SSブログ

マーフィの法則,AtariST(月刊ASCII 1990年7月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「近代プログラマの夕」が「マーフィの法則の起源をめぐった」だった。
ASCII1990(07)h01マーフィー合体_W520.jpg
当時マーフィの法則がマイブームだった。
一番のお気に入りが"If something can go wrong, it will"「失敗する可能性のあるものは,必ず失敗する」だった。
ASCII1990(07)h02マーフィー写真1_W339.jpg
スクラップする。
数理運命論的結末
 だいぶ前のことになるが,アスキーネット(PCS)で“Murphy”というプログラムを見つけた。このプログラム,autoexec.batの一番後ろあたりに入れておくと,マシンを起動するごとに,

Program complexity grows until it exceeds the capabilities of the programmer who must maintain it.

などと表示される.「プログラムの複雑さは,それをメンテしなければならないプログラマの能力を超えるまで拡大する」とでも訳そうか……

Complex problems have simple, easy to understand wrong answers.

などというのもある。「複雑な問題は,誤った答を出すには易しい」といったところだ。なかなか示唆的なものを含んでいる.

Any given program, when running, is obsolete.

「走っているプログラムは,すでに時代遅れで「ある」というような意味になるだろうか。そりゃ,そうだよ。

Any non-trivial program contains atleast one bug.

「どんなプログラムにも,1つ以上のバグがある」と訳してみよう。トリビアルなプログラムなどないと言ってしまえばの話だが,日本でも誰かが口にしていただろう.かと思うと次のようなものもある。

If you have watched a TV series only once,and you watch it again, it will bea rerun ofthe same episode.

「1回見た番組をまた見たら,それは再放送である」こう訳してみると何でもないように見えるが,この謙虚さがプログラムを書く上では重要なのである.

If a program is useful, it will have to be changed.

「プログラムが便利なものなら,それはやがては変更されなければならない」。これは,なかなか深い。

これに似たプログラムに(というよりもこちらが似ているのだと思うが)“Fortune Cookie”というプログラムがあるそうだ。それは,文字通りその日の吉凶(マシンの吉凶)を占うメッセージを表示するものらしいが,“Murphy”のほうは,何やら格言めいたメッセージを表示するようになっている。
 さて,すでにお気づきの方もおられると思うが,この“Murphy”は「マーフィの法則」の“Murphy”だったのである.
 「マーフィの法則」を初めて聞いたのは,今を去ること10年も前のことだったと思う。私は、本ページのタイトル通りプログラマをやっていて,同じプログラマの1人から,訳知り風に例の一番有名なフレーズを聞かされた.

The chance of the bread falling with the butter side down is directly proportional to the value of the carpet.

「パンがバターを塗った面を下にして落ちる確率は,カーペットの価格に比例する」。今でも,何かことがあると,年に数十回はパソコン通信のどこかのボードなどで,このフレーズが書き込まれているのではないかと思う.なんとも皮肉っぽくて,シニカルな雰囲気だが,「比例」するというあたりが,追い打ち的なしつこさと,数理運命論的(そんなものがあればの話だが)でプログラマ好みであるのは十分に理解できる.別にコンピュータ関係の話ばかりではないのだが,プログラミングの話もかなりあるので,この業界で見聞きしたりどこかで読んだという人も少なくない はずだ.

