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PC-9800シリーズ日電インタビュー1(月刊ASCII 1990年3月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集'90年代のPC-9800シリーズはどうあるべきか?の日本電気(株)情報処理製品計画本部長の発田弘氏のインタビュー記事をスクラップする。
当時天下を取っていたPC-9801シリーズの今後の展開について業界の今後をどのように予測していたのかを知ることができる。また、予測が外れた部分はどこでどうしてなのか分かると良い。パソコン業界のことだから数年先は予測できるとしても10年先は無理だと思う。2000年のOSはWindows98 Second Editionだった。PC-9801の互換性維持は足かせでしかなかった。PC-9801はブランドイメージだけで市場を獲得していた。Windows98でPC-9801でなければならないところは何もないということを私の周辺は思っていた。
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予測は外れるものだとスクラップして確認した。ということは現在の色々な予測もきっと外れるだろう。このスクラップは鵜のみにしてはいけないという教訓となる。
「PC-H98model70は,現行のPC-9800シリーズの高機能版ではない.まったく新しいアーキテクチャとして考えてほしい」と語る発田本部長に,'90年代のシリーズ展開を中心にインタビューした.

やはり,OS/2は32bitマシンの中心OSだと思う
――NESAマシンの発売によって,'90年代のPC-9800シリーズはいよいよバリエーションが豊富になってきました。'90年代のマシン展開は基本的にどう考えていますか?
発田 現行のPC-9800シリーズ上で流通しているMS-DOSを中心とした1万本弱のソフトウェアは大切な資産ですから,'90年代を通してこれらを継承していくという立場は変わりません。ただ,32bit時代とともにOS/2が要請されており,我々も力を入れてやってるわけです.パーソナルコンピュータが次第に高性能なもの,特に32bitになってくると,一般家庭は別として,企業では使い方がずいぶん変わってきているわけです。スタンドアロンの環境ではなく,いわゆるネットワーク環境で使いたいとか,あるいはホストコンピュータとリンクして使いたいとか,新しい要望が強く出てくるようになりました。従来のPC-9800ではあまり使われていないそうした環境に対応していくには,MS-DOSではなくOS/2くらいの機能が必要だと考えています。ですから,32bitマシンに求められる本来の要望に応えていくという意味では,OS/2は重要な位置にあると考えています.
――OS/2の現在の状況はどうですか?
発田 今は予想より普及率が低いようですね。伸びも予想より低いです.
――どのぐらいでしょうか.
発田 出荷しているのは,累計で1万本足らずです.ただ,この数字は今後急速に増えていくと思いますけれども,現状では,まだアプリケーションソフトが十分でありません。OS/2だけでは仕事になりませんから。米国を見れば分かるとおり,予想より若干アプリケーションの登場がずれこんでいますから.

――アプリケーションのリリースの遅れの原因はどこにあると考えますか?
発田 まず,肝心のPMが出てきたばかりだという点があります.また,OS/2を動かすための環境がまだ完全に整っていなかったということもありますね。たとえば,メモリやハードディスクなどは,MS-DOSに求められる以上のものが必要だということが徐々に明らかになってきていると思います.
 最初は高スペックばかりが目についたOS/2ですが,実際に使ってみると十分に実用に耐える性能を出そうとすれば,やはりメモリがたくさん必要だし,ハードディスクは大容量でなければいけないということがやっと分かり始めているのではないでしょうか。もちろん,OS/2が,長期的に見て駄目だということではありません。我々としては,32bit時代の中心OSだと思っています。

