパソコンを大量に売る動きが話題になった。従来型のパソコンショップの売り場面積が1200m2程度なのに対して,スーパーのチェーンは4000m2らいの売り場面積がある。たとえばシアーズではワードパーフェクト1社の商品を並べる棚の長さが20mもあるという。流通体制にも今後大きな変化が予想されるわけである。
プラットフォームの問題について
前述のように,アメリカではAppleかIBMか,WindowsかOS/2かUNIXかという問題はすでに「現在の問題」と化しており,それゆえまともにこの問題を扱っているセッションは見あたらなかった.
 1994年における市場予測として、図1のようなシェアがSPAの調査部門から出された。彼らは今後3年間はGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェイス)はWindowsとMacが使われるけれど,全体からすると5分の1くらいにしかならず,予想より伸びが落ちると考えているわけである。OS/2は、結果として大型コンピュータとつないで使う分野でしか使われないと考えられているのだが,それでも日本の大企業に相当する「フォーチュン500社」だけで,1000万台のOS/2マシンが使われると聞くと驚<.
 したがって,これからもワープロや表計算のほとんどは、従来のDOSの上で使われ,その上に事実上の標準であるNovelのLANがつながるということが規定の路線になった感じである.
 LANについては,Novelが1994年におけるパソコンソフトウェアの売り上げランクでトップ3に入ることが取り沙汰されていた.セッションの中での参加者どうしの話にも,「うちではこんなトラブルが」というと,サーバーが30台,端末としてのパソコンが100台などという話が平気で出てくる.すでにネットワーク・コンピューティングがあたりまえの環境になっているのがうかがえた。



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 「これからもワープロや表計算のほとんどは、従来のDOSの上で使われ,その上に事実上の標準であるNovelのLANがつながるということが規定の路線になった感じである.」WindowsではなくDOSというところがまともな現状把握だ。何回も書いているが当時一太郎、1-2-3、データベースソフト、お絵かきソフト、ゲーム等でパソコンを使っていてWin3に移行する必要性が全く感じられなかった。何が悲しくて金を払ってWin3を買ってDOSソフトを起動しなければならないのか。またWin3上で動くワープロ、表計算、お絵かきソフト、ゲームを買いなおすなんてバカげている。98ユーザである私はWin3に全く魅力を感じなかった。
焦点その2:ペンコンピュータ
 Microsoftがペン入力システムに手をつけていることは知られているが,今回はGOというベンチャー企業が「ペンコン」をくわしく紹介して,SPA傘下のソフトウェア会社にその将来性をプレゼンテーションした.
 GO社のペンコンピュータは,現状のパソコンに馴染めない層や,パソコンが使えない環境にあるユーザーを獲得する手段としての戦略的な商品だ。現在はノートパソコン程度のサイズだが,'95年にはシャツのポケットにおさまるサイズにまで小型化するとのこと.デモされたマシンもソフトもプロトタイプで,手書き文字認識もまだ組み込まれていないものだったが,基本オペレーションはMacintoshに似ていて,ユーザー・インターフェイスはなかなか良好だと思う。


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タブレットがショップに登場するまではペン入力は見たことがなかった。
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