Murphyさんに会いたい
 “Murphy's Law"という単語,英和辞典などにはほとんど載っていない(唯一『最新英語情報辞典』<小学館刊>にはあったが,語源不明とある).ところが,PCSの"lab.words"(ことばの研究)ボードを見たら,「よいこのマーフィ」というノートが開かれていて20数個の書き込みがなされていた.
 “Murphy's Law”という本があるというのだ.そこで,洋販直営の高田馬場はビブロスで調べてもらうと,あるある“Murphy's Law and other reasons why things go wrong!"(Price Stern Salon刊, Arthur Block編著, '77年)という本だ.続編も2冊,カレンダーや飛び出す絵本なども出ている.しかし,日本には入れていない出版社なので,取り寄せるには3週間ほどかかるという.
 実は、これと前後して,編集部のBum宮野が,オンラインデータベースで“Murphy's Law”を調べてくれていた.これは,アスキーネットからDelphiをゲートウェイして,アメリカのDialogにアクセスしたものだった。そこで関係のありそうな10数個のデータベースから,“Murphy”と“Law"という2つのキーワードでゴリゴリと探しまくった結果を,プリントアウトの束でくれたのだった。
 これによると,マーフィの法則なんてものはいくらでもある。カリフォルニア州立大FullertonフットボールチームのコーチGene Murphyさんのマーフィの法則もあれば,ファッションデザイナーとおぼしきJack Murphyさんのマーフィの法則もある.Cities Communications Inc.Tom Murphyhのマーフィの法則は,“Forbes"誌の'81年3月16日号に載っているという.“Field and Stream"誌の'84年2月号には,“Murphy's Law and fishing”という1文が載っているという.Model Railroader”の'83年11月号には“More laws from Murphy.”という記事がある。ビジネスからスポーツ,釣りの世界,鉄道の世界,映画の世界のEddie Murphyまで,およそ,ありとあらゆる分野にMurphyさんがいて,数え切れない「マーフィの法則」が存在するというわけだ.Joseph Murphyのものは,これはビジネスとも心理学ともつかない法則とか格言とかあって,日本でも何冊も翻訳されているのだが,まったくの別物なので注意が必要である.
 そんな中で,今回の「マーフィの法則」に関する記述もかなり見つかった。そのうちの1つが,例の“Murphy's Law and ……"たわけだ。
 さてさて,こんなことをしているうちに、某メーカーの企画広告担当者と会ったおり,「マーフィの法則ならCFで使おうとして大手広告代理店にアメリカまでやって調べてもらったよ」という話を聞いた。調べものもこうなると大名気分である.そうして分かったことはというと,まず,例の本がベストセラーになって有名になったこと,そして,その本は“Murphy's Law”とは謳っているものの,さまざまな出版物やひとつ話,民間伝承などからマーフィの法則と並べられるようなアフォリズムを集めたものであること,さらには,オリジナルのマーフィの法則は,アメリカ空軍で使われ始めたものであることなどが報告されたのだという。そうして,報告とともに 届けられた“Murphy's Law and ……”も貸してもらうことができた.
 プログラムの“Murphy”とこの本の内容は,重なる部分がかなりあって,プログラムのほうがサブセットといった感じになっている.出典についてのAcknowledgementによると,コンピュータに関するものの多くは,'68年の"Datamation"(Technical Publising Co.刊)に掲載されたものらしい。

If builders built buildings the way programmers wrote programs, the first woodpecker to come along would destroy civilization.

「プログラマがプログラムを書くように建築屋がビルを建てたら,最初のキツツキが来たときに壊れてしまうだろう」などというのは,「ソフトウェア危機」と言われた当時の状況を如実に表わしていると言えないだろうか.
 ところで,大手広告代理店による調査でも分からなかったことが,Bum宮野によるアスキー編集部に居ながらのデータベースの検索で分かった。
 写真週刊誌『フォーカス』が手本にしたといわれる“People Weekly"誌の'83年1月31日号に掲載された“Murphy's Law really works,and nobody knows it better than Murphy, the unsung sage of the screw-up.”とタイトルされた記事である。その全文がそのまま“MagazineASAP”というデータベースに登録されていたのだ。
 Dianna Waggonerという記者が,“Murphy's Law and ……”の編著者であるArthur Broch氏と,マーフィの法則のマーフィことEdward Aloysius Murphy Jr.氏を訪ねてまとめたものである.
 記事によると事の起こりは'49年,カリフォルニアはエドワード空軍基地(ここが発祥の地であることは“Murphy's Law and ……”でも触れられてはいる)。ここでMurphyは,信頼の厚いエンジニアとして働いていた.John Paul Stappという少佐が,人間はどれだけのG(重力)に耐えられるかというテストを遂行中,重力測定装置の異常を認めて戻ってきた。原因は,誰かが間違ったセッティングをしていたためであることが分かった。それを発見したMurphyが言ったのが,

If there's more than one way to do a job and one of those ways will end indisaster, then somebody will do it that way.