――そうすると,MS-DOS+Windows386という組み合わせより,OS/2+PMの比率が多くなるとお考えですか?
発田 それは分かりません。機種展開によって使われるシーンも違いますしね。いちがいには言えません。
――PC-9800で本格的にOS/2が使われるにはどのぐらいかかるでしょうか.5年くらいですか?
発田 2000年になったら本格的に使われているでしょう.しかし,3年先なのか5年先なのかというと,いろいろな調査会社の報告がありますが、なかなか特定できないと思います。ですから,我々としてはぜったいに普及すると考えて製品強化をしているわけです。アプリケーションがなかなか出てこないという背景には,もう一つ,MS-DOS対応の優れたアプリケーションを作っているソフトウェアメーカーが,OS/2のAPIマナーに従ったソフトの作り方を勉強中だという点もあります。OS/2用ソフトは基本的に大規模なものですから,APIマナーを熟知して作るにはMS-DOS用ソフト以上に時間が必要でしょう.だから,ソフトウェアメーカーは,OS/2にネガティブになっているとは思いません。逆に,どうせ対応ソフトを出すならいいものを出したいという思惑が働いていると思います.
――そうすると,OS/2の衆知徹底期間にもう少しかかると……
発田 実は,今年中にけっこう揃ってくるんではないかと期待してるんです.我々のPMは昨年秋に出荷しましたし。
――それでは,どんな対応ソフトが出てくるか,今年の大きな楽しみでしょうね。
発田 いろいろ出てくると思います,非常に楽しみにしています。
――なるほど.PC/UXはどうでしょうか.
発田 UNIXとなるとOS/2より1ランク上.マルチタスクでマルチユーザーになりますが,我々としては,OS/2と並んで大いにやっていきたいと思っています.PC/UXは,すでに1万本近く出荷しています。UNIXとして見ればいい数字ですが,32bitマシン対応ということで考えると,今まで以上に力を入れていきたいところです。特に,高性能のPC-9800をサーバとして使う場合にPC/UXを望む声が出てきているのは事実ですから.
――MS-DOS+Windows,OS/2+PMと考えると,ハードウェアとして同じプラットフォームを使っているわけですから,PC/UXのGUIもインターフェイスとして整合性を持つようなものが要求されてくるのではないでしょうか?
発田 UNIXの標準的なGUIが何になるのかという点はまだ見えないところがありますので,UNIXはUNIXとして主流に合わせていくということになると思うんです.OS/2のPMとは,できるだけ似たような環境がいいというのは分かるのですが,無理に合わせようとは思いません.それよりも、個々のオペレーティングシステムの標準的なものを重視していきたいと思っています。万一、それが違っていても仕方がないですね。
どうしてソフトウエア資産が継承していくのが大事だと考えていたのだろうか。私はアマチュアなので常に自分のプログラムは改良すべきだ、より安定してより高速にせねばならないと思っていた。だから、製品のプログラムもバグ付きで販売しておいて、それを継承だと!作り直せ!設計を見直せ!アルゴリズムを見直せ!とソフトを使いながら呪っていた。どうしてソフトを作り直すのを嫌がるのだろうか。経済優先という姿勢が嫌いだった。だから今Linuxを使っていると凄く心地いい。
 発田氏はOS/2に対しダメとは言っていないが、良いとも言っていない。ダメとは言えない立場だろう。しかし、インタビュアーの姿勢が気に入らない。OS/2推しということが明らかで目に余る。インタビュアーは今後の展望がいかに外れていたか知ったときどう思ったのだろうか。反省はしたのだろうか。
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――PC-9800シリーズは,すでに一言では語れない多様性を持っていると思います.しかし,ホームユースという点では,まだ特定された環境が見えない。現行のPC-9800シリーズが家庭に入るとしたら,整備しなければならない条件は何でしょうか?
発田  ワーク・アット・ホームという考え方は分かるのですが,ゲームユースだけとなるとこれはもうPC-9800の守備範囲を逸脱していると思います。ホームという言葉が非常に難しいのは,曖昧模糊としているからでしょうね。
――ゲームマシンならゲームマシンだけというセグメント化ではくくれないものがホームユースだろうと思うのです.そういう多様性は,PC-9800では見えませんか?
発田 たとえば,先般発表したノート型マシン。これは家庭へ持って帰って仕事の延長で使うということが十分できるわけです。そういう携帯性の良さというポイントで見れば分かりますが,本当のホームユースという点では,我々はPC-8800シリーズやPC Engineでカバーしているわけです。だから,現時点では,PC-9800ではホームユースをビジネスとして考えていません。
 ただ,マルチメディアというものが注目されていますから,CD-ROMを搭載したマシンみたいなものがたくさん出てくるという可能性はあると思います.そういうAV機能を取り入れたマシンは,価格設定を考えてやれば,会社でも家庭でも使われると思います。
 一方の企業ユースでは,300人以上の会社ではパソコンの普及率は80%以上だと思いますが,300人以下の企業では20%くらいに落ちるんです.家庭となるとまだ10%くらいといわれてますね.だから,家庭での本格的な普及はこれからだと認識しています。

――なるほど.どちらにしても,これからやはり家庭の中に入っていく…….
発田 そうですね。家庭もおそらく16bitになってくるんでしょうね。
――その時には,MS-DOSマシンとして入っていくわけですか?
発田 まず,MS-DOSでしょうね,OS/2でというわけにはちょっといかないでしょう。将来的には分かりませんが.
はやりインタビュアーがいまいちだ。今までスクラップしてきたインタビュー記事はそこそこ面白かったのだが、今回はいちいちい腹立たしい。何を聞いているのかという感じだ。自分の予測を元にしてインタビューしているからそれと違ったというか、積極的に支持する回答が来てないのにしつこい質問を繰り返している。当時は分からなかったが、こうして外していることが分かって記事を読むと腹立たしい。
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NESAバス対応のノート型で1600万色表示を実現するのが夢
――現行のPC-9800シリーズは,ノート型,ラップトップ型,デスクトップ型でバリエーションを展開されていますが,各形状で主流となるスペックは短期的に見てどのようなものになるでしょうか?
発田 ノート型はこれからの製品だと思いますが、現在のサイズだとか重量はもっと改良していくつもりです.より軽く,より薄いという方向の発展はあると思います。欲を言えばフロッピーベースだけではなく,ハードディスクベースにしたいといった夢はあるんです.しかし,そんなに軽くて小さいハードディスクができるかまだメドが立っていないのが実情です。まぁ,夢としては現行のラップトップマシンのスペックくらいはノート型に持たせたいと思います。ただ,ノート型がそういうことでどんどん高機能化した時に,ラップトップ型がどうなっているのか見えないですね.やはりノート型にはない何かを付加して,差別化できないと駄目かもしれません。そのポイントをどこに置くかというのが,ラップトップ型の課題ではないかと思います.
――重装備のラップトップマシンを使って思ったんですが,40とか80MbytesのHDD内蔵タイプを使っていると,本当はこれが,デスクトップ型なんじゃないかと.そもそものデスクトップマシンは,大きくて各種の拡張ボードが入るというメリットもありますが,ラップトップ型のサイズは実にいいなぁと思うのです。そう考えると,現行のデスクトップマシンが占めるシェアは減少していくのではないかと思うのですが.
発田 それはディスプレイの問題が大きいでしょうね。CRTディスプレイに匹敵するようなカラー液晶のディスプレイができるような時代になるとそんなことがいえるのかもしれません。しかし,現行のCRTベースがある限りは,ラップトップ型が主流になるというイメージがつかめませんね。デスクトップ型がそう簡単になくなる,ということはないと思います。
――両モデルは,現行のシェアと変わらない程度で推移するとお考えですか?
発田 そうです.デスクトップ型もずいぶん伸びていますよ。やはり,拡張性という点がある限り,デスクトップ型の市場はあるでしょう.
 カラー液晶でサイズが非常に大きいものが製品化できて,CRT並みに使えるようになれば話は少し違いますが.

――TFTカラー液晶の商品化のメドは,年内になんとかなりそうですか?
発田 大丈夫だと思います.ただ,サイズとか色の鮮やかさなど,いろいろな面でCRT並みとはいえないでしょうね。
――ご覧になられてどうでしょうか.
発田 もちろん非常にきれいです。これならば十分使えると思ってますけれども、まだサイズが小さいんです.
――デスクトップ型では,やはりNESAマシンだと思うのです.32bitバスということでは,MCAとかEISAがすでに発表されていますが,NESAを他メーカーにライセンス供与する考えはありますか?
発田 検討中で結論が出ておりません。ボードを作りたいという方には,当然ですが公開してます.ボードメーカー以外でNESAバスを使いたいというのは,互換機を作りたいということだと思うのですが.
――具体的には,セイコーエプソンさんが要請してきたらどうします?
発田 うーむ.そういう想定問答にはやはり答えられませんね。具体的にそういうご要望があったら考えることだと思いますが,現時点では,皆さんおやりくださいと言って協力してもらおうとは考えておりません。また,具体的なお話もきていませんしね。
「NESAバス対応のノート型で1600万色表示を実現するのが夢」確かにその夢は10年以上必要だった。2000年のノートパソコンはどうだったか。スクラップは楽しい。
――BIOSを含めて現行のPC-9800シリーズの根幹的な見直しというのはお考えになっていないのでしょうか。たとえば,NESAバスにフィットした環境作りみたいなものですね。
発田 我々のスタンスは,従来の資産を引き継ぎながら,少しずつ拡張していくということです.NESAバス搭載のPC-H98model70は,単にバスを32bit化しただけの話じゃなくて,あくまでもアーキテクチャとして発表させていただいたわけです。バス以外にも,グラフィックの性能などは現行のPC-9800シリーズより高度にしようということで全部見直しまして,1ランク上のスペックになっているわけです.
 PC-H98model70には,将来のAV対応に向けて自然色にほぼ近いような画像が出せる機能まで持たせてあるわけです。NESAバスというのは,そういうアーキテクチャを含めた総体として発表をさせていただいたわけです.PC-H98model70は,それをベースにしたマシンの1号機という位置付けですね。このマシンは,現行のPC-9800シリーズ用ソフトが動きますけれども,それでは新しいアーキテクチャが持ってる機能を全部は生かせない.PC-H98model70用のソフトは,本当に新しい機能を生かそうと思ったら現行シリーズとはまったく別に作らなくてはいけない。そういう意味では,単にNESAバスとして見ていただかないでもっと大きいアーキテクチャとしてPC-9800シリーズが変わったんだという認識で見ていただきたい.現行アーキテクチャとの互換は保ちながら,もう一回り大きい新しいアーキテクチャになったという位置付けですね。