「いくつかの方法があって,1つが悲惨な結果に終わる方法であるとき,人はそれを選ぶ」という台詞だという。これが,マーフィの法則が生まれた瞬間だった。数週間後,Stapp少佐は,空軍の記者懇談会で,Murphyの話を紹介した。これが,業界関係雑誌に掲載されて空軍関係者の間で使われるようになり,数十年のうちに一般化したのだ.“Murphy's Law and ……”には,Murphy自身によるとされるマーフィの法則が10個ほど挙げられている."Every solution breeds new problems"「すべての解答は,新しい問題を産む」なども有名だ。“Nature always sides with the hidden flaw"「自然はいつも見えない欠陥に味方する」とか,“Everything takes longer than yout hink”「すべてのものは,思っているよりも時間がかかる」なんてのもある。どれもシンプルなものだが,一緒におさめられているほかの人たちの言葉のだいたいのバリエーションがすでにここにあるといえる。Murphyによれば,これらマーフィの法則の根底に流れるのは,ひたすら悲観的なものではなく,どんなときも決して致命的ではないというニュアンスのものだという.
Murphyは,'53年に退役して,Hughes Helicopters, Inc.で働いていた。髪は白くなったものの、奥さんのEffieとチャウチャウのBowserとともに,カリフォルニアはマンハッタンビーチで現在も元気に暮らしているという.
(HortenseEndoh)


自分の身に起こったマーフィの法則は5インチフロッピーディスケットを床に落としたとき拾おうとして椅子を後ろに下げたとき椅子の足の車輪でディスケットを踏んだときだった。瞬時に体が固まりそれ以上ディスケットに衝撃を与えないようにして注意して拾った。すかさずディスケットのエラーチェックをしたがエラーは無く事なきを得た。そのときマーフィの法則が頭に浮かんだ。「起こる可能性がある悪いことは、必ず起こる」だった。


特別企画でAtariSTが紹介されていた。
ASCII1990(07)f01Atari_W520.jpg
 AtariST(以下STと略す)は,この極東の地・日本ではずいぶんと奇妙なコンピュータである。なんせパソコンショップではなく楽器店で売られているパソコンなのだ。楽器メーカーが作ったパソコンなら楽器店で売られるのも分かる.しかし,レッキとしたパソコンメーカーの製品が楽器店でしか手に入らない,というのは他に類を見ない.そしてソフトも音楽ソフト以外はほとんど見ることがない.
 確かにSTは音楽用のパソコンとして有名である。イギリスでは,音楽用パソコンと言えばSTがトップシェアを誇り、次がMacintosh,そしてIBM PCコンパチ機という順位になっている.ヨーロッパ各国も似たような状況にあるようだ。だがSTは決して音楽専用パソコンではない.欧米では多くのユーザーと豊富なアプリケーションに支えられた,普通のパソコンなのである.もちろん,IBM PCやMacintoshに比べればマイナーな機種ではある。しかしながら,わが国でトップシェアを誇るPC-9801にしたところで,世界規模で見ればマイナーなローカルマシンでしかない。おそらく欧米の一般的なパソコンユーザーはPC-9801なるマシンの存在も知らず,せいぜいAPCIV(98の輸出モデル)を知っている少数のマニアがいるくらいのものだろう。そのような意味では,STは決してマイナーなマシンではないのだが,日本ではSTそのものについてマニュアル以上のことが書かれた解説書が一冊もない現状はどうにも寂しい。したがって,この短期集中連載を始めるにあたって,まずパソコンとしてのSTの姿を概観しておきたい。

PC-98がガラパゴスマシンなのは当然のこととして、日本では「パソコンショップではなく楽器店で売られているパソコン」 AtariSTがガラパゴスマシンではなく欧米では普通のパソコンであるのは知らなかった。Atariはゲーム機を売ってた会社だと思っていた。

以下写真、図とコラム記事をスクラップする。
ASCII1990(07)f02Atari写真01_W520.jpg
ASCII1990(07)f02Atari写真02_W505.jpg
ASCII1990(07)f02Atari図1_W520.jpgwidth="507" height="215" border="0" align="" alt="ASCII1990(07)f02Atari写真03_W507.jpg" />
ASCII1990(07)f03Atari写真04_W401.jpg
ASCII1990(07)f03Atari写真05_W383.jpg
STシリーズ登場の背景■
 1984年6月、ビデオゲーム業界の不振によって最悪の状態にあったAtari社を買収したのは,なんと,Commodore社の元社長Jack Tramielだった。彼は3人の息子(元Commodore社幹部)と、同じく元Commodore社従業員とで経営の立て直しを始めたのである.ちなみにCommodore社とは家庭用ゲーム機でシェアを競い合っていたため,この出来事はアメリカはもとより世界中のコンピュータ業界をも驚かせた.
 1985年1月,ラスベガスのCES(Consumer Electronics Show)会場にてAtariの再建を賭けた最初のSTシリーズは登場した.かねてからAtari社はJack社長のもと,Macintoshライクなマシンを開発中との噂が流れていたため,それはジャッキントッシュと呼ばれてはいたのだが,それがまさか半年で発表になるとは誰もが想像していなかった。STはデビューから相当にセンセーショナルなマシンだったのである.
 それから3年足らずでAtari社は収益増に転じて,現在はSTシリーズはもちろん、ラップトップ機や32bit機のほか,ポータブルゲーム機「LINKS」,果てはIBMコンパチ機の開発販売など広範囲でユニークな営業展開を繰り広げている.


ASCII1990(07)f04Atari写真06_W338.jpg
Atariのシステム環境は
 現在,AtariのシステムはTOSと呼ばれる基本システムと,GEM(Graphics Environment Manager)というシステムとアプリケーションの中間に位置するプログラムで構成されている.Macintoshでいえばシステムとファインダーの関係である.Macintoshがシステムのバージョンをどんどん上げながらマルチタスクへと傾斜していく中,Atari陣営は5年間,大きな変化がない.「それではAtariにはマルチタスク環境がないのか?」というとそうではない.なんと,音楽ソフトのメーカ2社が独自の方法によって,それらしき環境作りを行なっている.
 Steinberg社はM-ROS(エム・ロス)という独自のOS上で,自社のシーケンサと音色エディタが並行に処理できるようなシステムを作り上げようとしている.一方,C-lab社はSL(ソフトリンク)という,メモリをパーティション管理するプログラムによって,自社のソフトはおろかTOSやGEMを含めた環境までをサポートしようとしている。これらの環境によって,シーケンサをスタートさせながら音色をエディットするというような基本的な欲求は満たされるわけである.
(池田賢司)


ASCII1990(07)f04Atariコラム写真_W319.jpg
ASCII1990(07)f05Atari画面01_W425.jpg
ASCII1990(07)f05Atari写真07_W264.jpg
ASCII1990(07)f06Atari画面02_W500.jpg
ASCII1990(07)f06Atari画面03_W337.jpg
ASCII1990(07)f06Atari画面04_W339.jpg
ASCII1990(07)f06Atari画面05_W339.jpg
ASCII1990(07)f07Atari画面06_W520.jpg
ASCII1990(07)f07Atari画面07_W520.jpg
ASCII1990(07)f08Atari画面08_W520.jpg
ASCII1990(07)f07Atari写真08_W462.jpg
ジョイスティックが懐かしい。DOS/V機のWindows3.1やWindows95でパラレルポートにジョイスティックを繋いでゲームをした。
ASCII1990(07)f08Atari画面08_W520.jpg
ASCII1990(07)f08Atari画面09_W520.jpg
ASCII1990(07)f08Atari画面10_W520.jpg
ASCII1990(07)f08Atari写真09_W452.jpg

AV STRASSEではAtariSTEが紹介されていた。
ASCII1990(07)f09AtariAVSTRASSE_W520.jpg
ASCII1990(07)f09Atari写真1_W520.jpg
ASCII1990(07)f09Atari写真2_W520.jpg
ASCII1990(07)f09Atari写真3_W520.jpg
ASCII1990(07)f10Atari写真4_W520.jpg
ASCII1990(07)f10Atari写真5_W520.jpg
ASCII1990(07)f10Atari写真6_W487.jpg

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。