――NESAバス対応のアプリケーションが増えれば,現行機種では当然動かなくなるわけですが,そうなると自ずと世代交代が行なわれていくようになりますね。
発田 これは仕方がないと思うんです.長期的に見れば,どんどん世代交代が行なわれて,何十年か経ったら今のPC-9800シリーズのBIOSが必要なくなる時代がくるかもしれません。そうなったら,今のBIOSはもちろん止めますよ(笑)。
――そういう意味では,これから移行期にあたるということで,市場に現行シリーズの16bitバスのアーキテクチャと,NESAバスアーキテクチャの両方が共存するわけですね。そして,徐々にNESAがPC-9800シリーズの中心になっていくと.
発田 そうです。それが結局,32bitの新しい時代のパソコンにPC-9800シリーズが生まれ変わっていくということだと思うんですよ.
「――そういう意味では,これから移行期にあたるということで,市場に現行シリーズの16bitバスのアーキテクチャと,NESAバスアーキテクチャの両方が共存するわけですね。そして,徐々にNESAがPC-9800シリーズの中心になっていくと.」
この予測は外れた。Windowsがそうはさせなかった。PC-9800シリーズは消えてしまった。
「現行シリーズで培われた1万本近いソフトウェアが流通してるわけです.私はそれが完全に32bit対応になるには,'90年代いっぱいかかると思いますけど」それはWindowsに対応していないソフトのことでそういったものはWindowsに対応させることができたものが生き残り、そうでないもは古いPC-9801で使われていった。NESAが乗ったPC-9801用になんて作り直さなかった。
「PC-9800シリーズだけで300万台近く普及している」アンチ98は歯ぎしりしていた。なんでこんなスペックのマシンが売れ続けるのか。進歩という言葉はないのか。
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――ユーザーもそんなに急激に変わられては困ると思うんですけれども,一方で80486CPUを搭載したマシンもぼちぼち出てきています.日電も年内だと思うのですが,いちおうCISCマシンは80486でそろそろ打ち止めかなという話もありますね。その先はどのようにお考えですか?
発田 80486の先ですか?80586の世界があると思いますよ。80686という話はまだ聞いていませんが.CISCチップがなくなる理由は何もありませんからね。ただ,我々がPC-H98model70で発表したように,CPUボードとして860を装着するということはあります.RISCチップの特性を生かしたアプリケーションの世界があるわけですから.NESAバスを介して,CISCとRISCが共存するようなことも考えられるでしょう.目的や用途によっては,棲み分けがあるということです.
「CISCマシンは80486でそろそろ打ち止めかなという話」この当時、CISCとかRISCとかにこだわりすぎていた。未来予測とは難しい。こうして古い記事を読み返すと、読んでいるこちらの方が恥ずかしくなる。書いた本人はどうなんだろうか。仕方がなかったと言い訳して心を落ち着かせるのだろうか。それとも的確に予測できなかった己の能力不足を恥じるのだろうか。
 「80486の先ですか?80586の世界があると思いますよ。80686という話はまだ聞いていませんが.CISCチップがなくなる理由は何もありませんからね」発田氏の予測は的確で素晴らしい。それに比べレベルの低いインタビュアーの記事だ。

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